社葬とは?香典・服装のマナーや経費の対象範囲など

社葬とは

「社葬」とは創業者や社長、会長をはじめとした経営陣など、会社の発展に大きく貢献した人が亡くなった際に企業が主体となり執り行う葬儀またはお別れの儀式です。族や近親者ではなく、会社が施主を務めるという点が社葬の大きな特徴です。

社葬をおこなう場合、近親者のみで密葬などを行った後、本葬という形で社葬を執り行うことが一般的です。遺一概に「社葬」といえども、100名以内の式から3,000名以上の式、合同葬・お別れ会・偲ぶ会として行う場合など、様々な形式があります。

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社葬は社会的なアピールの場

亡くなった人を弔うのが葬儀の本来の意味合いですが、社葬の場合は社会的なアピールの場としての意味があります。つまり、社外的に企業としての信頼性を高める場です。参列する取引先や主要関係者に対して、後継者の発表とともに、これまで通り企業の力が安定していることを広報する場です。また社内的には社内体制を強固にする目的もあります。企業の重要人物が亡くなれば、少なからず不安を感じる社員が出るからこそ、地盤を固める必要があるのです。

このように社葬にはただ故人を弔う以上の意味合いが含まれています。

どのような方が社葬の対象?

「社葬」は、企業を挙げて故人を弔うセレモニーです。社葬対象の範囲は、会社ごとに社葬規定として取り決められます。

同じ社葬でも、故人の功績、貢献度により、葬儀の規模や費用分担の範囲が異なります。社葬は準備期間が短く、失敗の許されない儀式なので、あらかじめ内規によって社葬のランク付けを明確にしておくと良いでしょう。

企業の代表・役員

会長、社長、副社長、執行役員などは多くの会社で社葬の対象です。また、創業者や過去にトップの立場にいた人も対象とされます。

会社の発展に大きく寄与した人

その会社に対して特に大きな功績をあげた社員や、会社の発展に寄与した人物は、部課長以下であっても社葬で弔われることがあります。故人を称え、遺志を引き継ぐために行われます。

業務中の殉職者

社命による業務中、または勤務中に事故に遭い殉職した人を弔うケースです。社会保障の一環として社葬を行うケースもあります。社会情勢の変化により、想定外の事案が起きることもあります。数年に一度は社葬規定の見直しをしましょう。

社葬費用は経費として認められる

社葬の費用は、基本的には企業が負担します。

会社の規模や参列者の数、故人の貢献度、会場、葬儀形式で行うのかお別れ会形式で行うのか等、さまざまな要素により300万円程度~3,000万円以上と費用には幅があります。

社葬にかかる費用の内訳は会場利用費、祭壇設置費、飲食接待費用、人件費などです。

社葬に要した費用は、経費として損金処理することができますが条件があります。法人税法の基本通達9-7-19には次のように記されています。

「法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする」

よって、「社葬を行なうことが社会通念上相当と認められるとき」は、「社葬のために通常要すると認められる部分の金額」を経費として処理できるとされているのです。

社葬をおこなうまでの流れ

社葬は個人葬に比べ参列者が多くなり、大規模な葬儀となります。そのため、取締役会による社葬の決定、社葬実行委員会の設置、社外的な告知活動、税務上の手続きなど、さまざまな準備を行う必要があります。また、葬儀当日には多くの重要な参列者を万全な体制で迎える為に、漏れの無い役割分担と連携が必要です。

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社葬規定を作成する

故人の死後、仏教の場合は四十九日、神道の場合は五十日祭までに社葬が行われることが多く、準備期間は1ヵ月もありません。慌ただしく進めていく事になりますので、事前に社葬規程を作成することをお薦めします。

葬儀委員長を選出する

「葬儀委員長」は社葬の責任者であり、後継者となる社長などが務めます。式次第では一番に焼香を行い、参列者にあいさつを行います。社葬では、喪主を遺族の代表者が務め、葬儀委員長が施主の役目をします。

葬儀委員会の設置

社葬を行うには取締役会を開き、議決を取って「社葬を行う」ことを決定します。そして「葬儀委員会」を設置します。葬儀委員会は、役員クラスの人物を中心に組織し、社葬の運営と実務を担当します。

葬儀社の決定

葬儀社によっては、社葬の経験が浅く不手際であることもあります。信頼できる葬儀社をパートナーにできるかどうかが社葬の成否を決めるといっても過言ではありません。慎重に選びましょう。可能であれば生前から葬儀社選びと事前打ち合わせを行うことをオススメします。実際に社葬を行った経験のある会社や知り合いがあれば紹介してもらうのも一つの手です。

葬儀日程の決定

社葬は、近親者による密葬の後、死後10日から2週間以内に行うことが一般的ですが、故人の社会的な地位が高く、多くの参列が予測される場合にはそれ以上日を延ばすこともあります。「友引」は「友を引く」と言われることから避けます。なるべく多くの方に参列してもらうために平日に行われることが多いです。

葬儀内容についての打ち合わせ・決定

葬儀社との打ち合わせの前に、遺族と話し合い、葬儀費用の負担区分を明確にしておきましょう。遺族の意向を確認しながら詳細の決定を行います。葬儀の規模については故人の地位、功績などで決定されることが一般的です。式場は、葬儀ホール、民間の式場、寺院などから参列者人数を予測して決定します。

案内の送付・通知

葬儀の形式や日程、会場が決定したら、社内外へ葬儀案内状を送付します。故人の交友関係が広い場合には新聞の訃報広告を利用することが望ましいです。儀式までに遺族親族席、葬儀委員、来賓などの席を決めておきます。

社葬の流れ

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通夜

社葬の前に、遺族が密葬を行っている場合などには、通夜は省略されることも多いです。通夜を行う場合は、個人葬と同じような流れで進めていきます。儀式を執り行い、会葬者による焼香や玉串奉奠、献花などが行われ、地域の慣習に沿って食事が振舞われます。

葬儀、告別式

葬儀・告別式は、個人葬と同じような流れで行います。葬儀の形式に合わせ、儀式や焼香が行われます。参列者の焼香の際は、葬儀委員長、喪主、遺族が立礼の役をします。あいさつは、遺族側の代表(喪主)と、葬儀委員長(施主)とが行うのが一般的です。弔辞(3~5本程度)の拝受や弔電の披露なども行われます。葬儀後、駐車場の誘導や式場の後片付けを行います。

社葬後の処理

受付回り

会計係は香典を取りまとめ、現金を確認してから遺族に引き渡します。

また弔電、弔事等も遺族に渡します。

その他、供花やお供えを誰から貰ったか取りまとめたリストや参列者リストを作成し、遺族に共有します。

お礼挨拶や手続き

参列者やお供えを頂いた方に対してお礼状を発送し、あいさつ回りを行います。

社葬は経費で負担されるため、税務上の手続きとしては経費の集計が必要です。領収書を保管し、議事録を作成します。

故人が在職中であった場合には、退職金や給与の清算なども必要です。その他、葬祭費需給や、公的年金、遺族補償金受給、雇用保険の資格喪失などの手続きがあります。

社葬の服装マナー

一般の葬儀に参列する際は、喪に服していることを示す「喪服」で伺いますが、社葬の場合はどのような服装が相応しいのでしょうか。

社葬に参列する機会はあまりない為、いざという時に服装などで迷う方も多いと思います。会社の代表として参列するつもりで、身だしなみには気を付けてください。

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男性の服装

個人葬と同じように、黒のスーツを着るのが一般的です。スーツはダブルでもシングルでも構いません。スーツの中には光沢のない白いワイシャツに、黒いネクタイを締めます。ネクタイピンはつけません。服だけでなく、靴や靴下、カバンも黒を選びます。靴は光沢のない革靴にします。動物の皮を使用したものは殺生を連想させるためNGです。時計やアクセサリーは外します。

女性の服装

女性の場合も、個人葬同様に、黒のワンピースもしくはアンサンブルやスーツです。スカートは膝下、肘が見えない丈の袖にしましょう。足元はフォーマルなパンプスに、黒いストッキングを着用します。アクセサリーは、結婚指輪や真珠を除き、身に着けてはいけません。真珠は一連タイプのものにします。メイクは控えめにし、髪は低い位置で結びます。

「平服で」と指定があった場合

社葬の場合「平服でお越しください」と指定がある場合があります。平服を指定された場合には略喪服で参列しましょう。略喪服の場合には、黒にこだわらず紺やグレーなど暗い色のスーツであればかまいません。略喪服は普段着という意味ではなく、「葬儀にふさわしい地味な服装」です。光沢のあるものを避けたり、動物柄を避けるなど注意するポイントは喪服と変わりません。「平服」という指定があっても無難に喪服で参列される方もいますが、遺族より格式の高い服装にならないようにしましょう。

社葬でも香典は必要?

葬儀費用は経費になることが多い社葬ですが、香典は必要なのでしょうか。社葬に参列するのが初めての方にとって、気になるポイントかと思います。

実は社葬であっても、香典が必要な場合があります。香典辞退に関する意向が無ければ準備して伺う必要があります。

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香典辞退の場合がほとんど

社葬の香典は辞退されるケースが多いです。これは、社葬の費用は会社が負担するため、香典を受け取ると税務処理が複雑化してしまうためです。一方で葬儀費用を企業と家族で負担する形式の「合同葬」では香典を受け付けるケースも少なくありません。その場合は税務上の問題と遺族への配慮から、会社ではなく遺族が受け取ることがほとんどです。

香典の相場

とはいえ香典が必要な場合もあります。社葬の香典は、故人の地位や関係性によって3万円~5万円が一般的な相場です。ただし、親交によっては10万円や20万円持参することもあります。また香典の金額が規定で定められている場合もあります。自社内の記録がある場合は慣例に従いましょう。

社葬で渡す香典の表書き

香典に記す表書きは仏式であれば「御香典」あるいは「御香奠」です。「御霊前」も一般的ですが、浄土真宗では使用できませんので注意してください。

キリスト教では「御花料」、神道では「御玉串料」や「御榊料(おさかきりょう)」が適切です。事前に宗派を確認し、失礼のないようにしましょう。名前は企業の代表者名とするのが一般的です。

▼社葬の香典に関するマナーを詳しく知りたい方はコチラ

社葬でも香典は必要?相場金額や社員・取引先の場合ごとに解説

社葬の代わりに合同葬・お別れ会を開く場合も

企業が施主となって行う葬儀には、合同葬、お別れ会などさまざまな呼び名が存在しますが、違いをご存じでしょうか。それぞれに異なる意味合いやメリットがあります。会社や、ご遺族の意向に沿って、ふさわしい形式を選びましょう。

合同葬とは

社葬と似た葬儀形式に、合同葬があります。遺族と会社が共に主催する葬儀を「合同葬」とよびます。社葬と同じく、遺族と企業とで協力して行う葬儀です。

合同葬では企業と遺族の間で葬儀にかかる費用を分担するのが一般的です。合同葬は、同族会社の場合に行われることが多いです。故人が複数の企業の取締役を兼任していた場合など、複数の企業が合同で主催する場合にも「合同葬」といいます。

お別れ会とは

宗教儀礼を尊重し、故人を送る儀礼に重きを置く葬儀を「社葬」、宗教儀礼にとらわれずに故人を偲ぶ会を「お別れの会」と呼ぶことが多いです。会場にはホテルやレストランなどが選ばれ、宗教色なく自由に心を込めて故人を偲ぶことができます。近年はパーティー的な要素の強いお別れ会も増えてきました。

まとめ

社葬は、故人を弔う場であるだけではなく会社のアピールの場でもあります。招待する側もされる側も、自分の振る舞い一つが会社の評判に直結することを考えて振舞わなくてはなりません。逝去の知らせは突然のことです。普段の業務と並行して社葬準備の為の業務を行うことになります。事前に社葬に関する取り決めを行い、社葬を一任できる実績豊富な葬儀社を見つけ、可能であれば事前相談をしておきましょう。またご遺族への配慮も忘れないようにしましょう。

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この記事を書いた人:澤田ゆか

この記事を書いた人:澤田ゆかこの記事を書いた人:澤田ゆか

保有資格:葬祭ディレクター技能審査1級
大手互助会系の葬儀社に9年勤務し、管理者の経験を経て退職。現在はフリーの葬儀アドバイザーとして葬儀や終活相談、葬儀スタッフの育成を行っています。

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