レスパイトケアとは?介護者の休息のための介護 | サービスの種類や具体例を紹介

「在宅で毎日介護をしてるけど、介護はいつまで続くかわからない。そろそろ体力的に介護を続けるのがつらい。」

「毎日介護ばかりで自分のやりたいことをする時間もないから、精神的にとてもつらい。」

「介護のことなんて誰にも相談できないし、自分がちゃんと面倒見なきゃ。」

在宅介護をしていると介護が続く毎日に、精神的にも肉体的にもひどく疲れを感じる瞬間があるのではないでしょうか。

最近では介護うつや介護離職など、介護にかかわる問題が社会問題として認識されるようになり、介護を受ける人だけでなく介護をする人に対するケアが注目を集めています。

今回ご紹介する「レスパイトケア」はそんな「介護をする人」に向けたケアの考え方になります。

いま介護に疲れを感じている人や、これから在宅での介護を始めるという人には、無理せずに余裕をもって介護をしていくためのヒントとなる記事になっていますのでぜひご一読ください。

レスパイトケアとは

三世帯家族

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まず、レスパイト(respite)とは小休止、ひと休みと訳されます。

そして、レスパイトケアとは介護生活をおくる介護者が介護をひと休みするために実施される介護サービスのことをいいます。

在宅での介護を担っている介護者が毎日の介護に疲れを感じ、ストレスや身体の疲労が限界を超えると、在宅介護を継続することが難しくなります。

そのため、在宅での介護を行っている介護者は、一時的に介護から離れてゆっくり休んだりリフレッシュをする時間を持つ必要があるのです。

このレスパイトケアは上手に活用することで介護者の心身の負担を軽くすることにつながり、結果的に在宅介護を長く続けられることにもなるため重要なケアであると位置付けられているのです。

国として地域包括ケアシステムなどを中心に在宅介護を推進していくなか、レスパイトケアの浸透は欠かせないものとなっています。

レスパイトケアとして利用したいサービスの種類

何らかの事情で介護ができない場合にレスパイトケアとして使えるサービスをまとめていきます。

何らかの事情とは、家族で旅行に行くなど自由な時間を確保する際や、葬儀や結婚式などのどうしても出席する必要がある予定がある場合などさまざまな事情のことを指します。

そして、一般的にレスパイトケアといえばショートステイと思われがちですが、他の介護サービスであっても家族の休養やリフレッシュなどを目的とした利用であればレスパイトケアとなります。

介護の程度や本人の希望なども考慮し、要介護者の状態や家族の都合に合ったサービスを利用しましょう。

介護サービスを提供する人たち

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デイサービス

デイサービスとは介護が必要な方を日帰りで施設に受け入れ、介護やレクリエーションなどをおこなうサービスです。

利用者ができるだけ自宅で日常生活を過ごせるように、社会的な孤独感を解消し、心身の機能を維持するといった目的があります。

家族からすると要介護者をあずけている間に介護者は心身の疲労を労うリフレッシュ期間として活用するなど、自由な時間を確保することができます。

デイサービスの時間は施設によってさまざまですが、だいたい朝の8:30~10:00の間に自宅まで迎えが来て、15:00~16:00くらいに帰るところが多く、基本的には7時間以上9時間未満になります。

そのほか、3時間程度の短時間のデイサービスや9時間以上の長時間のデイサービスもあります。

デイケア

デイケアとは、普段は自宅で介護を受けている方が介護老人保健施設(老健)や病院、診療所などの施設に通い、介護を受けるとともに日常生活をできるだけ自立して過ごせるようにリハビリテーションを受けられるサービスです。

デイサービスと同じく日中は要介護者を施設にあずけるため、1日の数時間ではありますが、家族が休息の時間を確保することができます。サービスを利用できる時間はデイサービスと同じイメージで良いでしょう。

ショートステイ

ショートステイとは、普段は自宅で介護を受けている方を施設に一定期間受け入れるサービスで、レスパイトケアとして多くの方が利用する介護保険サービスになります。

ショートステイは一回あたり平均で4日~14日間程度利用される方が多いようです。

そのため、介護施設に短期間入所するショートステイを利用することで、家族で1週間旅行に出かける、実家に帰省することなどが可能になります。あるいは介護から離れて自宅でゆっくり過ごすのもよいでしょう。

このように、まとまった時間を確保することが可能になるのがショートステイを利用するメリットであるといえます。

ショートステイとは?気になる費用や利用できる期間まで徹底解説

訪問介護

訪問介護とは、介護スタッフが自宅で暮らす利用者を訪問し、身体介護や生活援助などをおこなうサービスです。

介護スタッフに自宅へ来てもらえるため、施設に抵抗がある高齢者の方でも利用しやすいサービスとなっています。

介護スタッフの出迎えや対応などがあるため完全に家を離れて休憩することは難しいですが、介護スタッフが自宅にて介護をおこなっている間は家族の方は休息の時間を確保することができます。

レスパイト入院

レスパイト入院とは、普段自宅で介護を受けており、がんの疼痛管理が必要な場合、頻度の多い喀痰吸引を必要とする場合など常に医療管理が必要なため介護保険によるショートステイの利用が困難な方を病院で一定期間受け入れるサービスです。

利用者の心身の回復、機能維持を図るとともに、ご家族の方にとっても休息の時間を確保できるサービスとなっています。

レスパイト入院は介護保険ではなく医療保険が適用されることに注意してください。

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レスパイトケアの効果とは

笑顔の家族

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家族に代わり介護が提供されるレスパイトケアは、介護者の負担軽減だけのために行われるものと思われるかもしれません。しかし、その効果は介護者の負担の軽減だけに限られるものではなくそのほかにも色々な面でよい効果を発揮するのです。

では、レスパイトケアによってどのような効果が期待できるのでしょうか。以下、まとめていきます。

介護者の負担が軽減する

レスパイトケアによって家族は短期間とはいえ介護から離れられることができます。

そのため、例えばこれまで夜間も介護をする必要があった方などの場合は介護を気にせずに眠ることで、体と心を休めることが可能です。

特に老老介護である場合や仕事と介護を両立している場合は介護者の負担が大きいため、適度にサービスを利用し、精神的、身体的負担を軽減する必要があります。

そのため、訪問介護や通所介護、ショートステイといった介護サービスを単独または併用して上手に活用することが、できるだけ長く在宅介護を継続するためのコツとなります。

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介護をする方も介護を受ける方もリフレッシュになる

介護をおこなう家族は日々介護に追われることでストレスが溜まってしまうこともあります。

そのため一度介護から離れて好きなことに時間を使いリフレッシュをすることで、精神的なストレスが和らいで心に余裕ができ、ゆとりをもって介護をすることが望めます。

また、定期的にサービスを利用することで次の休息まで介護を頑張ろうと思えるようになるなど、介護の質の向上にもつながることが期待できます。

介護を受ける側としても、家族に介護をさせてしまっていて申し訳ないというような「引け目」を感じている方にとってはリフレッシュの時間となります。

家族の関係がよくなる

サービスを利用している間、家族は介護から離れることで緊張が緩和され、落ち着いて過ごすことができます。

その間に介護の負担を一人に負わせないためにそれぞれ何ができるかを家族で話し合う時間にするのもよいでしょう。

また、普段は介護にかかりっきりになってしまっている場合にでも、要介護者以外の家族と旅行などを楽しんだり、ゆっくりと過ごす時間を持つことで家族の仲を深めることもできます。

家族の協力があっての在宅介護ともいえるので、家族の中に我慢を強いられている人がいないようにするためにも、レスパイトケアを取り入れていきましょう。

サービスを利用することで新しい出会いや趣味ができる

自宅で介護を受けているとどうしても外部との交流は少なくなってしまいます。

そのため、利用者のなかには他の利用者や介護スタッフとの交流やレクリエーションなど、サービスの利用を楽しみにしている方もおられます。

新しい出会いや趣味ができ、生きがいにつながることもあるでしょう。

また、リハビリテーションなどによって自宅で介護を受けている時よりもできることが増え、できる範囲で自分から積極的に動けるようになることも楽しみの一つとなります。

このほか、家族以外の人から介護を受けることで視点が変わることがあります。家族に対してはついわがままになったり、無理を言うようなことはよくあるでしょう。しかし他人にはわがままを言えず、結果としてこれまでの自分の介護の受け方を反省したということも見られます。

レスパイトケア利用の具体例

レスパイトケア=介護の休息ということが分かっても、具体的なイメージがわかないという方がいらっしゃるかも知れません。

そんな方のために、ここではレスパイトケアの具体例を2つ紹介します。

予定があって介護できないとき

【具体例①】
「来週末、遠くに住む親類の結婚式の予定が入ってしまいました。介護できる人が誰も家にいなくなってしまうので、2日間だけショートステイを利用します。」

予定が入ったからといって要介護者を家に一人にしていくわけにはいきません。特に要介護度が高い方や認知症の方などはもしもの時のための見守りが必要です。

このようにいつもは自宅で介護をしているけれども、何かしらの予定が入ってしまい介護できる人が家にいないという場合に、予定がある期間だけ介護サービスや周囲の協力を得て介護から一旦離れることをレスパイトケアといいます。

介護に疲れてしまったとき

【具体例②】
「毎日介護で精神的なストレスが溜まってしまい気が滅入っています。たまには自分の時間を確保して友達とカフェでゆっくりおしゃべりしたいので、明日の日中はデイサービスを利用してみます。」

自分の時間が取れないためにストレスや介護疲れが溜まってしまっている方が、自分の時間を確保するために利用する場合です。

「自由な時間がなくなって、趣味をする時間や友達と会う時間を確保できなくなった。」

「親の介護は自分でしようと思ってはいるけれど、最近体が疲れやすくて体調も悪い日が続いているなあ…。」

という方は一旦介護から離れて心と体を休めましょう。

一番避けるべきことは、介護ストレスが溜まり、それをうまく解消できないまま、自分も倒れてしまうことです。

介護負担軽減のために介護保険サービスを利用するなどして介護から一時的に離れることは、決して手抜きではなく、自分と介護を必要とする方も含めた家族全員を守る手段です。

また、レスパイトケアの方法は何もお金をはらってサービスを利用することだけではありません。

例えば親戚や他の兄弟に頼って協力してもらい、一時的に介護から離れることもレスパイトケアになります。

レスパイトケアで気をつけるべきポイント

レスパイトケアの注意点

ここまでレスパイトケアの効果や実際に利用できるサービスについて見てきました。
ただ、レスパイトケアをおこなう上で気をつけるべき点もいくつかあります。

「見捨てられた」と感じやすい

レスパイトケアの利用は家族の都合によるものであるので、高齢者のなかには

「家族が自分の介護から解放されるためにサービスを利用するのだ」

と、プライドが傷つく可能性があります。

そのため、家族に捨てられるという不安から、何かと理由をつけて利用を拒むようになったり、不機嫌になったりする方もいます。

特にショートステイの場合はそのまま施設に入居することになるのではないかという気持ちになりやすいです。

サービス利用時にはできるだけ両者が納得し、大切な家族の一員であることを伝えましょう。

サービスによっては予約が取れない

特にショートステイを利用する方はとても多く、人気があるサービスとなっているため、予約がとりづらいです。

利用には数ヶ月前から予約をする必要がある施設もあるため、緊急時の利用や日付の変更などの対応は難しい可能性が高いです。

そのためサービス利用時にはあらかじめ早い段階でケアマネジャーに相談をし、希望する期間に利用できる施設を探しましょう。

症状が悪化する可能性がある

レスパイトケアのために介護サービスを短期間利用するということはそれだけ環境が変化するということです。

そのため環境の変化によって精神が不安定になったり落ち着きがなくなったり、ストレスや不安、孤独感を感じることで利用者が体調を壊す可能性があります。

特に認知症の方は環境の変化に影響を受けやすく、症状が悪化する場合があります。そのため、要介護者の体調や精神状態などを考慮した上でサービスを選びましょう。

レスパイトケアをうまく活用するためにも、これらいくつかのポイントに注意してサービスを利用しましょう。

まとめ

レスパイトケアは在宅介護を長期的に続けていくうえで非常に重要なものです。介護負担が原因で家庭が崩壊してしまうような事件なども多く発生しています。
「介護疲れ」を抱え込まないように適度にレスパイトケアを活用し、できるだけ心にゆとりを持った介護生活をおくりましょう。

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監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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