【法事の香典】金額相場や香典袋の書き方・包み方、渡し方を解説
葬儀を終えた後、仏教であれば四十九日、一周忌、三回忌など年忌法要といわれる法事で、定期的に故人を供養していくことになります。故人の親族や親しかった友人であれば、年忌法要に呼ばれることもあるでしょう。
「葬儀の香典と法事の香典では、金額相場が異なる?」「法事でも香典を包む際に薄墨を使う?」などと疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、法事に参加する際の香典の相場やマナーについて解説していきます。
目次
法事で包む香典の金額相場
初七日は告別式の際にまとめて行う方も多いため、実際に葬儀を終えた後、初めての法要を行うのは四十九日法要という方が多いのではないでしょうか。四十九日の後は一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌と続きます。
地域や宗派によっては、四十九日以前の法要でも親族が香典を出す場合もありますが、基本的には四十九日以降の法要でお香典を出す形で問題ないでしょう。
香典の金額相場は、法要の後の会食(お斎:おとき)に出るかどうかでも変わってきます。会食にも参加する場合には、飲食費として5千円~1万円を香典の金額にプラスして入れましょう。自宅で行う場合は5千円程度、ホテルや料亭で行う場合は1万円程度と考えておきます。
夫婦連名で出す場合は、香典の金額は世帯で一つと考え、一人分の相場の金額で構いません。ただし、会食にも参加する場合には、二人分の会食代を(1~2万円)をプラスして包みましょう。これは、子どもなどを含めた家族で参加する際にも同様です。香典に入れようと思っている金額に、参加する人数分の会食費を合わせて入れます。
それでは、四十九日法要と一周忌・三回忌、七回忌以降で分けて香典の相場金額を解説いたします。
四十九日法要
【四十九日法要の香典の金額相場】
【故人が親】3万~10万 |
自分が20代~30代:3万~5万、自分が40代以上:5万~10万 |
【故人が兄弟・姉妹】1万~5万 |
自分が20代~30代:1万~3万、自分が40代以上:3万~5万 |
【故人が祖父母】5千円~3万円 |
自分が20代~30代:5千円~2万、自分が40代以上:2万~3万 |
【故人が叔父・叔母】5千円~2万円 |
自分が20代~30代:5千円~1万、自分が40代以上:1万~2万 |
【その他の親族】3千円~1万円 |
自分が20代~30代:3千円~5千円、自分が40代以上:5千円~1万 |
【友人や職場の関係者】3千円~1万円 |
自分が20代~30代:3千円~5千円、自分が40代以上:5千円~1万 |
四十九日法要は、浄土真宗以外の仏教では故人が霊から仏になるとされており、特に重要視されています。
また地域や宗派、そのお寺によって違いますが、四十九日のタイミングで納骨を行う方も多く、会食も行い、親族を集めて半日がかりで行うケースも多いです。
血縁関係が遠かったり、友人や職場の関係者であっても、大変お世話になっていたり非常に親しくしていたということであれば、上記の相場の限りではありません。
また、親族であれば卒塔婆を遺族に依頼して出すケースも多いです。卒塔婆代は別に包み、遺族に渡しましょう。
一周忌・三回忌
【一周忌・三回忌の香典の金額相場】
【故人が親】1万~5万 |
自分が20代~30代:1万~3万、自分が40代以上:3万~5万 |
【故人が兄弟・姉妹】1万~5万 |
自分が20代~30代:1万~3万、自分が40代以上:3万~5万 |
【故人が祖父母】5千円~3万円 |
自分が20代~30代:5千円~2万、自分が40代以上:2万~3万 |
【故人が叔父・叔母】5千円~2万円 |
自分が20代~30代:5千円~1万、自分が40代以上:1万~2万 |
【その他の親族】3千円~1万円 |
自分が20代~30代:3千円~5千円、自分が40代以上:5千円~1万 |
【友人や職場の関係者】3千円~1万円 |
自分が20代~30代:3千円~5千円、自分が40代以上:5千円~1万 |
一周忌は故人が亡くなってから一年後、三回忌は故人が亡くなってから二年後に行います。まだ亡くなってから日が浅い事に加え、仏教の教えからみても重要視されている追善供養のため、三回忌まではしっかりと菩提寺の住職に読経してもらう方が多いです。
基本的には、法事に招待された方が香典を用意する形で問題ありません。それ以外の方で、何か供養をしてあげたいと思う方は、供物を用意してお持ちすると良いでしょう。
ただし、一周忌は行うが三回忌は行わないことが決まっているという場合や、欠席する場合、四十九日の法事などに参列できなかった方は相場の中から高めに包んでいくことが多いです。
七回忌・十三回忌など
【七回忌・十三回忌などの香典の金額相場】
- 親の場合:1万~3万
- 兄弟・姉妹場合:1万~3万
- 祖父母の場合:5千円~2万円
- 叔父・叔母の場合:5千円~1万円
- その他の親族の場合:3千円~1万円
- 友人や職場の関係者の場合:3千円~1万円
三回忌の後の年忌法要は七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌、五十回忌まで続きます。ただし、三十三回忌以降は、故人を直接知る人が少なくなってきますので、三十三回忌もしくは十七回忌を弔い上げとする方が多いようです。
七回忌以降の年忌法要では親族以外が参列することは稀で、ごく近しい身内だけで行われることが多いため、事前に費用の打ち合わせをしたりするケースも多くみられます。
もし、香典を持っていく場合は下記を参考にしてください。故人が亡くなってから時間がたつほど相場も下がります。
また、身内だけで小さく行われる法事の場合は遺族が「香典は持ってこなくて良いよ」と事前に伝えてくれる場合もあります。その場合は、何かお茶菓子や故人の好物など供物を代わりに持っていくようにしましょう。
香典で避けるべき金額
法要で出す香典は、通夜・告別式に出す香典同様に下記の数字を避けるようにしましょう。
- 「死」を連想させる「4」
- 「苦しみ」を連想させる「9」
- 「故人との縁が切れる」を連想させる、割り切れる「偶数」
会食に参加する場合には、その費用も香典に含める必要があるので、会食費も合せて上記の金額を避けた金額になるように調整しましょう。
自分が入れようと思っていた金額が上記に当てはまってしまう場合には、なるべく繰り上げた金額を入れるようにします。
法事で香典を包む際のマナー
法事での香典にもいくつかマナーがあります。香典の表書きや、使うペンなど、通夜や告別式とは変えた方が良いケースもあります。
具体的に何が違うのか、法事ではどうするのが良いか見ていきましょう。
法事の香典袋は何を使う?
法事の際、1万円位以上包む場合には水引が取り外せるものを使うのが一般的です。3千円~5千円を包む場合には、水引が印刷された略式の香典袋を使っても構いません。
また、3万円以上包む場合には高級和紙で双銀の水引が使われているものが良いでしょう。
水引の色は、黒白、双銀、銀白、黄白、双白など数種類あります。
関東では、主に白黒の水引、関西の一部地域、特に京都では黄白の水引を使うのが一般的です。また、一周忌までは、白黒や双銀などの落ち着いた色の水引、三回忌以降は青白や黄白の水引を使っても構わないとする地域もあるようです。
全国的には黒白が一般的ですので、宗教や宗派がわからない場合は黒白を選択すると無難です。
地域や香典に入れる金額で香典袋の選び方を変えるようにしましょう。
▼香典袋の選び方を詳しく知りたい方はコチラ
香典の書き方は?
香典には、表書き、名前、住所、金額を記載します。
表書きは、香典袋に既に印刷されていたり、「御仏前」等の札が入っていたりするようであればそちらを利用します。自分で書く場合には、香典袋の水引より上の中央に縦書きで記入します。仏式の場合、四十九日以降の法要では「御仏前」か「御香典」となります。(浄土真宗では葬儀からずっと「御仏前」を利用します。)
名前はフルネームで香典袋の水引の結び目の下から、縦書きで記入します。
住所は中袋がついている場合、中袋の裏の左下に縦書きで記入します。記入欄がある場合はそれに従います。中袋がついていない場合には、外袋の裏の左下に縦書きで記入しましょう。
金額は、中袋の表側中央に縦書きで「金壱萬圓」等と記載するか、中袋の裏に住所の次に改行して続けて記載することも出来ます。それ以外の場所に記入欄がある場合は、従って書く形で問題ありません。記入欄が横書きの場合は、「10,000円」等とアラビア文字で書いても良いでしょう。
▼香典袋の書き方のマナーを詳しく知りたい方はコチラ
法事では薄墨を使って香典を書く?
薄墨を使うのは四十九日までとされています。通夜や告別式では、「突然の訃報で用意が間に合わなかった」「悲しみの涙で墨が薄れてしまった」ことを表現するために薄墨を使うともされています。
四十九日を過ぎると、忌明けと言って遺族も徐々に普通の生活に戻ります。このため、四十九日以降の法要では薄墨ではなく普通の濃い墨を使います。(一部地域では薄墨を使い続ける地域もあります。)
▼薄墨や香典を書く際の筆・ペンについてマナーを知りたい方はコチラ
法事の香典では新札を包んでも良い?
法事の香典では新札を使っても構いません。通夜や告別式では、新札ではあらかじめ用意していたことを連想させてしまうため、新札を使いませんが、法事の日程は事前に決まっているので使っても大丈夫です。
ただし、新札は重なりやすく数え間違いの元にもなるので、気になる方は新札に折り目を入れて包むのが良いでしょう。
お札の入れ方は?
お札の向きは、通夜や告別式で出す香典と同様です。
お札の向きを揃え、香典袋を表から見たときにお札が裏を向いているように入れます。
中袋がある場合の香典袋には、中袋に対しても、表にしたときにお札が裏を向いているようにして入れます。中袋は封筒タイプであることが多く、中袋のふたが付いている方が裏になります。
自分がお札を入れるときは、ふたが付いている裏面から入れると思いますので、お札の肖像画と目が合う形で入れていけば、表を向けたときに自然とお札は裏を向いている形になります。
中袋がないタイプの香典袋は、御仏前などの表書きや自分の名前を書く面が香典袋の表面となりますので、表から見たときにお札が裏を向いているように入れるようにします。
▼香典のお札の入れ方を詳しく知りたい方はコチラ
法事での香典の渡し方
法事に参加するのは親族が中心となるため、受付を設けることはほとんどありません。お寺や斎場、ホテルなどで法事を行う場合は、祭壇の前に香典をのせる黒塗りの切手盆がおいてあることが多いです。
切手盆がある場合、法事が始まる前に一度祭壇に向かって焼香をし、その後香典を自分が文字を読める向きにして置きます。
故人や遺族の自宅で行う場合は、仏壇の上や前に香典を置く形になります。こちらも、到着したらまずお線香をあげたり、焼香をしたりした後で、香典を置くようにします。
もし置き場所がわからなければ、遺族に確認しても大丈夫です。
孫も香典を包む?
故人からみて孫の立場の方も、自立していれば香典を包むようにしましょう。成人していても学生の場合や、親の扶養に入っている場合は出さなくても構いません。
しかし、30歳を超えている場合には例え学生だったとしても自分の名前の香典を出した方が良いでしょう。逆に、十代でも就職していて自分で生計を立てて生活しているのであれば、少額でも自分の名前で出すのが良いでしょう。
故人が祖父母の場合、5千円~3万円程度が法事の際の相場となります。無理をして生活が苦しくなるのは祖父母も望んではいないと思いますので、自分の経済状況も考えた上で香典の金額を決める形で問題ないでしょう。
まとめ
親戚が亡くなった場合、年忌法要に参加することもあるでしょう。
幼い頃は親と共に参加していた方も、いざ、社会人になってから参加する際には、香典の相場や法事のマナーなどどうして良いかわからない事が多い方もいるかもしれません。
年忌法要のやり方もその地域や家庭によってそれぞれですので、不安があれば一度遺族に確認してみると良いでしょう。
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