介護タクシー運転手の仕事内容とは?必要な資格、収入なども解説

現在、仕事の第一線で精力的に働かれている50~60歳の方で「体力的に今の仕事は大変になってきた」「定年が近づいてきたけど、別の仕事でもいいからまだ働きたい」と思っている方達に向け、次なるステップの選択肢として、介護タクシーについてお話させて頂きます。

介護タクシーがどのような仕事をするのか漠然と理解されている方もいらっしゃると思います。以前、私も訪問介護事業所で介護タクシーの運転手をしていたことがありますので、経験を交えながらご紹介させて頂きます。

そもそも介護タクシーとは?

介護タクシーとは身体が不自由で移動の際には車椅子が必要な方や、ご高齢のため一人で車の乗り降りができない方達にワンボックスカーや車椅子に乗ったまま搭乗できるリフト車などに乗って頂き、目的地まで送迎する仕事です。

主に要介護の認定を受けた介護保険適用(通院や買物、選挙投票など日常生活や社会生活に必要な送迎など)と介護保険外(介護保険の認定を受けていない方や趣味活動などの利用で介護保険適用外のもの)の利用者がいます。送迎を行った対価として利用料を頂きます。

なお、介護保険適用で送迎を行う場合は担当のケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。

福祉タクシーとの違い

「介護タクシー」と「福祉タクシー」の違いに法的な区別はありませんが、介護タクシーは介護保険内外で利用される方の送迎や乗り降りの介助等を行います。つまり、利用者の体に触れることがあるということです。

一方、福祉タクシーとは身体の不自由な方を送迎することがあっても、利用者の体には触れることはなく、何らかの介助が必要な場合には一緒に乗った家族やその他の支援者が介助を行います。

一般的にはこのような分け方をしていますが、世間的には特に区別をせずに総称して「介護タクシー」という言葉を使っている方が多いようです。

どこでどんな仕事をするの?

例として通院時の送迎についてお話しさせて頂きます。

事業所で雇用され働く場合は、前日に予定が組まれていると思いますので、当日利用される方の心身の状況や留意事項などを確認し、利用者宅にお迎えへ行きます。

車に乗り込むまで危険のないように見守り・介助を行い、目的地までの送迎を行います。極力車内が揺れないように段差などに気をつけながら送迎を行います。ただ黙って送迎するのではなく、車内で体調確認や世間話などをします。

到着後は同様に移動の介助をし、必要に応じ履物を変えたり、受付のお手伝いをします。待合に座って頂いたら確認のサインや判を頂き、受診が終わったら連絡頂くようお願いします(医療機関にお願いする場合もあります)。必ず安全を確認してから、利用者から離れることが大事です。

その方が終了したら次の利用者のもとへ向かいます。介護保険を利用されている方は介護記録も重要なので、空いた時間に今日の様子などを記録します。利用時に気になる点があったら職場内で情報共有し事業所を通じ担当のケアマネジャーへ報告します。

開業され、介護保険外の利用だけだとしても行うことは大体一緒ですが、毎回料金をもらったり、一日の清算処理があったりといったところでは違うかもしれません。

介護タクシーの運転手になるには

介護タクシーの運転手になるには最低限必要な資格を習得し、移送サービスを行っている訪問介護事業所や、介護保険外のみのサービスを行っている介護タクシー事業所(福祉タクシーや民間救急含む)に勤めるか、自分で事業を開業するかになるかと思います。

利用者を乗せて運転するので当然責任重大ですが、ある程度の知識や技術があれば、すぐに活躍できるでしょう。

どんな資格が必要?二種免許は不要?

デイサービスなどの運転手として働く場合は一種免許(普通の運転免許)のみで送迎することができます。しかし介護タクシーのような利用者を目的地へ送迎することで対価を得る仕事をするのであれば、取得していなければならない資格があります。

福祉タクシーで利用者の体に一切触れないのであれば第二種免許のみで良いとはされていますが、車椅子を押したり乗降の際などに利用者の介助をすることがある介護タクシーの場合は二種免許に加え、最低限「介護職員初任者研修(研修130時間)」という2013年までヘルパー2級と呼ばれていた資格を取得する必要があります。それを持たずに一人で利用者の体に触れたり乗降介助を行うことはできません。

どちらの資格も受講料などをサポートしてくれる事業所も増えてきているので、比較的取りやすくなってきています。

 

Q:無資格・未経験、もしくは初任者研修か二種免許のどちらかの資格しかもっていなくても大丈夫?

A:無資格だと正直厳しいです。なぜなら料金をもらって利用者を移送するには二種免許が必要だからです。未経験で働き始める方は大勢いらっしゃいます。運転講習や介助の仕方などの研修もあるので心配はいりません。

自分で開業するのであれば未経験だとノウハウもないと思うので、一度別の事業所で経験してからの方が良いと思います。

初任者研修だけお持ちの場合は同乗者として介護保険での車内での見守りが必要な方(認知症を患っており、車内でどのような行動をするかわからない方や座位保持が難しい方など)の介護者として勤務するのであれば問題ありません。二種免許だけしかない方は福祉タクシーの運転手として一切利用者の体に触れないのであれば大丈夫です。

 

介護タクシーを開業するには

自分で介護タクシーを開業するには運輸局に一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)を申請し認可してもらうことが必要です。

また申請してから認可が下りて実際に営業ができるまでは5~6か月程度かかりますので、準備として実際に使用する営業所(休憩所や自動車保管場所などの規定あり)や送迎に使用する車両を確保し、認可が下りるまでに万が一まだ第二種免許をまだ持っていなければ取得しなければなりません。

そして運送六法についての法令試験の合格も必要になります。すぐに安定した収益は望めないと思いますので最低限2か月程度の運転資金も準備しましょう。介護保険適用の事業も併せて行うのであれば、法人格を取得し管轄する行政への届出が必要となり、また最低限必要な従業員の確保などしなければならないので、敷居は高くなります。

しかし他の事業と比べて比較的立ち上げやすい事業と言えるでしょう。

給料はどれくらいもらえる?

2021年3月のindeedの求人によると最近の介護タクシーの運転手の給料として求人では地域にも差があるとは思いますが、正職員で月給25万円以上を提示しているところが殆どでした。

訪問介護事業所であれば固定給となるところが多いですが、歩合制も採用している事業所であれば月給35万円以上もらえることもあるようです。頑張り次第で入社1年目から年収450万円も夢ではありません。

他の介護の仕事と比べても遜色なく、むしろ安いと言われている介護職員の給与としては良い職種ではないでしょうか。

 

Q:副業や、短い時間だけの勤務でも大丈夫?

介護タクシーが最も稼働する時間帯は早朝と受診を終えた昼前までになります。恐らく一般のタクシーだと土日も関係ないと思いますが、介護タクシーは医療機関が診療を行っている時間帯がメインの稼働となるため、その間で副業が可能であれば問題ないと思います。

そのため短い時間帯だけの勤務となると、午前のみであるとか職員が手薄になる時間帯とかであれば条件に合う事業所が見つかるかもしれません。

 

開業した場合の収入

自分で開業した場合、ここでは個人で行うこととしてお話をさせて頂きますが、雇用されて支給される金額と大きな差はないと思われます。

しかし自分で顧客を獲得するわけですから、医療機関やケアマネジャーなどに対して営業を行い開拓していくことが必要です。人工透析が必要な利用者が複数名いるのであれば、それだけで安定した収入が得られます。

独自の細かい設定をすることもある程度自由なので、例えば「車いすやストレッチャーを貸し出した場合は〇円です。」また「〇時間、車貸し切りの値段はいくらです。」など値段を設定し行っていくことが可能となります。ただすぐに軌道に乗るとは限らないので、それまでの資金計画などをしっかりと考えた上での開業をお勧めします。

やりがいはどんなところ?

介護の仕事全般に言えることですが、利用者に感謝されることが多いということです。

当然安全に利用者を目的地まで送迎することが仕事ですが、「運転が上手だね~。安心して乗ってられる。」「あなたに迎えにきてもらって良かった。」など言われると、あたりまえのことながら嬉しい気持ちになりまし、指名を頂けることもあります。

利用者からの評価はもちろん、医療機関やケアマネジャーからの評判も良ければ依頼もたくさんくるようになりますし、それが数字となって表れると評価されているなという「やりがい」にも繋がります。

また、どうしても一般的なタクシー会社よりも車両の台数が少ないと思うので、例として受診終了後のお迎えの連絡を頂いたときには、事業者からの無線で指示はあるかと思いますが、いかに利用者を待たせないように考えながら配送し、それがピタッとはまれば気持ちの良い気分にもなります。

やはり介護の仕事なので、人に感謝されることが多く、やりがいはたくさん感じられます。

介護でやりがいを感じるときは?仕事内容や働くメリットを紹介!

大変なところやきついことは?

私が介護タクシーの仕事をして辛かったエピソードとしては、ある利用者を朝お迎えに行き、何らいつもと変わらない様子で、車内でも楽しく会話をしていたのですが、医療機関の受診科まで付き添い、いつも通り挨拶し失礼したのですが、1時間後くらいに医療機関から連絡が…。

「○○さんですが、お亡くなりになったのでお迎えは結構です。」

えっ嘘…。ついさっきまで何も変わりなかったよ…。そんなに珍しくない病気(癌ではないですが)で定期的に治療として点滴をする方だったのですが、その最中に急変したようです。人間なのでいつどうなるかわからないものですが、目の当たりにするとなかなか信じられませんでした。

もう一つとして日常的な事では、利用される方は当然元気な方ばかりではなく、具合が悪いが救急車を呼ぶまでもないという方も利用されるので、そういった方を送迎するときは細心の注意が必要です。

空気を読んであえて話しかけなかったりもしますが、ずっと黙っているのも心配ですよね。その方にとってどうしたら良いかもどかしい気持ちになったりすることはあります。

また、どうしようもないこともあるのですが、一時的に送迎が混み合い、利用者を待たせ過ぎるようなことがあると怒る方もいらっしゃいます。

どんなシニアにおすすめ?

運転が好きだという方にはお勧めの職業ではありますが、それ以外に人と話すことが好きだということも大切なことだと思います。人生経験豊富な方達ばかりなので話を聞くとタメになることが沢山あります。

現在資格がなくても、雇用されてから資格を取り始める方もいるので、焦らず働き始めることができます。諸事情により50歳を超えてから体力が必要な仕事に転職される方もいらっしゃると思います。夜間のシフトがあったりすると体力的に自信がないと続かないかもしれません。

その点、介護タクシーは夜の仕事が滅多になく、一定の生活リズムで働くことが可能です。まだまだ働けるにもかかわらず、60歳代で定年を迎え、次に何をしたら良いのだろうと考える方が増えてきます。介護タクシー業界は70歳を過ぎてもバリバリ働いている方が大勢います。セカンドキャリアとして安定した給与も得られるため、そういった意味でもお勧めの職業と言えます。

介護の仕事に向いている人の特徴とは?自分に合った職場の探し方も紹介

まとめ

介護タクシーの需要はこれからも増えていくことが予想されます。高齢者の人口比率は上がっていき、自分で運転できない方が増えていくということは外出に困る方が大勢いるのです。実際、介護タクシーでの送迎を調整するのが大変な状況です。必要なのに全然足りていないのです。

2021年度の介護保険制度改正で4月から今まで認められていなかった医療機関から別の医療機関の間の送迎も、始点もしくは終点が自宅となっていれば介護保険での対応が可能となりました。

多様化する利用者のニーズと生活を支える仕事として今後も介護タクシーは重要な役割を担っています。

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ヒトシア編集部

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