生前整理とは|やり方のポイントを抑えて快適な人生を【初めての終活】
生前整理は終活の中でも、一番手っ取り早く始められるもので、思い立ったその日に始めることが出来ます。
また自分が生きているうちに、自分の身の回りの物や財産、人間関係を確認・整理することで、今後の生活を見直し、より快適にすることもできます。
本記事では、生前整理をしたいと考えている方がスムーズに取り掛かれるように生前整理を行う上でのポイントや注意点を解説していきます。

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目次
生前整理とは
生前整理とは生きているうちに、自分の身の回りの物や財産、人間関係を確認・整理することを言います。
「生前整理=終活」と考えてしまうと、何となく死を意識したものと考えがちですが、生前整理はよりよく生きるための準備であり、それが自分や家族の財産を守ることにもつながりますので、20代・30代といった若い内から進めていくのもおかしいことではありません。
生前整理の必要性
人が亡くなった後には、お葬式や相続等の死後の手続き、家財や身の回りの物の処分など、しなくてはならないことがたくさんあります。
当たり前ですが、終末期や自分が亡くなった後に実際に自分で動いてそれらの作業を自分ではすることが出来ません。
もしものときに備えて、家族や信頼できる人に必要な情報を知らせておく、残しておく、自分の希望を伝えておくということは、自分の後を託す人が困らないようにするためでもあるので、とても重要なことです。
生前整理・老前整理・遺品整理の違い

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終活を既に始めている方は、生前整理の他に老前整理と遺品整理という言葉を聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
生前整理、老前整理、遺品整理は全て身の回りの物を片付けたり、処分したりというものですが、いつ、誰が、どんな目的で行うかという違いがあります。
誰が | いつ | 何を | どんな目的で | |
---|---|---|---|---|
生前整理 | 本人 | 生きている間ならいつでも | 人間関係
財産 物 |
快適に過ごすため
家族の負担を減らすため |
老前整理 | 本人もしくは
その家族 |
年齢を重ねてセカンドライフを意識する頃 | 人間関係
財産 物 |
快適に過ごすため
家族の負担を減らすため |
遺品整理 | 故人の家族 | 本人が亡くなった後 | 財産
物(人間関係) |
亡くなった人の物を片付けるため |
生前整理は、今後のライフプランを計画するために、また今後の生活をよりよくするために20代・30代の方も今日から始めることができます。
老前整理を考えるのは40代・50代の方が多くなっています。
この世代は子供が成長して自分の手を離れつつあったり、定年や事業継承等が視野に入ってくる世代になりますので、セカンドライフを考える時期にもなります。
セカンドライフを充実させるためにも、金銭面・健康面を考えても早めの準備をしておくと安心です。
物に関しては自分が亡くなった後に、遺族が整理することもできますが、仕分けにも時間がかかりますし、なかなか処分できなかったりもして、肉体的にも精神的にも負担になります。
また、人間関係や財産の整理をしてなかった故に遺産相続争いに発展してしまう例もありますので、生前整理をしておくことは家族にとってもメリットがあります。
生前整理のメリット
生前整理をすることで、自分の人生を豊かにすることにもつながり、またそれが自分自身だけでなく家族のメリットにもなります。

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慎重に整理することが出来る
生前整理をする際には特に時間制限があるわけではないので、自分のペースで整理を進めることが出来ます。
処分しようか判断に迷うものは保留にしておいて良いわけですし、高く売れそうだなと思うものに関しては、自分でフリマサイトやオークションに出品することもできます。
高値で売れた場合には、そのお金を今後の自分の生活を豊かにするために使うことが出来ます。
自分の財産の確認が出来る、その財産をどうするか決めることが出来る
自分にどれだけの財産があるか確認することは非常に重要なことです。
場合によっては家そのものや、不要な土地などを売却し、現金化してしまうということもできます。
そして、家族には何を残して自分ではどれくらい使うかを決めたら、生前贈与することもできますし、法的相続人ではない人に残すことも可能です。
生前贈与をおこなう場合は税金対策にもなります。
生活の見直しが出来る
不要なものを処分すると、当然ですが家や部屋の物が減り、広く感じることもあると思います。
またその中で、家や部屋が片付いてさっぱりとした気持ちで生活でき、自分にとって本当に大事な物・必要な物はなんなのか、自分の今の生活や今後の生活の見直しもすることができるでしょう。
自分の死後の家族の負担を軽減することが出来る
突然人が亡くなると、残された遺族はその人の物の処分や財産の整理で、相当な時間と労力を取られてしまいます。
遺族のなかには故人の残した物を処分することに抵抗があって、なかなか遺品を整理することができないというケースもあります。
また、後から財産等が見つかった場合には遺産相続でもめてしまうこともあります。
そういった事態を避けるためにも、物はある程度整理しておく、財産は明確に記載し、出来るものは生前贈与しておくと、残された家族の負担軽減をすることが出来ます。
生前整理でやること
生前整理は大きく分けて「人」と「物」と「お金」の整理です。
「人」、というのは人間関係の事です。人間関係については、親族や友人知人等の連絡先の確認をしたり、慶弔記録を整理したりします。
「物」は、使わないもの(捨てるもの)・保留(使わないけど捨てたくないもの)・必要なものの大きく3点に分け、徐々に処分をするのがおすすめです。
「お金」に関しては、今ある財産をリストアップするところから始めます。
あと、最近はデジタルデバイスやインターネット関連情報に関しても整理が必要です。使っていないサイトなどのアカウントは退会するなどしておきましょう。
エンディングノートを書く
エンディングノートとは自分が亡くなった時や、病気などで判断力が衰えてしまったときに備えて、自分の希望や情報を書き記しておくためのものです。
遺言書のような法的効力はありませんが、書いておくと終活の様々な場面で役立ちますし、自分の人生を振り返ることで自分の心の整理をすることにもつながります。
また、遺言書を作成するにあたって誰に何を残すか考えるときにも役立ちますので、遺言書を書く前に、エンディングノートを書いておくことをおすすめします。
財産目録をつくる
市販のエンディングノートには財産目録を記載するスペースがあるものがほとんどですが、自分がどんな財産を持っているか、その他の資産は何があるか、また借金の借入状況や年金の受給状況なども合わせて一覧で確認出来るようにしましょう。
貯蓄や借入れに関しては、取引のある金融機関、支店等を記入したり、保険に関してもどの保険会社の何という保険に加入しているか記入します。
保険に関しては、生前整理のタイミングで自分に合っているか再度考えて、見直しをすると良いでしょう。
遺言書を書く
遺言書は、相続対策に一番有効です。
自分の希望する遺産配分を行うことができたり、相続人以外に財産を残すことが出来ます。
エンディングノートと違って法的効力がありますので、自分の死後、確実に自分の希望通りにしてもらうためには遺言書を書くのがおすすめです。
遺言書には自分で作る自筆証書遺言と、法律に詳しい公証人が作成する公正証書遺言の大きく2つが実際に活用されています。
自筆証書遺言は、自分ひとりで作れるのであまり費用がかかりませんが、決まった形式通りに書かれていないと無効になることもありますし、自分自身だけで決めて書いてしまうと、相続人が多数いる場合には、それが争いの元になってしまう場合もあります。
逆に公正証書遺言は、準備するべき書類がたくさんあったり、公証人に費用を払わなくてはなりませんが、公証役場に保管されるので、紛失や偽造の心配もありません。また家庭裁判所の検認が不要なので、すぐに相続の手続きが出来ます。
こちらは財産が多くある人におすすめです。
どちらもメリットデメリットがありますので、自分に合った方を選択すると良いでしょう。
土地や契約を整理する
生前整理を進めるうえでは、住んでいる家や保有している土地、その他の契約について考えておくことも重要です。
人は生きている中であらゆる契約をしています。下記にあげる内容も忘れがちなので確認してみてください。
- 家や土地の整理
- 契約している保険の確認、見直し
- スマートフォンやその他デジタルデバイスの契約の確認、利用しているインターネット関連情報(アカウント等)の整理
- お墓の引っ越しや墓じまい
断捨離をしてみる
断捨離は物への執着を捨て、不要なものを処分する行為です。
生前整理においては、「不要だけれども処分したくない」という物も取っておいて良いのですが、断捨離は自分に「必要な物だけを絞っていく作業」ともいえます。今までの価値観を捨てる・変えるということにもつながりますし、それによって生活が変わってしまう場合もあります。
やりすぎてしまうと、後から後悔してしまう場合もありますので、実施する前に自分でどこまでやるかを決めてから始めましょう。
生前整理をするときのポイント
生前整理は、人・物・お金の確認と整理です。幼少期からの自分を振り返ってみることで、自分の大切にしている物や価値観が見えてくると思いますので、そこから始めるのがおすすめです。
まずは、物の整理から始めるのが簡単でしょう。
生前整理はいつからやればいいの?
生前整理を始めるのに早すぎるという事はありません。やれるものから徐々にで構わないのです。
例えば、もう着なくなった服や、使わない食器、読まなくなった本の処分から始めるのがおすすめです。
早く始めれば始めるほど、今後の生活が快適なものになる可能性が高まります。
大切なことはしっかりと伝える
資産価値の高いものや、家族にとって重要だと思われるものの処分や現金化は、しっかりと家族で話し合ってからするようにしましょう。
自分だけで決めて実行してしまうのはトラブルの元です。
また、エンディングノートや遺書を書いた場合は、その保管場所をしっかりと家族に伝えておくようにしましょう。
亡くなってしばらく経ってから見つかってしまうと、自分の死後の希望が通らないだけなく、トラブルになる可能性が高いのです。
査定から買取まで業者に頼むという手もある
整理したものを査定、買取してくれる業者もあります。
自分でリサイクルショップに持っていく、処分するという行為がめんどうな方は生前整理の業者に頼むのも1つの方法です。
信頼できる業者を選ぶためには以下のようなことに注意してください。
- スタッフは専門的な知識や資格を保有しているか
- 買取の料金体系が公開されているか
- アフターサービスも充実しているか
- 事業所は古物商の許認可を取っているか
生前整理のデメリット

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生前整理は物を処分する、という点でリスクが伴いますので、実行する場合はよく考えてから行いましょう。
処分したものが必要になる場合も
しばらく使っていないからと処分してしまった物が後から必要になる事もあります。
その場合は、レンタルしたり買い直しが必要になってしまうなんてことも。処分するか悩む物は、そういったケースも考慮した上で判断した方が良いでしょう。
処分したものが高値で売れる場合も
処分するものが多いからといって整理が面倒になってしまい、全てゴミとして処分してしまったり、まとめてリサイクルショップに持っていってもいくらにもならなかった、という話をよく聞きます。
しかし、収集性の高いものなどは、フリマサイトやオークションで高値が付く場合もあります。
処分する場合は後悔しないように、高値で買ったものや、古くからある物、集めている人がいそうなものは、一度調べてから処分するのがおすすめです。
まとめ
生前整理は若い内から少しずつ始めるのが吉です。早い内から遺書やエンディングノートを書いた場合は、定期的に見直しましょう。やろうと思ってもなかなか進まない場合は、家族と相談しながら一緒に進めたり、業者に依頼するのも一つの手です。生前整理を行い、自分と家族が不安なく、快適に過ごすためのライフプランニングをしましょう。
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