在宅介護で夜中に起こされて眠れない時に試したい対策12選【介護士が解説】

「夜中に何度も起こされて寝不足。もう限界です。」

「トイレに行きたいという理由で起こされる。なぜ私だけが起こされないといけないの…」

自宅で介護をされている方のなかにこのような悩みを持たれている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?

介護をしていると昼夜関係なく起こされて介助しなければいけない場面が多くみられます。

実際ケアマネジャーに対してインターネットで行った「在宅介護における睡眠実態調査」では、本人や家族などから夜間の介護の疲労や負担について「相談を受けたことがある」と回答したケアマネジャーは89.6%にのぼります。

出典:「在宅介護における睡眠実態調査」

また、同調査では「夜間介護が原因となり、同居家族から自身の眠りに関する相談を受けたことがある」と回答したケアマネジャーは73.8%にものぼっています。

これらのことからも在宅で介護をおこなう多くの人が夜中の介護を原因とした睡眠不足・疲労に悩まされていることがわかります。

そこで、この記事では要介護者が夜中に介護で起きてしまう理由、「トイレ」「体位変換」「精神的な不安」「身体の異常」の4つにわけ、できる限り家族が夜中に起こされないためにできる対策方法をそれぞれご紹介いたします。

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夜中のトイレ介助に起こされる場合の原因と対策

高齢者や要介護の状態になると夜中のトイレの回数が増え、そのたびにトイレ介助が必要となり、頻繁にトイレに起こされることがあります。

夜間にトイレの回数が増えるのは、膀胱に溜められる尿量が減少したり、膀胱のコントロールが上手くいかず尿量が少量であるにもかかわらず尿意を感じてしまうのです。

これは老化現象という理由だけではなく、糖尿病や高血圧、うっ血性心不全などの疾患が原因となっていることもあります。

また、原因がはっきりしないこともあり、ひどい時には1時間に1回という頻度で尿意を感じることもあるのです。

また、要介護者の方は夜中に目が覚めてしまうとトイレに行ったかどうか心配になり、本当はトイレに行く必要が無くても、心配でトイレにいきたくなってしまうのです。

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夜中のトイレ介助で起こされないための対策

上記の通り、夜間頻尿の原因には疾患によるものとそうでないものがあります。

原因が疾患によるものではない場合には、夜のトイレの回数を減らせるような対策をすることも、頻回に起こされないようにするためには重要です。また、夜中にトイレに起きることは本人にとっても不眠の原因となり転倒のリスクも増加します。共倒れにならないためにも可能な対策を打っておくようにしましょう。

病院で治療・投薬してもらう

夜間頻尿が気になる場合には主治医に相談したり検査をしたりして、頻尿の原因をはっきりさせておくようにするようにしましょう。先程もあった通り、糖尿病や高血圧、うっ血性心不全などの疾患が原因となっている可能性があります。これらの原因による夜間頻尿は治療や投薬で改善することもあります。

膀胱訓練で膀胱の容量を増やす

膀胱訓練とは膀胱にたまる尿量を増やせるようにするもので、肛門や下腹部に力を入れて尿を我慢したり、排尿とは違うことを考えたり深呼吸をするなどで尿意を紛らわせたりして尿を我慢できる時間を少しずつ伸ばしていくというものです。

ただし、膀胱訓練をするのには向かない病状もあるため、膀胱訓練を実施する前には主治医と相談をしておくようにしましょう。

また、実施の際には訓練中に失禁をしてしまうこともあるため、昼間に尿パットをあてて行うなどとし、失敗を気にしなくてよいということを本人にも伝えながら実施するようにします。

寝る前に摂る水分量を控えてもらう

トイレ介助の方法はまず寝る前に過度な水分摂取を控えてもらい、夜中にトイレが近くなりにくくなる状態にしましょう。

もちろん水分を控えすぎると脱水症状を引き起こす可能性がありますので、1日に必要な水分摂取量1500mlあたりで抑えるようにしましょう。

ポータブルトイレを使う

参照:「安寿 ポータブルトイレFX-CP はねあげ」(株式会社ヤマシタ)

排泄のタイミングが自分でつかめ、自分でベッドから起き上がってある程度の移動ができる場合は、ポータブルトイレを使って自力でトイレをしてもらってもよいでしょう。

ポータブルトイレとは、ベッドサイドなどに設置が可能な簡易式のトレイです。水洗ではなく、排泄物を溜めてからトイレに流すため、設置に工事などが必要ありません。ポータブルトイレは介護保険サービスの対象であるため、1~3割負担で購入することができます。

ただし、慣れるまでは介助が必要なため、最初のうちは起こさる回数に変わりがない可能性もあります。また、夜中の暗い部屋で使うには足元に危険があるため、足元を照らすランプを一緒に設置するなど、工夫をしておくとよいでしょう。

夜中だけでもおむつを履いてもらう

適切な水分量を調節できればいいですが、なかなか難しいですよね。

その場合は、おむつを履いてもらうという方法もあります。

ですが、介護者の方の中には「おむつなんて恥ずかしい」「まだそんな状態ではない」とおむつを履きたがらない方も多くいらっしゃいます。

その場合、本人の意見を聞かないで無理矢理おむつを履かせることをしてはいけません。

その事実がショックで着替えや食事、入浴などの日常行為を拒否するケースがあるからです。

そのため、「今まで通りの生活を送ってほしいから」、「まだまだこれからも元気でいてほしい」など相手の自尊心を傷つけることなく、おむつを履いてもらうよう促しましょう。

ただしおむつの場合、排泄があった後排泄物が要介護者の皮膚に触れる不快感から夜中に「オムツを交換して欲しい」と言われたり、「排泄物が出そうで出ないから何とかして欲しい」などの訴えを受けることもあります。

その場合はおむつのつけ方や吸収性の高いパットを使用すれば解決することができるかもしれません。

デイサービスなどの施設を利用している方であれば、おすすめのおむつを施設の方に直接聞いてみましょう。

デイサービスに通われていない方はむつき庵などの介護施設がおむつのつけ方の研修を行っているので問い合わせてみるのもいいかもしれません。

参考:紙おむつを使い始める前に

参考:介護拒否の原因と対応、改善策

体位を変えるために起こされる場合の原因と対策

寝たきりの要介護者の方は夜中に体位を変えてほしいと言うことがあります。

一般に人は寝ている間に20回以上も寝返りを打つと言われています。そのため、自分で寝返りができない人は、同じ姿勢を続けていることで身体に苦痛を感じ熟睡ができません。そそれにより、何度も体位を変えてほしいと訴えることに繋がってしまうこともあります。

「体位が安定しているので問題ないのではないか?」と思われる方もいるでしょうが、体位をそのままにしていると床擦れになる可能性があります。

床擦れとは長時間同じ体勢で寝ていた場合、体重で皮膚が圧迫され血行が悪くなることにより、圧迫された部分が壊死することをいいます。

床擦れを防ぐためにも夜中に2~3時間おきに体位を変えなければなりません。

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体位を変えるために起こされてしまうときの対策

圧がかかる部分をマッサージする

ずっと同じ体勢で寝ていると一部分に圧がかかり、その箇所の血行が悪くなります。

そのため、圧迫されていた部分の血行を改善するため、体位を変える際には下になっていた部分を軽くマッサージしてあげると良いでしょう。

強くマッサージすると痛みを感じ逆効果になってしまう場合があるので、本人の反応を伺いつつおこないましょう。

圧を分散する工夫をする

限定された箇所のみに圧がかかるほど、苦痛を感じてしまいます。できるだけ圧を分散させるよう、マットレスを耐圧が分散できるようなものにするなどの工夫をしてみましょう。

また、福祉用具の中には自動で身体の向きを変えてくれるマットレスもありますので、必要に応じて利用を検討するのも良いでしょう。

精神的な不安から起こされる場合の原因と対策

認知症や精神疾患により精神的に不安定になり、ソワソワして落ち着きがなくなることもあります。

そうなると、人によっては幻聴や幻視の症状が起きたり、誰もいないことに対して不安になったりしてしまい、家族を起こして助けを求めるようになります。

特に困るのが、意識がはっきりしないまま、ベッドから起きてフラフラ歩くような行動です。

本人に力があると、家族では対応するのが難しくなり、家族も夜通し寝ないで起きなければならない事態になります。

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精神的な不安を感じさせないための対策

精神的に不安定である人が夜間に熟睡できず不眠の状態が続くような状況では、眠れないことでさらに精神面での不安定さを助長するというような悪循環をきたしかねません。

そのため、精神的に不安を感じさせないための対策を講じて、睡眠時間が確保できるようにしていきましょう。

ゆっくり話を聞く

夜中に起こされて妄想や幻覚の内容などについて訴えられるとイライラすることもあるかもしれません。

しかし、精神的に不安な気持ちを持っている場合にはそのような対応をされることで余計に不安を助長することになります。また、夜間だけでなく昼間に叱られたり否定されたりなどの本人に取って不快な感情が残っていることが夜間の不眠に繋がることがあります。要介護者の感情に寄り添いなるべくゆっくりと話を聞くようにしましょう。

精神的に安定できる環境をつくる

睡眠の質はその環境による影響がかなり大きいです。

そのため寝室を暗くして、心地よい匂いを感じられるようにすることが大切です。

また、以外に盲点なのが湿度や温度の調整です。高齢者は寒がりの方が多い傾向にありますが、それでもそれぞれ温度の感じ方は違います。冬でも暑がりの人はいますし、夏でも寒がりの人はいます。

加えて「音」も睡眠に大きく作用します。例えば『1/fゆらぎ』という音を耳にすることによって、精神状態が安定し熟睡できる場合もあります。1/fゆらぎの音声がこちらから聴けます。

本人に合わせた環境や寝具を用意して、心地よく睡眠に導くようにしましょう。

昼寝をさせ過ぎないようにする

要介護者に昼寝をさせないことが大切です。

そのためにも、12時~16時あたりは確認をする回数を多くして、コミュニケーションを取りましょう。他にも、デイサービスに通ってもらったり、一緒に買い物に行ったり、散歩などの運動をしたりしましょう。

そうすることで、日中はある程度の疲労感を与え、夜になると睡眠できるようになります。

しかし、買い物や散歩など行ったりした場合、疲れて昼寝をする可能性がありますので、ほどほどに調整すする必要があります。

身体の異常が原因で起こされる場合の原因と対策

高齢者は身体の様々な部位に痛みを感じています。

これには神経痛や関節痛、リュウマチなど人によってさまざまな原因があります。

この痛みを我慢することができず、「薬を飲まして欲しい」「湿布を貼って欲しい」などの理由で、家族を起こしてしまうのです。

また、高齢者は体内の水分が不足する傾向にあり皮膚が乾燥していますので、痒みを訴えることが増えます。もちろん、痒みがあると皮膚を搔きむしりますので、出血してしまう場合もあります。

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身体の異常が原因で起こされないための対策

身体の異常が原因で起こされてしまう時には、その原因によって適切に対策を打つことで起こされることがなくなることもあります。苦痛を緩和できるための対策を講じていきましょう。

身体の痛み・痒みを感じる原因を取り除く

身体の痛みや痒みが原因で夜中に起きてしまう場合は、医療機関を受診して薬を処方してもらいましょう。

痛みや痒みは、その原因となるものは何かをはっきりさせておくことで薬で対処できる場合も多いです。

例えば痒みの場合は、高齢者特有の皮膚の乾燥によるものが多いです。

とはいえ、異常に痒みを訴える場合は、皮膚の病気も考えられます。

特に、『疥癬』という病気は免疫力が落ちた高齢者に対して、ヒゼンダニという種類のダニが皮膚にトンネルをつくるのです。

治療にも時間がかかり、特別な対応をしなくてはなりませんので、異常に痒みを訴える場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

痛みや痒みの原因を取り除く・緩和させることで、夜中にぐっすり眠れるようになるかもしれません。

参考:疥癬(かいせん)を正しく知りましょう

福祉用具を活用する

高齢者は関節が変形して、関節の角度によって痛みを感じる場合があります。

そのような場合にはクッションを利用しましょう。

クッションは足の関節に挟んで体圧を分散させ、身体の一部を浮かせるために使用します。

身体の向きを固定するためのクッションにも、介護専用のものが販売されています。

また福祉ベッドにもマットの硬さに工夫がされているものや、空気で身体の圧を分散させるエアマットなどもあります。

福祉用具を活用することで、質の高い睡眠を維持できると期待されます。

 

出典:体圧分散用具は、どのように選択する?

夜中に起きることで被介護者が受ける悪影響

家族が夜中に起こされて辛いのはもちろんですが、夜中に起きることで本人にも悪影響があります。

では、本人の身体にはどのような悪影響が出るのでしょうか?

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生活リズムが崩れて認知症が進行する

早寝早起き、十分な睡眠などは誰の健康にとっても意識したいことではありますが、特に認知症の高齢者にとっては一日の生活リズムはとても重要です。

夜中に起きている時間が長くなると、自然に日中ウトウトして眠る時間も増えてきます。

そして、最終的に昼夜逆転となり、完全に生活リズムが乱れてしまいます。

そうなると、時間が分からなくなったり、食事を食べたかも分からなくなったりします。

「休むべき時間に睡眠をとる、起きるべき時間に活動する」といった生活リズムが確立されないと、交感神経と副交感神経のバランスも崩れて、身体全体にも不調が出てきます。

夜中に起きることのイライラから精神面が不安定になる

夜中に起こされて不眠になる家族も辛いですが、眠ることができない本人も辛いことは押さえておきましょう。

私達元気な人でも夜眠れないと次の日は何となく疲れやすいし、イライラしてしまいます。

これは、認知症などがある高齢者でも同じで、不眠から精神状態が不安定になります。

怒りっぽくなったり、些細なことでも落ち込んだりしやすくなり、日中に健康な状態で生活を送れなくなるのです。

日中の眠気が発生して転倒・転落のリスクが高まる

夜に眠れないと次の日は、注意散漫や集中力がないなどの症状がでます。

そして、日中でもボーっとしてウトウトしてしまうので、歩行中の転倒や転倒のリスクが高くなります。

車椅子の場合でも、座っている状態からお尻が床にずり落ちてしまうケースがあります。

転倒や転落は骨折の原因になりますので、最悪の場合には歩けていた人が歩けなくなる可能性もあります。

夜ぐっすり寝たい方におすすめの介護サービス

ここまでは介護者やその家族が自分たちのちからで対応するときの対処法について紹介してきました。

しかしどうしても自分たちの力だけでは睡眠不足を解消することができないという場合には、介護サービスを利用したり、介護施設や老人ホームを利用しましょう。

施設にも短期間入居するショートステイや看取りまでしてもらえる介護施設・老人ホームなどがあるので、それぞれご紹介していきます。

老人介護施設・施設でくつろぐ高齢者

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夜間対応型訪問介護

夜間訪問対応型介護は利用者が安心した生活を送るために夜間帯にホームヘルパーが自宅を訪問することです。

夜18時~朝8時に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認などのサービスを提供される定期巡回サービスと、急に体調が優れなくなったり、転倒したりした際に救急車の手配をおこなう臨時対応のサービスを行ってくれます。

夜間型訪問介護は訪問回数ごとに値段が加算されるので、回数を増やせば掛かる費用も大きくなり、介護保険の支給限度額を超えてしまう可能性もあるので注意しましょう。

ただ、このサービスは事前に鍵を渡しておいて夜中に自宅へ訪問してもらうサービスではありますが、介護スタッフに対して玄関で受付対応をしなければなりません。

そのため、深夜に起きる回数が0回にはならないことも注意しましょう。

参考:夜間対応型訪問介護

ショートステイ

ショートステイとは、一泊二日などの短期間、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設で要介護者を預かってもらうことができるサービスです。週のうち土日だけ利用するといった方法が可能であり、介護者の休息(レスパイト)として活用されます。

「週のうち数日でもいいから夜中に起こされる負担を少しでも減らしたい」という方は利用を検討してみましょう。

ショートステイについての詳しい内容は、下記の記事にて解説しています。

ショートステイとは?気になる費用や利用できる期間まで徹底解説

老人ホーム・介護施設

これまでに家族ができる対処法と介護サービスを利用した対処法をご紹介してきました。

しかし「ここまで紹介された対処法を行っても寝られず、サービスを利用しようにも介護保険の限度支給額を超えてしまう…」という方がいらっしゃるかもしれません。

そのような方は施設への入居を検討した方がいいでしょう。

入居一時金や月額費用は掛かりますが、施設で暮らしてもらうことによって自分の時間を多く使うことができますので、睡眠不足が解消されるほか、仕事などに復帰できる可能性もあります。

介護施設には利用者の体調や要介護度に合わせて施設を選んだ方がよいでしょう。

施設へ入居することで、夜中に起こされることはなくなり、自分の時間が多く使えるようになります。

在宅介護に限界を感じる…施設介護に移すタイミングはいつ?メリット・デメリットを徹底比較!

まとめ

要介護者の体調などから対処方法を考えることも大事ですが一番考えておきたいことは自身の体調や精神状態です。

体調を崩したり、うつ病を発症したりしては元も子もありません。

周りと相談をしながら自分にとって何が正解かを考え、すぐ行動してみることが大切です。

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監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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