香典では偶数を避けるべき?金額や枚数は「割り切れないもの」がマナー

© kudoh/stock.adobe.com
葬儀に持参する香典を用意するとき、どのお札を何枚用意するか迷うこともあるのではないでしょうか。香典には偶数はだめと聞いたことがあるが、そもそも金額の相場が分からないという悩みはよく聞きます。ただし、香典には金額以外にも色々なマナーがあり、知らず知らずのうちにマナー違反をしていることもあります。そうすると、遺族は故人を亡くした悲しみのなか、頂いた香典に関連して不快な思いを抱くことにもなりかねません。この記事では香典を準備するときに気をつけるべき、金額やお札に関するマナーについて分かりやすく解説していきます。
目次
香典は偶数を避けたほうが良い
香典に包む金額は故人との関係性でおおよその相場がありますが、その中でも偶数の金額は避けたほうが良いとされています。これは、偶数は割り切れる数字のため遺族と故人との関係が「切れる」と連想されるからです。故人の供養をこれからも切れることなく執り行いたいと考えている遺族にとっては、大変に不快であると感じることもあるでしょう。
特に昔から日本人は数字に関わるゴロなどを気にかける風習があり、年配の方などではその傾向がまだまだ強いようです。このような理由から、香典として包む金額は偶数は避けられ、奇数の金額が良いとされるのが一般的です。
また、奇数でも特に「1」「3」「5」が好ましい数字とされています。
地域によっては偶数でも良い
葬儀に関するマナーや風習は地域によって違いがあります。そのため、中には香典の金額が偶数でも問題にしないとされる地域もあります。また、最近では偶数でも気にしないと考える方も増えてはきているようです。しかし、地域の風習や相手の考えが分からない場合も多いため、香典を準備する時にはどのような人にも失礼にあたらない奇数の金額にするほうが無難であり望ましいと言えるでしょう。
金額だけでなく枚数にも注意!
香典の金額は奇数にするのが好ましいですが、金額だけではなくお札の枚数にも気をつけなければなりません。それでは、香典として包むお札の枚数にはどのような注意が必要なのでしょうか。
お札の枚数も「偶数」にしない
香典は硬貨ではなくすべてお札にして香典袋に入れるようにします。その際のお札の枚数にも気をつけましょう。香典の金額として偶数が好ましくないのと同様に、香典としてお渡しするお札の枚数も偶数はタブーとされています。
最近では偶数の金額はタブーとされる中でも2万円の香典は良しとされる考え方も出てきています。しかし、このような場合にはお札の枚数は奇数になるように、1万円札と5千円札を2枚にして包むような配慮が必要です。
お札の枚数はできるだけ少なくする
香典に入れるお札は枚数を奇数にするだけでなく、お札の枚数を出来るだけ少なくする配慮も必要です。お札の枚数を少なくすることで、遺族は香典を受け取った時に数えやすく、たくさんの香典を数える際の負担を減らすことができます。会社などで複数の人から香典を集めた場合などでも、集めたお金をそのまま入れるのではなく最小限のお札の枚数になるように両替をして香典袋に入れるようにしましょう。
「4」と「9」がつく金額・枚数も避けましょう
香典の金額やお札の枚数は偶数を避けるようにするだけでなく、「4」や「9」の数字も避けるようにします。「4」や「9」は死や苦を連想させる忌み数といい、不吉な数としていろいろな場面での使用が避けられる数字です。そのため、これらの数字からは縁起が悪いと相手を不快にさせることがあるため香典の金額やお札の枚数にも使用しないように注意します。
香典の相場は?

©SB/stock.adobe.com
葬儀に参列することになった時に、香典にいくら包めばよいのかということは一番悩むところです。香典の相場は故人との関係性によって相場が変わり関係性が深ければ深いほどその金額は高額になります。また、関係性だけでなく自分の年齢によっても金額が異なりますが、大体の相場はあらかじめ知っておくようにしましょう。
親族の香典相場
故人が親族の場合は香典の金額も高額になる傾向になります。ただ、地域の風習によって相場が違う場合もあるため、事前に同列の親族と相談しあらかじめ金額をあわせておくと安心です。
一般的には親の場合は3~10万円、祖父母の場合で1~5万円、叔父・叔母の場合1~3万円、兄弟の場合3~5万円が相場となります。この中で、自分の年齢が若ければ低い金額を、年齢が上がるにつれて高い金額を包むようにしましょう。もしいくらにすればよいかを迷うようなことがあれば、高い金額を包むようにすると良いでしょう。
親族以外の香典相場
親族以外の香典は仕事の関係の方であれば3千円~1万円、友人や知人の場合は5千円~1万円くらいが相場です。この場合は自分の年齢よりも故人との付き合いの深さを基準に金額を決めていくようにします。ただし、親族以外の場合では数える時にキリの良い5千円にすることが望ましいとされることもあります。
頻繁に顔を合わせていた友人や知人の場合には香典の金額は多く包むようにしましょう。
その他香典のお札に関するマナー
香典には数字に関することの他にも香典の包み方に関してのマナーがあります。このことを知らずに香典をお渡しすると、せっかく数字に関するマナーに気をつけていても遺族に不快感を感じさせることにもなりかねません。香典袋にお札を入れる際のマナーもあわせて知っておくようにしましょう。
新札を使わない
香典として包むお札に新札を使用することはマナー違反になります。これはあらかじめ新札を準備しておくことで、故人がなくなることを予測しその準備をしていたと受け取れるためです。だからと言って、香典としてお渡しするのにあまりにも汚れたお札を使用するのも失礼にあたります。なるべくきれいなお札を選ぶようにするか、新札を使用する際には一度折り目をつければよいとされているため、香典にはそのようなお札を使うようにします。
お札の向きを確かめる
お札には表裏や上下があります。肖像画の描かれている面がお札の表面です。香典袋にお金を入れる時には、お悔やみで顔を伏せるという意味で肖像画の方を下にして、香典袋を表から見た時にお札が裏向きになるように入れます。
また、複数枚のお札を入れる時にはお札の向きを揃えるようにします。中には向きは気にしないと言われる方もおられますが、こうすることでお札を数える時にも数えやすくする遺族に対する配慮と言えるでしょう。香典袋に入れる時にはこれらの向きを確かめるようにしましょう。
このほか、香典袋には中袋や中包みのついているものがあります。その場合にもお札の表裏には注意が必要です。中袋や中包みのない香典袋の場合には直接お札を入れます。
まとめ
香典の金額やお札の枚数が偶数になると故人との関係が切れることを連想させてしまい、遺族に不快な思いをさせることにもなりかねません。香典を準備するときには気をつけておかなければいけないマナーがたくさんあります。これらを知っておくことは、故人に対しての敬意をあらわすことにもなり、遺族に対してもお悔やみとねぎらいの身持ちが伝わるのではないでしょうか。