ゼロ葬とは?火葬場から遺骨を持ち帰らない新しい選択肢

ゼロ葬という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

近年、火葬式のみや直葬よりも更にシンプルを突き詰めた、新しい葬送の形として注目されています。

本記事ではゼロ葬の内容や注意点について解説していきます。

ゼロ葬とは

0葬の画像

ゼロ葬とは、火葬が終わった後に遺族が火葬場から遺骨を引き取らずに、骨上げや埋葬を火葬場などに任せてしまう葬儀の形のことです。ゼロ葬では遺骨を引き取らないため、お墓を作ることも散骨をする必要もありません。

ゼロ葬は、宗教学者の島田裕巳氏が2014年に出版した『0葬 ―あっさり死ぬ』という著書内で提唱した葬儀の新しい形で、2016年にはNHKの番組で特集も組まれ、世間に少しずつ認知されてきました。

通常の火葬の流れ

火葬

地域の風習や、ご遺体の状況、葬儀までの日数などによっていつ火葬を行うかというのは違いがありますが、一般的には火葬は下記の流れで行います。

  • 火葬場にご遺体と遺族が到着
  • 僧侶が読経を行い、故人との最後のお別れ
  • 炉にご遺体が入る
  • 火葬中、親族は軽食や昼食を取りながら待機(1時間程度)
  • 親族などで骨上げ(お骨拾い)をし、骨壷に骨を納める
  • 遺族が骨壷が入った骨箱を引き取る
  • 四十九日の法要にて納骨を行う

※告別式と同日に四十九日の法要まで繰り上げて行い、その日の内に納骨までするケースもあります。また、お墓がない場合などは四十九日を過ぎても納骨しない場合もあります。

ゼロ葬を選択する理由とは?

近年は単独世帯の人が増えたり、様々な家庭環境の人が増え、葬儀の形も多様化しており、自分が亡くなった後、後を継ぐ人がいないという状況も珍しくありません。

そのため様々な理由でゼロ葬という葬儀の形を選択する人が増えてきています。

それでは実際にどのような理由でゼロ葬が選択されているのかみていきましょう。

墓守りができない・したくない

下記のような理由で、埋葬したとしてもその後お墓参りや墓守りなど管理していくことが難しい場合、ゼロ葬を希望される方がいます。

  • お墓がなく、建てるつもりも無い
  • お墓が遠方にある
  • 身体が不自由になってしまい、お墓参りや墓守りが難しい
  • 遠い親戚の遺骨で、お墓参りするほどの思い入れも無い

身内がいない

故人が孤独死などで連絡が取れる親族がいない場合や、いたとしても遺体の引き渡しを拒否された場合、役所の職員が火葬を行います。

地域によっても違いますが、遺骨は一定期間保管された後に、地域の無縁墓へ埋葬されます。

身内がいない方が亡くなってしまった場合は、故人の希望に関わらず結果的にゼロ葬となってしまう可能性があります

火葬場と自宅が離れている

旅行先や外出先など、自宅がある場所とは離れた場所で故人が亡くなった場合、遺体の状況によっては、亡くなった地域で火葬をしてしまう場合があります。

その場合、遺族が遺骨を持ち帰る必要がありますが、それをしたくない場合や出来ない場合にはゼロ葬を希望されるケースがあります。

故人との関係で遺骨を持ち帰りたくない

孤独死などの場合、下記のような間柄でも役所から遺体や遺骨の引き取り依頼の連絡がくるケースがあります。

  • 何度かしか会ったことの無い親戚
  • 長年別居していた夫や妻
  • 何年も前に離婚した元夫や妻
  • 虐待を受けていた親

このような間柄だと、亡くなったと連絡を受けても、そもそも火葬の立ち合いを拒否されたり、義理で火葬の立ち合いをしたとしても遺骨の引き取りを拒否されることが多いです。

このような場合は血縁のある遺族だったとしてもゼロ葬を希望される事があります。

ゼロ葬が可能な地域は?

元々、東日本と西日本では収骨方法に違いがあります。

北海道や関東を中心とする東日本では、全ての遺骨を収骨するのが基本ですが、関西などの西日本では部分収骨する地域があります。

部分収骨の場合は喉仏や歯など主要な骨だけを収骨し、残った骨は火葬場で供養することになります。

収骨方法に違いがあるように、ゼロ葬も全ての地域で出来るわけではありません

自治体によっては、火葬場の利用規約に遺骨を持ち帰ることが義務とされている場合もあります。(東京都、神奈川県、千葉県)

参考:ゼロ葬とは?墓不要・遺骨持ち帰りなし可の火葬場 全国都道府県一覧 – 土地売却奮闘記

ゼロ葬にかかる費用とは

0葬の費用について

大阪や名古屋などでは、遺骨を持って帰らなくても良い、ゼロ葬を行うことができる火葬場があります。

その場合に追加費用を取られるわけでは無いので、火葬以外にかかる費用は0円となります。

ですからかかる費用としては遺体搬送料、棺、火葬料、ドライアイス等の最低限のものになりますので、地域や葬儀社によりますが15万円前後から出来ることになります。

遺骨の持ち帰りが義務とされている首都圏などから、どうしてもゼロ葬にしたいからという理由で名古屋等に搬送するとなると、

  • 長距離遺体搬送料
  • 住民登録者以外の火葬料
  • ドライアイス

などで、一般的な直葬の費用+20万以上はかかることになるため、費用を抑えたいだけであれば、直葬をして一般的な散骨等行うほうが安価に抑えることができるでしょう。

批判も多い!ゼロ葬の注意点

0葬の批判意見

ゼロ葬という言葉自体が登場してまだ数年しかたっておらず、言葉自体を知らない人や意味を知らない人が多くいます。

本人が希望したとしてもゼロ葬を行う場合は批判されてしまうかもしれません。

ここではゼロ葬を行う前に確認しておきたい注意点を4つご紹介します。

周りからの理解が得られない

全収骨が基本の東日本では特に、遺骨を置いていくという事に抵抗がある方が多いと思います。また、僧侶も呼ばず火葬をしてしまうことに対しても抵抗があるかもしれません。

そういう場合は、例え本人が生前にゼロ葬を希望していたとしても周りから遺族が批判されてしまう可能性があります。

必ずしも安く出来る訳ではない

費用をかけたくないから、ゼロ葬にしたいという方もいるかもしれませんが、必ずしもゼロ葬にしたら全ての方が安価に抑えられるわけではありません。
故人が顔が広いような場合には、会葬者も多数参列することが予想され、香典収入もそれなりになり、持ち出し費用よりプラスになるケースもあります。こういった場合は、一般的な葬儀をやった方が香典収入との差し引きで、持ち出し費用を抑えられる可能性もあります。

ただ安く抑えたいからという理由でゼロ葬を選ぶのは注意が必要です。

やりたくても出来ない場合もある

首都圏を中心に、火葬した遺骨は持ち帰りが義務の地域もあります。(東京都、神奈川県、千葉県)

そういった地域では、そもそもゼロ葬を行うのは難しいです。どうしても、という場合はゼロ葬実施可能な地域に搬送するということもできますが、搬送料などで高額になってしまうでしょう。

後から「やっぱり返してほしい」は出来ない

ゼロ葬後のご遺骨は、地域の無縁仏にまとめて埋葬されます。

一般的なお墓とは違い、骨壷ごとに分けて故人が特定できるような形での埋葬ではありませんので、後から気が変わってやっぱり遺骨を返して欲しいということは出来ません。

ゼロ葬関連の新たなサービス

ゼロ葬に関連して新たなサービスも登場しています。
「お墓がなく、すぐには埋葬できない」「墓地が遠く、自分は埋葬できる状況ではない」という場合や、「お金がなくお墓も建てられない」という場合などに対応できるサービスで、大きく3つにわけられます。

  1. 予骨(よこつ)
    お墓が出来るまでの間、一時的にお墓を預かるサービス。あくまでも一時的に預かるというものなので、期間が過ぎても引き取りに来られない場合は遺族の確認の上、無縁墓などに埋葬される。
  2. 迎骨(げいこつ)
    遺骨を持つ人が埋葬できない場合に、自宅まで引き取りに来てくれるサービス。その後、代わりに指定の墓や無縁墓に埋葬をしてくれる。
  3. 送骨(そうこつ)
    遺骨を郵送するだけで、指定の墓や無縁墓に埋葬してくれるサービス。

これらは一部の葬儀社やNPO法人で受けている場合もありますが、まだまだ数は少ないです。

参考:意外と多い「夫婦別墓やゼロ葬」の現実

まとめ

0(ゼロ)葬について

大事な人が亡くなった場合、遺骨はその人そのものですが、故人に対して思い入れが無ければ、遺骨を弔う気持ちも生まれないかもしれません。

色々な葬儀の形が登場している中で、ゼロ葬は新たな選択肢の1つです。

多様な生き方が認められてきた近年ですから、今後ゼロ葬が増えていく可能性も大いにあるでしょう。

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この記事を書いた人:富永 ゆかり

この記事を書いた人:富永 ゆかりこの記事を書いた人:富永 ゆかり

資格:終活アドバイザー、終活ガイド
大学卒業後、IT系企業にて4年間営業として就業。その後、葬祭業・仏具販売店を経営する家に嫁ぎ、現在は家事・育児と本業の葬祭関連業務のかたわら、ライターとしても活動中。

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