終活ガイドはどんな資格?検定や仕事の内容 | 初級・中級・上級
終活への理解を深めたいと考えたときに、本を購入して読んだり、セミナーに参加したりする以外に資格を習得するという選択肢もあります。
「終活」といえば葬儀に関することを決めたり、身の回りの整理をすることだけをイメージしがちですが、必要になる知識は医療、介護、保険、年金、相続、葬儀、お墓…などと多岐に渡ります。
終活に関する資格は様々ありますが、今回は「終活ガイド」という資格について、検定の内容やどういった仕事に生かせるのか解説していきます。
目次
終活ガイドとは
終活という言葉が広まったこともあり、一般の方でも終活を意識することが増えてきました。少子高齢化により、自分の老後に不安を持つ人が増えているのも理由の一つとして挙げられます。
終活ガイドは、一般社団法人終活協議会が認定している資格で、初級・中級・上級に分かれています。
終活ガイドでは、終活で悩んだり困っている人の問題を解決することを第一としていて、実際に相談者の悩みを解決できるようにバックアップ体制がしっかり取られています。
相談者の話をよく聞き、相談者が回答について正しく理解するために必要な知識を提供し、マッチングができる人の育成を目指しています。
終活ガイド上級まで取得すると、実際に終活の相談に乗れる立場として活動することが出来るため、今注目の資格です。
終活ガイドの初級・中級・上級の内容
終活ガイドの資格は、初級・中級・上級と分かれています。初級は基礎中の基礎を、中級では初級から更に一歩踏み込んだ内容を、上級では情報を提供する側、相談対応が出来るレベルの内容を学びます。
初級は自宅でwebページを読み、webテストを受けるだけで資格を取得することが出来ます。中級は全国で開催されている講座を受講し、その場でテストを受け、合格すると認定証が貰えます。そして上級は動画とテキストで自分で勉強し、活動シートを提出することで認定される仕組みなっています。
終活ガイド初級
終活ガイド初級はネット上で数ページ程度のテキストを読み、webテストを受け合格すると「終活ガイド初級」の認定証が発行されます。
webテストは二択問題が10問出題されます。間違えてもやり直すことができますし、ニュースや新聞である程度得られる情報で回答出来るような簡単な内容です。
テストを受けるまでは会員登録等も必要ありませんし、テストも無料で受ける事が出来ます。(テストに合格した後に「終活ガイド初級」に登録し、認定証を発行する場合は個人情報の登録が必要です。)
テキストを一通り読み、テストを受けるまでで15分~20分程度あれば出来るでしょう。
終活とはどういった内容なのかわからないといった方や、終活ガイド中級を受けようと思っている方、基礎知識を学びたい人にはオススメです。
終活ガイド中級
終活ガイド中級は、全国で開催されている講座を受講して、テストに合格すると得られる資格です。
講義では下記のような項目が学べます。
- 医療(例:病院選びで失敗しない方法)
- 介護(例:後悔しないための介護の備え)
- 保険(例:知ってるようで知らない保険)
- 相続(例:相続を争族にしないための準備)
- 葬儀(例:損しないためのお葬式費用の内訳)
- お墓(例:お墓最新事情と墓じまいについて)
テストも込みで、3時間程度の講義になります。テストも講義を聞いていれば必ず答えられる内容で、選択式問題となっており、6割の正答率で合格する事が出来ます。
また、初級は受けずに中級から受けることも可能です。
なお、受講料は5,000円となっています。
講師によって得意分野が異なったり、同じ講師でも最新の情報や事例を学べたり出来るように、2回目以降の受講は無料となっているのが特徴です。
終活ガイド上級
終活ガイド上級は終活に必要な知識と情報を身に付けて、地域の相談や困り事を解決できる専門家を目指す資格になります。
今現在の仕事に活かす目的で受講する方もいますが、セカンドキャリアとして終活にかかわる仕事に活かすこともできますし、終活のセミナー講師として活動することもできます。
終活ガイド上級では、まず「終活ガイド上級講座」に申し込むと、テキストと動画サイトの案内が届きます。
カリキュラムは、中級でも学ぶ終活の社会性、医療、介護、年金、保険、葬儀、お墓、相続などの内容に加え、老人ホームの選び方、認知症、成年後見人、生前整理、遺品整理などより具体的に、終活に必要な知識を総合的に学ぶ内容になっています。
中級で身につけた終活に関する基礎知識を踏まえて、終活の相談窓口になるためのさまざまな知識が問われます。
そして、これらをカリキュラムに従いながら自分のペースで学習を進めます。約2週間程度で学習を終えることができ、最後に活動シートを提出することで「終活ガイド上級」に認定されます。
教材に不明点や疑問点がある場合は電話やメールで本部からサポートしてもらえます。
なお、終活ガイド上級講座の受講料は50,000円です。
終活ガイド上級に合格したあとは、より知識を深めるため、ホームページに用意されているセミナー動画やテキストで専門分野を学ぶことが可能です。
また、終活ガイド上級に合格すると、終活ガイド中級と同様に、全国各地で開催されている終活ガイド講座が無料で受講できます。
終活ガイドで学べる分野
終活ガイドでは、終活に関しての必要な知識を総合的に学ぶことが出来ます。大きく分けて下記の内容を学習します。
- 医療・介護
- 年金・保険
- 遺言・相続
- 生前整理・遺品整理・エンディングノート
- 葬儀・お墓
上記について、それぞれ具体的な学習内容をみていきましょう。
医療・介護について
医療については、現在の日本の死亡原因や医療情報、高額療養費制度、緩和ケアや延命治療の問題など、命の問題からお金の問題について学びます。
介護については、介護認定の詳細や介護保険制度、地域で受けられる介護のサービス内容、介護施設の種類などについて学びます。
医療・介護の問題については、エンディングノートを書く際にも必要になる知識ですし、認知症や老人ホームの選び方などは一般の方にとっても身近な問題です。
保険・年金について
保険は、健康保険・介護保険・雇用保険・医療保険・がん保険・生命保険など、公的サービスから民間サービスまでの保険について、どういった種類のものがあるのかや、その内容を学びます。医療の分野とも関連しているので、点ではなく線で学習することが出来ます。
年金は、遺族年金・障害年金・老齢年金の三種類ありますが、それぞれの受給対象者やその内容について学びます。
保険や年金も老後の生活においてかなり重要になってきますので、実際の相談事例なども含めて学習することができます。
遺言・相続について
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言があります。二つの遺言についての作成要領や長所や短所、何が違うのかということを学びます。
また、相続に関しては相続税や、生前贈与の問題について学びます。
遺言や相続については、エンディングノートを書く際にも活用できる情報です。
生前整理・遺品整理・エンディングノートについて
生前整理や遺品整理の違い、エンディングノートの書き方についての解説も受けることが出来ます。
終活の第一歩として、生前整理を行う方も増えてきていますし、遺品整理でお困りの方もいます。どういった解決方法があるのかということを学ぶことが出来ます。
エンディングノートには、法的効力はありませんが、自分の意思を家族に伝える重要なツールです。デジタル遺品の管理や、病気や介護になった場合の時のこと、葬儀のこと、保険や財産についての情報など、実際の書き方を指導してもらうことが可能です。
葬儀・お墓について
葬儀に関しては、葬儀業者のこと、実際の葬儀の流れ、葬儀の種類、価格、多様化した葬儀の種類について学びます。自分の葬儀をどうしたいのか、家族に負担をかけないようにするためにはどうしたら良いのか、相談者目線で学習することが出来ます。
お墓には寺院墓地、公営墓地、民営墓地の三種類や、その他納骨堂などがありますが、その違いやメリットデメリット等も学ぶことが出来ます。
また、樹木葬や散骨、その他の供養、永大供養、墓じまい、御布施などについても学びます。
終活ガイド検定の魅力
終活ガイドは他の終活関連の資格より低価格で資格を取得することが出来るのが魅力です。
また、他の資格では一度資格を取得したら、学習のためにセミナー等に参加したりすることは少ないですが、終活ガイドでは合格してからも継続して学習していくことが勧められています。
具体的な終活ガイドの魅力をみていきましょう。
他の終活の資格より低価格で受講出来る
終活ガイドは初級が無料、中級が5,000円、上級が50,000円です。
合格した後も、上級以外は年会費などは必要ありません。(上級のみ年3,000円。)
セミナー講師を出来るレベルの資格を50,000円で取得出来る資格は他にありませんし、何より受講料を一度払えば、講座を何度も受けられるというのはかなりお得です。
終活全般の知識が身につく
葬儀に直接関連する内容だけでなく、医療や介護、保険などといった身近な問題から、遺言や相続についても学習することが出来るので、終活全般の知識を身につけることが出来ます。
また、包括的に学習することで、全ての分野を線で結びながら理解することが可能です。
検定に合格すれば何度でも受講可能
終活ガイドでは、中級や上級の資格に一度合格すれば講座は何度でも無料で受講可能です。定期的に参加して、最新情報や事例などを確認して自分の中の情報をアップデートしていくこともできます。
また、一度では理解できなかった部分や、わかりづらかった部分を何度も実際に聴いたり、質問することが出来ます。
さまざまな先生から講義が受けられる
ある程度地域で講師は固定はされてしまいますが、交通費が気にならなければ全国の様々なセミナー講師から講義を受けることが出来ます。
セミナー講師によって得意分野が違うので、限られた時間の講座ではそれぞれの分野の厚みが違います。さまざまなセミナー講師の話を聞いてみて、知識を深めていくのも良いですし、お気に入りの先生を見つけて、最新事例などを確認するのも良いでしょう。
実際、終活ガイドとして活動しているセミナー講師がほとんどですので、実際の相談事例などを聞くことで、より理解を深めることが出来るでしょう。
全国で講義(検定)が開催されている
終活協議会では、全国各地で毎月「終活ガイド(中級)検定セミナー」が開催されています。地域によって、回数や講師の人数にばらつきはあるものの、比較的どの地域からも参加しやすくなっています。また、同じ講座も何回か開かれている場合もあるので、都合がつく日程を選びやすくもなっています。
終活ガイドの講師として働けるようになる
終活ガイド上級に認定された後、講座を5回以上受講し、認定試験に合格することで、終活ガイドの認定講師として働くことが出来るようになります。
認定講師になると、自由に終活ガイド検定の開催をすることが出来ます。
また、認定講師から終活協議会のエリアマネージャーやゼネラルマネージャーとステップアップをし、地域の終活を支える活動をしていくことが可能です。
心託サービスを利用することが出来る
終活ガイドに合格すると、心託サービスというものも使えるようになります。
この心託サービスとは、終活協議会が提携しているサービスで、終活関連のさまざまなサービスを受けることができます。(見守りサービス、保証人代行サービス、葬儀、納骨、遺品整理など)
また、ティーペックという医療や健康に関する相談を24時間受けることのできるサービスが利用可能になります。
このティーペックというサービスは個人的に利用する場合は、入会金として5万4千円かかり、月々の会費として1万800円かかりますので、身内に健康不安を抱えた人がいる場合にはかなりお得になるでしょう。
終活ガイドの仕事内容・収入
終活ガイド上級として認定されると、一般の方から相談を受けたり、終活セミナーを開催したり、終活ガイドの講師として働くことも出来ます。
具体的に、どのような仕事内容があるのか見ていきましょう。
仕事内容
終活ガイド上級に認定された後に、終活ガイドとして活動する場合、終活に関する窓口として相談者の悩みを受付する立場になります。終活ガイドの上級は、心託コンシェルジュという名前でも呼ばれています。
例えば、葬儀の相談を受けた場合、その葬儀の実務に関しては、終活協議会本部や提携の企業が対応することになります。
終活ガイド中級の講師
終活ガイド上級資格者になり、認定試験に合格することで、セミナー講師としてセミナーを開催することが出来ます。
終活ガイド検定の正式な講師としての仕事となりますので、終活協議会から報酬を受け取ることができます。
いつか自分でセミナーを開催したいと考えている人は、まずは終活ガイド中級の講師をやってみるのも良いかもしれません。
終活ガイドの収入
終活ガイドで得られる収入としては主に下記のようなものがあります。
- 終活相談
- 実務の依頼・仲介
- 終活ガイドセミナーの報酬
- 心託会員紹介
- エンディングノートの販売 など
実際どの程度の収入になるか、みていきましょう。
個人からの終活相談
終活ガイドとして個人からの終活の相談を受けた場合、明確な報酬規程はありません。30分から1時間の相談で、5千円から1万円が相談料の目安になります。トラブルを避けるためにも事前に料金は明確化しておいた方が良いでしょう。
また、受けた相談が実務に繋がりそうな場合、提携業者に依頼することになります。その場合、仲介料を得ることが出来ます。
例:
- 家族葬の依頼:2万円
- 供養の依頼:1万円
- お墓の依頼:2万円
- 遺品整理の依頼:2万円
終活ガイドセミナーの報酬
前述しましたが、終活ガイドの認定講師になると、自由に終活ガイドセミナーの開催をすることが出来ます。
セミナーの報酬は、一日で3万円から5万円となっています。
それ以外にも、地域と連携して終活セミナーを独自で開催することも可能でしょう。
その他
終活ガイド上級の資格者は心託コンシェルジュとしても呼ばれています。この心託サービスを利用するためには、入会金として一万円支払う必要がありますが、自分の紹介者が入会すると8千円の紹介料受け取ることが出来ます。
その他、終活ガイドで利用しているエンディングノートも、終活ガイド上級資格者の場合は終活協議会から無償で提供を受けることができます。お客様には550円で販売する事が出来ますので、その利益も収入として受け取ることが可能です。
終活ガイドを活かせる仕事
終活ガイドでは、医療・介護・保険・相続・葬儀・お墓などの分野について学びます。直接その分野のお仕事をされている方はもちろん活かすことが出来ますし、直接の仕事ではなくてもお客様からこれらの分野の相談をされるような仕事の方も活かすことが出来ます。
どういった職業があるのか詳しく見ていきましょう。
保険代理店
保険代理店に務める方は、もちろん保険に関する相談をお客様から受けるかと思います。しかし、保険を契約するまでには会話の中で介護や相続などの話も出るでしょう。
お客様の多方面からの相談にも答えることが出来ると信頼にも繋がりますし、保険の話にも繋げやすく資格を活かせる職種といえます。
葬儀社
葬儀社の場合は、自社で終活セミナー等を行う場合もあるかもしれません。実際の葬儀に関することだけでなく、葬儀が終わってからも相続の話やお墓の話など、お客様の悩みを解決できるとより信頼関係を築くことが出来るでしょう。
また、事前相談に来られるような方に対しては、医療や介護・保険の知識もあってアドバイス出来ると良いですね。
行政書士
行政書士は遺言書作成の支援をすることが出来ます。遺言の内容によっては、保険や相続に関する知識があるとなお、お客様に適切なアドバイスをすることが出来るので、より信頼してもらうことが出来ます。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、家計の見直し、老後の生活設計、住宅ローンの見直し、保険の見直し、相続に関することなど、終活に関わる分野のお金のこと全般は答えられなくてはなりません。
相談内容によっては、弁護士、税理士、社会保険労務士などの各分野の専門家とのネットワークを活用して、より適切なプランの提案を行っていくこともあります。終活ガイドや心託サービスを通してネットワークを広げるのも良いでしょう。
高齢者向け事業の担当者
市役所などの行政機関で働く担当者や、介護福祉施設などで働く担当者なども、お客様に適切なご案内をするためには、公的な介護や保険に関するサービスの詳細の知識が無くてはいけません。
民間サービスの知識も合わせてあると、より親身になって相談に乗ることが出来るでしょう。
まとめ
終活ガイドの資格は、趣味や自分の興味で終活を学びたい方から、今している仕事の実務に生かしたい方、終活の相談窓口として活動したいと考えている方まで、自分に合った級(初・中・上)を選び、学ぶことが出来ます。
多くの資格は上級資格を目指すものが多いですが、終活ガイドは上級を受けなくても自分の知識を深めていくことや、勉強し続けることが可能な資格です。
最近は、終活関連の事業者だけではなく、市町村主体で行う終活セミナーも増えてきました。それだけ自分の老後を不安に感じている人や、自分の最後は自分で決めたいと考えている人が増え、需要があるということです。終活を学ぶことは、今をよりよく生きることにも繋がります。
終活を学びたいと考えている方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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