養護老人ホームとは?費用から特養との違いまで徹底解説!

「介護施設に入るためのお金が足りない!」「生活が困窮していて、自力で暮らすことができない…。家族からも援助を受けられない。」といった事情のある高齢者ができる施設サービスがあることをご存知ですか?

養護老人ホームとは、環境や経済状況などの理由により、自宅にて生活をおくることが難しい高齢者が、自立した日常生活をおくり、社会的な活動に参加するために養護を受けることができる施設です。

ただ、養護老人ホームは介護施設とよく勘違いされますが、実は介護施設ではありません。

「えっ、介護施設じゃないの?養護老人ホームってよく分からないな…」

という方のために、ここでは養護老人ホームの特徴、費用、特養や軽費老人ホームとの違いなどをまとめていきます。

養護老人ホームとは

養護老人ホームは主に地方公共団体と社会福祉法人が設置主体の社会福祉施設です。

65歳以上で、環境上の理由や経済的理由により自宅にて自力で生活することが難しい方を受け入れ、援助をおこなう措置施設となっています。

つまり、養護老人ホームはさまざまな面で課題を抱え、自力で生活を維持することが難しい低所得の高齢者の生活を支える大きな役割を担う施設であるといえます。

ただし養護老人ホームは介護施設ではなく養護施設となっているため、基本的に介護サービスの提供はおこなっていません

そのため入居の対象者は、自立している方または援助があれば身の回りのことは自分でおこなえる方となっています。

もし入居後に要介護状態になってしまった場合には介護保険施設に移ることがほとんどです。

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養護老人ホームで受けられるサービス

©poko42/stock.adobe.com

養護老人ホームでは食事の提供や安否確認、生活相談、健康管理、レクリエーション、日常生活のサポートをなどをおこないます。また、生活に関わる範囲には対応ができるようになっています。

そのほか生きがい支援や就労支援などを通じて自立支援もおこなっています。

このように特養や老健などの介護施設とは違って、基本的に介護や機能訓練(リハビリテーション)などのサービスの提供はありません。

養護老人ホームは「特定施設」

介護サービスの提供はないといいましたが、実は養護老人ホ―ムは2006年の介護保険制度の見直しの際に「特定施設」に追加されています。

そのため、施設入居中に要介護認定された場合には特定施設入居者生活介護および地域密着型特定施設入居者介護を受けることができます。

補足として説明すると、特定施設入居者生活介護とは、特定施設の指定を受けている施設の入居者が受けられるサービスのことをいいます。

例えば入浴、排泄、食事などの介護やその他の日常生活の世話、機能訓練(リハビリテーション)、療養上の世話といったサービスを受けることができます。このサービスには施設のスタッフが自ら介護をおこなう「一般型」と外部に介護を委託する「外部サービス利用型」があります。

このほか、訪問介護やデイサービスなど、介護保険が適用される外部の介護サービスを利用することも可能です。

このように、養護老人ホームの主な機能は生活支援と見守りとなっています。利用者一人ひとりの身体的機能面、精神心理面、社会環境面の三面を高め、生活の質を高める役割を担う施設となります。

また、養護老人ホームは職員の配置基準に従って生活相談員、支援員、看護師が日中は常駐しています。そのため、入居者に対して24時間の支援が可能となっています。

養護老人ホームの分類

養護老人ホームは「養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」により、「一般的な養護老人ホーム」「盲養護老人ホーム」に分類されます。

盲養護老人ホームとは、視覚や聴覚に障害がある方が入居定員の7割を超える養護老人ホームのことをさします。

盲養護老人ホームの方が一般的な養護老人ホームよりも職員の配置基準が手厚くなっています。

参考:養護老人ホームの歴史的変遷と盲養護老人ホームと 他施設との入所要件について

施設内には基本的な設備である居室や食堂、洗面所、集会室などのほか、入居者を支えるために医務室や職員室、静養室などの設備もあります。

入居者一人あたりの床面積は10.65㎡以上で、これは特養や老健などと同じ基準となります。

養護老人ホームの入所条件

生活保護

養護老人ホームの入所基準は以下の2つがあります。

  • 原則、65歳以上の方
  • 環境上の理由及び経済的理由により居宅での生活が困難であると判断された方

「環境上の理由」と「経済的理由」にあてはまるかどうかは、入所申請後に各自治体が判定をし、養護老人ホームへ入所できるかどうかがきまります。

環境上の理由と経済的な理由にあてはまるかの基準は、以下のようになっています。なお、環境上の理由は項目すべてに該当する必要があり、経済的な理由は項目のいずれかに該当する必要があります。

また、養護老人ホームでは施設職員による介護サービスの提供を行っていないため、介護度の重い方は入所が難しい場合があります。

養護老人ホームの入所基準項目

▼養護老人ホームの入所基準をさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック

養護老人ホームの入所基準とは?入所が認められる理由を紹介

養護老人ホームの費用

養護老人ホームの費用は、月額費用のみで入居一時金は必要ありません。また、月額費用も本人、もしくは入所者を扶養する義務のある者(多くは配偶者か子ども)の収入によって異なります。

具体的には、本人、もしくは扶養義務者の前年の収入に応じて階層が分けられ、その階層区分に応じて費用徴収基準額が定められています。

例えば、本人への徴収に関しては前年の年収が27万円以下であれば費用は0円で、費用の上限は14万円とされています。扶養義務者への徴収は生活保護を受けていたり市町村民税が非課税であれば0円などと決まっています。

▼養護老人ホームの費用相場とその内訳はこちらの記事をチェック

養護老人ホームの費用|費用徴収の基準や料金をご紹介

特養・ケアハウス・養護老人ホームの違い

施設の目的と対象者が異なります。具体的には以下の通りです。

特養(介護老人福祉施設)

特養とは、施設に入居する要介護者に対し施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、 食事などの介護やその他の日常生活上の世話、 機能訓練(リハビリテーション)、健康管理および療養上の世話をおこなうことを目的とする施設です。

特養は要介護度が高い高齢者のための介護施設であるため、原則要介護3以上の方を対象としています。

▼特養の特徴やメリットを詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック

特養とは?気になる費用や入居条件について詳しく解説!【2020年度最新版】

ケアハウス

ケアハウスとは、低額な料金で高齢者を受け入れ、食事の提供やその他日常生活を営む上で必要な支援を提供することを目的とする施設です。

そのためケアハウスでは、自立して生活することに不安があると認められた方で、かつ家族からの援助を受けることが難しい60歳以上の方を対象としています。

▼ケアハウスの特徴やメリットを詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック

ケアハウスとは?費用や入居などをわかりやすく解説!

養護老人ホーム

養護老人ホームは生活に困窮した高齢者を受け入れて養護し、入居者が自立した生活を営み、社会的活動に参加できるように、必要な指導や訓練、そのほか生活の援助を行うことを目的とする施設です。

そのため、65歳以上の方で、環境上及び経済的理由により自宅で生活を維持するための養護を受けることが困難な方を対象にしています。

このように名前や対象が似ていても、施設によって目的や対象が異なるため、施設で受けられるサービスも異なってきます。

参考:厚生労働省-看取り 参考資料

養護老人ホームのメリット・デメリット

では、ここまでみてきたことを踏まえて養護老人ホームに入居するメリットとデメリットをまとめていきます。

養護老人ホームのメリット

生活困難者でも入居できる

養護老人ホームでは費用が収入に応じて定められているため、収入状況によって費用負担額は変わるものの、低所得者でも低額の費用で入居することができます。

24時間スタッフが勤務している

養護老人ホームは職員の配置基準により夜間または深夜の時間帯を通して一人以上の職員が勤務することを義務付けられています。そのため、急に入居者の体調が悪化し病院への緊急搬送が必要になった場合などにも対応することが可能です。

養護老人ホームのデメリット

入所判定が厳しい

養護老人ホームは自力で生活することができない高齢者を対象としているので、そもそも入居の段階で市区町村から「環境上の理由」か「経済的理由」があると決定されなければいけません。そのため必ずしも希望の施設や時期に入居できるわけではなく、他の介護福祉施設などと比べると入居対象者の範囲は狭くなっています。

要介護の度合いによって退去する必要がある

養護老人ホームの対象は自立している方または援助があれば身の回りのことは自分でおこなえる方となっているため、重度の要介護者に対する体制が整っていません。外部の介護サービスを利用すれば生活できる程度であれば継続して入居することが可能ですが、要介護度合いが高くなると他の介護福祉施設に移るなど、退去する必要があります。

また、それまで健康であったとしても入院が3ヶ月以上になる場合にも退去が必要です。

自由が制限されている部分がある

養護老人ホームでは外泊や外出をする際に申請が必要であるため、施設を自由に出入りすることはできません。また、飲酒や喫煙にも規制があります。そのため人によっては自由に好きなことができないことに対するストレスが溜まる可能性があります。

入居者同士のトラブルになりやすい

介護を主とする施設ではないため、自立している元気な方が多いです。そのため、利用者同士の自己主張が多くなり、トラブルになりやすいといえます。

この施設の特性としては、入居者は自分の考えが意見をはっきり言える人が対象であるため、人によっては生活に窮屈を感じることがあります。

まとめ

養護老人ホームは経済的・環境的・精神的などの理由で自力では生活できない高齢者の方にとってのセーフティネットの役割をする「砦」のようなものであることがわかりました。ただし養護老人ホームの役割はあくまでも「養護」となっており、介護の必要度合いによっては他の介護施設への移動を余儀なくされます。

そのため養護老人ホームへの入居が可能であった場合でも、養護老人ホームからの移動後に入居できる高齢者向けの施設もあらかじめ探しておくことが大切です。

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この記事を書いた人:目黒 颯己

保有資格:高齢者住まいアドバイザー検定 ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)
大学卒業後、株式会社ネオキャリアに入社。総合求人サイトの立ち上げの経験後、老後を自分らしく過ごすための情報サイト「ヒトシア」の立ち上げを経て介護施設・老人ホームの紹介事業を行っております。
現在はヒトシアと並行して介護士向け求人サイトも兼務しており、介護全般に精通しています。
参考:http://ksa-kentei.com/adviser/3695

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