香典の断り方|家族葬の場合や職場への香典辞退を文章例つきで解説
近年、葬儀もさまざまな形式が増え、直葬や火葬式、家族葬と呼ばれる小規模で行う葬儀も増えてきました。
それに伴い、香典を辞退する喪家も以前より増えています。地域によって差はありますが、葬儀全体のうち2割の方が香典辞退されてる*というデータもあります。
そこで今回は、自分の葬儀や自分が喪主を務める葬儀で香典を辞退したいと考えたとき、どのように対応するべきなのかを本記事で解説していきます。
また、実際にどのような伝え方をすればよいのか、文章の例もご紹介します。
*「意識調査『2割が香典辞退』‐香典よりも『小規模な葬儀を』」(よりそうお葬式)より
目次
香典は辞退することも可能
自分の葬儀や、自分が喪主を務める葬儀の際に参列者の方から頂く香典は辞退するという選択肢があります。
香典を辞退する理由はさまざまです。
- 参列者に負担をかけたくないため
- 故人や遺族が香典返しなどの負担を軽減したいと考えたため
- その土地で故人の後を継ぐ人がおらず、近所の方から香典を頂いても、その後のお付き合いが難しいと考えたため
- 家族のみで静かに送る葬儀を行い、一般の方の弔問はお断りするため
- 宗教上の理由
その他の理由もありますが、香典を辞退する理由を正直に参列者に伝える必要はありません。香典を辞退する際にはどのように相手に伝えるべきなのか詳しくみていきましょう。
失礼のない断り方・伝え方
香典は「相互扶助」の考えに基づいています。葬式をあげるのはお金がかかるので、近所の人など周囲で助け合って行うという意味です。元々は香=線香だったものが、食べ物を分けたり人手を割く形に変わり、更に現在ではお金に変化してきました。
また、香典は弔意を表すとものとされており、葬儀で香典は渡すのが当たり前だという考えの方もいらっしゃいます。
本当の理由が、香典返しの負担を軽減したいということだったとしても、わざわざ来てくれた参列者の方にその理由を伝えるのは失礼になってしまいます。
この場合は、「故人の意向で」というような形で伝えるのが望ましいでしょう。
また、準備の手間を取らせないためにも、香典辞退の旨をなるべく事前に伝えるにように配慮します。具体的にどのように伝えると良いのかみていきましょう。
香典辞退を伝えるタイミング
香典辞退を伝えるタイミングは、葬儀の日程をお知らせする時か、受付で記帳をして頂く時になります。
近しい親族の方には電話や連絡をする機会があるのであれば、あらかじめ伝えておくようにしましょう。また、一般の方も来る式なのであれば、事前に伝わるように文書にも記載しておきます。
家族葬の場合は、一般の方の弔問・会葬はお断りするケースがほとんどですので、その場合には必ず事前に伝えるようにしましょう。
しかし、参列者の方は念のため香典を持ってきていたり、うまく情報が伝わっていない方もいたりしますので、当日は受付にも看板等を立てた上で、更に受付の方が口頭でもフォローするようにします。
香典を持ってきた方がいた場合には「故人の遺志により御香典は辞退させて頂いております。恐縮ではございますが、お気持ちだけ頂戴します」などと言って御礼の気持ちを伝え、お断りするようにしましょう。
伝える手段
訃報を伝える手段は、電話、FAX、メールなどがあります。地域によっては町内で回覧板を回す習慣があるところもあります。
はがきや手紙も使えますが、届くまでに時間がかかりますので、密葬をした後の本葬やお別れ会の連絡をする場合や、葬儀を行った後に亡くなったことを知らせる場合に使うようにしましょう。
職場の方や、ご近所の方も参列するような式の場合には、メールやFAXなど訃報連絡の文書の定型文があります。そちらに香典辞退の旨を付け加えるようにして利用するようにしましょう。
最近は高齢の方でも携帯電話を持っている方も多く、友人の訃報連絡などは葬儀日程の文書を携帯のカメラで撮影して送ったり、メールやメッセージで受け取ったテキストをコピーしてまた別の人に連絡するという形も多いです。
携帯電話でのやり取りでも香典辞退の意向が伝わるように、はっきりと書かれているとわかりやすいでしょう。
伝える内容
香典のみを辞退するのか、香典以外も弔電・供花などすべての供物をお断りするのか、弔問・会葬もお断りするのかをしっかり伝えるようにします。
基本的に、訃報連絡の文書では下記の内容が相手に伝わるようにしましょう。
- 誰がいつ亡くなったのか(享年を記載する場合も)
- 生前のお付き合いに感謝(入れなくても可)
- 葬儀の日程や場所の案内
- 香典や供物、弔問・会葬はお断りするのかどうか
- 喪主は誰か
以上の内容を文書にまとめます。
香典辞退の伝え方のパターンとしては、下記の言葉を参考にしてください。
- 「ご香典やご供花などのお気遣いはご遠慮させていただきます」
- 「弔問及びご香典・弔電・ご供花などのお気遣いは、故人の遺志により辞退させていただきます」
- 「故人の遺志により、お香典やお供えはお断りしております 誠に恐縮ですが、お気持ちだけありがたく頂戴します」
- 「故人の意志により 誠に勝手ながら御香典や御供花などは ご辞退申し上げます」
- 「御香典・御供え物につきましても 故人の遺志により 固くご辞退申し上げます」
実際に家族葬の場合や、会社内で回す文書、友人に送るメール便など、詳しく例文をみてきましょう。
家族葬での香典を辞退する場合の断り方
家族葬で香典を辞退する場合には、「故人の希望により家族葬にさせて頂きます。つきましては弔問および香典・供物はご辞退申し上げます」と、家族葬という事だけでなく、香典辞退の旨もはっきり記載します。
また、香典や供物は「ご厚志」という言葉も使えます。どちらの意味も含んでいるのでスマートですが、相手によってはわかりずらい場合もあるのではっきりと何をお断りするのか明記した方がわかりやすいでしょう。
家族葬の場合は、基本的には一般の方の弔問・会葬はお断りするという形になります。ただし、訃報を聞いて弔電等は送りたい方もいますので、弔電を受け付ける場合には葬儀の日程を記載しておくと親切でしょう。
例文1(家族葬で香典や供物をお断りする場合)
謹啓
父(喪主との続柄) 〇〇(故人の名前)儀 ◯月◯日 享年八十歳にて永眠致しました 日時:通夜式 〇月〇日 午後6時から 尚 故人の意志により家族葬にさせて頂きます 誠に勝手ながら弔問および御香典や御供花等は ご辞退申し上げます 敬白 令和〇年◯月◯日 |
また、家族葬の場合には、事前に周囲には知らせず葬儀を行い、後から周知するという方法もあります。一般的には初七日が過ぎ、四十九日までに、死亡を知らせるのが良いとされています。この場合は手紙やハガキを使っても良いでしょう。
例文2(家族葬で後から葬儀を行ったことを知らせる場合)
謹啓
父(喪主との続柄) 〇〇(故人の名前)儀 ◯月◯日 享年八十歳にて永眠致しました 敬白 令和〇年◯月◯日 |
後から知らせる場合には、故人の友人などから自宅に弔問に来たいと言われる場合もあります。文書内には喪主の住所や連絡先を入れておくと親切です。
職場からの香典を辞退する場合の断り方
家族葬で、香典や弔電、供花、弔問・会葬など全てを辞退する場合、社内通知用には、日時・場所は掲載しないようにします。職場などではメールで回すことが現在では多いでしょう。
例文3(職場からの会葬・香典・弔電・供花全てを辞退)
謹啓
〇月〇日 父(本人との続柄) 〇〇(享年八十歳)が死去いたしました。 敬白 〇〇〇〇 |
身内が亡くなった場合は「死去」「亡くなる」「永眠」「他界」などの言葉を使用します。急に亡くなった場合には「急逝」も使えます。
しかし、「逝去」は尊敬語です。社内の総務部や人事部の方などが社員やその家族の訃報連絡を代理で回す際には利用できますが、本人が送る訃報連絡には使えないので注意しましょう。
友人、知人からの香典を辞退する場合の断り方
故人の友人へ香典辞退の連絡をする際は、親しかった方には電話をまず入れるようにしましょう。その後メール等で葬儀の詳細を伝えると同時にはっきりと香典辞退の連絡をするのがおすすめです。
例文4(故人の友人にメールやメッセージを送る場合)
〇〇(故人の名前)の息子〇〇です。本日午後8時に父が亡くなりました。生前のお付き合いに感謝申し上げます。
通夜は〇月〇日午後6時から、告別式は翌日の〇月〇日午前11時から〇〇区の〇〇セレモニーホールで行います。 つきましては、誠に勝手ながらご香典やご供花などのお気遣いは辞退させていただきます。 〇〇〇〇(名前) |
友人等へのメールやメッセージをを送る場合は文書等よりもフランクな形でも問題ないでしょう。必要事項を簡潔にまとめて送ります。
ちなみに、訃報連絡は下記の順で行うようにします。
- 家族、親族、近親者などの故人との血縁者
- 故人と親しい間柄だった友人
- 故人の知人、会社、学校関係など
- 遺族の関係者
- 町内会などご近所関係
辞退しているにも関わらず、香典をいただいたときは?
香典辞退の意思を事前に伝えていても、葬儀の際に参列者から香典を渡されたり、郵送で届いたりするケースもあります。
直接渡された場合は、一度はお断りしましょう。郵送で届いた場合は返送等はしません。
その際には、「大変恐縮ですが…」「お気持ちは嬉しいのですが…」などと丁寧な言葉でやんわりと断るようにします。
それでも渡された場合には、無理に断ってしまうとトラブルになる可能性もありますので、素直に頂いておくようにしましょう。
いただいた方には四十九日法要が終わった後に頂いた香典の金額の3分の1~半額程度の品物を香典返しとして贈るようにします。
また、一度も断らずに受け取るのも要注意です。簡単に受け取ってしまうと、他の人も「受け取るんだったら持ってきたのに…」と思ってしまいトラブルになる可能性もあります。
なるべく、全員に同じ対応をするように心がけましょう。
まとめ
香典辞退をする人が増えてきたとはいえ、まだまだ一般的ではありません。
もし、辞退をする場合には、なるべく事前に伝わるように配慮をします。それでも事前に伝わりきらない場合や、知っていたけれど自分の家の葬儀で香典を貰っていたから受け取ってほしいと持ってくる方もいます。
もし持ってきていただいた方がいた場合には、丁寧な対応でお断りするように心がけ、不要なトラブルは避けるようにしましょう。
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