在宅介護にかかる費用を要介護度別に徹底解説!

在宅介護は介護保険サービスを利用しながら介護を家庭で受けることをいいます。

施設介護は24時間連続した時間をお願いすることになりますが、在宅介護ではそれぞれの介護保険サービス事業所を組み合わせて利用し、必要に応じて家族が関わる事になるので、家族は負担に感じる場合が多いですが、介護にかかる費用は抑えることができる方法です。

この記事では、その在宅介護にかかる費用について細かく解説していきます。

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在宅介護にかかる費用の平均は約7万円

在宅介護の対象者を要支援1~要介護5までの7段階にした場合、介護にかかる費用の平均は約7万円という数値が出ています。

介護予防の段階である要支援1や2ではその費用は比較的抑えられていますが、一人での生活が難しいと判断される要介護1からは一気に費用が高くなります。

実施に受けるサービスとして、ショートステイはデイサービス、福祉用具貸与、住宅改修などがあります。

ショートステイやデイサービスは月間を通して、定期的に利用することが多く、毎月同じぐらいの費用がかかることになります。

費用はケアマネジャーが作成のお手伝いをしてくれる、ケアプランによって分かります。

車椅子を自費で購入した場合や、住宅改修などは、そのときに一括で支払えば完結するので、毎月必要になることはありません。

介護度が高くなればなるほど費用が高くなるのは、それだけ何らかの支援が必要とされるからです。

しかし、無限に高くなるのではありません。

それは、介護保険制度には『限度額』という金額が設定されており、その額を超えてしまった部分は介護保険は適用されず、全額自己負担になるからです。

特別なケースを除いては、限度額の範囲内で介護保険サービスを受けようとするので、極端な数字は出ない事になります。

中央値では介護サービスの費用は1万1,000円で、 介護サービス以外の費用は1万5,000円となり、両者を合計すると、合計は4万4,000円となっていますので、これぐらいの金額は必ず必要で、場合によってはそれ以上必要になると考えておきましょう。

出典:家計経済研究所 在宅介護のお金とくらしについての調査

在宅介護では介護保険サービス以外のお金がかかることにも注意が必要

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介護保険を利用するようになり、その費用だけが生活を営む上で必要なものではありません。

介護保険サービス以外の費用も必要になることを忘れてはいけなのです。

ここでは、

  1. 介護用品
  2. 医療費
  3. 税・社会保障費
  4. その他

の4種類に分けて解説致します。

要介護1でかかるお金

家庭では手すりや杖を使って歩けて、排泄もあまり失敗はしないレベルです。

1.介護用品

自費で専用の杖を購入したり、尿取りパットが必要になるでしょう。

介護保険を使わずに簡易的な手すりを玄関に設置したり、膝の負担を少なくする高座椅子を購入する人もいます。

2.医療費

高齢者なのでなんらかの持病を患っている場合があります。

定期的な受診に加えて、白内障、関節痛、難聴などについても医師に頼ることもあります。

義歯に関しては、「なかなか合わない」と訴えて、頻繁に歯科に通う人もいます。

3.税・社会保障

忘れがちなのは介護保険料です。

介護保険の利用にかかる費用とは別に、介護保険料も継続して必要であることを覚えておきましょう。

4.その他

義歯、老眼鏡、補聴器など、衰えた機能を補助するものが必要です。

独居なら給食サービスなど食事を依頼する場合があります。

介護に適した衣類や、転びにくく工夫がされた靴など生活全般に関わるものがあります。

要介護3でかかるお金

家庭では外出など必要に応じて車椅子が必要となり、排泄での失敗が増えてきます。

入浴は一人ではできず、軽介助が必要となり、物忘れなどの認知症がはっきり分かるようになります。

1.介護用品

要介護1では尿取りパットだけでよかったものが、紙パンツや紙オムツが必要になり、お尻拭きシート(ウエットティッシュ)が必要となることもあります。

食事では食べこぼしが増え、使い捨てエプロンなども使うようになります。

2.医療費

要介護1と同じく持病を患う事が増えます。

脳梗塞や心疾患、糖尿病などに罹患する場合もあり、主治医やかかりつけ医の存在が重要になります。

訪問診療を受けるようになるのもこのぐらいからです。

3.税・社会保障

要介護1と同じく、介護保険の利用にかかる費用とは別に、介護保険料も継続して必要であることを覚えておきましょう。

4.その他

義歯、老眼鏡、補聴器など、衰えた機能を補助するものが必要になります。

介護保険対象外の住宅改修(増改築)が必要になるケースもあります。

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要介護5でかかるお金

家庭では食事、入浴、排泄など全ての生活において介護が必要となります。

寝たきり状態で意思疎通ができない場合もあります。

特定疾患であるAISなどに罹患していれば、歩行は出来ない状態です。

1.介護用品

紙オムツや尿鳥パットの使用頻度は一気に増えて、多くの人がストックをしている状態です。

2.医療費

医療費も介護度に応じて増える傾向にあります。

例えば、在宅酸素や胃ろうなどの処置や対応も医療費に含まれます。

3.税・社会保障

介護保険の利用にかかる費用とは別に、介護保険料も継続して必要であることを覚えておきましょう。

4.その他

嚥下困難となりトロミ剤が必要になるケースもあります。

排泄の失敗により、汚れ替えに備えて衣類を買い足すようになり、防水シーツなども購入します。

要介護5で受けられるサービスや在宅介護の注意点をご紹介

在宅介護でかかる費用の相場と内訳

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先述している通り、在宅介護には介護保険を受けたサービスに対して費用を支払う『介護サービスへの支出』と、介護保険に該当しない部分に支払う『介護サービス以外の支出』があります。

下記の表をご覧ください。

介護サービスへの支出は、要介護1から5に上がるにつれて確実にアップしています。

介護サービス以外の支出に関しても、重度になるにつれて確実にアップしていますが、注目して頂きたいのは、その費用が高額であることです。

このことから、介護保険以外でかかる費用が高額であり、食費・光熱費なども含めた生活費も勘案しておく必要があるということがわかります。

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
介護サービスへの支出 0.7万円 1.4万円 2.5万円 1.7万円 2.1万円
介護サービス以外の支出 2.6万円 3.0万円 3.5万円 4.2万円 5.3万円
全体 3.3万円 4.4万円 6万円 5.9万円 7.4万円

参考:家計経済研究所 在宅介護のお金とくらしについての調査

要介護度別介護サービスにかかる費用の内訳

在宅介護では、支給される限度額が定められており、その範囲内であれば、1~3割負担で構いません。

要介護5の場合は1万4,000円に当たる分です。

支給される限度額を超えるとその部分は全額自己負担になり、要介護5の場合は7,000円に当たる部分です。

ここから分かる事は、介護保険制度が定める支給限度額では、サービスの利用が足りず、自費でもいいから介護サービスを利用したいと考えるケースもあることです。

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
介護保険自己負担分 0.5万円 0.9万円 1.6万円 1.2万円 1.4万円
全額自己負担分 0.2万円 0.5万円 0.9万円 0.5万円 0.7万円
全体 0.7万円 1.4万円 2.5万円 1.7万円 2.1万円

参考:家計経済研究所 在宅介護のお金とくらしについての調査

要介護度別介護サービス以外にかかる費用の内訳

先述しました、介護サービス以外にかかる費用について、下記の表では具体的にいくらぐらい必要になのかをあらわしています。

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
介護用品 0.6万円 0.9万円 1.5万円 1.8万円 2.5万円
医療費 0.8万円 0.4万円 0.4万円 0.9万円 0.9万円
税・社会保険 0.8万円 1.2万円 0.8万円 1.6万円 1.6万円
その他 0.3万円 0.5万円 0.2万円 0.4万円 0.4万円
全体 2.5万円 3万円 2.9万円 5.4万円 5.4万円

参考:家計経済研究所 在宅介護のお金とくらしについての調査

注目していただきたいのは『介護用品』の部分です。

要介護1では6,000円だったのが、要介護5になると25,000円も必要になっています。

心身状況が悪化し、介護に対する時間が増えてると介護用品に関わる費用は一気に必要となるのです。

軽度なうちはあまり費用がかからないと思っていても、将来的には高額になるということを抑えておかなければなりません。

ショートステイを利用する場合にはさらに負担が大きくなる場合も

在宅介護でも、短期間の宿泊で介護を受けられるショートステイがあります。

日帰りのデイサービスなどに比べると、割安になるので人気が高いサービスのひとつです。

しかし、ショートステイを利用する頻度が増えれば、当然のことながら費用は一気に高額になります。

家族からすれば、夜間もショートステイでお世話になるんで、心身の疲労は軽減します。

要介護4や5にもなると、支給限度額も高くなるので、連続して30日間ショートステイを利用できる『ロングショート』として利用できるのです。

ただし、この場合は施設に入所しているのと同じぐらい高額になるので注意が必要です。

ショートステイとは?長期利用のロングショートステイの費用や期間も解説

寝たきりやaslの人はどのくらいの費用がかかる?

寝たきりやaslを要介護5であることを前提に解説をします。

この場合は支給限度額に対して自己負担となるのは1割の場合約4万円になりますので、この金額は確実に必要になると思っておきましょう。

寝たきりになれば、食事形態の工夫(流動食や刻み食)にする必要がありますし、褥瘡予防のため特殊なマットやクッションもたくさん利用することになります。

AISなどの特定疾患なら、医療費の助成もありますが、自己負担の部分もあることを理解しておきましょう。

そう考えると、4万円にプラスして、3~4万円が必要になるでしょう。

 

老人ホームに入居した場合にかかる費用とは

要介護4や5になっても、在宅介護をするのは心身ともにかなりのストレスがかかります。

そうなると、老人ホームへの入居を考えるケースが多いです。

要介護4や5 ですと、人気のある施設は特養があります。

特養だと、月々全ての費用を含めて15万円もあれば大丈夫でしょう。
自立した段階で入居を希望する場合や、軽度な状況なら民間の有料老人ホームへの入居も可能ですが、特養よりも費用は割高になります。

在宅介護と施設介護の費用はどれくらい違う?介護にかかる「お金」の考え方

まとめ

在宅介護は施設介護に比べて確かに費用は抑えられます。

しかし、施設に入所したら必要のなり費用も在宅介護なら必要となる費用があることを抑えておきましょう。

また、介護する人が、介護疲れで病院にかかることになれば、結果的にその分の費用が必要になります。

なかには、仕事を辞める、介護離職となるとその間は収入はないことになりますので、その辺りのことも考えておきましょう。

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監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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