社葬で経費として計上される費用・遺族が支払う費用

社葬とは、創業者や功績者など、企業にとって重要な人物の葬儀を会社が主体となって行うことです。

一般的な葬儀では喪主=施主であることが多いですが、社葬の場合には喪主は遺族の代表者、施主は企業となり、社葬にかかった費用は「基本的には会社が支払いをする」ことになります。

しかしながら、社葬費用のすべてが損金計上できるわけではありません。今回は「経費として計上できる費用と遺族が支払う費用」について解説いたします。

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社葬をおこなう意味・目的

社葬を行うには三つの意味があります。

一番の意味は、死を悼み故人の意思を継承することです。これは葬儀の本来の意味合いです。

二つ目に社外へのアピールです。企業の関係者に対して、企業の組織力をアピールし、後継者の披露を行い新体制が万全であることを伝える広報活動としての意味があります。

そして、三つ目に社内の体制の強化です。先人を立派に送ることで社員の結束力が高まるという意味でも、会社にとって重要な行事です。

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社葬を経費として認めるに必要な要件

法人税法では社葬について、「社葬を行うことが社会通念上相当」かつ「社葬のために通常要すると認められる費用」であれば、税法上で福利厚生費として計上できる、となっています。では、「社会通念上相当」と認められるのは、どんな場合でしょうか。

社葬の対象になる方

「社会通念上相当」と判断するポイントは、故人の企業に対する貢献度や、死亡理由などです。故人が企業の創始者である場合、故人が会社の発展に大きく貢献した場合や、また社命による業務中に不慮の事故で死亡した場合等も「社会通念上相当」に当てはまります。

歴史の長い会社になればなるほど、功績のあるOBは増えてきます。「誰を社葬対象者とするか」については、社葬規定で明確にしておく必要があります。

社葬に関する議事録の作成

社葬費用は一部を除いて経費にできます。そのために必要なのが「取締役会の議事録」です。公式な税務用資料となります。議事録がないと、領収書があっても経費と認められない場合もありますので保存しておきましょう。

議事録の内容

取締役会の議事録には、故人を社葬にする理由、どのレベルの社葬を行うか、費用はどれくらい出すのかといったことを記載します。突然の訃報で慌しい中、他業務と並行して一つ一つを文章化するのは大変な労力です。社葬規定をあらかじめ作っておくと、議事録はシンプルな内容で済みます。

経費として認められる社葬費用の一覧

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社葬費用のすべてを経費として計上できるわけではありません。「経費にできる費用」と「遺族による支払いが必要な費用」があります。

まずは「経費にできる費用」について、紹介していきます。経費にできる費用は、前述した通り「社葬のために通常要すると認められる費用」です。

会場費

本葬で使用するホールや斎場などの使用料金は基本的に損金として計上することができます。想定人数に合わせてホールの大きさを選びます。近隣駐車場等をレンタルする場合の費用も計上できます。

祭壇費・供花

生花祭壇や白木の祭壇など、葬儀で飾る祭壇費です。社葬では、多くの参列者が来る手前、見栄えのいい祭壇が選ばれます。特に故人が規模の大きい会社の創業者や会長クラスの方の場合には、祭壇だけで数百万、数千万の金額になります。

また故人の供養の為に式場内や入口に飾られる供花も含まれます。

設備費用(受付テントや照明など)

社葬では、参列者の案内や動線を確保するために、式場内や屋外に様々な物を設置します。入口には故人の名と会社名の書かれた看板、道路上にも式場案内の看板を設置します。屋外に受付や喫煙スペースの為のテントを立て、夜遅くまで人の出入りが予想されるのであればライトや音響装置も設置します。このような式場内外の設備費用も計上可能です。

社葬の通知にかかる費用

仕事上関連のある会社がらみの方や故人の交友関係には案内状を送ります。案内状や、その場合の郵送料も会社が負担することとなります。また、大多数の方にお知らせするための新聞広告費も計上可能です。

会葬御礼品・礼状

受付で参列者に渡す会葬御礼品や、会葬礼状も経費として認められています。会葬御礼品は葬儀に参列したことに対するお礼です。会葬御礼品と会葬礼状は、足りなくなるのは失礼にあたります。社葬では参列者の予測が難しいので、想定人数よりも多く手配をします。

霊柩車

社葬で使う霊柩車は、個人葬と比べて高額になります。キャデラックやリムジン、ベンツ、黒檀霊柩車などのハイクラス車両が選ばれます。

ハイヤー

役員や来賓、僧侶の送迎に使われるバスやタクシーも社葬の経費として認められます。

お布施(戒名代は含まない)

葬儀では僧侶への読経費として、お布施を渡します。この費用も損金として計上できます。宗派に応じて僧侶の人数や人数当たりの相場は変わりますが、人数に関わらず会社側で費用を用意することになります。近年は領収書を出す僧侶も増えていますが、読経料については、支払先や金額、支払った日をメモで明確に残しておくと良いです。

飲食費

会場での飲食費(通夜振る舞いなど)は計上可能です。しかし、社葬以後の飲食費(精進落とし等)は過去の裁決にて接待交際費とされています。

その他

葬儀運営、司会者など進行にかかる費用、葬儀写真・ビデオなど撮影にかかる費用、役員や来賓・僧侶の送迎に使われるバスやタクシー、駐車場や式場の警備員やアルバイトの日当なども経費として認められます。

遺族による支払いが必要な費用

社葬の経費として認められない物は、遺族が支払うことになります。以下の費用があてはまります。

密葬にかかる費用

社葬費用とは、社葬を実際に執り行う際に必要な費用のことです。密葬は基本的に遺族のみで行われるため、遺族が負担するものとされています。本葬以外にかかる読経料も遺族が負担します。

仏壇購入にかかる費用

こちらも社葬とは関係がありませんので、会社側が負担することはありません。位牌にかかる費用も同様です。

納骨にかかる費用

墓地霊園の費用、費用は、その一家の末裔まで入るものになるのでご遺族が払う必要があります。

香典返しの費用

社葬を行った場合には遺族が香典を受け取ります。香典が遺族の収入になるため、香典返しの費用は対象外です。会社が負担することはありません。

その他、除籍手続、死亡診断書などの手続き費用も遺族が負担するものと言われています。

遺族が支払う費用を会社で支払った場合の処理

遺族が支払うべき費用を会社側で支払ってしまった場合、経費として認められませんのでご注意下さい。

その場合、遺族が役員の場合は役員賞与、遺族が企業関係者でない場合は寄付金として処理します。遺族に負担を求められない場合には、慰謝料として処理します。

まとめ

社葬の費用には、経費と認められるものと認められないものがあります。社葬を執り行う際には、何処までが経費となるかをしっかりと調べ、慎重に進めていく必要があります。

後から認められなかったと分かっては大変です。

実際の社葬には、この記事で紹介した以外にも紹介しきれない細かな費用がかかってきます。細かな項目一つ一つを経費に計上可能か判断してくのは難しいので、税理士などに相談していくと良いでしょう。

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この記事を書いた人:澤田ゆか

この記事を書いた人:澤田ゆかこの記事を書いた人:澤田ゆか

保有資格:葬祭ディレクター技能審査1級
大手互助会系の葬儀社に9年勤務し、管理者の経験を経て退職。現在はフリーの葬儀アドバイザーとして葬儀や終活相談、葬儀スタッフの育成を行っています。

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