合同葬とは?全体の流れや費用の扱い方を解説

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近年では葬儀の形も多様化していて、故人や遺族の気持ちを反映した形での葬儀が可能になっています。通常、会社の社長などが亡くなった場合などは社葬として通常の葬儀とは別に葬儀を行うことがありますが、場合によっては「合同葬」という形で会社や他の遺族と共に葬儀を行うことがあります。今回はこの「合同葬」について解説していきます。

合同葬とは

合同葬とは、遺族が行う葬儀と会社で行う社葬を一緒に行うことです。通常、社葬を行う場合は故人が亡くなられたのち、先に遺族を中心に故人の親族や近親者、友人などが参列して個人葬としての葬儀が執り行われます。その後、火葬が終わり落ち着いたタイミングで、会社が中心となって関係者に向けた社葬が執り行われるという流れが一般的です。

合同葬ではこの個人葬と社葬を一緒に行うことで、葬儀を一度で済ませることができ、準備の負担の軽減が図れます。また、参列者がどちらの葬儀にすればよいのか迷うという混乱を避けることができるため、社葬を別に行わずに合同葬を選ばれるケースが増えてきています。

このほか、複数の団体が合同で行う場合や災害などで個々の葬儀が難しい状況にある場合に合同で行う葬儀を合同葬と呼ばれることもあります。

合同葬と社葬の違い

遺族ではなく会社等の関係者に参列していただくという点では、合同葬と社葬は似ていると思われるかもしれません。しかし、遺族での葬儀がひと段落した時点で行う社葬とは違い、故人がなくなったあとすぐに遺族と一緒に準備をしていかなければならない合同葬では、異なる点も多く注意が必要です。

親族も会社関係者も区別なく参列する

遺族が行う個人葬に参列するのは主に近親者や友人となりますが、合同葬には遺族や親族などの近親者、や友人に加え会社関係者が一緒に参列することになります。したがって葬儀の規模は大きくなり、会葬の案内や参列者への対応など遺族にとっては負担に感じる部分も多くなります。また、葬儀の場においては遺族や会社の代表者は、参列者された方がどのような立場の人であるのかを把握していかなくてはなりません。

そのため、合同葬を行う場合には、遺族と会社の代表者が事前にしっかりと話し合いをし、葬儀においても連携を取りながら混乱を来さないように進めて行く必要があります。

遺族が喪主を務める

合同葬は一般的な葬儀と社葬の中間のような葬儀の形になりますので、一般的な個人葬と同じく喪主は遺族が努めます。それに加えて、会社側では葬儀実行委員長を決めて喪主と共にどのように葬儀を行っていくのかを決めていくことになります。また、葬儀ではこの葬儀実行委員長が進行の責任者となります。

合同葬で経費として認められるもの

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合同葬で会社の関係者に参列していただくことは、広報活動としての一面も持つことになります。そのため、合同葬で会社が負担した費用の中には経費として認められるものがあります。したがって、合同葬の費用は会社と遺族とが話し合ってその負担の範囲を決めていくことになります。

ただし、合同葬で負担した費用を経費として計上するためには、事前に臨時の取締役会を開催しなければならず、合同葬を行うことを協議したうえで決定したという旨を議事録に残しておく必要があります。合同葬の費用を経費として処理をするためには領収書だけではなく、この議事録が必要になるので注意しましょう。

費用額が社会通念上相当と認められる

税法ではその通達において「社会通念上要すると認められる金額については、損金に計上しても差し支えありません」としています。この、社会通念上要すると認められるとは、故人が生前その会社にどの程度の貢献度があったかや、亡くなられた理由によって判断されることになります。

たとえば、会社の創業者や過去の経歴により会社への貢献がなされていた人物であると考えられる場合では十分な理由があると考えられ、会社の経費としての形状が可能になります。また、業務上の事由で亡くなられた時にも会社の費用負担が認められることがあります。

合同葬の勘定科目

合同葬で福利厚生費として計上が可能なものは以下のようなものがあります。

  • 会場使用料
  • 会場設営費
  • 読経にかかるお布施
  • 生花、祭壇費
  • 屋外設備費
  • ガードマンの費用
  • 通知状などの印刷費
  • 会葬礼状、会葬返礼品
  • 訃報を掲載するための新聞広告費

遺族が費用を負担する必要があるもの

合同葬の葬儀の部分にかかる費用以外のものは会社の経費としては認められません。たとえば、供養のための費用や納骨にかかる費用などは遺族が費用を負担しなければならないものとなります。

また、香典は会社としては受け取らずに遺族に渡されることが多いため、香典返しも遺族が費用を負担しなければなりません。

具体的には以下のようなものは遺族が費用を負担することになります。

  • お仏壇や仏具の購入費用
  • 墓地や墓石の購入などにかかる費用
  • 初七日や四十九日の法要
  • 香典返し
  • 納骨の費用
  • 役所への手続きにかかる費用
  • 通夜ぶるまいや精進落としの飲食費

合同葬の準備のすすめ方

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喪主と会社が一緒になって葬儀について決めて行く必要のある合同葬は、どのように進めて行くのかのポイントを見ていきます。

葬儀委員長の結成

合同葬では会社側は葬儀委員長を立てます。葬儀委員長は遺族との話し合いや葬儀の進行を行うなど、合同葬の行う上での中心的や役割を果たします。

この、喪主と葬儀実行委員長の話し合いは非常に重要であり、遺族側と会社側のどちらの意見も尊重されなくてはなりません。遺族は葬儀実行委員長に選出された人と初めて会うというケースもあるかもしれませんので、葬儀実行委員長は遺族が萎縮するようなことがないように気を付ける必要があります。

また、会社の規模などによっては葬儀実行委員長以外にも複数人の葬儀委員が選出されることもあります。

議事録の作成

合同葬を行うにあたっては、緊急取締役会を開催しなければなりません。そこで、合同葬を執り行うことへの決議を採決し、葬儀委員長を選任・決定します。これは、故人が亡くなられてから通夜までの短い時間で行わなければならず、また、必ず議事録を作成しておく必要があります。

会場の決定

葬儀委員長が決定すれば、まずは喪主と大まかな葬儀の形を決めていきます。合同葬とする場合には、速やかに葬儀の内容や日程、規模、形式、葬儀会場などを決めて行かなくではなりません。また、会社の内規に則って決めなければならないこともあるため、喪主としっかり話し合いをするようにしましょう。

合同葬開催の案内

葬儀の日時や会場が決まれば、訃報通知として合同葬開催の案内を速やかに出します。合同葬では多くの関係者の方に参列していただくため、社内外にわたって合同葬の開催の連絡が必要な人に、漏れなく確実に届くようにしなければなりません。

案内の例文

訃報通知の書き方は一般の会葬案内の書き方に準じて行います。基本的には縦書きで右側から書いていきます。

記載する内容は、まず最初に故人の生前の肩書、亡くなった旨を記載します。そのほか、合同葬の日時・場所、最後に会社名と葬儀委員長の氏名・喪主の氏名を記載します。また、合合同蔡の案内では、句読点は用いず、葬儀委員長と喪主の間には罫線を入れて区別されます。

《合同葬の訃報通知の書き方例》

弊社代表取締役〇〇〇〇儀 かねてより病気療養中のところ〇月〇日午後〇時〇〇分永眠いたしました

ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます

 

なお 通夜ならびに葬儀告別式は〇〇〇〇株式会社と

〇〇家の合同葬をもって左記のとおり執り行います

一、通夜    〇月〇日(〇) 午後〇時~〇時

一、葬儀告別式 〇月〇日(〇) 午後〇時~〇時

一、場所    〇〇〇〇

(住所)

誠に勝手ながら、ご香典・ご供花・ご供物の儀はご辞退申し上げます

令和〇年〇月〇日

株式会社  〇〇〇〇

葬儀委員長 〇〇〇〇

____________

喪主    〇〇〇〇

※実際には縦書きにします。

合同葬当日の流れ

合同葬はその規模が大きくなるため、当日の流れが滞りなく進むように、式場や遺族と事前にしっかりと打合せをしておく必要があります。

通夜

合同葬では通夜から火葬までの儀式を行っていくのが一般的です。そのため、通夜には葬儀告別式に参列できない方がたくさん弔問される場合があるため、通夜が滞りなく進行するように、葬儀委員長は事前にしっかりと確認をしておく必要があります。

特に、式場のレイアウトや席順、供花や焼香の順番、挨拶についてなどの流れを喪主や遺族と一緒に確認し、リハーサルが行われます。また、通夜の終わった後に通夜ぶるまいをする場合にはその手配や準備に問題がないかも確認しておくようにしましょう。

告別式

葬儀告別式にはたくさんの人が参列するため、葬儀委員長は喪主や式場の担当者と綿密な打合せをする必要があります。特に、参列者の数は事前に分からないため、予測していたより多いとなると、全ての方に焼香をしていただく時間が取れないことも起こり得ます。参列者の人数に応じてどのように進行をするのかを打合せしておくことも重要です。

場合によっては焼香や挨拶をしていただく方を指名し、事前にお願いをしておく根回しが必要になります。

火葬・納骨

葬儀社の方で出棺の準備がされますので、それを待って出棺となります。取引先や仕事の関係者などの弔問客は出棺を見送ると解散となり、遺族や親族は火葬場へ移動して火葬に立ち会うことになります。

会食

火葬の後に繰り上げの初七日に法要を行い会食をすることがありますが、これは葬儀ではなく供養となるため、会社の経費として費用を負担することができません。したがって、火葬後の会食は遺族や親族のみでされることになります。

合同葬での香典相場は?

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一般的に香典の相場としては1~3万円を包むようにします。また、社長名で香典を包む場合は金額は故人や会社とのお付き合いの深さにもよりますが、3~10万円程度、供花もあわせておくる時には合計で5~12万円程度とするのが相場です。

香典辞退の場合も多い

最近では一般葬でも香典を辞退されることも珍しくありません。特に合同葬で会社が香典を受け取ると雑収入として計上する必要があり、課税対象となります。また、会社が受け取った香典を遺族に渡すと遺族に贈与税がかかるなど税制上の問題が生じます。

そのため、香典を受け取る時には遺族が受け取る形とし、香典返しも遺族が行うことにします。しかし、合同葬でたくさんの方から香典を受け取ることで、遺族の負担が大きくなることが懸念されるため、合同葬でも香典を辞退されることが多くなっています。

合同葬での弔電の送り方

合同葬では企業や団体としての葬儀を行うために、参列者が代表者のみに限られることもよくあります。そのため、葬儀に参列しない人は弔意をあらわすために弔電を送ることが一般的です。

弔電の宛名

合同葬で弔電を送る時の宛名は喪主とします。送り先は個人葬の場合は故人の自宅に送ることもありますが、合同葬ではたくさんの弔電が届くと予想されるため自宅におくると遺族の負担が増えてしまいます。したがって、合同葬の弔電は葬儀か執り行われる式場や会社に送るようにします。少なくとも、葬儀の前日の通夜の始まる前には届くようにしましょう。

弔電の例文

会社名義で弔電おくる時には会社の名前と代表者の氏名も書いておくようにします。また、忌み言葉と呼ばれる成仏できないことをイメージさせる言葉や「四」や「九」などの言葉を使わないように注意しましょう。

《弔電の例文》

故 〇〇〇〇様の生前の偉大なご功績に 深謝の意と尊敬の念を持って 深く哀悼の意を表します

〇〇〇〇株式会社 代表取締役社長 〇〇〇〇

合同葬の参列者には礼状をおくる

合同葬では参列者に対して葬儀委員長を差出人としてお礼状をおくります。このお礼状は

会葬礼状といって、葬儀に参列していただいたことに対するお礼であり、お清めの塩や会葬御礼品の品物と一緒にお渡しすることもありますが、葬儀修了後三日以内に発送するようにします。

合同葬の礼状の例文

合同蔡の礼状には参列していただいたことへのお礼の言葉、書面でのお礼になったことへのお詫びの文を入れておきます。

《お礼状の例文》

弊社 会長 故〇〇〇〇 儀 葬儀に際しまして

公私ご多忙中にもかかわらずご会葬いただきご鄭重なるご厚志を賜り厚く御礼申し上げます

故人 生前中は 一方ならぬご厚情を戴きましたことを深謝申し上げます

早速拝趨の上ご挨拶申し上げるのが本意ですが略儀ながら書中を以て御礼申し上げます

 

令和〇年〇月〇日(通夜)

令和〇年〇月〇日(告別式)

(会社住所)

〇〇〇〇株式会社

葬儀委員長

代表取締役社長  〇〇〇〇

______________

喪主       〇〇〇〇

※実際には縦書きにします。

まとめ

合同葬とは遺族と会社が一緒に行う葬儀のことをいいます。社葬のように密葬などが終わり落ち着いてから行われるのではないため、故人が亡くなったのちすぐに準備をしていかければならず、事前にどのような打ち合わせが必要なのかを整理しておくことも必要になることもあるでしょう。いぜ、その時になって慌てないようにするためにも、会社の内規をしっかりと準備しておくことが大切です。

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この記事を書いた人:寺岡 純子

この記事を書いた人:寺岡 純子この記事を書いた人:寺岡 純子

保有資格:終活カウンセラー上級、主任介護支援専門員、看護師、GCS認定コーチ
合同会社カサージュ代表。急性期の看護師として従事後、介護保険制度の開始と共に介護業界へ転身。超高齢社会の社会構造の変化を目の当たりにし、人生100年時代を自分らしく生きる必要性を実感する。 現在、20年間の介護業界での経験も生かしながら、終活をお手伝いする終活カウンセラーとして活動中。自分らしい人生を応援する『Happy Life College』を主宰。

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