「島根県・温泉津温泉】 世界遺産「石見銀山」に隣接するレトロな温泉地

温泉津温泉(ゆのつおんせん)は島根県大田市温泉津町にある温泉地で、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として登録されいる非常に歴史的価値の高い場所です。

往時の面影を色濃く残すレトロな町並みと町の象徴として多くの人々が愛しそして守り続けてきたこの温泉は、映画「男はつらいよ」シリーズの13作目、「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」にも登場したことで印象に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は全国的にも非常に珍しい世界遺産の温泉地、温泉津温泉の見どころや共同浴場、長い歴史を持つ旅館をご紹介します。
温泉好きであれば一度は訪れたい温泉津温泉の魅力を、是非楽しんでご覧ください。

石見銀山のレトロな温泉地

温泉津温泉の見どころ

まずは温泉津温泉ならではの魅力をご紹介します。

日本温泉協会も認める全項目最高評価の天然温泉

温泉津温泉には2つの共同浴場があり、そのどちらも加水・加温などをしていない源泉掛け流しの温泉施設です。

温泉津温泉の泉質の良さは、温泉の研究や温泉資源の保護などを目的に活動している一般社団法人日本温泉協会からも非常に高い評価を得ており、天然温泉審査についての項目全てにおいて満点を取得しています。

歴史ある建物としての価値もさることながら、泉質はまさに一級品。風情良し、泉質良し、効能も豊富とくればもう文句のつけようがありません。

日本各地の温泉を経験してきた温泉通の方であっても、きっとこの温泉の虜となってしまうことでしょう。入浴料金も高くないので、1日に何度でも入りたくなる素晴らしい温泉です。

 

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世界遺産として保存されているレトロな町並み

温泉津地区はかつて石見銀山で採掘された銀の積み出し港として栄えており、その時代から現在まで残る伝統的な景観をこれからも保存していくため、2009年に伝統的建造物群保存地区に登録されました。

狭い道の両側に木造の家屋が立ち並ぶ町並みは、今も残る宿場町の景色にもよく似ており、ハイテクなものをほとんど目にすることがないこの温泉街は、日頃の喧騒から離れて心と体を癒すには最適な場所です。

夜になるとそれぞれの存在を主張するように温泉や旅館に明かりが灯り、街灯が少ない温泉津温泉街は柔らかな光に包まれます。観光客がそれほど多くないので煩わしさや騒がしさを感じず、悠々と町の雰囲気を楽しむことができます。

 

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温泉津温泉のおすすめ共同温泉

温泉津温泉に存在する2つの共同浴場「薬師湯」「元湯」は、それぞれ独自の源泉を有しており世界遺産の温泉津地区を象徴するにふさわしい佇まいと由緒を持っています。

それぞれが開湯から辿ってきた歴史、温泉施設としての魅力をここでご紹介します。

薬師湯

今では温泉津温泉のシンボルとなっている薬師湯は、1872年の地震によって湧き出た源泉を利用していることから「震湯」とも呼ばれていました。

当初は薬師湯ではなく藤乃湯という名前でしたが、万病に効くとも言われるほど豊かな効能を持つ温泉と薬師如来を祀っていたことにより、現在の名に変更されたという歴史があります。

浴室の中心に置かれた湯船は見るからに温泉成分が豊富に含まれていそうな褐色の湯で満たされており、長い年月をかけて蓄積してきた湯の花によって無機質な人工物ではなく生命感さえ感じられるような姿に変貌しています

 

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泉質は皮膚乾燥症、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態などに効能があるナトリウム・カルシウムー塩化物泉で、日本温泉協会が最高評価をつけた最上級の温泉です。

素晴らしい温泉で体を癒した後は2階の休憩室や屋上のテラスも利用しましょう。

ここでは温泉津の町を見渡しながら無料のコーヒーでひと休みすることができます。
極上の湯を提供してくれるだけでなく、そこで過ごす時間をとても優雅なものにしてくれる、おもてなしに溢れた共同浴場です。

 

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元湯

今から1300年前、狸が湯に浸かり傷を癒しているのを僧侶が発見したことがこの温泉の始まりとされています。

銀の積み出し港として栄えていた江戸時代から続く湯治の場としての土台を、この元湯が築いたと言えるでしょう。

洋風建築の薬師湯と比べて純和風の元湯の外観は一見すると質素な印象を受けますが、銭湯としての伝統的な形と正面に唐破風が飾られた姿からは、温泉津の長い歴史を支えてきた立役者としての凄みを感じます。

 

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浴室には「熱い湯」、「ぬるい湯」、「座り湯」の3つの湯船があり、自分の好みに合わせた入浴ができるのは薬師湯にはない魅力です。

薬師湯より入浴料が安いこともあり、毎日たくさんの地元の常連客が通っています。

さらにこの温泉は飲泉が可能で、糖尿病や胃腸の病に対して効能があるとされています

体の内側と外側の両方で温泉に触れることにより、温泉津温泉の豊かな効能を最大限に得ることができます。

朝6:00から利用できるのも、朝風呂が好きな方にとって嬉しいところ。朝早くから行動したい方や朝食の前に熱い温泉でさっぱりしたい方は、温泉津での1日をこの元湯から始めるのも良いのではないでしょうか。

 

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温泉津温泉で楽しめる観光情報

温泉津温泉の観光と合わせて、ぜひ訪れて欲しい観光スポットを3つご紹介します。

温泉津周辺には江戸時代から続く歴史・文化を今に伝える場所がいくつもあります。

温泉街をメインとしながら、これらのおすすめの場所もお楽しみください。

石見銀山

温泉津温泉は世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部であり、世界遺産観光の中心となるのは石見銀山周辺とそのすぐ近くの大森の町です。
可能であればそちらのエリアの観光も計画しましょう。

温泉津は石見銀山の銀の採掘に密接に関わっていた重要な地域なので、実際に石見銀山と大森の町へ行き、今もそこに残る採掘の跡や当時の人々の暮らしを見ることで温泉津の歴史をより深く理解することができます。

 

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龍御前神社の石見神楽

薬師湯・元湯からほど近い場所にある龍御前神社では、毎週土曜日の20:00~21:00の1時間に渡り石見神楽の上演が行われます。

石見神楽は室町時代からこの土地に伝わる伝統芸能で、手が届くほど近い場所で見るスサノオとヤマタノオロチの戦いは、見る人全てを圧倒するほどの迫力があります。

観覧する場合は19:45から販売が始まる観覧チケットを買う必要があります。
観覧料は通常の1時間の上演の日が1000円、ゴールデンウィークや特別日などの2時間の上演が行われる日は1200円となります。

 

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沖泊

温泉津は銀の積み出しと湯治で栄えた場所です。
当時実際に積み出しが行われていた沖泊が温泉に近い場所にありますので、ぜひ見ておきましょう。

沖泊には2つの城跡が今も残っています。それらの城はこの港を管理するために築かれたというのですから、当時この場所がどれだけ重要な拠点だったのかがわかります。

港内には船をロープでつないでおくため岩に穴をあけて作った「鼻ぐり岩」が多数残されており、たくさんの船が出入りしていた往時の様子を想像できます。

今となっては静かな漁港ですが、付近の城跡や集落と合わせて歴史を感じることができる場所となっています。

 

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温泉津温泉周辺の食事処

温泉津には歴史ある建物を利用した飲食店がいくつかあります。レトロな雰囲気と美味しい料理を楽しめるお店をご紹介します。

震湯カフェ内蔵丞(くらのじょう)

温泉津温泉のシンボルである薬師湯の旧館を利用したカフェです。

かつて温泉施設として利用されていたとは思えないほど優雅さを感じる佇まいと、至るところに手の込んだ意匠が施された内装は、まるでその空間だけが違う世界であるかのような気持ちにさせてくれます。

夜になると店内がアンバーの明かりで満たされ、町の中でひときわ目立つ煌びやかな空間へと変わります。

料理に関してはここでしか味わえないものが多数あり、中でも江戸時代に温泉津の奉行が食べていた贅沢な食事「奉行飯」が目玉となっています。

奉行飯はたくさんの具材が乗った汁かけご飯、薬師湯の温泉で蒸した温野菜、同じく温泉で作った温泉卵がセットになった、400年続く伝統の味です

ほかにも自家製の内蔵丞カレー、薔薇シフォンケーキといった珍しい料理・デザートがたくさんあり、大正ロマンの雰囲気に合ったレトロな食器で提供されます。

 

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路庵

築100年を超える古民家を町の景観に合った姿のまま改修し、その中で営業しているカフェバーです。
島根和牛・石見ポーク・石見ハーブ鶏・温泉津産の海鮮といった地元の食材にこだわった料理を提供しています。

メインとなるこれらの料理のほか酒の肴になる小料理も充実しており、地酒や地ビールをはじめとした数多くのドリンクメニューと合わせてこの土地ならではのものを楽しめるオトナのお店です。

 

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温泉津温泉でおすすめの旅館

温泉津温泉街には素晴らしい温泉を備える老舗の旅館がいくつもあります。
そのなかでも特におすすめな旅館をご紹介します。

輝雲荘

温泉津温泉唯一の露天風呂を備える純和風の旅館です。

館内には3つの浴場があり、1階にはミネラルを豊富に含む麦飯石セラミック泉の「和の湯(家族風呂)」、2階には御影石が敷き詰められた「森の湯」、3階には温泉津町の特産である福光石を使用した石風呂がある「甍の湯」と、それぞれ趣が異なるお風呂を楽しむことができます。

料理は港町らしく地元産の海産物が中心となり、贅を尽くした創作懐石料理を提供しています。料理は自分の部屋へ運ばれるため、周囲を気にすることなるゆったりとした時間のなかで美味しい料理を堪能できます。

ますや

創業から100年を越える老舗で、温泉津の中でも特に長い歴史を持つ旅館のひとつです。沖泊を行き来する船の船員を宿泊させていたことがきっかけとなり、旅館としての営業を始めたとされています。

丁寧に仕込みをしたその日一番美味しい魚を提供することを旨としており、地元産の魚、地元産の肉、地元産の米、そして地元産の酒と、温泉津産の食材の素晴らしさを外部からの宿泊客に感じてもらうことを何よりも大切にしています。

のがわや

大正時代から続く伝統を守りながらも宿泊客が快適に過ごすためのリフォームが施された、おもてなしの心に溢れた旅館です。
レトロでありながら清潔感に満ちた内装と客室、部屋の窓から見えるよく手入れされた日本庭園といった環境が、温泉津温泉の旅行をより優雅なものにしてくれます。

料理へのこだわりも素晴らしく、ノドグロの煮付けや鯛の奉書焼きといった、ほかではなかなかお目にかかれない料理をメインとした数々の懐石料理のコースを用意しています。朝食にも強くこだわっており、豪勢な食事で1日を始めることができます

温泉と世界遺産を堪能したい方におすすめの観光コース

温泉津温泉を100%楽しむには、やはり世界遺産のメインの地である石見銀山にも行くことを強くおすすめします。

日中は江戸時代に銀の採掘がされていた間歩(坑道)の見学や当時の歴史・文化を守り続ける大森の町の散策、それらを楽しんでからその日1日の思い出を振り返りつつ温泉と美味しい料理に癒されるといった計画を立てると良いでしょう。

石見銀山の観光については別の記事でより詳しくご紹介しています。おすすめの観光スポットやご当地グルメなど、お役に立つ情報がたくさんありますのでこの温泉津温泉の記事と合わせてお楽しみください。

 

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温泉津温泉から石見銀山までの行き方

温泉津温泉の旅館で宿泊される方は、それぞれの宿泊先の旅館から石見銀山までを往復する乗合タクシーの利用が便利かつお得です。
こちらは温泉津温泉旅館組合に加盟する旅館の宿泊者限定のサービスです。

普通のタクシーを利用すると片道4000円ほどかかるところ、合計3人以上乗車すると一人1200円で利用できます。
なお、乗合タクシー利用する場合は事前の申込みが必要です。問い合わせ先や出発時間は以下の通りです。

温泉津温泉発

各旅館前 8:30 出発(片道約30分)

※申込みは前日の20時までに宿泊する旅館へ。

※目的地(銀山公園もしくは石見銀山世界遺産センター)を運転手に告げて下さい。

【お問い合わせ先】宿泊する旅館

石見銀山発

大森観光案内所前 16:30 出発(片道約30分)

※申込みは当日のみで、16時までに大森観光案内所にて申込・支払いを済ませる必要があります。

【お問い合わせ先】大田市観光協会 電話 0854-88-9950

 

電車・バスを利用する場合は、温泉津温泉街最寄りの「温泉津駅」から「仁万駅」もしくは「大田市駅」まで電車で向かい、そこからバスで「石見銀山世界遺産センター」へ行くことができます。

仁万駅の方が大田市駅よりも石見銀山に近いのですが、バスやタクシーの数が少ないので大田市駅へ向かうのが無難です。

車で行く場合は、国道9号線と県道31号線を経由して石見銀山世界遺産センターを目指しましょう。無料で利用できる大きな駐車場があります。

 

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温泉津温泉へのアクセス

公共交通機関・車に分けて、各方面から温泉津温泉への行き方をご案内します。

公共交通機関を利用して行く場合

電車で行く場合は、温泉津温泉街最寄りの温泉津駅を目指しましょう。温泉津駅から温泉街までの距離は1kmほどで、徒歩・タクシー・バスで行くことができます。

飛行機で行く場合には、「出雲空港」へ向かうと良いでしょう。出雲空港に到着後、「出雲市駅」行きのバスに乗り、出雲市駅から温泉津駅まで電車で向かってください。

車で行く場合

車を利用する場合には、山陰自動車道「江津IC」で降りた後、国道9号線を経由して温泉津温泉街へ向かいます。駐車場は各温泉施設・旅館専用駐車場をご利用ください。観光案内所「ゆうゆう館」の駐車場にも駐車することができます。

まとめ

 

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温泉津温泉は世界遺産であり重要伝統的建造物群保存地区、そして日本温泉協会が最上級と認める泉質を有する全国的にも非常にまれな温泉地です。そこには心も体も癒してくれるおもてなしが溢れ、この上なく上質な時間を過ごすことができます。

ぜひ、石見銀山の観光と合わせて温泉津の温泉をお楽しみください。

この記事を書いた人:斎藤 誠

この記事を書いた人:斎藤 誠この記事を書いた人:斎藤 誠

旅行・温泉・ラーメンが大好きな、自称アウトドア派の30代。47都道府県すべてに訪れた経験を活かし、あなたにとって本当に役に立つ情報を発信します。

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