タクシー運転手への転職は50代以降でも可能?転職経験者が解説!

タクシー運転手は中高年の転職先としてはハードルが低く、門戸の広い業種です。ただ特殊な勤務体系や給与体系に不安を抱く方も多いと思います。私も50歳を超えて未経験のこの業界に足を踏み入れました。

正直、様々な苦労はありました。それでも自分に合った会社でのハンドルを握って培った体験は私のセカンドキャリアを形作ってくれました。本記事では、身近だけれど知られていない本当のタクシーの世界を紹介していきます。

タクシー運転手の働き方

タクシー運転手の仕事は一口に言えばお客様を安全・迅速に目的地に送り届けるだけの事。ただし法人タクシーの勤務時間や営業手法は決して単純なものではありません。

タクシー運転手の種類

タクシー運転手の仕事の方法はいくつかありますが、大まかに言えば「車庫待機営業」と「流し営業」です。

「車庫待機」は営業所に入ったお客様の連絡に対して配車室からの指示を受けて車庫からお迎えに行く方法。「流し」は営業所から出庫して自由にお客様を探す、もしくは配車室からの「無線配車」を受ける方法です。

他に「車庫待機」に似たもので「ハイヤー」があります。地方ではタクシーとあまり区別はされていませんが都市部では運賃体系も使用車種も異なり、タクシーとは全く別部門となっており、運転手の採用枠も別であることが一般的です。

首都圏などで大都市では「流し営業」、地方では「車庫待機」が一般的です。

勤務形態

タクシー運転手の勤務形態は大きくわけて「日勤」「夜勤」「隔日勤務」の3つです。

「日勤」とは普通のサラリーマン同様に朝から夕方まで働くシフトです。例えば朝8:00~夕方5:00までが基本拘束時間になり、月に20~23勤ほどをこなします。「夜勤」は文字通り夕方から翌早朝まで、18:00~翌2:00等の基本拘束時間が一般的です

次に「隔日勤務」ですが、タクシーでは一般的な勤務形態です。例えば朝8:00に出庫すれば翌朝2:00まで休憩3時間を含んで18時間勤務あたりが標準です。

なお、3時間の休憩は法律で義務付けられており、休憩場所や時間帯は自由に選べます。休憩スポットや過ごし方は初任研修の時に会社や先輩ドライバーからアドバイスがあります。隔日勤務の場合は割増運賃が適用される22:00からが本番です。それに備えて仮眠時間に充てる運転手が多いですね。勤務明けの日は「明け番」と呼ばれ休日になります。1か月あたり12回ほどの勤務を行います。

何れの場合も厚労省の「労働時間改善基準の告知」により最大拘束時間が定められており、不当な長時間労働はあり得ません。

タクシー運転手の仕事内容や年収などを紹介【シニアにおすすめ!】

タクシー運転手への転職における不安を解消

「長時間勤務をこなせるかな?」「危ない目に遭うことないの?」「道がわからなくても営業できるの?」。いろんな不安があって当然です。でも大丈夫。シニアの経験で乗り切れます。

そもそも、シニアでも年齢的に雇ってもらえるの?

問題ありません。乗務員募集の年齢制限は無いに等しく、65歳までならほぼ採用面接の対象です。業界の人材不足というマイナス面の理由もありますが、シニアの経験知がストレートに活かせる仕事だからです。70歳まで定年延長で雇用継続する会社も多くあります。

未経験で二種免許持ってないけれど雇ってもらえるの?

募集している会社のほとんどが養成ドライバーの制度を設けています。費用は会社負担で、採用されると直ぐに自動車学校に入校します。資格が得られ乗務員になるまでの給与も支払われます。ただ、2年間は離職しないという内容の誓約を結ばせる会社もありますので、法的根拠の有無も含めて確認してください。現職ドライバーの多くは養成の出身です。

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夜勤や隔日勤務があるけれど体力はもつの?

慣れるまでは大変ですが、意外に早く慣れます。勤務を重ねるうちに営業回数も増えてきます。タクシーの場合は一回の営業が自身の収入に直結しますのでモチベーションが上がり、リズムが出てきます。翌日は明け番と言う名のお休み。半月もすればドライバーの身体になります。待望の公休日も直ぐ来ますし確実に連休になります。実は自由時間も多い健康的な仕事なのです

どれくらい稼げるの?

こればかりはやり方次第なので一般論になりますが、運転手の給与は歩合制です。歩率は各社まちまちですが、だいたい売上の50~60%です。現在はコロナ禍で厳しい状況ですが、平常時なら東京で25万円~50万円。地方で15万円~35万円ほどです。

上限に届くには多少のキャリアが必要ですが、大概の会社は拘束時間をみなし拘束時間で計算した基本給(保証給)を設けているので出務時間を全うすれば下限は底堅いでしょう。

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道に詳しくなくても大丈夫?

心配はご無用。今はほとんどのタクシーにカーナビが標準装備です。無線配車の場合もデジタル無線のナビ配車が主流です。東京などの一部地域では地理試験に合格することが乗務員資格の必須条件であり、それ以外の地域でも地理の習得のための講習が義務付けられています。必要な知識を習得してからの実践なので心配ありません。実際には1週間もすればタクシー独特の勘所がつかめます。

ただ、本当に必要なのはコミュニケーション力です。わからなければお客様から教えていただけばいいのです。「何とかなる」ことと、気楽に考えましょう。

出庫すれば密室に一人きり、嫌なお客様に当たったらどうする?

私は転職に当たってこれが一番不安でした。タクシー強盗や車内での暴力行為のことなど遠い出来事が急に身近になったようでした。でも始めてすぐに不安は解消されました。

今のタクシーには車載カメラなど、ハイテク防犯装置や通報のシステムも完備されています。それも確かに安心要素ですが、挨拶や経路確認など基本をおろそかにしない接客をすることこそがセキュリティーの要だと気づいたのです。「どんなお客様にも平等に正しい接客態度を取ることが密室空間を互いに快適なものにする」という当たり前のことがわかれば、どんなお客様が乗られても苦になることはなくなりました。

誰がどんな状態で乗り込まれるかわからないタクシーですが、大半のお客様は常識人の紳士淑女です。身構えてしまうこともありますが、正しい接客をすることはまさに「備えあれば、憂いなし」です。

始めてからわかった、タクシー運転手のここが大変

仕事をして稼ぐ以上は大変なことがあるのは当然。ここではタクシー運転手をしていて大変に感じたエピソードを二つご紹介します。

一人きりで仕事をする「孤独」

先ずは出庫して帰庫するまでの孤独」です。次から次へとお客様に出会える日は良いのですが、「2時間も誰もご乗車がない」などという日もあります。そんな日に上司も部下もいない車中の孤独感は体験しないとわかりません。「こんなのは俺だけ?流す場所、間違ってない?」と自問するばかり。いらだちをぶつける友人もいなければ教えを乞う先輩もいない。タクシーに大切なのは孤独に耐えるメンタルタフネスだなとつくづく思いました。

時には困ったお客様にあたることも…

もう一つはやはり問題のあるお客様のことですね。前項で「正しい接客で」とは言いましたが、数千人に一人はどうにもならない。

お客様が「そこを曲がれ」と言う。「そこはお客様の目的地じゃないですよ」というのに「間違いないそこだ」と言い張るので従うと案の定、大間違いでお客様が逆切れ。「遠回りだ。金は払えん」とすったもんだの末に交番へ、ということもありました。

「数千人に一人」にう会う日は今日かもしれないという緊張は常にあります。「好事魔多し」といいますが、その時は好調な一日の終盤にやってきたりする。これも「気持ち」で耐えるしかない。重ねて言いますがタクシー業の肝は「メンタル」です。シニアの経験はこんな時に活きてきます。

タクシー運転手のやりがい

タクシードライバーはエッセンシャルワーカー

「山手線が止まった」「地下鉄が運休」こんな時はタクシーの独壇場です。病院通いのお年寄り。地理不案内の旅行者。タクシーがなければ困る人は大勢います。

東京が豪雪に見舞われたある夜、必死で行過ぎるタクシーに手を挙げている2人連れの中年女性の姿が。お乗せすると「こんなに積もってますけど○○病院まで行けますか?母が危篤なんです」とのこと。「スタッドレス履いてますから大丈夫」と告げると泣き出さんばかりに「ありがとうございます」と何度も頭をさげられました。降りられる際も丁寧に礼を述べ、急いでいるだろうに病院の車寄せで私のタクシーを見送ってくれました。

タクシーは地域の人々の大切な足です。ハンドルを握るあなたは「エッセンシャルワーカー」なのです。たくさんの「ありがとう」の声こそが「やりがい」なのです。

タクシーは人間交差点。たくさんの出会いがあります

タクシーは世界中の様々な人が様々な御用で利用されます。タクシーは世の中の全てとつながっています。

東京あたりだと、思わぬ有名人や芸能人を乗せることも日常です。もちろん、ドライバーから気楽に話しかけることは出来ませんが、短い乗車時間の間に、興味深いお話しが聞けたりします。そうでなくても、乗り降りされる一日何十人のお客様は十人十色の物語を車に残して行かれます。

一期一会のタクシーは人間交差点。たくさんの出会いがあります。ハンドルを握る日々は自分の物語を紡ぐ日々なのです。

転職を後悔しないために

タクシードライバーは誇りを持って取り組める仕事だと思い筆を進めてきました。ただ、ここに記したことは私の経験と標準的なタクシー会社のことです。

タクシーは法令により適正な業務を行うことが義務付けられた業種ですが、一部には旧態依然の体質のまま、違法でも「バレなければよし」とする会社も存在しています。運転手のことを鵜飼いの鵜のようにあつかう経営者もいます。そんな会社も求人広告には他社と遜色のない美辞麗句を掲げます。また、そんな会社ほど短い面接で簡単に即採用を告げたりします。

せっかくのセカンドキャリアです。自分に合った会社で安心して働くためには臆することなく、気になることは質問し希望があれば提示しましょう。ここは「売り手市場」だと自信をもって面接を受けて下さい。出来れば以下の点を確認して下さい。

  • 養成期間中の処遇が曖昧でないか?(広告が羊頭狗肉でないか?)
  • 新人の教育訓練体制が充実しているか?(即戦力で働けるか?)
  • 乗務後3か月~6か月の保証給があるか?(東京なら30~40万円が標準)
  • 事故の負担金があるか?(ブラック体質を見極める要素)
  • 面接者が進んで会社の方針や求める人材像を語るか?(人を人材として見ているか?)
  • 配車システムや車載機器のイノベーションに遅れはないか?(稼げる会社かどうか?)

その他、会社を訪ねた際に、運転手や管理者の身だしなみ、車庫や車の清掃状態、ロッカーやシャワーの整備状況なども見られれば、会社の雰囲気がある程度わかります。

少しハードルが高くても、大手や老舗などブランドとして確立した無線グループ等から当たるとよいでしょう。法令順守の気風がある会社が良い会社です。良い会社は稼げます。安全や接遇に少し口うるさいくらいの会社の方が新人には良い結果をもたらします。

タクシー運転手がおすすめな人

タクシー業界は門戸が広いと言いました。確かに、希望すれば採用されやすい仕事です。ただし、誰でもが満足な収入を得て続ていける仕事ではありません。

近年は新卒採用が話題になったタクシー運転手ですが実際は大半が転職組です。毎月のようにたくさんの人が参入し、辞めて行きます。入るも辞めるもそれぞれの事情があり一概に向き不向きでは語れません。ただ経験上言えることは「過去を引きずらず、好奇心と希望をもって新天地の水を味わえる人」は適任だということです。

この業界は転職者の前職などの過去は不問です。そのかわり評価もされません。前職部長様が自分の子や孫ほどの若い人からきつい叱責を受ける時もあります。せつないですが謙虚に対応しトラブルを回避すればプロフェッショナルと賞賛されます。対応を誤れば苦情となり始末書を書く羽目になります。

また、タクシー運転手はお客様の大切な時間をお預かりする仕事です。乗車から降車までわずか数分でもお客様にとって大切な人生の一時です。常にお客様の立場で気配り出来る人こそ、その道のプロなのです。

ダメな時も良い時もあるのがタクシーです。不調の時はさっさと気持ちを切り替えて次の営業に臨む。忍耐力と切り替わりの早さも良いドライバーの条件です。

一見難しい事ばかりを並べましたが、資格があるかどうかは気持ち次第。気の持ちようでタクシー運転手は自由で楽しい仕事になるのです。

タクシー運転手に向いている人の特徴は?きつい点や、やりがいも紹介

まとめ

ここまで述べたようにタクシーは独特の働き方がありますが、人生経験そのものが活かせる職場です。円満な人間関係は大切ですが、大部分が「自分」で完結する仕事です。

最も強調しておきたいことは、何歳から始めても法人タクシーの運転手は原則として正社員として処遇されるということです。当然、社保完備であり、健康診断は年2回あります(これは義務です)。慣れさえすれば、シニア世代にふさわしい「時間に余裕のある暮らし」も出来ます。

「車の運転が大好き」「人と接することが得意」「若い人に負けずにバリバリ働きたい」、そしてなにより「一度、タクシーやってみたい」。そんな人にはチャレンジの価値ありです。

「今まで培ってきたキャリアの続き」が念頭にあったり、中堅・若手の現役世代の中に割って入ることへの気後れがあったりで、一歩が踏み出しにくいシニア世代の方を思い浮かべ本記事を書きました。参考にしていただければ幸いです。

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ヒトシア編集部

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