香典袋の書き方は?表書きや金額、名前 中袋がある場合の書き方
お葬式には香典を準備して参列をします。
香典を包むことは日常ではあまりありませんので、準備をしている時に香典袋を何をどのように書くのマナーなのかパッとわからないですよね。
この記事では香典袋における表書きや金額、名前の書き方を中袋があると場合と無い場合に別けて解説します。

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目次
香典袋に書くこと
香典袋に書くべきことは下記の4つです。
- 表書き
- 名前
- 金額
- 住所
表書きは香典袋にあらかじめ印字されているものもありますが、印刷されていない場合は自分で書く必要があります。
遺族は香典を誰からもらったのかをしっかりと確認をしますので、書き忘れが無いように注意しましょう。
この4つの書くべきことの中で最も忘れがちなのは、住所です。
住所は香典返しや喪中はがきなどを送る際に遺族が必要な情報ですので、郵便物が届くように、郵便番号から番地やマンション名までしっかりと記入をしましょう。
香典の表書きは宗派や時期によって変わる
香典袋の表書きは宗派や時期によって変える必要があります。
難しいと思われるかもしれませんが、使う表書きの種類自体はそう多くはありませんので、覚えておくと便利です。
表書きを間違えたからと言って香典を受け取ってもらえないようなことはありませんが、表書きも故人と遺族への心配りの一つです。

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仏教の宗派の表書き
まずは浄土真宗以外の仏教の宗派の表書きからみていきます。
- 「御霊前」…通夜・葬儀・初七日
- 「御香典」…通夜・葬儀・初七日・その後の法要
- 「御香料」…通夜・葬儀・初七日・その後の法要
- 「御仏前」…四十九日法要、一周忌、三回忌、それ以降の法要
浄土真宗以外の仏教の宗派の表書きは主にこの4つです。
なお、「御霊前」は四十九日法要以降は使えなくなる表書きのため、注意が必要です。また、「御仏前」は通夜・葬儀と初七日法要では使えません。詳しくは、この後解説いたします。
浄土真宗は「御仏前」
仏教の宗派の一つである浄土真宗の表書きは他の宗派の表書きとは少し異なります。
浄土真宗は主に以下の3つの表書きを使います。
- 「御仏前」
- 「御香典」
- 「御香料」
この3つはどれも通夜・葬儀・初七日・四十九日法要以降の法要に共通して使うことができます。
神道の表書き
神道での表書きは「御霊前」「御榊料」「玉串料」「御神饌料」などです。
すべての表書きを、通夜・葬儀・帰家祭・その後の霊祭や式年祭でも使用することができます。
仏教とは違い、線香やお香を故人に供えることがありませんので、「御香典」や「御香料」は使いません。
なお、「御霊前」は年祭や式年祭でも使うことは可能ですが、厳密にいえば故人は葬儀後に家を守る祖霊=神になられていますので、年祭や式年祭では「御神前」と書くことが正しいです。
キリスト教の表書き
キリスト教の表書きは、以下のような言葉を書きます。
- 「御花料」…カトリック・プロテスタント共通
- 「御霊前」と「御ミサ料」…カトリックのみ
- 「忌慰料(きいりょう)」」…プロテスタントのみ
キリスト教では、仏教の法要に当たる儀式を記念式といいます。
上記の香典の表書きは、すべて通夜・葬儀・初七日・その後の記念式すべて使うことができます。
宗派によらず共通して使える表書き
宗派によらず共通して使える表書きは「御霊前」で、参列する葬儀の宗教や宗派がわからない場合にも、「御霊前」でかまいません。
「御霊前」は最も広い宗教や宗派で使うことができます。
厳密にいえば浄土真宗とプロテスタントでは使いませんが、「御霊前」の表書きだからといった理由で香典を受けとってもらえないことはまずありませんので安心してください。
しかし、法要や年祭、記念式にも共通して使える表書きはありませんのでしっかりと先方の宗教を確認して準備しましょう。
四十九日法要以降では表書きが変わる
仏教では、葬儀の後も節目ごとに法要を行います。法要の際にも香典を包んで持っていきますが、四十九日法要以降は表書きが「御霊前」から「御仏前」に変わります。
故人が亡くなってから49日目は、故人が極楽浄土へ行けるかどうか最後の裁きがある日とされており、四十九日法要を境に故人は霊から仏になり成仏します。そのため、通夜・葬儀の際は「御霊前」であった香典の表書きが「御仏前」へと変わります。
ただし、浄土真宗では死後すぐに故人は仏になると考えられているため、表書きは通夜・葬儀の際から「御仏前」であり、四十九日法要以降も同じ「御仏前」の表書きを使います。
▼四十九日法要とは?行うことや流れを知りたい方はコチラ
金額の数字の書き方
香典を入れた香典袋には金額も記載します。
その際には、大字で書くことが正式マナーとされていますが、英数字でも問題はありません。
大字とは、簡単な漢数字の代わりに使う漢字で、下記でご紹介しています。
通常の漢数字が避けられるのは、漢数字の場合後から容易に改ざんができてしまうからです。
大字や英数字であれば改ざんは容易ではありませんので、下記を参考にして書きましょう。
数字(旧漢字)
1 | 壱 |
2 | 弐 |
3 | 参 |
4 | (肆) |
5 | 伍 |
6 | (陸) |
7 | 漆 |
8 | (捌) |
9 | (玖) |
10 | 拾・什 |
表内の( )の数字はお葬式ではあまり使いません。
何故なら偶数は割り切れる数字であるため「割り切れる=縁が切れる」とされ、故人や遺族との関係を断ち切るという意思表示になってしまうからです。
また「四」は「死」と、「九」は「苦」を連想させる縁起の悪い数字とされていますので、お葬式では避ける傾向があるのです。
数字以外の表記
百 | 佰 |
千 | 仟・阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
▼香典金額の書き方について、詳しいマナーを知りたい方はコチラ
2人以上で香典を贈るときの名前の書き方は?
香典袋には名前を記載しますが、二人以上で共に香典を出した場合にはどのようにしたらいいのでしょうか。
とにかく全員の名前を書いておけばいいわけではなく、共に出す人の関係性によって書き方にマナーがあります。
夫婦の場合
夫婦を香典で包む場合は、夫の名前のみを記載する場合が主流ですが、夫婦の連名で記載する場合もあります。
夫婦の連名で記載する際には、夫の名前を中央に書き、妻の名前をその右側に書きます。
その際、妻の方の名字は書かず、夫の名前に合わせるようにして名前のみを書きましょう。
連名の場合
友人など何人かの人とまとめて香典を包む場合には、3名までは香典袋に氏名を記載します。目上の人から順に右から書いていきましょう。
上下関係が無い場合は、遺族がわかりやすいように「あいうえお順」に右から書きましょう。
2名の場合は右側に書く人を中央に据え、3名の場合は真ん中の人が中央にくるように書きます。
4名以上で香典をまとめて出す場合には、香典袋には代表者名を中央に、その左下に「他〇名」「外一同」と書き、別紙に全員の名前や住所を目上の人を右から順に記載して香典袋に同封します。
会社から贈る場合
会社からの香典を包む際は、社長名で出すのが一般的ですので香典袋には社名・肩書・氏名を記載します。
なお部署で出す場合などでは、社名と〇〇部一同などと記載します。
どの場合でも社名は氏名よりもやや小さく記載すると見た目のバランスがよくなります。
▼香典の名前の書き方を場合別に知りたい方はコチラ
文字は「薄墨」を使って書きましょう
香典袋の文字は「薄墨」で書きましょう。毛筆を使って書くのが正式ですが、薄墨であれば筆ペンでも構いません。
薄墨は故人を亡くした悲しみの涙で墨が薄まってしまった、という意味合いがあり、薄墨を使うことは故人への弔意を示しています。
薄墨がどうしても無い場合は、通常の毛筆または筆ペンを使いましょう。
サインペンやボールペンは使わないように気を付けます。
なお薄墨を使うのは香典袋の外袋に記載する時のみで、内袋や別紙がある場合にははっきりと読み取れるように黒い色のペンで記入します。
▼香典を書く際に使う薄墨のマナーを詳しく知りたい方はコチラ
中袋・中包みの有無による書き方の違い
香典袋には一枚で作られた外袋のみの香典袋の他に、中袋や中包みが同封されているものがあります。
中袋や中包みが無い場合と有る場合では、書く項目は同じでも、どこに書くかが違ってきます。
また外袋と違い、中袋・中包みに文字を書く際には見やすさを重視して、薄墨ではなく黒インクのペンを使います。
では中袋・中包みの有無による書き方の違いについて、それぞれ見ていきましょう。
中袋・中包みがある場合の書き方
中袋・中包みがある香典袋の場合は、二つの書き方がありますが、どちらで書いても問題はありません。
一つ目は、中袋・中包みの表面の中央に金額を書き、裏面の左側に住所と名前を書く書き方です。
この書き方の場合、金額は大きめに書いたほうがバランスがよく見えます。
二つ目は、中袋・中包みの表には何も書かず、金額・住所・名前を裏面にまとめて書く書き方です。
この時、金額を右側に住所と名前を左側に書きます。
どちらの場合でも、外袋の表面には表書きと名前を中央に書き、裏面には何も書きません。
▼香典の中袋について、書き方のマナーを詳しく知りたい方はコチラ
中袋・中包みがない場合の書き方
中袋・中包みが無い場合には、外袋に全て記載します。
外袋の表には表書きと名前を、裏面の左側に金額と住所を書きますが、すべてを縦書きで書くと同時に、金額は大字で、数字は漢数字で書くことが一般的です。
ただ香典袋に枠が設けられている場合には、その枠に従って書いて構いません。
▼中袋なしの香典を渡す時のマナーを詳しく知りたい方はコチラ
その他の香典を包む際のマナー
今回は香典袋の書き方について詳しくマナーを紹介しましたが、書き方以外のマナーについても解説いたします。
より詳しい情報を知りたい方は、紹介している記事も参考にしてみてください。
香典の相場金額
香典の金額相場は故人と関係性と年齢によって変わります。故人と近しい血縁者であるほど金額は高く、遠い親戚や友人・会社関係者などは金額が低くなります。
具体的には、故人祖父母の場合は1~10万円、親の場合は5~10万円、兄弟姉妹の場合は3~10万円、おじ・おばの場合は1~5万円、いとこは5千~3万円となります。
自分の年齢が高くなるにつれて、包む金額は多くします。反対に、まだ学生などで収入が無い場合は香典を包む必要はありません。
なお、「死」や「苦」を連想させる4と9の数字は避け、故人との縁が切れないように偶数の数字も香典の金額として包まないようにします。
▼香典の相場金額を故人との関係性・年齢別に詳しく知りたい方はコチラ
香典袋の選び方
香典袋は、宗教による表書きの他に、包む金額によって選びます。
1万円未満の金額の場合は、水引が印刷されているタイプの香典袋で問題ありません。1万円以上の金額の場合は、印刷ではなく本物の水引がついている香典袋を選びます。さらに、1万円以上でも、金額によって選ぶ袋が変わってきますので、詳しくは下記の記事をご覧ください。
なお、水引の色は白黒や双銀、白と黄色のものなどを使いますが、地域によっても違いがあるため、親戚や葬儀社に確認しておくと安心です。
▼香典袋の種類や選び方について詳しく知りたい方はコチラ
香典の入れ方・包み方
お札は香典袋の表側に対して裏側に入れます。お札の表は肖像画が描かれている側なので、香典袋のふたがついている裏側から肖像画と目が合う向きで入れます。なお、香典袋は糊付けをする必要はありません。
また、一枚の紙を折りたたんでお札を包むタイプの香典袋は、紙を折る順番にも注意します。左側の紙、右側の紙、下側の紙、上側の紙の順番で折りたたみましょう。
▼香典のお札の向きや入れ方を詳しく知りたい方はコチラ
香典の渡し方・渡すタイミング
香典を渡すタイミングとして、まず迷うのが「通夜と告別式のどちらで渡せばいい?」という点でしょう。どちらか片方にしか参列しない場合は、その際に香典をお渡ししますが、通夜と告別式のどちらも参列する場合、どちらで渡さなければいけないという決まりはありません。
そのためどちらで渡しても問題ありませんが、地域によっては通夜で香典とは別に不祝儀を包んで持っていき、告別式で香典を渡すこともあるため、遺族や地域のしきたりを事前に確認するようにしましょう。
また、通夜・葬儀では受付をする際に香典も一緒にお渡ししします。記帳が済んだら「この度はご愁傷様です」などと一声かけながら、受付の方にお渡ししましょう。
▼香典の渡し方を詳しく知りたい方はコチラ
まとめ
今回は、香典袋の書き方に説明してきましたのでここでまとめていきます。
- 香典袋には表書き・金額・住所・氏名を記載する。
- 香典袋の表書きは参列する葬儀の宗教や宗派によって異なり、わからない場合には「御霊前」を使うと無難である。
- 香典袋に中袋がついている場合は、外袋に表書きと名前を、中袋に金額・住所・名前を記載する。
香典の書き方はルールがあって難しい部分もありますが、故人と遺族への気持ちを表すための大切なことですのでしっかりとマナーを守って書いていただければ幸いです。
▼香典袋のマナーまとめはコチラ