老人ホームでの外出には許可が必要?外出禁止されるケースや自由度について解説

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「老人ホームに入ると外泊・外出禁止になるのでは?」と考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、実際には可能な限り本人の意見を尊重してくれて、外出許可を貰える場合もあるのです。

今回の記事では、どのような場合に外出禁止になるのか、外出が自由な老人ホームはあるのかなどお伝えします。

老人ホームでは基本的に外出可能

老人ホームに入居しても基本的には外出することは可能です。

特養など介護保険の対象となる施設では付き添いは必要ですが、外出許可届・外出同意書などを提出することにより、外出が認められることが多いです。

また外泊したい場合にも外泊許可書を提出、許可されると外泊することが可能です。

高級老人ホームなど、活動性の高い高齢者が入居しているような老人ホームでは、外出の自由度は高く、旅行などの外泊することも可能です。

老人ホームが外出禁止・制限するケースとは

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老人ホームでの外出は基本的には可能ですが、希望しても必ず許されるわけではありません。

もちろん、外の空気を吸ったり、ショッピングなどに行くことは精神衛生上とても意義のあることです。

しかし、実際には条件付きで外出許可が許されたり、外出禁止となる場合があるのです。

ここでは外泊が禁止されてしまういくつかのケースについて詳しく解説していきます。

健康状態が悪い場合は外出禁止となる

持病などがあり、その症状が安定しない場合や、血圧や体温、脈などのバイタルサインがその人のいつもの値でない場合は外出禁止となる場合があります。

そのような場合は、別の日に変更するなどの対応をとることができます。

感染症が流行している場合は外出禁止となる

特に多いのが冬場のインフルエンザです。

もし、外出した際に感染症に感染してしまうと、その人の問題では済まされず、そこで生活ししている入居者やスタッフにも影響があるので外出禁止となる場合が多いです。

施設内での感染拡大は状況によって、保健所への報告が義務づけられており、指導が入る場合もあります。

契約者以外の人が同行して外出する場合は外出禁止となる

施設に入居する際に必ず契約を行ない、そこには契約者が誰なのかも明確に記されています。

身寄りのない高齢者は別として、契約者以外の家族が同行して外出しようとすると禁止される場合があります。

もし、契約者以外の家族と外出し、外で何かあれば責任を問われるのは施設です。

契約者からすれば「なんで契約者でない人と外出を勝手に許可したんだ!」ということになり、信頼関係も崩れてしまいます。

契約者以外の家族の誰かと外出したいときは、事前に契約者からその旨の連絡を施設に入れてもらうなどの対応をする必要があります。

認知症の疑いがあり帰宅できない可能性があると判断された場合は外出禁止となる

特養や老健では認知症の方は珍しくありません。

有料老人ホームサ高住でも、医師から認知症と診断されていなくても認知症の疑いがある方もいらっしゃいます。

そのような方に対して、施設が難しいと判断すれば単独での外出は禁止となる場合があります。

また、強制的に外出を禁止することは高齢者虐待防止法で禁止されていますので、家族の同行を求められる場合があります。

 

施設形態ごとの外出の取り扱いについて

様々な老人ホームがありますが、その施設の性質上、外出に関する取り扱いが違ってきます。

ここでは、施設ごとに分けて解説していきます。

有料老人ホームでは基本的に外出は自由

有料老人ホームのなかでも、完全個室の『高級老人ホーム』と呼ばれるところでは、基本的に外出は自由です。

しかし、逆に言えば何か問題が起きても自己責任ということになります。

例えば、体調が悪いのに無理に外出すると、当然辛いのは自分ですし、帰宅してからも身の回りのお世話をしてくれる人を自費で依頼する可能性だって出てきます。

自由に外出できるからといっても、節度ある行動を取る必要があるでしょう。

特養では外出に外出許可が必要で制限される場合も

まず、外出(外泊)許可届を施設に提出します。

その時点では仮に外出許可とされても、当日の体調が悪いなどの理由で外出禁止と判断される場合もあるでしょう。

特に特養の入居者は免疫力が低下している高齢者の方が多いので、感染症や疾患についてはとてもシビアに対応しています。

なかには、外出することによって認知症の症状が悪化する場合もありますので、スタッフとよく相談しなければなりません。

老健も外出は制限され、外出許可が必要

特養同様、老健の入居者も免疫力が低下しており、健康状態は決して良好な人が多いわけではありません。

月に数回外出を希望しても、外出禁止となる可能性があります。

ただし、自宅に戻って生活できるかどうかを想定して、一時的に外泊するを希望する場合は、スタッフの協力の基、スムーズに外出(外泊)出来るように外出支援してくれるでしょう。

サ高住では外出可能

サ高住は介護保険上は在宅扱いなので、それほど厳しい外出制限はありません。

ただし、本人の体調を考えた場合、外出できる状態ではないと判断されれば控えるような助言を受けることになるでしょう。

 

外出の自由度は入居者の状態や施設によって様々

チェックリスト

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これまで施設ごとの外出の取り扱いについてみてきましたが、たとえ自由に外出できる施設であっても、一人でお買い物に行く場合と旅行などで長期間の外泊をする場合では取り扱いが異なる場合がほとんどです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

散歩や旅行によって取り扱いが変わる

施設の外に出ることを外出と呼びますが、気軽に短時間の散歩か、リスクを伴う長距離移動の旅行かで状態で取り扱いが変わります。

多くの施設の場合、数分で戻る程度の散歩なら受付に一言伝えるだけで可能となることが多いでしょう。

一方、旅行の場合だと、誰が同行するのか、期間はどれくらいか、医療面でのリスクはないか、緊急時の対応をどうするかなど、万が一に備えて、スタッフや家族、本人と十分話し合いが行なわれることもあります。

ちなみに、介護保険の対象となる施設ではひとりで外出することは禁止されています。

一人で外出することは、現状として介護の必要性がないことになるからです。

施設形態や施設ごとに取り決めが異なる

各老人ホームの施設形態を外出の自由度が高い順に並べてみると下のようになります。

①有料老人ホーム(介護付きを除く)

②サービス付き高齢者向け住宅

③老人保健施設

④特別養護老人ホーム

③と④は現実的に考えても、介護保険制度上でも考えても、一人での外出はできないと思っておきましょう。

施設によっては、施設を出発するときは介護タクシーを利用し、現地で家族と合流することを条件に外出が許可される場合もあります。

老人ホームで外出・外泊をするとき注意すべき4つのこと

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外出の許可が下りても、こんなはずではなかったとならないために注意すべきことを4点見ていきましょう。

外出、外泊中にも料金が発生するケースがある

入院を含めて、外出・外泊をしている期間も施設の一部料金は発生します。

例えば、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設の場合なら、利用料金や食事代・滞在費は日割り計算になりますので、全く施設に滞在しない日は下記の表のように費用は発生しません。

1日目(施設を出発) 2日目 3日目 4日目 5日目(施設に到着)
費用はかかる 費用は不用 費用は不用 費用は不用 費用はかかる

しかし、介護保険施設以外の有料老人ホームであれば、外出中・外泊中であっても費用は発生します。

食事に関しては事前に申請しておけば払わないで構わないケースもあります。

外出・外泊中の出来事は自己責任

医療・介護・その他の事故を含めて、施設を一歩出れば、全てのことは施設側に責任は発生しません。

例えば、介護タクシーを手配して、乗車中に事故などが発生しても全ての処理・対応は自分が行なうことになり、施設はタッチしてくれません。

外食で食べ物を喉に詰ませてしまうケースも考えられます。

家族と高級レストランに外食して際に、肉を喉に詰めて窒息したとしても、原則施設に過失はないことになります。

もちろん、移乗中に転倒・転落があったとしても、本人や家族の責任になります。

これらのリスクを全て納得し、対応策を考えてから外出・外泊することをおすすめします。

主な対応策として、家族と本人が一緒に外出する場合は、事前に本人の直近の心身状況を尋ねてそれを理解した上で行動することです。

例えば、食事をする場合は食事形態は把握して対応できるようにします。

また、直近の心身状況を理解しておくことも大切です。

高齢者は一日の中でも午前と午後とでは体調が急に変わることがあります。

元気だから…という思い込みは危険です。

必要な物品は事前に施設に連絡を!

外出・外泊については、一歩外に出れば施設は関与しないことになります。

そのため、車椅子の手配などは自分で行なわないといけない場合もあります。

普段は車椅子を利用している人が、スーパーに買い物に行くようにしたとします。

介護タクシーで行って、到着したスーパーに車椅子があれば問題ないのですが、車椅子がない場合も考えられます。

その場合は、施設内で使用している車椅子を持ち出してよいか尋ねたり、申請する必要があるのです。

それと忘れがちなのが薬です。

介護保険施設では薬は看護師が管理していることが多く、ご自分の手元にはないことがあります。

食事をまたいで、外出・外泊する場合には、必ず薬をもらうことを忘れてはいけません。

外出・外泊中の出来事はスタッフに報告する

基本的に外出・外泊中の行動は自由ですが、どのようなことをしたのかは、施設に戻った後には必ず報告するようにしましょう。

例えば、親戚がたくさん集まって賑やかな雰囲気のなかで過ごしたなら、施設に戻ったあとは不穏になり、転倒・転落の事故を引き起こす原因にもなります。

食事に関しても、何をどれくらいの量を食べたのか報告します。

施設に戻ったあとの食事をあまり食べない場合、スタッフは心配するでしょう。

仮に、外出中いつも以上にたくさんの食事を食べたという情報があれば、スタッフは心配しする必要がないからです。

まとめ

老人ホームに入居するからといって、外泊・外出禁止となるわけではありません。

基本的に本人の意思を尊重して、行動の制限はされないことになっています。

しかし、先述した通り、例外として外出禁止となる場合がありますので、事前にそのことを踏まえた上で入居を検討しましょう。

そして、具体的に決まったら、さらに詳しく説明を受けるなどそして、「そんな筈ではなかった・・・」ということがないようにするといいですね。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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