タクシー運転手に年齢制限はあるの?定年や勤続年数などを解説

シニア世代が転職を考える時「知識と経験を活かせる職場」を探しがちです。無理もないことですが、そこに立ちはだかるのは年齢の壁です。スカウトか強力なコネクションでもない限りこれは限りなく高い壁です。

その点「タクシー運転手」の場合、年齢はほとんど問題になりません。この点は転職サイトでも各社の求人でも強調されていますが、ここはシニアにはやはり未知の世界。誘い文句だけでは一歩が踏み出せません。ここでは“年齢”をテーマに「タクシー運転手の本当の姿」を50歳を越えて初めてタクシーのハンドルを握った私の経験から、お伝えして行きます。

タクシー運転手の年齢構成は?

実際にどんな年齢の人たちがタクシー運転手として働いているのでしょうか。全国ハイヤー・タクシー連合会の令和元年の統計調査*から見てみましょう。この時点の全国平均では60.0歳となっています。最も低い大阪府が54.9歳。高いのは福井県の67.6歳です。都市部で低く地方では高いという傾向ですが、他業種に比べたらどちらもかなりの高めです。

平均の中身である年齢構成を問われたら、明確に答えにくく、地域や会社にもよりまちまちです。

ただ、実感する状況を野球の先発ラインナップ例えれば、40代2人、50代4人、60代3人と言ったところでしょうか。この年代が先発ナイン。もちろん20代~70代まで一軍登録はされています。

変な例えで恐縮ですが、これは40代以降の高年齢でトレードされた選手が主力メンバーとして出場し続けていることを表しています。また、平均年齢は年々微増傾向にあります。人出不足の上に残念ながら若い人には敬遠されがちな職場なのですが、遅く参入した人たちの定着率が高いことが見て取れます。シニア世代が参入しやすく、腰を落ち着かせられる仕事であるとデータは物語るのです。

転職に当たり年齢が障壁にならないタクシー運転手ですが、タクシーに乗るには二種免許の取得が必要です。大体のタクシー会社には養成制度があり、採用されれば二種免許は会社で取らせてもらえます。ただし3年の運転経歴が取得要件で、免許のない人は無理です。さすがに普通免許取得から3年も面倒を見る会社はありません。

その二種免許ですが本試験の難易度は決して低くなく一発合格が普通ではありません。これに受かれば「地理試験」や「適性検査」などの考査。そして各種講習の毎日です。採用後約一か月は学生時代のような生活となります。「この歳で今更」と思う人は、考え直したほうがいいでしょう。

普通免許と社会常識のある人であれば何歳でも歓迎される職場です。

*タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(令和元年、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会)

いつまで働けるの?

シニアになって頑張って資格まで取ったなら少しでも長く働きたいですね。タクシー運転手は、健康で元気であれば結構長く続けられます。

平均勤続年数は約10年前後と言われています。高い年齢で始める人が多い事を考えれば長い方です。

どこの会社も就業規則に定められた定年があり、大概は65歳となっています。ただし、ほとんどの会社は65歳を迎えれば「定年延長」もしくは「再雇用」の契約が結べるようになっています。雇用契約は個別の合意事項なのであくまで一般論ですが、仕事の性質上一般企業の再雇用のように処遇が大きく変わることはありません。歩合率や勤務形態もそのままのケースが多いようです。

60代や70代前半のドライバーはまだまだ元気で業績も高位安定している人が多いからです。もちろん本人が希望すれば、勤務日数を減したり日勤や夜勤への異動も可能です。

また、タクシー会社は安全運行のため運転手の健康管理と技能の維持に気を配っています。年2回の健康診断や国の行政機関が実施する運転適性診断も欠かしません。年齢が高くとも現役ドライバーは自他ともに認める優秀な人材なのです。

これは私の知る実例ですが、会社勤めを終え、65歳から転身したドライバーがいます。数か月でトップクラスの成績を上げ、70才目前の現在も衰え知らずです。また、県庁の管理職から定年を待ちかねるようにしてタクシー運転手になった人もいます。「働ける限り現役でいたい」と願う人にはうってつけの職場ではないでしょうか。

シニアで始めてしばらく待てば、年金とダブルインカム。意外にも人もうらやむ「勝ち組」の老後かもしれません。

50代以降ではじめてもちゃんと稼げるの?

ここまで見れば、50代から始めること自体が決して遅い転身ではないことがお解りだと思います。タクシー会社は50代の新人は大歓迎です。

ただし稼げるかどうかです。新しい職場ですから戸惑いもあります。覚えなければならないことも多くあります、すぐに満足の行く稼ぎには行きつけません。

まずは仕事に慣れることです。でも心配ご無用。多くの会社は新人のためのサポート体制が出来ています。人の流れやお客様の多いスポット、一日の過ごし方などタクシーの基本が会社からも先輩ドライバーからも伝授されます。基本を押さえ、自分で得た情報や体験などを加味して、時間いっぱい頑張れば自然に人並みの売上になって来ます。

「人並みとはどのくらい?」ということですが、タクシー運転手の平均年収は地域によってばらつきがあります。コロナ禍以前の数字なので、平常時として見れば地方で300万円前後。大都市部で400万円超です。平均ですので200万円から700万円くらいまでの個人差があります。東京では1000万に届く人も実在しますが例外中の例外です。その東京を例にとれば、人並みは400万円前後で間違いありません。

安定的な売上が確保できるようになるまで、給与保証のある会社もあります。大都市部では多くの会社が実施しています。3か月から6か月の間30万円~40万円が保証されますのでその間にじっくりと稼ぎ方を習得すれば良いのです。

タクシーはいくつか基本を押さえておけば一般的な常識や経験、そして情報が物を言う世界です。遅くから始めるハンディキャップはほとんどありません。50代ならどこから来た人でも即戦力の有力新人です。

タクシー運転手の年収はいくら?給料を上げるコツなども紹介!

シニアでタクシードライバーを目指す際の注意点

シニアの転職の際に年齢が障壁にならず、やる気になれば採用され易いのがタクシー運転手です。真面目に取り組めばそこそこの収入も得られるのですが、新天地へ赴くにはそれなりの準備も覚悟も必要になります。

ある程度の体力は必要?

たしかに体力は必要ですが、決して人並外れた体力が必要なわけではありません

一回の出番で二日分の勤務をこなすタクシーの仕事は、慣れないうちは確かに疲れます。朝から翌朝まで、元気に乗務する先輩ドライバーを見て「大変なところに来てしまった」と考え込むこともあります。そんな先輩も実は普通の人。新人には会社も先輩も毎回の乗務ごとに様々なアドバイスを与えてくれます。流し方、つけ待ちの仕方、休憩のタイミングや場所なども教えてくれます。

そうした勘所を抑えながら続けていると自然に体が慣れて来ます。タクシーの勤務は休日も多く、休息に充てる時間もたっぷりありますので、体力のことはあまり考えなくても結構です。

安全が最優先される世界なので、会社も運転手の体調には特に気を配っています。ただし、いつでも元気に仕事ができる体を保つのは自分です。明け番の過ごし方や前日の食事と睡眠に気を遣うことは大切です。タクシー運転手に必要なのは「体力」よりも「自己管理能力」です。

視力にも注意が必要?

シニアと言われる年齢にとって視力や聴力は悩みの種ですね。タクシー運転手を目指すならなおさらです。私も、雨の夜の日の営業の時など「中高年の悲哀」を何度感じたことか。

でも特別に心配をすることはありません。現在、普通免許で運転が出来ていれば充分です。

一つだけ違うのは、二種免許の取得時に「深視力」の検査があることです。「深視力」とは遠近感や距離感を判断する能力です。説明を聞いて落ち着て臨めばこれで不合格になることはありません。

プロを目指すのであれば、この際に視力やメガネの再チェックをし、必要ならば新調して臨むのもよいとかと思います。

会社を選ぶ際のポイントは?

タクシー会社は慢性的に乗務員が不足しています。求人情報は絶えず発信されており、インターネット、情報誌、ハローワークと媒体を問うことなく簡単にタクシー会社とアクセス出来ます。

タクシー会社は営業形態、勤務条件、給与形態がどこも似通っており、求人の際に掲げる条件も一見しても違いがわかりません。「採用されればどこも同じ」と思いがちですが、それは大間違い。タクシーほど会社の格差が大きいものはありません。

タクシー会社は少しでも車両の稼働効率を上げようとリクルートには熱心です。また、オーナー企業が多く経営陣の考え方で会社の空気が大きく変わります。公共交通機関としてのタクシーの役割を正しく認識し、人材として運転手を雇用し育成したいと考える会社がある一方で、車を稼働させることしか頭になく運転手を「ウ飼いのウ」のように扱う会社も実在します。

タクシー運転手を転職先に選ぶのなら、可能な限り多くの会社に応募することです面接では質問に答えるだけでなく、こちらから積極的に質問を仕掛けていきましょう。処遇のことはもちろん、教育訓練のこと、売上のこと等、何でも質問することです。重点的に取り組んでいる事や、成果を上げていることはむしろ自慢したい事柄なので、積極的に答えてくれるはずです。適当な面接をするような会社に採用されても「誰でもよかった人の一人」にされかねません。とにかく、自分の目で観察して下さい。

もう一つの会社選びのコツは世間の評価をリサーチすることです。大手無線グループや地域でよく見かける老舗ブランドは消費者の評価も高く、良い顧客を多く持っています。要するに稼ぎやすいのです。そういう会社は福利厚生も充実しています。例えば「大日本帝国」と呼ばれる東京四社などがそうです。

また、安全対策や接客に厳しい会社を敬遠してはいけません。そういう会社は人材育成の意識が高く、営業面でも実績を上げています。これも稼げるポイントだと思って下さい。

シニアにとっても売り手市場であることに変わりありません。よく見極めて自分に合った会社を選んで下さい。

「少しだけ自分を変える」勇気を持つ

タクシー運転手になれば、当然生活が変わります。休日や自由な時間は増えますが、今までとは少し違う時間の過ごし方をしなければなりません。

家族や友人など大切な人と過ごす場合にも多少のやり繰りが必要になります。仕事の日には微量でもアルコールが残ることは絶対に許されないので、お酒の好きな方は楽しみ方を変えなければなりません。

また、タクシーは性別も年齢も職業も問わすあらゆるお客様がご乗車されます。中には嫌な言葉を投げかける人もいます。横柄で無礼な若い人もいます。それでもお客様はお客様。シニアのプライドが傷つく場面には必ず遭遇します。そんな時「今まで培った人生経験で乗り越えて行くことこそ逆に俺のプライド」と割り切れる人に変わらなければなりません。

新天地での成功を望むなら、今までの生活を、今日までの自分を、変えて下さい。ほんの少しだけでいいのです。気分転換くらいのつもりで。

タクシー運転手への転職は50代以降でも可能?転職経験者が解説!

まとめ

タクシー運転手はシニアからでも充分に務まり、そして定年を過ぎても「元気に働けるうち」はずっと続けられる仕事であることはわかっていただけましたでしょうか。それでも「この歳で…」と言う思いが捨てきれないのは誰も同じです。

転職ということならばお急ぎの場合もあるでしょうが、ここは焦らずにしっかりと情報を集め、出来るだけ多くの職場を自分の目で見て、そして少しだけ覚悟も決めて新天地を探して下さい。良い会社に出会えればきっと充実の「タクシーライフ」が待っています。車が好きで、人が好き。そんな中高年にとってタクシー運転手って「やめられない仕事」なのです。

タクシー運転手の仕事内容や年収などを紹介【シニアにおすすめ!】

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ヒトシア編集部

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