エンディングノートとは?書き方や項目、無料で入手できる方法を紹介

©Wako Megumi/stock.adobe.com
終活をしようと思っても何から始めるのがよいのか分からないと思いませんか。
どんな終活を必要としているのかは人それぞれ違います。
自分には何が必要かを知るためには、まずエンディングノートを書いてみましょう。
エンディングノートを書くことで、自分の身の回りのことを整理しながら必要な終活についてを見つけていくことができます。
目次
エンディングノートとは

© Africa Studio/stock.adobe.com
エンディングノートとは、人生はいつか終わるということを意識して、自分自身のことや自分史、家族や友人の情報や感謝の気持ち、伝えたいことなどをまとめて書き記しておくものです。
それに加えて万一、自分に何かあった時のために自身の情報も書いておきます。
たとえば、介護や医療、保険、財産や相続、不動産、相続についてや葬儀の希望やお墓について、供養の希望などを必要に応じて自分が書きたいことを残しておくようにしましょう。
エンディングノートと遺書の違いは法的効力の有無
エンディングノートと混同されるものに遺言書がありますが、両者の大きな違いは法的効力の有無です。
エンディングノートには法的効力はありませんが、遺書には法的効力があります。
特に相続については自分の希望を細かく書いておいても、その内容に不満を持つ法定相続人が現れた場合には、内容は無効という主張をされかねません。相続についてはエンディングノートに書くだけではなく、必ず遺言書を作成しておくようにしましょう。
その他、尊厳死や安楽死など法的に認められていないことについては必ずしも希望通りにならない場合もあります。
また、遺言書は死後に開封する必要があります。内容は主に財産分与について書かれており、書き方や記載しておく内容などに共通のルールがあります。
一方、エンディングノートは生きているうちに開封したり共有しても問題ありません。
そのため、生きているうちから家族と想いを共有できるコミュニケーションのツールにすることもできます。
エンディングノートを書くメリット
エンディングノートを書いておくことのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
1.過去と未来の自分の整理ができる
エンディングノートは単なる情報をまとめたノートではなく、過去から現在までの自分の人生のふり返りができます。
エンディングノートを通してまだやり残していることや、これからやりたいことを見つけることができます。
エンディングノートを書くことで、これからの人生を有意義に過ごしていく方法を考えていきましょう。
2.もしものときには家族の役に立つ
家族でも他の家族の情報は意外にに知らない、分からないものです。
だからこそ自分に万一のことがあった場合にエンディングノートはとても家族の役立ちます。
自分の身体の情報や保険についてなどを書いてあったり、自分で意思を示すことができない状況での希望がまとめられてあると、家族にとっても助かるものになります。
3.自分の想いを伝えることができる
エンディングノートでは普段はなかなか言えないようなこともノートに書いておくことでしっかりと家族のへの感謝の気持ちを伝えることができます。
また、終末期や最期の場面、死後の希望などの自分の想いを伝えることは自分らしい人生を尊重されることにもなります。
エンディングノートはいつから書く?

©Paylessimages/stock.adobe.com
エンディングノートには、いつから書き始めるものという決まりがありません。基本的には何歳からでも書き始めて問題ないため、思い立った時に始めると良いでしょう。
エンディングノートの内容は多岐にわたり、分量も多くなる傾向があるため、若いうちから書き始めても早すぎることはありません。
近年では若い人でもエンディングノートを書く方がいらっしゃいますが、ここでは年代ごとにどのような内容をエンディングノートに記載するのがおすすめかをお伝えします。
▼終活を始めるタイミングや理由を知りたい方はコチラ
20代以前のエンディングノート
社会人としてのスタートを切り始める20代。これからの人生をどのように生きていくかの基盤となる大切な時期です。
20代のエンディングノートは未来に向けてどんな人生にしたいのかの目標を設定していくものになります。
学生時代をどのように過ごし、何を感じたのかを整理しておき、これからの人生を計画、設計していくための手がかりとして活用していきましょう。
30代のエンディングノート
30代は仕事でのキャリアを積んだり、結婚、出産などで自分の家庭を持つなどそれぞれの人生の分岐点となる時期です。
これからの人生のしっかりとした土台を完成させる時期とも言えるでしょう。
教育や住宅にお金のかかる時期になります。そろそろ老後の資金についても考え始める必要もあります。
エンディングノートを通じて、これから先の人生計画や財産の形成などよをり確立したものになるようにしていきましょう。
40代・50代のエンディングノート
40代・50代は自身の身体機能の衰えを感じ始める頃です。
老後の生活や老後資金についても気になりはじめます。また近い未来、仕事や子育が一段落したときのために、定年後のセカンドライフについて考えたり、老後の資金の備えを十分にしておく必要もあります。
シングルマザーやシングルファザーなど家族の状況によっては、もし自分の身に何かあった場合、遺された家族へ託す想いをまとめておくことも必要かもしれません。
これからの自分の人生をどのように生きたいかや、自分の身辺のことを整理しておくために、エンディングノートを活用しましょう。
また、この時期は親の介護が必要になったり親の終活が気になり始める頃です。
エンディングノートが決してネガティブなものではないという事を知っておくと、親への説明や共感が得られやすくなります。そのためにもまずは自分の介護や医療について考え、エンディングノートを作成しておくと良いでしょう。
60代のエンディングノート
定年退職を迎え、生活の状況も変わる時期の60代では、老後の生活について考えていく必要があります。
長年の人生の軌跡である身の回りの物や人間関係の整理をしていく時期になってきます。
まだまだ体が動くこの時期には、この先の人生を自分らしく過ごせることを考えていきましょう。
また有意義な人生を送るために、いつ来るか分からない人生の最終段階に向けた準備もしておきましょう。
終活は思っている以上に体力や料力を使います。まずは、エンディングノートを用いて情報の整理をしておきましょう。
その上で、今から準備しておいたほうが良いことや、生前整理などできることから計画的に進めて行くようにするのがおすすめです。
70代のエンディングノート
70代は人生の終焉に向けてどうするのかを具体的に、前向きに考えていかなければなりません。
人生100年の時代とはいうものの、万一の時のために備えておくことで、人生にゆとりが生まれるのです。
認知症になった場合や病気で自分の意思を伝えることが難しくなった場合などに備えて希望を書き残しておきましょう。
また、葬儀やお墓についても考えて、準備をはじめておくと良いでしょう。
準備はじめた場合はその内容もエンディングノートに書き記しておきましょう。
エンディングノートの書き方のポイント

©hikastock/stock.adobe.com
エンディングノートを初めて書くという方は今から紹介する3つのポイントを頭にいれて書き始めると良いでしょう。
書きやすい項目から書く
エンディングノートにはたくさん項目があり、中には書きにくい項目もあるでしょう。はじめから全部を埋めようとせず、自分が書きやすい項目から書き始めるようにしましょう。慣れないうちは無理しないようにすることが、挫折しないでエンディングノートを書くためのポイントになります。
定期的に見直し、必要であれば書き直す
周りの状況や自分の気持ちは日々変わっていきます。そのため、エンディングノートは一度書けば完了ではありません。定期的に内容を見返し、必要に応じて書き直したり、修正をするようにしていきましょう。最初はあまりたくさんの項目が埋められなかった場合でも、定期的に見直すことで、身辺や気持ちの整理が進むことで書き込める項目も増えていきます。
見られたくないものは隠しておく
エンディングノートには自身の個人情報や周囲の人に対する想いを書いておくことが必要になります。財産の状況や相続への想いなど、中には自分に万一のことがあった場合に見てほしいような内容も出てきます。そのようなものは、封筒に入れて密封しておいたり、記入した部分の上から紙を張っておくなどの工夫をして外から見えないようにしておくと良いでしょう。
▼エンディングノートの書き方について詳しく知りたい方はコチラ
エンディングノートに書く項目

©boophuket
/stock.adobe.com
エンディングノートに書いておく項目は決まりがあるわけではありませんが、以下のようなことを書いておきましょう。
自分自身のこと
個人の情報、出身校や職歴など自分自身の情報、自分の名前の由来や好きなものなどを書いておくことで自分自身を知ることができます。
自分史
生まれてから現在までの年代別にどのような出来事があったのかの思い出からその時に感じた気持ち、訪れたことのある場所、出会った人々などについて思い出しながら自分の今までの生きてきた軌跡を振り返りましょう。
家族について
家族についての情報です。それぞれの家族に対する想いや感謝の気持ちも書き記しておきましょう。
医療について
回復の見込みが見られないような状況になった場合に、心肺蘇生や人工呼吸器の装着などの延命治療を希望するか、自分の口から食事がとれなくなった場合に胃ろうと呼ばれる管を通して栄養補給することを希望するか、臓器移植の意思についてなどを書いておくとよいでしょう
介護について
介護必が要な状態になった時に、自宅や施設などどこで介護を受けたいか、施設に入所することを希望する場合には、どの程度の状態になれば施設に入りたいか、どのくらいの金額の施設を希望するかなどを記入しておきましょう。
保険について
保険会社名や保険の種類、受取人の情報など契約している生命保険の情報を書いておきましょう。
財産や資産について
預貯金や株の保有状況について金融機関や支店名など。不動産を所有している場合には場所や広さ、評価資産額、用途など分かる範囲で書いておくようにしましょう。借入金やローンなどの負の資産も記載も必要です。
相続について
相をどのようにしたいのかの希望や理由。ただし、法的効力はないため必ず遺言書も作成し、遺言書作成の有無を書いておきましょう。
葬儀について
葬儀の規模や内容など、自分の葬儀をどのようにしてほしいのかの希望、お墓や供養についての希望などを書きましょう。
ペットについて
自分に万一のことがあった場合に、飼っているペットをどうしてほしいかやペットの世話のポイントなど、自分にしか分からないことをまとめておくとよいでしょう
その他
友人の連絡先や万一のことがあった場合に知らせてほしい人、その他知っておいてほしいことを書いておきましょう。
どのようなことを書けばいいか概要はわかったけど、具体的にはどんな項目を書けばいいの?という方は以下の記事も合わせて御覧ください。
▼エンディングノートに書く項目について詳しく知りたい方はコチラ
エンディングノートの保管場所
せっかくのエンディングノートも、家族にその存在が知られていなかったり、どこに保管してあるのかが分からなければ意味がありません。
エンディングノートを書いてあることは家族に伝えておく必要があります。
また、エンディングノートを保管しておく場所は、家族には見つけやすい場所に置いておくとよいですね。ただし、エンディングノートには個人の機微な情報が書かれていますので、目につくような場所には保管しないように気をつけましょう。
エンディングノートの選び方
はじめてエンディングノートを書く時はあまり項目数が多くない物を選ぶようにしましょう。
立派なエンディングノートは見栄えは良いように感じますが、書けない項目が多かったりすると途中で挫折してしまいます。
物足りないと感じる程度のものがちょうどよいでしょう。
記載内容の説明や終活に関する情報が書かれているエンディングノートもありますが、エンディングノートとしては字は大きく、シンプルなつくりのものの方がが書きやすいです。
また、思い出の写真や手紙、CDなどを一緒に保管できるもスペースのあるエンディングノートも便利です。
▼終活のプロがおすすめするエンディングノートを知りたい方はコチラ
無料でダウンロードできるおすすめエンディングノート
「エンディングノートを書きはじめても三日坊主でおわりそう…」という方はまずは無料版のエンディングノートで書き始めてみましょう。
エンディングノートにはどういう項目があるのか、欲しい項目は何かなどを実際にみて考えてみましょう。
そうすることで、いざ書き始めよう!と思ったときにも、自分にあったエンディングノートが見つかるかもしれません。
ここでは、3つ無料でダウンロードできるおすすめのエンディングノートをご紹介します。
1|「エンディングノート」葬儀ベストネット
ファイル形式:PDF
「葬儀ベストネット」という葬儀のポータルサイトが提供している「エンディングノート」です。
項目は自分のことや家族、友人のこと、財産や葬儀、埋葬、供養、パソコンやタブレットの情報に至るまで網羅されており十分な情報量です。
各項目の中でも、それぞれ詳細な内容を記せるように様々なチェックボックスや自由記入欄などが設けられており、それらをうめていくだけでエンディングノートを書ける点がおすすめです。
エンディングノートは各項目の中から自分の欲しい部分だけを選んで印刷することができます。不要なページまで印刷して紙を無駄にする必要がないのがうれしいところです。
2|エンディングノート制作支援サービスWADACHI
ファイル形式:PDF
ラスト・グラフィックデザイン制作を事業内容としているロム・グラフィックスが運営する、エンディングノート制作支援サービスWADACHIです。
下書き用のシンプルなデザインに加え、桜や花車、将棋を背景にしたおしゃれなエンディングノートも用意されています。
項目は大まかに「自分について」「医療・介護について」「葬儀・供養について」「遺産・相続について」の4つにわけられており、詳細な項目は1ページにおさまるようになっています。。
見やすいデザインになっており、記入するスペースも広くなっているため手書きで書きたい方におすすめです。
3|「終活ノート 」終活マガジン
ファイル形式:PDF
終活に関する情報を発信している終活マガジンが提供する「終活ノート」です。
項目は「基本編」「財産編」「保険・個人年金編」「遺言書・形見分け編」「もしものときの生活編」「葬式・お墓編」の大きく6つに分けられています。
必要な項目に絞った書きやすい内容になっており、デザインもシンプルです。それぞれの項目ごとにプリントアウトをする必要がありますが、それぞれに記載する内容は多くないため、空欄を少なくできることで見栄えが良く、初めてでも書きやすいところがポイントです。
▼この他の無料でダウンロードできるおすすめエンディングノートを知りたい方はコチラ
まとめ
エンディングノートを書いてみようと思ったら、難しく考えるのではなくまずは書き始めるとことからやってみましょう。
徐々に自分らしい終活とは、どのようなことをしていくことなのかが見えてきます。エンディングノートで過去を振り返り、これからの人生をどのように送っていくのかを考えるきっかけにもなることでしょう。