特別養護老人ホームと養護老人ホームの違いとは?費用や入居条件を徹底比較!

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)と養護老人ホーム…名前がとても似ていてややこしいですよね。


特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設のことを指し、一般的には「特養」と呼ばれています.(以下、特養)  
また特養が介護施設であるのに対し、養護老人ホームは実は介護施設ではありません。

このように両施設はともに地方公共団体と社会福祉法人により設置される高齢者向けの住まいではありますが、両施設は名前さえ似ているものの、全く異なる特徴を持った施設となっています。

これら2つの施設はその目的に沿って「サービスの内容」や「入居条件」などが大きく異なります。そこで、この記事では特養と養護老人ホームの違いを徹底解説します!

特別養護老人ホームと養護老人ホームの設立までの流れ

1929年、日本において初めての本格的な福祉法である救護法が制定されました。
この法律の制定により、貧困により生活ができない高齢者を対象に「養老院」での保護をおこなうようになります。

その後、第二次世界大戦の終結とともに日本は新憲法を制定し、25条で生存権の保障が明記されると、それに伴って1946年に生活保護法(旧)が制定され、養老院は「保護施設」に位置付けられました。また、1950年には生活保護法は改正されて施設の名称も「養護施設」へと変更されます。

そして、1963年に老人福祉法が制定され老人ホームの体系化がおこなわれると、「養護施設」は再編され、「養護老人ホーム」が誕生しました。
同時に、特に介護を必要とする要介護者を対象とした「特別養護老人ホーム」も誕生します。

つまり、養護老人ホームは貧困の高齢者を対象にした保護施設、特養はその中でも要介護者を対象とした保護施設という区分になります。

参考:高齢者福祉制度の発展過程
参考:戦前の養老院における入所者処遇

施設の目的と対象者

高齢者の手を支えるヘルパー

©AfricaStudio/stock.adobe.com

設立背景を踏まえ、両施設の目的と対象者を確認していきます。

養護老人ホームの目的は「援助」

養護老人ホームとは、環境的・経済的に困窮し、自宅で生活をすることが難しい高齢者を「養護」したうえで「援助」することが目的の措置施設です。

さまざまな面で課題を抱えている高齢者を支えるセーフティーネットとして、大きな役割を担う施設となっています。

ここで、注意すべきは、養護老人ホームは介護施設ではないということです。あくまで高齢者の「援助」を目的としている施設です。そのため、施設の入居対象者は身の回りのことが自分でできる方となっています。

特養の目的は「介護」

特別養護老人ホームとは、身体的・精神的に著しい障がいがあるために常に介護を必要としているものの、自宅で介護を受けることが難しい要介護認定を受けている高齢者などに対して「養護」に加えて「介護」も提供することが目的の介護保険施設です。
そのため入居者の対象は原則、特に介護が必要な要介護3以上の方となっています。

養護老人ホームの「措置」とは異なり、特養の場合は施設と入居者が「契約」することで入居ができます。

参考:厚生労働省(老健局)の取組について

特養と養護老人ホームのサービスの違い

施設の目的に応じて提供するサービスも異なっています。
ここでは、特養と養護老人ホームそれぞれのサービス内容をまとめていきます。

養護老人ホームで受けられる「援助」サービス

再度になりますが、養護老人ホームは介護施設ではなく、生活に困窮している高齢者を「養護」することを目的とする社会福祉施設です。
そのため、介護サービスの提供は原則おこなっていません。

サービスは食事の提供や安否確認、生活相談、健康管理、レクリエーション、日常生活のサポートといった生活の範囲内の援助となっています。

ただし、養護老人ホームは厚生労働省が定める「特定施設」に指定されています。そのため、入居中に要介護認定をされた場合には、特定施設入居者生活介護や地域密着型特定施設入居者介護を受けたり、訪問介護やデイサービスなど、介護保険が適用される居宅サービスを利用することが可能となります。

特養で受けられる「介護」サービス

特別養護老人ホームは要介護者のための生活施設です。

介護なしでは生活をおくることが難しい方が入居するため、生活全般の介護を必要とします。

そのため特別養護老人ホームでは入居者に対して、入浴、排泄、食事などの介護やその他日常生活の世話、機能訓練(リハビリテーション)、健康管理、療養上の世話をおこなっています。

特別養護老人ホームと養護老人ホームの入居条件

入居条件©tamayura39/stock.adobe.com

では、対象者の入居を受け入れるために両施設が設定している入居条件について、それぞれみていきましょう。

養護老人ホームの入居条件

養護老人ホームの入居条件は以下のとおりです。

  • 原則、65歳以上の方
    ※例外として、65歳未満である場合でも初期の認知症の方などは認められる可能性があります。
  • 環境上の理由及び経済的理由により居宅での生活が困難であると判断された方

このように、養護老人ホームへの入居の際には「環境的・経済的に困窮しているか」が重要視されます。

特養の入居条件

特養の入居条件は以下のとおりです。

  • 原則、65歳以上の方
    ※例外として、40歳以上65歳未満で特定疾病のため介護が必要と認められている方
  • 原則、要介護3以上の方
    ※例外として、一定の要件を満たしている要介護1.2の方)

このように、特養への入居の際には「介護がどれくらい必要か」が重要視されます。

【特別養護老人ホームの入居条件】要介護3と認定されなくても入所する方法もご紹介

設備や人員配置基準の違いを比較

施設の設備や人員などの細かい基準などはどのように違っているか比べてみましょう。

特養の基準

設備基準

  • 居室:原則定員1人
    入居者1人当たりの床面積は10.65㎡以上
  • 医務室:医療法に規定する診療所とすること
    入所者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること
  • 食堂及び機能訓練室:入所定員×3㎡以上
  • 廊下幅:1.8m以上

人員配置基準

  • 生活相談員:入居者の数が100人またはその端数を増すごとに1人以上
  • 介護士、看護師:施設利用者3人に対して1人以上
  • 医師:入居者の健康管理および療養上の指導を行うために必要な人数
  • 栄養管理士:1人以上
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー):1人以上(入居者の数が100人またはその端数を増すごとに1人以上)

養護老人ホームの基準

設備基準

  • 居室:地上に設けてはならない
    入居者1人当たりの床面積は10.65㎡以上
  • 医務室:入所者を診療するために必要な医薬品及び医療機器を備えるほか、必要に応じて臨床検査設備を設けること
  • 廊下幅:1.35m以上

人員配置基準

  • 生活相談員:入居者の数が30人またはその端数を増すごとに1人以上
  • 医師:入居者の健康管理及び療養上の指導を行うために必要な人数
  • 栄養管理士:1人以上
  • 支援員:入居者の数が15人またはその端数を増すごとに1人以上

それぞれの特徴としては、
養護老人ホームは入居者の「援助」が中心であるため、生活相談員や支援員の数が多くなっています。

対して、特養では入居者の「介護」が中心であるため、サービスの計画をおこなうケアマネジャーや介護スタッフ、看護師の数が多くなっています。

このように施設の目的によって人員配置にも違いがあることがわかります。

特養と養護老人ホームの費用

ここでは両施設に入居した際にかかる費用をまとめていきます。
費用に関して特養、養護老人ホームともに共通するところは、入所一時金などの初期費用はかからないというところになります。
それでは、それぞれの月額費用とその内訳をみていきましょう。

養護老人ホームでかかる月々の費用

養護老人ホームに入居した際にかかる月々の費用は入居者の前年の収入に応じて変わります。そして、徴収費用のなかに施設サービス費や居住費、食費などがすべて含まれています。

費用徴収月額一覧

養護老人ホームの費用一覧

出典:大都市の養護老人ホーム

特養でかかる月々の費用

特養に入居した際にかかる月々の費用は8~12万円程度になります。
その内訳は以下のとおりです。

  • 施設サービス費用の自己負担分(介護サービス費用+おむつ代など)
  • 居住費(室料+光熱費)
  • 食費
  • その他費用(娯楽費など)

自己負担額は要介護度によって変わります。また、その他の費用として一定額(例 月2万)を追加で徴収する施設もあります。
ただし、特養は「介護保険負担限度額認定証」を利用することができるため、所得や貯金額が低額で支払いが難しい入居者は食費と住宅費が安くなる場合があります。(公費で負担して貰えるため、施設の収入にも問題はありません。)

月額費用イメージ

要介護度4の方の月額費用イメージ画像

参考:どんなサービスがあるの? 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

このように、養護老人ホームは収入によって、特養は要介護度によって月額費用が変わることがわかります。

特養の費用相場は?要介護度別の料金表でわかりやすく解説

まとめ

養護老人ホームは環境的・経済的な理由、特養は常に介護が必要であるという理由により、それぞれ自宅で過ごすことができない方を受け入れています。

どちらも「自宅において自力で生活することが難しい高齢者」を対象にしていますが、その理由が明確に違います。

この記事をとおして、それぞれの施設の目的に沿ったサービス、入居条件が決められていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

介護施設や老人ホームなど高齢者住宅・施設の全種類を解説|費用や特徴、選び方や種類ごとの違いとは?

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この記事を書いた人:目黒 颯己

保有資格:高齢者住まいアドバイザー検定 ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)
大学卒業後、株式会社ネオキャリアに入社。総合求人サイトの立ち上げの経験後、老後を自分らしく過ごすための情報サイト「ヒトシア」の立ち上げを経て介護施設・老人ホームの紹介事業を行っております。
現在はヒトシアと並行して介護士向け求人サイトも兼務しており、介護全般に精通しています。
参考:http://ksa-kentei.com/adviser/3695

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