遺品整理とは?整理のやり方と処分方法

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親しい方が亡くなったとき、気持ちが混乱している状態ではその後どのように手続きを進めて良いか、なかなか冷静に判断出来ないものです。
葬儀や告別式などの手配は早急に必要ですが、故人が所有している遺品の整理も、場合によっては早急におこなう必要が出てきます。
今回は、遺品整理を網羅的に把握したい方向けに、遺品整理に関わる内容や注意点などについて解説していきます。
この記事を参考に、実際に遺品整理をしなければならなくなった時でも冷静に対処できるようにしておきましょう。
目次
遺品整理とは
遺品整理は、故人が残した品物を「遺族の手元に形見として残す品物」と「供養して処分する品物」に整理しつつ、遺族が気持ちを整理するための重要な作業です。
最近では「終活」が浸透したこともあり、生きているうちに整理をする生前整理をする方も増えています。
生前整理は、自分の死後、遺品として残して欲しい品物や処分して欲しい品物を、生きているうちに整理することです。
死後に自分の希望を反映させることができ、断捨離ができるということで生前整理を始めている方も多くいらっしゃいます。
遺品整理のやり方

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ここでは、遺品整理のやり方を以下の2つの方法でご紹介します。
- 自分で遺品整理をおこなう
- 遺品整理業社に代行してもらう
自分で遺品整理をおこなう
遺品整理を自分でおこなう場合、やるべきことをシンプルかつ明確にすることが非常に大事です。
遺品整理でやるべきことは、思い出として「残すもの」と不要なものとして「処分するもの」に仕分けることだけです。
やるべきことをシンプルかつ明確にすることで、自分が今何をしなければいけないか冷静に判断することができます。
遺品がたくさん残されており、その量を前にして途方に暮れてしまう方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、何から手をつけて良いかわからなくなってしまった場合、自分が何をすべきかを冷静に振り返り、やるべきことを淡々とこなすことを意識しましょう。
遺品整理業者に代行してもらう
遺品整理を自分でおこなうことは、体力的にも精神的にも非常に負担が大きいです。
そのため、遺品整理は専門の業者に依頼することをおすすめします。
一般的な料金の相場は、依頼する部屋の広さや作業する人員の数によって異なります。
参考までに、一般的な遺品整理業社の料金相場を掲載しておきますのでご参照ください。
1R | 20,000円〜70,000円 |
---|---|
1DK | 50,000円〜100,000円 |
1LDK | 70,000円〜200,000円 |
2LDK | 120,000円〜200,000円 |
お部屋の状況や広さ、作業内容などによっても料金に違いが出てきますので、遺品整理業社と相談しながら依頼内容を決めると良いでしょう。
遺品整理の3つのポイント
遺品整理を行う際に大事になってくるポイントを解説していきます。
遺品整理は故人の品物を片付けるだけではなく、相続の問題とも大きく関連する作業です。
場合によっては、勝手に遺品整理を進めてはいけない事もあります。
以下で解説している3つのポイントを、遺品整理の大事なポイントとして把握しておいてください。
1.遺言書の有無を確認する
遺言書が見つかった場合には中を開封せずに、遺品整理の作業を中断しましょう。
見つかった遺言書は家庭裁判所にて検認の手続きを経なければ法的効力が生じません。
また、遺言書に書かれている内容に反して遺品を処分してしまうと、その後の相続関係に問題が生じます。
法的効力を持つ遺言書の内容に沿わず勝手に遺品整理をおこなうことはできません。
まずは、故人の遺言書の有無を確認しましょう。
2.相続財産にどのようなものがあるか確認する
遺品整理をおこなううえで、相続財産を明確に整理しておくこともポイントです。
遺品として、故人の自宅に物理的に残されているものであれば、目で見て確認することができます。
しかし、故人が所有する不動産の権利などは、第三者からは把握しにくく、遺品整理中に登記簿などが出てくることもあります。
遺品整理中に判明すると、相続人間での相続の問題が生じ遺品整理が進まなくなってしまうこともあります。
遺品整理を効率的に進めるためにも、通帳などの現金資産だけでなく、不動産などの登記簿やインターネット上で取引のある有価証券など、相続の対象となる財産は事前に明確にしておきましょう。
3.相続人全員の同意を得ておこなう
財産の相続人が複数いる場合、勝手に遺品整理を進めると様々なトラブルの要因となってしまいます。
相続財産を第三者が勝手に処分することで、場合によっては窃盗などの罪に問われるケースもありますので、相続人の同意は遺品整理を進めるうえで非常に重要な手続きです。
金銭的な価値があるものを勝手に処分したりすると、後々、損害賠償請求の問題や慰謝料請求の問題に発展するケースも考えられます。
遠方に住んでいる相続人や何年も連絡を取っていない他の相続人がいる場合もありますので、相続人が誰かをはっきりさせて、同意を得たうえで遺品整理を進めるようにしましょう。
遺品整理はいつからする?整理のタイミング
次に、遺品整理をおこなうタイミングについて解説していきます。
遺品整理をおこなうタイミングは、故人の住まいが「持ち家」だったのか「賃貸」だったのかによって異なります。
「持ち家」であれば退去する必要がありませんので、法要など遺族が集まるタイミングで話し合いながら整理するケースが多いようです。
「賃貸」の場合、遺品整理が遅れてしまうと家賃が発生する可能性があります。
また、賃借人が亡くなった場合、契約によって退去しなければならない日程が決まっています。
この場合は、早急に遺品整理をおこなう必要がでてくるでしょう。
遺品整理で「残すもの」と「処分するもの」

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遺品整理を進める際には、「残すもの」と「処分するもの」にしっかり分けて整理していくと効率が良く作業が進められます。
写真や装飾品、故人の趣味の道具など、どのような品物を遺品として残すのか、遺族と話し合いながら進めると遺族同士でもめることもありません。
家電や家具などは、リサイクル対象の家電なのか粗大ゴミとして処分が可能な品物なのか、処分方法も異なります。
不用品として「処分するもの」に分類するとともに、処分する方法も確認しながら遺品整理を進めましょう。
遺品として残された品物の物量は、遺族の想像以上に多いケースがほとんどです。
遺族の思い出として「残すもの」なのか、不要なものとして「処分するもの」なのかしっかりと整理して遺品整理を進めていきましょう。
遺品整理の処分方法
ここでは、具体的な遺品の処分方法をご紹介していきます。
遺品のうち「処分するもの」として分類された品物は、何らかの方法で処分する必要があります。
遺品の処分方法には様々な方法がありますので、以下でご紹介する方法を遺品整理の際の参考にしてみてください。
業者に遺品買取してもらう
最近では、遺品の買い取りをしてくれる遺品整理業者がほとんどです。
全国どこでも出張買取などを実施しているので、忙しくてなかなか遺品の処分ができないような方におすすめです。
買い取りにより得られた料金を遺品整理の料金に充当できる業者もありますので、遺品整理に必要となる費用を抑えることができるのもメリットといえます。
自分でリサイクルショップに売る
状態が良いものや値がつきそうな遺品は、リサイクルショップで買い取ってもらうことができます。
リサイクルショップでも出張買取などを行なっている業者がありますので、大きな家具や持ち込みが困難なものでも安心です。
ブランド品や骨董品などは高く買い取ってくれたり、値がつかないような品物でも引き取ってくれる場合もあります。
リサイクルショップでの処分は非常に手軽で便利なので、積極的に活用したい処分方法の一つです。
不用品回収に出す
不用品回収に出すことも処分方法の一つです。
ただし、不用品回収に依頼する場合には、残したいものをしっかりと整理してから依頼しましょう。
不用品回収は、品物に価値があるか無いかでしか判断してくれません。
故人との思い出の品などであっても、価値が無いものと判断されると不用品として処分してしまいます。
遺品整理業者とは異なりますので、残すものと処分するものにしっかり整理したうえで利用するようにしてください。
遺品のお焚き上げする
故人が愛用していた小物やぬいぐるみなど、思い入れの強いものはお焚き上げにより供養してから処分するようにしましょう。
お焚き上げは、モノや自然に魂が宿るとされる日本の信仰に基づく儀式です。
思い入れの強い品物をお焚き上げによって供養し処分することは、同時に故人の冥福を祈ることでもあります。
また、お焚き上げで供養することは、故人との別れの儀式として、残された遺族も気持ちに区切りを付けることができます。
故人の思いが込められている遺品は、お焚き上げによって供養し、ご遺族としても気持ちの整理をすることが大切です。
インターネットオークションに出品する
故人が趣味で集めていたレコードやフィギュアなど、コレクターの間で人気のあるような遺品であれば、インターネットオークションに出品してしまうのも一つの手段です。
コレクター向けの品物などは、一般的にはあまり価値がないとされていても、コレクターの間では非常に価値の高いものもあります。
リサイクルショップなどで処分してしまうよりも、価値の分かる人に高く買い取ってもらった方が、故人も嬉しいのではないでしょうか。
一見価値が無さそうなものでも、一度インターネットなどで相場を調べたうえで、処分方法を決めてみるのも良いでしょう。
遺品整理にかかる費用

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遺品整理は自分でやる場合と業者に依頼する場合でかかる費用が異なります。
自分でやる場合は掃除用具や遺品をまとめる道具などを準備し、軽トラックなどを借りてくる必要があります。
また、処分にお金がかかるものもありますので、一軒家の場合は10万円程度、賃貸の場合は5万円程度かかってくると見込んで起きましょう。
一方、業者に頼んだ場合は部屋の数や立地などによって大きく予算は異なります。
大体1部屋につき3~8万円程度が必要であると考えておきましょう。
料金の決まり方や詳しい費用相場ついて知りたい方は以下の記事を御覧ください。
遺品整理でおこりやすいトラブル
ここでは、遺品整理でおこりやすいトラブルについてご紹介していきます。
どのようなトラブルがおこりやすいか事前に把握しておくことは、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
実際に遺品整理をしなければならない時でも、トラブル防止につなげるための参考にしてみてください。
遺品の処分に関するトラブル
処分に関するトラブルでは、遺品整理業社に頼んだ遺品の処分が適正にされてなかった場合におこりやすいです。
例えば、適正に廃棄処分をお願いした遺品が不法投棄されており、後日、警察から連絡がきて発覚するという場合があります。
依頼する業者が、「遺品整理士」や「一般廃棄物の回収に関する許可」を取得しているかどうかは確認しましょう。
また、処分を依頼していない高価な遺品を勝手に処分されてしまうトラブルも発生しています。
この場合、金銭的な価値のある遺品を処分されたとして損害賠償請求が認められます。
一度、法律家などにも相談したうえで、検討してみると良いでしょう。
相続人の間で起こるトラブル
相続人の間でもトラブルがおこりがちなので注意が必要です。
遺品整理を進めるうえで大事なのは、相続関係を明確にすることです。
相続人が複数いる場合には、しっかりと、どの遺品を誰がどのくらい相続するのか、それが遺言書などで明確になっているのか整理しておきましょう。
相続関係があいまいのまま遺品整理を進めると、作業中に明らかになった価値のあるものや預金などの相続についてトラブルになりがちです。
一度トラブルに発展してしまうと、冷静な話し合いが困難になります。
遺品整理をする前に、しっかりと相続関係を明確にして作業に入るようにしましょう。
遺品整理業者との間で起こるトラブル
遺品整理業社との間でおこりやすいトラブルには、費用に関する部分が多いです。
通常は、現場を見てもらって見積もりを出してもらい、金額に納得して契約します。
しかし、作業終了後に「物量が多かった」などと理由をつけて高額な金額を追加請求してくる業者もあります。
どのような作業にどのくらいの費用がかかるのか、詳細な見積もりを出してもらうようにしましょう。
また、追加料金の発生はないことを契約に盛り込んでもらうのも対策の一つです。
費用に関する内容を事前に明確にし、納得したうえで契約するようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、以下のようなポイントを中心に、遺品整理の内容について網羅的にご紹介してきました。
- 遺品整理をする前に、「遺言書の確認」「相続人全員の同意」「相続財産の明確化」を行うことで効率的に進められる
- 遺品を「残すもの」と「処分するもの」に分け、処分する場合には、不用品回収やリサイクルショップなどを活用していく
- おこりがちなトラブルを事前に把握しておき、トラブルを防ぐための対策を立てる
今回の記事を参考に、遺品整理をおこなう場合になっても慌てず対処できるように、情報を整理してみてください。