焼香とは?葬儀やお通夜での焼香の基本的な作法

© SYNCOPT DESIGN/stock.adobe.com
目次
焼香とは
焼香とは、仏教においてはお香を焚いて仏や故人を拝むことを指す場合と、お香を焚くことそのものを指す場合があります。
一般的には、葬儀やお通夜、法要などで抹香を香炭にくべることを「お焼香」といいます。加えて、普段仏壇にお線香をあげている方はそれもお焼香になります。
棒状のお線香も、粉状の抹香も種類が違うだけで意味合いは同じです。
お焼香をあげる意味
お焼香は故人を拝むためにするもの、と思われがちですが、自分の心身の穢れを落とし浄めるという意味もあります。
また、仏様にとって「香りはご馳走である」といわれており、極楽浄土は良い香りに包まれていて、仏が故人をお迎えに来るときは香りを運んでくるとされています。
そこで、香りの良いお香を焚いて煙を漂わせることで極楽浄土を表現するのです。
つまり焼香は自分自身を清めた上で、香りを仏様と故人に捧げ、冥福を祈る意味合いがあります。
宗派によって違いはありますが、香を焚くお焼香には様々な意味が込められています。
焼香の基本的な作法
葬儀やお通夜での焼香のやり方は、宗派によって違いがあります。
宗派の考え方としてお香そのものに価値があるかどうかによって、焼香の作法も異なるのです。
基本的な作法は下記に記載致します。
- 焼香台の前で遺族へ一礼し、祭壇の遺影に向かって一礼。
- 抹茶を親指、人差し指、中指の三本でつまみ、額の前まで持ち上げ、押しいただき、香炭の上にくべる。
(宗派によっては押しいただかない場合もあります。) - この動作を1~3回繰り返す。この回数は宗派によって違いがあります。
- 焼香が終わったら、遺影に向かって合掌。そして遺族へ一礼。
以上が焼香の動作となります。
焼香の回数は何回?
ここまでで基本的な作法はわかりましたね。
しかしいざ、焼香するとなると「何回するんだっけ?」となる方が多いものです。
焼香は宗派によって決まりがあります。抹香を押しいただかずに、香炭にくべる宗派もあります。
事前に故人の宗派が確認できると良いですが、出来ない場合は喪主の動作を見て真似しても良いでしょう。
自席から見えない場合は、自分の宗派の焼香を心を込めて行う形でも問題ありません。一番重要なのは、回数ではなく「心を込めて冥福を祈る」ことです。
もし故人の宗派を確認できて、その宗派に合わせた焼香をしたい場合には以下の表を確認してください。
宗派 | くべる回数 | 押しいただく |
---|---|---|
浄土真宗本願寺派 | 1回 | 押しいただかない |
浄土真宗大谷派 | 2回 | 押しいただかない |
浄土宗、真言宗、天台宗 | 3回 ※浄土宗、天台宗は特別取り決めはありません | 押しいただく |
曹洞宗 | 2回 | 押しいただき1回の後、押しいただかずに1回 |
臨済宗 | 1回 | 押しいただく |
日蓮宗 | 1回か3回 ※宗内宗派によって違いがあります | 押しいただく |
焼香をあげる際の注意点
焼香は故人の冥福を祈る、大切な儀式です。遺族の方は、大切な人を亡くされたばかりでセンシティブになっている方もいます。最低限のマナーやルールを確認し、故人を見送りましょう。
数珠を持つのを忘れない
数珠は必ずしも持っていなければならないものではありませんが、持っている場合は忘れずに持っていくようにしましょう。
葬儀やお通夜の開式前には、鞄やポケットから出して準備しておくようにします。
焼香の際に慌てて出すと、式中に不要な音を出してしまうこともありますので、良くありません。
略式数珠であれば、房が小指側に来るように左手(もしくは両手)の親指と人差し指の間にかけて合掌をするのが一般的です。
本式数珠の持ち方は、宗派によって様々です。

©マツ/stock.adobe.com
荷物はなるべく持たない
葬儀やお通夜に参列する際には手荷物を持っている方が多いと思います。
式に参列する方は、貴重品などは鍵のかかるロッカーなどに入れ、大きな荷物はクロークなどに預けて、手荷物は最小限にします。
焼香の際、焼香台の前に手荷物置場がある場合はそちらを利用しても良いでしょう。
式に参列する場合には、座席に手荷物を置いて焼香に立っても良いでしょう。
小脇に抱えられる場合などは、持って焼香しても良いですが、数珠だけを持って焼香した方が動作もスマートです。
葬儀に参列する際は、持ち歩く荷物は最低限にした方が良いでしょう。
マスクは可能であれば外しましょう
葬儀やお通夜にマスクをつけていくことはマナー違反ではありません。風邪や花粉症などで、くしゃみや咳が出てしまう場合には、不特定多数の方が出入りする場所なので、逆につけていた方が良いでしょう。
しかし、マスクを外せる場合は焼香や受付の時だけでも外すのが良いかと思います。
その際、マスクを顎に引っかけているのはだらしがなく見えてしまいます。
外すのであれば、外したマスクはポケットか鞄にしまうのが良いでしょう。
3つの焼香の仕方
焼香といえば葬儀会場で1人ずつ前でおこなうイメージでしょう。
近年は葬儀場を借りたホール葬が多いので、自分の座っている椅子から、祭壇正面に置かれた焼香台に立って行う、立礼焼香が最も一般的です。
しかし実は焼香には3つの仕方があります。
立礼焼香のほかに、焼香台の前で座布団などに正座して焼香を行う座礼焼香というものもあります。
また、自分は椅子や座布団などに座ったままで香炉が回ってくる回し焼香もあります。
下記にて3つの方法を詳しく詳しく解説します。
立礼焼香
立礼焼香の場合は、喪主が焼香した後は基本的には前から一人ずつ焼香をします。
前の人が着席してから、自分が立ち上がるのが正式ですが、参列者が多い場合には、焼香台の前に何人か並ぶように案内されるケースもあります。その場合は、葬儀場のスタッフなどから誘導があるでしょう。
自分の番が来たら、焼香台の前まで進み、遺族へ一礼します。そして祭壇の遺影に向かって一礼します。
その後、宗派に従ってお焼香を行います。お焼香が終わったら、再度遺影に向かって合掌をし、一歩下がって遺族へ一礼します。
そして次に焼香する人の邪魔にならないように席へ戻ります。
座礼焼香
座礼焼香はお寺や自宅など畳張りの場所で葬儀やお通夜を行う際などにやる事が多いです。
自分の座っている場所から祭壇前の焼香台へ移動し焼香するので、基本的な流れは立礼焼香と同じです。
しかし、焼香台が自席から近い場合は、立ち上がらずに手を前について膝を使って移動します。自席から遠い場合は、中腰で移動します。
また、座布団に座る際には、軽く一礼をしましょう。
回し焼香
回し焼香は、狭い場合での葬儀やお通夜の際におこなわれることが多い焼香の方法です。
お盆に香炉が乗せられた物を回す場合や、香炉をキャスターがついた香炉台に乗せて、それを順番に回す場合もあります。
お盆に香炉が乗っている場合は、前の人から会釈して受け取り、椅子に座っている場合は自分の膝の上にお盆を乗せます。座布団に座っている場合は自分の膝の前にお盆を置きます。
キャスター付きの香炉台の場合には、前の人から会釈して受け取り、自分の正面に置きます。
その後、遺影に向かって合掌をし、焼香をします。焼香が終わったら再度合掌をし、次の人に会釈をしながら渡します。
回し焼香の際は遺族の方が見えない事がほとんどですので、遺族に対しての一礼はしなくても大丈夫です。
まとめ
いざ、葬儀やお通夜に参列して焼香をしようと思うとマナーや回数が気になって焦ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、本来の焼香の意味を知っておくと回数などよりも、自身を浄め、仏と故人の為に香を捧げて祈ることが重要だということがわかります。
もし当日、所作を忘れてしまったとしても、遺族や周囲の方への配慮や思いやり、そして故人を偲ぶ行動をすれば大丈夫です。
当サイトでは、終活や葬儀・法事でのマナー以外にも、介護や健康、定年・子育て後の再就職について、役に立つ情報を毎週発信中!
「新着記事をいち早くチェックしたい!」「終活や老後の楽しみ方について、情報収集したい」という方にむけ、LINEアカウントでは新着記事の情報や充実したセカンドライフに役立つ記事を定期的に配信していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
友だち追加はこちらから。
