タクシー運転手の仕事内容や年収などを紹介【シニアにおすすめ!】

「タクシー運転手」はシニア世代の転職先の選択肢に挙がりやすい職業です。身近な仕事ですが、特殊な勤務形態や労働時間は一般にはなじみが薄く、そのことで躊躇される方も多いと聞きます。

50才を超えて転職した私もそうでした。それでも思い切って飛び込んだ結果、かけがえのない人生最後のキャリア形成ができました。「やってみたいけれど、踏ん切りがつかない」そんなシニアのために、一般の転職サイトではわからない、「本当のタクシーの世界」について、経験者の目線から解説して行きます。

タクシー運転手の仕事内容

タクシーの仕事は言わば単純明快です。「お客様を目的地までお運びする」ということだけです。ただ、肝心のお客様を探すこと、逆にお客様からタクシーを探していただくことは簡単なことではありません。

タクシーは様々な営業方法でお客様とのマッチングを図っています。中でも代表的な3つの営業方法を説明します。

流し営業

「流し営業」はタクシーの基本です。タクシー運転手は出庫すれば自由に営業します。営業区域内を自由に運転しながら、手を挙げてタクシーを拾ってくれるお客様を探すことを「流し」と言います。大都市圏のタクシーは主に流し営業です。

ただし、偶然に期待してやみくもに走ってもお客様には出会えません。タクシー運転手は「何時ごろどの場所を流せば、どういう御用のお客様がどこに立ってタクシーを待っているのか」というイメージを描き、現在地から「流し」の経路設計を頭の中で繰り返しています。

つけ待ち営業

何となく言葉の響きが良くありませんが、つまりはタクシー利用の頻度が高い場所に車を止めてお客様を待つ方法です。流し営業の途中で状況を見て行えば効果的です。

例えば、通りがかった駅の乗り場で待っているタクシーが少なかったり、お客様を降ろした病院にタクシー乗り場がある場合などそこで少し待ってみれば効果的に実車率を上げることが出来ます。イベントの終了時間を調べて会場に着けることもあります。私の場合、東京ドームや歌舞伎座あたりでよく待たせてもらいました。流し営業の一環と思って下さい。時と場所を考えないと「待ちぼうけ」を食ってしまいます。

無線配車

お客様から事務所に入った配車依頼を受けて、配車オペレーターが近くの空車を探して無線で配車指令を出すシステムです。地方のタクシーはこの比率が高い傾向にあります。

無線と言っても近年は配車システムのIT化がめざましく、音声でやり取りする旧来の無線は、ほぼガラパゴス化しました。車載のナビ配車システムに指示が入るので知らない場所でも心配ありません。

また、アプリ配車の普及も急速に進み、スマホ画面のタップだけでタクシーが呼べるようになりました。手軽にタクシーが呼べるようになり無線配車の種類も本数も増加しています。

勤務形態

24時間の需要に備えるのがタクシーなので、勤務形態も特殊であることは事実です。ただし、タクシーは法令に従って運行されている「公共交通機関」です。運転手も関連労働法によって守られています。そのことを前提に代表的な3つの勤務形態を紹介します。

日勤

日勤とは文字通り、普通のサラリーマンと同様に朝から夕方まで働くシフトです。出退勤の時間はまちまちですが、朝の8:00~夕方の5:00あたりが一般的でしょうか。もちろん定められた休憩時間を含みます。出勤日数は月に20~23日程度です。

子育て中の女性や、隔日勤務を引退したシニア層に日勤を選択する人が多いようです。出勤日数の少ないパートタイマー制を設けている会社もあります。自分に合った働き方を考える人にはおすすめかもしれません。

夜勤

こちらも文字通りです。日勤との交代で乗務するイメージですね。夕方6:00から翌朝2:00あたりが基本拘束時間です。タクシーは深夜割増料金が適用される夜の10:00からが勝負です。

また、終電が終わる頃からマンシュウ(一万円超え)という遠距離のお客様に当たる確率も上がります。日勤に比べて稼げるチャンスは大きいと言えます。夜勤者は別名「ナイト」と呼ばれ、このシフトには短時間集中のノウハウを蓄えたベテランが多く入っています。

隔日勤務

一般的で基本的な勤務形態です。例えば朝の8時に出庫し翌朝2:00まで休憩3時間を含み18時間ほど勤務します。最大拘束時間は20~21時間ですので金曜日などの繁忙日にはぎりぎりまで頑張るドライバーが多いです。勤務明けの日は明け番と言い、そのままお休みになります。こうした勤務を月に12出番。最大で13出番こなします

隔日勤務の車を24時間絶やさないようにするため、出庫は朝の6時から11時頃まで断続的に行われています。1回の労働時間は長く見えますが、休日も多く、充分に自由な時間が取れる勤務形態です。タクシーの基本形態なので日勤、夜勤と違い車両繰りの必要がなく、翌日勤務の相勤者とともに決まった担当車両=愛車を持てるのもメリットです。

勤務の流れ

それでは東京の隔日勤務のドライバーを例にとってその一日を追ってみましょう。

朝出勤すると、担当する車の始業点検をし、アルコールチェックなどの点呼を受け出庫します。郊外の営業所から通勤や病院通いのお客様をお乗せしながら、目指す営業エリアに向けて流していきます。日中はオフィス街を中心にビジネス利用のお客様を狙った営業が主になります。夕方になれば帰宅や会合出席のお客様が動き始めますので、5時頃までに昼食や仮眠のための休憩をしっかりと取ります。

そして夕方からの慌ただしさが落ち着けば、ここでも休憩を取り深夜割増以降に備えます。

午後10時になりました。ここからが本番です。銀座や六本木など競争は激しいけれどチャンスも多い屈指の盛り場に狙いを定めて戦闘開始です。空車になれば一目散に駆け戻り、奮闘を繰り返すうちに帰庫時間が迫りました。営業所に車を向け、同じ方角のお客様を探しながら車庫に戻ります。

車庫に帰れば終業点呼を受け一日を振り返りながらの納金作業。そして一緒に頑張ってくれた愛おしい車の洗車も済まし、退社となります。

とても長い一日のようですが、慣れればあっという間に過ぎて行きます。こうして迎えた明け番の解放感は言葉で言い尽くせません。「よくぞタクシー運転手になりにけり」です。

年収はどれくらい?

「タクシーはどれくらい稼げるの?」。気になりますね。やった分だけお金になる仕事ですから自分次第ですが、目安として平均年収を見てみましょう。

平成30年度の国税庁の「民間給与実態統計調査」では平均で約380万円という数字が出ています。ただし、個人では見れば200万円~700万円という大きな幅の中の平均であり、地域別に見ても最低額の地域の約230万円~首都圏の400万円超とこちらも幅が大きい。

調査主体や方法によるバラつきがあり、個人差も大きい業界なので平均に現れない実態を見抜かねばなりません。高齢化が進むタクシー業界の中でも地方は特に年金受給者の運転手が多く、稼がなくてもよいと言う事情も数字に表れています。

精勤する運転手の平均値は上の方に近いと推察して構いません。低賃金の代表のように思われるタクシー運転手ですが、統計の数字が必ずしも実態を表しているとは言い切れません。

営業エリアにおける時間帯と人の流れを捉えておく、営業日のイベント等の情報をキャッチしておく、相性のよい乗り場を複数持つ、簡単にギブアップせず最後まで頑張る。この4つが揃えば平均以上に稼げます。

▶タクシー運転手の年収の参考サイト(求人ボックス)

タクシー運転手の年収はいくら?給料を上げるコツなども紹介!

タクシー運転手になるには?

ではタクシー運転手になるにはどうすればよいのかという事ですが、簡単です。普通免許を持っていて、その気があれば誰でもなれます。タクシー会社の求人に応募し採用されればよいのです。

ただ、簡単なのはここまで。実際に乗務員に登録されるまでには幾つかの関門が待ち構えます。決して抜けられない関門ではありませんので、これから始めたいシニアのためにタクシー運転手への道を簡単に解説します。

未経験のシニアでもはじめられる?年齢制限はない?

もちろん大丈夫です。タクシーの求人にはほとんど年齢のハードルありません。50代ならむしろ大歓迎。60代も前半ならば募集の対象です。様々な社会経験が物を言う世界ですので、シニアの経験知は捨てがたいのです。

未経験者であることは全く問題になりません。ほとんどの会社は養成ドライバーの制度を設けています。普通免許があれば採用後に会社の費用で二種免許を取得させてくれます。その後、法令に定められた研修を行い、乗務員デビューとなります。現役ドライバーの多くも養成の出身です。

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研修ではどんなことをするの?

現在はタクシー特措法という法律により、乗務員はタクシー会社ではなく各都道府県のタクシーセンターに登録され、乗務員資格もそこが発給します。

資格を得るためには、会社での研修の前にタクシーセンターの講習を受けなければなりません。二日間ほど地理や安全、接客について決められたプログラムを受講します。ちなみに特措法の特別地域である東京では講習の後にセンターが実施する地理試験に合格することが必須条件になっています。国家試験に準じ難易度の高い試験ですが、最終的にはほぼ全員合格していますので過剰な心配は無用です。

その後、会社では、会社のルール、安全と接遇、機器の取り扱いなど実践的な研修があり、最後には指導員による同乗研修を経て晴れて営業開始となります。二種免許取得に要する期間も含めて30日ほどの養成期間です。

長いようにも思われますが、未経験者にはむしろ安心できるプログラムだと思って下さい。

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やりがいってどんなところ?

人生の転機に一大決心をして飛び込む世界ならば、「やりがい」は大事です。仕事のどこにそれを感じられるかは人それぞれですし、転職の動機にもよるでしょう。

敢えてタクシーの仕事に共通する「やりがい」を挙げるならば、やはり自分の頑張りが収入に直結することでしょう。歩合給のこの世界では稼げば稼ぐほど取り分が大きくなります。昭和世代のシニア層にとって「努力次第」という言葉への抵抗感は比較的薄いのではないでしょうか。

そして一番のやりがいは、タクシーは地域を支える重要な公共交通機関であるということです。タクシーは住民生活に不可欠なインフラです。お客様からいただく「ありがとう」の一言こそが「やりがい」なのです。

こんなシニアにおすすめ

タクシーは営業所を離れれば一人の世界です。会社員なのに上司も部下も同僚もいません。そして、いつどこで誰が乗ってきて、どこへ行くのかもわかりません。大半のお客様は常識をわきまえた紳士・淑女ですが、まれにそうでないお客様もご乗車になります。

道路状況も気象条件も常に一定ではありません。ある意味ハプニングに富んだ世界とも言えます。営業面でも安全面でも機転を利かす準備が必要です。

タクシーの営業を行うにあたって大切なのは、単なるタクシー業の知識ではなく、社会人として培ってきたあなた自身の経験です。そういう意味ではシニアと言われる年齢そのものが価値だとも言えます。

接客業ですので、営業職の経験者等の具体例も挙げられますが、人と接することが嫌いな人や、自動車の運転が苦手な人を除けば誰でもチャレンジできる仕事なのです。

強いて言えば、お客様のささいな言動にいちいち感情を起伏させない心の安定した人。毎日の新しい人や場所との出会いに感動と喜びが持てるプラス指向の人。そんな人なら直ぐに優良ドライバーになれるでしょう。

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まとめ

限られた紙幅で充分に私自身の経験をお伝しきれませんでしたが実際のタクシーの仕事は小さな失敗の連続でもあり、逆に小さな成功の連続でもあります。これは小さな感動の連続とも言い換えられます。

一つの仕事に区切りをつけて、新たな世界へのチャレンジを前向きに考えるシニア世代には是非体験していただきたい仕事だと思います。その気になれば正社員の処遇を得て、これからでも充分に長く続けられる仕事がタクシー運転手です。

もう一つ。「人生経験が活かせても、過去は問わない」これがタクシーの世界です。もし転職の理由がハッピーなものでなかったとしても、取り組み次第で充実の毎日が送れます。

「朝日をうけて出庫すれば、青空はやがて夕陽に染まり、月明かりにしばし憩い、忍耐の時に星を数え、東雲に新しき日が明けてゆく」タクシーライフはシニアにぴったりの自由で優雅な日々かもしれません。

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ヒトシア編集部

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