音楽葬 | 式次第や流す曲目の自由度は?葬儀のやり方を解説

©HanaPhoto/stock.adobe.com

近年は葬儀の形式も選択肢が増え、送り方も様々です。その中でも音楽葬という葬儀の形を聞いたことがあるでしょうか。

「音楽葬」という言葉は聞いたことがあっても、実際参列した経験があったり、どのような式なのか具体的に知っている、という方は少ないかもしれません。

本記事では音楽葬のメリットデメリットや、その方法、流せる曲などを解説していきます。

音楽葬とは

音楽葬とは「音楽で故人を送る」ということを主目的とした、自由葬や無宗教葬と呼ばれる葬儀の形の一つです。

音楽葬では故人の好きだった曲を流したり、演奏したりする事を式のメインとし、住職の読経などの宗教的儀式は基本的には行いません。

ただ、一般の仏葬などの葬儀でも音楽葬の要素を取り入れることは可能です。

音楽葬では、CDなどを用いてBGMとして曲を流す他に、生演奏やバンド演奏を行うことも可能です。(何が出来るかは葬儀社によります。)

音楽葬のメリット・デメリット

誰にでも好きな曲は1曲、2曲はあるのではないでしょうか。もし選べるならこの曲を流してほしいと思い浮かべることが出来る方も多いかもしれません。

しかし、音楽葬自体はまだ広く認知されているわけではないので、それゆえのデメリットもあります。

下記にて音楽葬のメリット・デメリットを詳しくみていきましょう。

音楽葬のメリット

音楽葬では式の内容や、どのように参列者の方に音楽を聴いてもらうか、演奏してもらうかというのを自由に決めることが出来ます。また、音楽葬はその曲=故人というイメージを作ることが出来るため、葬儀が終わった後も故人を思い出してもらいやすく、印象的な葬儀にすることが出来るでしょう。

下記にて音楽葬のメリットを細かく解説します。

宗教・宗派に縛られない

普段は自分の宗教を意識していないので、無宗教葬が良いという方は多いかもしれません。お寺との関係が薄れてしまっている方などは特に、葬儀だけ仏教形式というのは気が進まない方もいるでしょう。

その場合、音楽葬では宗教・宗派は気にしなくても良いですし、式の内容も自由に決めることが出来ます。

故人が音楽との関係が深かった方であれば特に、その人らしい葬儀が出来る可能性が高いです。

故人を思い出しやすい

音楽葬は新しい形式の葬儀ですので、印象的な葬儀になり、曲=故人というイメージが出来ることで、式が終わった後も参列者に故人を思い出してもらう事が多くなるでしょう。

その曲が日常生活でふと流れたときにも故人を思い出してもらうことが出来ますし、良い式であったのであれば、自分が終活をする際にどんな最期で送ってもらいたいか考える際の参考になる可能性が高いです。

生前に流す曲を決めておくことが出来る

音楽との関係が深い方であれば尚更、どんな曲を流してほしいかという要望があるでしょう。好きなアーティストや、好きだった曲、その他にも自分が作曲したり演奏したりした曲などを流すことが出来ます。

音楽仲間に参列してもらい、演奏してもらうことが可能な場合もあります。

また、音楽によってその葬儀の雰囲気を決めることもできます。涙ではなく笑顔で送ってもらいたいという方は比較的ポップな音楽をBGMにしても印象的な式になるでしょう。

遺族が曲を決めることも出来る

故人が特に明言をしていなくても、遺族が「故人はこのアーティストが好きだった」「この曲が好きだった」という理由から音楽葬を選ばれるケースもあります。

音楽葬では最低でも10曲程度はBGMとして選ぶ必要があるため、故人とその曲とのエピソードなどを思い出しながら選曲していくことが出来ます。

音楽葬のデメリット

音楽葬はまだそこまで広く認知されているわけではないので、他の参列者に理解されにくいというデメリットがあります。

特に葬儀=お経が必要と考えるような、年配の方の理解を得る事が難しく、親戚などに反対されてしまうというケースもあるようです。

また、式場によっては好きな音楽が流せない場合や、生演奏をしてもらう場合には演奏者を手配する際の追加費用が掛かかることもあるので注意しましょう。

音楽葬のデメリットを下記にて細かくみていきましょう。

参列者への馴染みがない

音楽葬に参列した経験がある人は少ないと思います。一般的な葬儀だと思って参列したら、音楽葬だったという場合には驚いてしまうかもしれません。

親戚はもちろんのことですが、参列を予定している方には事前にお知らせするのが親切でしょう。

トラブルを避けるためにも、近しい親族には事前に了承を得ておくのが良いです。

曲を選ぶ手間がかかる

故人が生前に決めておける場合は別ですが、遺族が曲目を決める場合にはその分の手間がかかってしまいます。故人がよく聞いていた曲や好きだった曲の曲名がわからない、という可能性もあります。どのタイミングで何を流すかという事も決めなければなりませんので、葬儀までの少ない時間の中で決めるのは負担になってしまう可能性もあります。

式場によっては音楽が流せない場合がある

音楽葬を葬儀式場などで行う場合、著作権の問題が生じます。購入したCDやネット配信された曲を流す場合、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)に使用料を支払う必要があります。

使用料はJASRACと葬儀社との契約で葬儀社が支払うのが一般的です。音楽葬プランなどがある葬儀社の場合は契約が結ばれていることがほとんどですが、契約を結んでいない葬儀社の場合、好きな音楽は流せないと断られてしまう可能性もあります。

音楽葬をしたいと思っている場合には、葬儀社に事前に確認しておくことをお勧めします。

追加費用などで高額になるケースも

葬儀社のプランなどにもよりますが、一般的な葬儀料金より高額になるケースがあります。CD等で曲を流すだけの音楽葬であれば、高額になることはないですが、生演奏などで演奏者を依頼する場合はプランとは別料金で、追加費用となるケースがあります。どういった方を何人呼ぶかによっては高額になることもありますので予算をしっかり伝えるようにしましょう。

音楽葬で流す曲は自分で決められる?

音楽葬プランを打ち出しているような葬儀社の場合には、JASRACとの契約を結んでいる可能性が高いので、ほとんどのところで好きな音楽を流すことが出来るでしょう。

また、流す音楽の形式も下記のような選択肢があります。

  • CD、DVD…CDで音楽を流したり、DVDを上映
  • 生演奏…3~5人程度の小規模楽団や、10~20人程度の中規模楽団による演奏(弦楽器や和楽器など様々)
  • 合唱団…合唱団を呼ぶ
  • バンド…ロックバンドによるライブ等

生演奏ですとポップやロックのような曲であっても、音楽葬の雰囲気に合うようなアレンジをしてもらう事も可能です。

著作権の確認が必要

デメリット部分でも前述していますが、著作権フリーとなっている曲以外をかける場合には著作権の問題が発生します。

自宅葬で音楽をかける場合には、著作権の侵害には当たりませんが、購入したCDやインターネットでダウンロードした曲を流したり、著作権のある曲を生演奏する場合にはJASRACとの契約が必要になります。

著作権フリーな音楽とは

著作権の侵害の心配が無い、著作権フリーの音楽とは主に下記の音楽になります。

  1. 著作者の死後50年を経過している音楽
  2. 著作権のないCD

クラシックの音楽などは①に当てはまる物が多いので下記の音楽などが葬儀では人気です。

  • 別れの曲/ショパン
  • レクイエム/モーツァルト
  • G線上のアリア/バッハ
  • アヴェマリア/シューベルト

また、②でBGM用に販売されているCDなどもあります。一般的な葬儀でBGMとして利用されている音楽は②のケースが多いでしょう。

演奏者に依頼するという選択肢も

前述していますが、音楽葬ではCD等を流すだけでなく、生演奏を依頼するという選択肢もあります。

音楽葬をプランとして設けている葬儀社の場合は、葬儀社を通して依頼することも出来ます。

また、故人が楽団等に所属していたような場合は遺族から楽団に依頼することも可能でしょう。その場合は持ち込みなどについて葬儀社に確認しましょう。

音楽を流すタイミング

基本的にどの曲をどのタイミングで流すかは自由に決めることが出来ます。

式が始まる前までのBGMとして流すことも出来ますし、故人の思い出のスライドショーのBGMとして使ったり、式中に参列者全員で歌ったり聴いたりする時間を設けたりすることも可能です。

何か特別なエピソードがある曲や、特にお気に入りだった曲などは式中に流すのが良いでしょう。

式次第によって流す曲のお勧めを下記にて解説します。

開式前のBGM

開式前に流す曲は、故人が好きだった曲の中でも明るめ雰囲気の曲が良いでしょう。開式前からあまり暗い雰囲気になってしまっても遺族が辛い場合もあります。また、開式前の空いた時間で参列者がその曲を聴きながら思い出話をすることが出来ます。

「故人が好きだったアーティストの曲なんですよ」などと遺族が紹介できるような曲が良いでしょう。

特に指定が無ければ、葬儀社に用意してもらうこともできます。

故人の紹介、弔電、遺族代表謝辞のBGM

故人の紹介、弔電、遺族代表謝辞の際は、アナウンスをあまり邪魔しないような曲が望ましいでしょう。故人の紹介の際には、一番好きだった曲を流したり、曲自体を参列者の方に聴いてもらう時間を設けても良いかもしれません。

弔電や遺族代表謝辞の際には、言葉の方を聴いてもらうため、BGMは抑えめになります。ボーカルが強めだったり、ロック調の曲などはベース音が言葉を邪魔してしまう可能性もありますので、どうしても好きな曲が激しめの曲調の場合は、オルゴール等にアレンジしてある曲を探すのも良いでしょう。

献花、出棺のBGM

献花、出棺の際は参列者の方に一番故人のことを想ってもらう時間になります。このタイミングで流れていた曲が参列者の方に強く印象に残る可能性が高いです。最期のお別れになりますので、故人のお人柄にもよるとは思いますが、あまりポップな雰囲気の曲はそぐわないかもしれません。

無理に涙を誘うような曲を選曲する必要はありませんが、故人の冥福を祈ることが出来るような曲が良いでしょう。

音楽葬の式次第

音楽葬の式次第はある程度自由ですが、下記のような流れで行われることが多いです。

  • 開式の挨拶
  • 故人の紹介(スライドショーなどの場合も)
  • 黙祷(無い場合も)
  • 献奏
  • 献花
  • 弔辞・贈る言葉
  • 遺族代表謝辞
  • 閉式の挨拶
  • 出棺

各項目を下記にて詳しくみていきましょう。

開式・閉式の挨拶

開式・閉式の挨拶などは、基本的には葬儀社のスタッフが司会を行うことが多いです。しかし、音楽葬は自由度が高いので、希望があればどなたかお知り合いの方に依頼することも可能でしょう。

一般的な葬儀の場合は、住職の入退場があったり、読経の途中で焼香が始まったりするため、一般の方には司会は難しいですが、音楽葬の場合は何かしらの司会をしたことがある方であれば打ち合わせをすれば可能でしょう。

開式の挨拶の際には、今回の式は音楽葬である旨の説明をしてもらうのが良いかもしれません。

故人の紹介

司会から故人の生涯を簡単に話してもらうのも良いですし、写真を入れたスライドショーや故人が映った動画などがあればそれを流すのも良いでしょう。

簡単なスライドであれば、葬儀社のプラン内に含まれていることもありますし、オプションで付けることも可能なところが多いでしょう。

パソコン操作が得意な方が親族や友人にいれば、自分たちで作成して持ち込み、それを流すことも可能でしょう。

BGMは故人を現すような音楽が良いと思いますが、エピソードを邪魔しない程度の曲がおすすめです。もし、激しめな曲を流したい場合には、その部分はアナウンスを入れずに聴いてもらうだけにするのが良いかもしれません。

黙祷・献花

黙祷はない場合もありますが、音楽葬は無宗教葬になるので、焼香などの代わりに黙祷や献花をして故人の冥福を祈ります。

仏葬に音楽葬の要素を取り入れる場合は、焼香を行っても良いでしょう。

黙祷の際には一度音楽を止めます。献花の際には、落ち着いた気持ちで故人のことを思い浮かべられるような曲を流すようにしましょう。

献奏

音楽葬のメインとなります。故人の好きだった曲、故人の作った曲、故人が演奏した曲などを流したりします。もちろんCDでかけても良いですし、楽団やバンドを呼んで演奏してもらうのも良いです。また、故人が合唱団等に所属していたような場合は、合唱団を呼ぶケースもあります。参列者全員で歌っても良いのです。

故人の冥福を祈りながら音楽を捧げます。

弔辞・贈る言葉

弔辞や贈る言葉は故人と親しい友人などにお願いするケースが多いです。お願いするのが難しい場合や、親族のみでの式などの場合はプログラムに入れなくても大丈夫です。故人の人柄がわかるような、エピソードを話してもらったり、思い出話をしてもらったりして、参列者を代表して故人への贈る言葉を述べてもらいます。

遺族代表の謝辞

一般葬でも同様に行いますが、閉式の挨拶の前に遺族を代表して喪主が参列者に向けて挨拶をします。喪主が高齢だったりする場合には、喪主以外の遺族が行う場合もあります。

参列のお礼、晩年の故人の様子、家族内での故人にまつわるエピソードを話したり、これまで故人とお付き合いいただいたお礼等を述べます。

出棺

閉式の挨拶が終わった後、出棺を行います。出棺の際には、最期のお別れとなりますので、家族から順番にお棺にお花を入れていきます。また、一緒に入れてあげたいものがある場合にはこの時に入れます。

最後に遺族や近しい親族、友人等でお棺の蓋を閉め、葬列を組んで出棺し、火葬場に向かうのが一般的です。

音楽葬の費用相場

©siro46/stock.adobe.com

葬儀の規模や内容で違ってきますが、音楽葬 は40万円~150万円程度で行うことが出来るでしょう。

一般的な葬儀費用の全国平均は151万円となっていますので、音楽葬だから高いという事はありません。(寺院等に支払うお布施を除いた金額。)

金額に幅があるのは、CDを利用するのか、生演奏をしてもらうのか、家族葬なのか、多数の参列者が見込まれるのかどうか、ということによって大きな差があるからです。

音楽はCDを利用し、家族のみで行う葬儀の場合には、40万前後で出来るケースもあります。

しかし、生演奏を依頼する場合は葬儀社によっては、費用の中に音楽演奏を含む場合と含まない場合があります。

含まない場合は、見積もり金額に演奏者への費用がプラスされるので注意しましょう。

また、演奏者もプロの演奏家なのか、何人に来てもらうのかどうかでも費用が大きく変わります。

プロの演奏家に依頼する場合の料金は、演奏家のレベルや人数によって変動しますが、通夜または告別式の数時間で1人当たり、約5万円前後が目安となります。

プロの演奏家ではなく、知人や地域の音楽サークルなどに演奏を依頼することで費用を抑えることも可能です。

一般葬では僧侶などにお布施を払う必要がありますが、音楽葬ではその必要が無いのでその分の費用を演奏費にかけることが出来ます。

音楽葬に参列するときの服装は?

音楽葬は自由葬の一つでもありますので、カジュアルな雰囲気にすることも可能です。しかし、指定が無い限りは喪服を着て参列する人がほとんどです。一般的な葬儀と同様に派手なアクセサリー等は外しておきます。

数珠も、弔意の示し方が焼香で無ければ使いません。

もし遺族等から服装の指定があった場合には、指定に従うようにしましょう。

男性の服装

男性であれば、ブラックスーツ、白い無地のワイシャツ、黒のネクタイ、黒い靴下、黒い革靴が基本です。ネクタイピン、ラペルピンなどアクセサリー類は着けないようにします。

カフスボタンはつけても良いですが、黒の物にします。

もし結婚指輪以外の指輪やピアスなど、肌に身につけるアクセサリーを日常的に着けている方は参列する際には外すようにしましょう。

女性の服装

女性であれば、黒のアンサンブルやワンピース、パンツスーツ、黒のストッキング(タイツは避ける)、黒のパンプスが基本となります。靴は光沢や装飾のあったり、高いヒールの物は避け、布張りか革張りの物にします。

アクセサリーはパールのアクセサリーと結婚指輪はつけても構いませんが、それ以外は外します。

もし、パールのネックレスをつける場合は一連の物、ピアスやイヤリングはパールが一粒の物にします。

メイクもなるべくシンプルなナチュラルメイクを心がけるようにし、ネイルなどもオフできるのであればオフして参列するようにしましょう。

まとめ

音楽葬は新しい葬儀の形です。自由に式の内容を決めることが出来るので、その人らしい形で送ることが出来るでしょう。しかし、まだまだ広く認知されているわけではないので、親戚の方や参列者の方で抵抗がある方もいらっしゃる可能性もあります。

故人や遺族の希望で音楽葬を行う場合には、その理由や背景をしっかりと説明し、理解してもらい、トラブルなく故人と最期のお別れをしてもらうように出来ると良いですね。

当サイトでは、終活や葬儀・法事でのマナー以外にも、介護や健康、定年・子育て後の再就職について、役に立つ情報を毎週発信中!
「新着記事をいち早くチェックしたい!」「終活や老後の楽しみ方について、情報収集したい」という方にむけ、LINEアカウントでは新着記事の情報や充実したセカンドライフに役立つ記事を定期的に配信していますので、ぜひチェックしてみてくださいね! 友だち追加はこちらから。

LINE友だち追加はこちら 新着記事をいち早くお届け!

この記事を書いた人:富永 ゆかり

資格:終活アドバイザー、終活ガイド
大学卒業後、IT系企業にて4年間営業として就業。その後、葬祭業・仏具販売店を経営する家に嫁ぎ、現在は家事・育児と本業の葬祭関連業務のかたわら、ライターとしても活動中。

関連する記事

記事のカテゴリ