義理の母の介護がつらいときに読む対策方法5選【実例】

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結婚に関する価値観は変わってきてはいるものの、やはり年配の方の中には「うちに嫁いできたのだから、介護は嫁のやることだ」と考える方がいらっしゃるのは事実でしょう。なかには義理の母との関係性があまりよくないが、夫や親族が全く介護を手伝わないので、我慢して義理の母の介護をしている方もいるのではないでしょうか。

実は子どもがいる20歳~49歳の既婚女性1000名のアンケートによりますと4割強の女性が義理の母からハラスメントを受けたという報告があります。
参考:永遠の確執!?義理の母と嫁の問題「嫁ハラ」 遭遇率は41.6%

このように、お互い元気なときでさえ不仲だった場合、義理の母に介護が必要となると、なおさらトラブルが起きる可能性も高くなります。

「なんで私が介護しなくてはいけないの?」と思われる方も少なくないのではないでしょう。そもそも、嫁に姑の介護をする義務は本当にあるのでしょうか。

今回は義理の母を介護する上でのトラブル事例や対処法を体験談を交えながらご紹介いたします。

義理の母を介護する際のトラブル事例

義理の母を介護する上では、お互いに思うところが多く、トラブルが多いのが現実。

ここでは、義理の母を介護する際に起こりうるトラブルや理不尽な対応について実際にあった事例を紹介していきます。「あ、それ私と同じ状況だ」という方がいらっしゃるかも…

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認知症介護の辛さ

認知症介護で辛いのは、暴力や暴言ではないでしょうか。

例えば、義理の母が妻の私物を勘違いして自分の部屋に持っていってしまい、妻がそれを注意したところ殴られたといった理不尽なこともあります。ちょっとしたことで「死ね」「いなくなればいいのに」などの暴言を浴びせられることもあります。

こんなに義母の介護を頑張っているのに、なぜ暴力や暴言など理不尽な扱いを受けなくてはいけなの…」とストレスをため込んでしまうことはよくあることです。

また、認知症によるせん妄では生活リズムが不規則になったり、幻覚を見たりする場合があります。

実際の例としては、介護者の生活リズムが不規則になり深夜12時を昼の12時と勘違いされ、「昼食を作ってほしい」と要求されたり、天井に付着している黒いシミに対して、「虫がいるから追い払って」と言われた経験がある方もいらっしゃいます。

さらに認知症の症状が進行すると、トイレが間に合わず失禁してしまう、便をいじって壁や布団につけてしまう弄便など、排泄に関する介護の問題も発生します。排泄の介護は実の親子でも大変なものですが、義母となるとそのストレスや疲れは倍増してもおかしくないでしょう。

口は出すが手は貸さない夫や親戚

義母の介護で発生するトラブルは、「口は出すが手は貸さない夫や親戚からの介護に無理解な言動」によっておこることがほとんどではないでしょうか。

「私だけが姑の介護をしていて大変なのに、なにかと理由をつけて夫は介護をしない。親の介護は嫁のすることだと考えている」

「絶対に自分では介護しないくせに、夫は母がかわいそうだといって、順番待ちしてやっと入居した老人ホームから姑を家に連れ戻そうとしている」

「義両親の介護は長男の嫁がやるものと思っている次男の嫁。たまにやってきては介護を手伝いもせず姑と話してご機嫌をうかがうだけ。でも、姑は『〇〇さんは優しくしてくれるのに、あなたはいつも怒ってばかり』と私をせめてきて辛い。私は一人でこんなに頑張っているのに…」

義母を介護する大変さをわかってもらおうと夫や親戚に相談しても、大げさだと全くとりあってくれないこともあり、八方塞がりな気持ちでイライラしてしまう方も多いでしょう。

夫との関係性が悪化すると、「介護離婚」もあり得ますが、妻が経済的に自立していないため離婚が難しい、離婚できても老後資金がなく貧困に陥るなどの問題が発生することもあります。

「私が介護したのに…!」一円ももらえない相続

義母の介護が終わった後にも、トラブルは起こりえます。よくあるトラブルは「相続」問題です。

いくら献身的に義母を介護しても嫁は法定相続人にはあたらないため、遺産相続をうけることができません。義両親の介護で遺産相続をもらうには特別寄与料として相続人に請求する必要がありますが、特別寄与料として認められるにも一定の要件があったり、相続人と請求金額でもめたりと関係がこじれトラブルにつながることがあります。

姑の介護は本当に嫁の役目?拒否することはできる?

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そもそも、「義理の親の介護をすることは嫁の役目」という考え方は本当に正しいのでしょうか。

民法877条によると、相互扶助の義務があるのは「直系親族及び兄弟姉妹」とされており、嫁に義理の母や父を介護する義務は本来ないのです。

ただし、これまでの日本では夫が働いて稼ぎ、妻が家で家事育児をする家庭が多かったため、姑の介護が必要になっても「仕事で介護ができない夫にかわり、嫁が義両親の介護をするのは当然」という価値観が根付いたのでしょう。

実際、民法752条に「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という規定がある通り、夫が仕事で親の介護ができない代わりに妻が義両親の介護を行うのは自然のなりゆきと考えられます。

しかし、近年は結婚や子育ての後もキャリアを築いていく女性が多い中、「介護は嫁の仕事」という価値観だけが残ってしまいました。そのため、たとえ共働きをしていても妻が仕事を辞めて介護をする家庭は存在し、介護離職の高い女性比率が問題となっているのは事実です。

姑の介護を拒否することはできる?

義両親の介護は嫁の義務ではないため拒否することできますが、伝え方には十分注意した方がよいでしょう。自分の意見ばかりを述べてしまうと、「わがままだ」と思われかえって事態を複雑にしてしまう可能性があります。

あくまでも義母の立場にたって「お義母さんにいつまでも元気でいてほしい」「お義母さんに不自由な思いをさせたくない」など伝え方を工夫しましょう。

また、義母の転倒による骨折など突然やってきた介護では、なし崩し的に嫁が介護をし続けることになる場合があるため、義両親の介護が始まる前から夫や親戚と話し合っておくことも大切です。

義母の介護がストレス…介護の負担を減らすには?

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義理の母を介護をして困っていても家族や親族から理解されずに辛い思いをすることもあるでしょう。それらへの対処法を私の経験を踏まえながらご紹介します。

家族や親族に本気度が伝わるように相談をしてみる

一回家族や親族に本気で話をしてみて、今の介護の辛さや大変さを自分の口で伝えてみましょう。その際に、介護のどこが辛くてそれによって家事や子育てにどう影響するかを具体的に伝えましょう。

とはいえ、「大げさに話している」と聞く耳をもってもらえないこともありますよね。そのような場合はサービス担当者会議の場などに参加してもらい、ケアマネージャー等の第三者から話をしてもらいましょう。

また、義理の母の情報をこまめに親族に伝えてあげることも大切です。家事や育児に影響が出ていることを理解してもらえれば、家族や親族が手伝ってくれる可能性が高くなります。

子供に手伝える家事などは手伝ってもらう

介護以外にも洗濯や料理、掃除なども両立しないといけません。もしお子さんがある程度おおきければ家事を手伝ってもらい、自分は介護に専念しましょう。

そうすることにより、少しだけでも自分の負担を減らすことができます。

外部の人に相談するかコミュニティに所属をする

家族や親戚などに相談してみても、解決できない場合もあります。

その場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの方に相談をしてみましょう。第三者の力を借りることで、解決策が見つかるかもしれません。

また、家族の会で介護をしている人たちで集まって話を聞いてみましょう。

専門家や介護の先輩からアドバイスをもらい、解決策が見つかるかもしれません。介護者同士で集まることが難しい場合、家族会の本部では電話相談も行っているので、時間がある時に相談してみてもいいかもしれません。

具体的な対処方法を相談するだけでなく、義母の介護で辛い思いを誰かに話して聞いてもらうだけで、少しは気持ちがはれることもありますよ。

参考:介護で人間関係のトラブルがあったときの解決策と相談先

デイサービスやショートステイの検討

ケアマネジャーや家族の会などから施設への入居をすすめられる場合もあるかもしれません。

しかし、いきなり施設に預けるのは環境の変化から義理の母に負担がかかる可能性もがあります。そのためデイサービスやショートステイを徐々にならしてあげる意味で義理の母を施設に預けてみましょう。

義理の母を施設に預けている間、施設に本格的に入居させるか家族と話し合ったり、旅行や友人と遊んだりして自分のために時間を使うことで心や体をリフレッシュさせてみてもいいでしょう。

ショートステイとは?気になる費用や利用できる期間まで徹底解説

施設への入居の検討

ショートステイやデイサービスを利用してみたもののやはり介護が大変で手の打ちようがない、家族や親戚は手伝う気がないという場合は施設への入居を検討しましょう。

施設に入居してもらった場合、自分の多くの時間を使うことができ、家事や家族との時間を有意義に過ごすことが出来ます。

しかし、介護には協力しないのに責任だけ押し付けるような方が施設への入居に反対してくる場合も多いでしょう。

そんなときのために以下では施設へ入居を反対される理由とその対処法をお伝えします。

介護施設や老人ホームなど高齢者住宅・施設の全種類を解説|費用や特徴、選び方や種類ごとの違いとは?

姑を施設入居させたいときの方法

施設への入居に踏み切れない理由は主に家族が反対するか、金銭的な事情で入居ができないかの2種類です。

これらの阻害要因を乗り越える対処法をご紹介いたします。

家族が反対をする場合

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よくあるのが介護者本人や夫が反対する場合です。

介護者本人の場合は「捨てられた」という気持ちから、施設への入居を拒もうとします。

強引に入居させても、環境に馴染めなくて施設で暴力や徘徊などの問題を起こす可能性もあります。

義理の母を説得する際に、「自分がいない時もお母さんに不自由な想いをさせたくないです」義理の母の気持ちを思って話すことで、すんなりと理解をしてくれたことがあります。

夫が反対するケースとして自分の母親を施設へ入居することに対して、「施設へ入居させるなんて可哀そう」と言って、施設への入居を反対することがあります。

そのときは普段介護をしてくれない夫に、多少強引でも介護をしてもらう機会をつくりましょう。無理矢理にでも義理の母の介護でトイレ介助をさせたり、夜中に呼ばれたときにあえて夫に行ってもらったりして、介護の辛さや大変さを理解してもらいましょう。

これにより、介護をすることがどれだけ大変かを考えてもらい、施設への入居を検討してもらえることがあります。

もし検討してくれなかった場合でも、介護の辛さを一度でも体験してもらうことが大切です。

施設に入居するためのお金がない

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義理の母の年金などではお金が足りず、施設への入居に踏み切れない方もいるかと思われます。

しかし、施設自体も特別養護老人ホームケアハウスなど費用が安価なところがあるため、それらの施設を検討してみましょう。

また、駅から遠い施設や地方の施設を利用するなどでも費用を安価に抑えることが出来ます。

そして重要なのは人生を長い目で考えることです。介護にはたくさんのお金がかかることは事実です。

しかし介護にはいつか終わりがあり、その後は介護をしない自分の人生がまだまだ続きます。

自分の老後のための資金や介護費用を稼ぎつつ、義理の母は介護のプロにお願いしてみるのも良いのではないでしょうか。

【高齢者住宅・施設への入居費用まとめ】老人ホーム、介護施設、サ高住など全解説

まとめ

実の親の介護でも大変ですが、義理の母を介護するとなるとストレスが溜まってしまうのは当然のことです。

「私だけが頑張っていて、誰もその大変さを理解してくれない…」と一人で抱え込んで辛くなる前に、頼れるケアマネや家族会のメンバーなどに相談してみましょう。大丈夫、あなたは十分に頑張っていますよ。いつもお疲れ様です。

また、「介護は嫁がすることなのに、やろうとしないので困っている」という方は、まずは妻の話を否定せずに最後まで聞いてみてください。ただ単に姑の介護から逃げたいと思っているわけではなく、「辛くて大変な思いをしていることを理解してほしい」「頑張っていることを認めてほしい」と思っていることもあります。

介護は直接的な介護以外にも協力できることが沢山あります。介護はできなくとも、家事を協力する、自分のことは自分でやるなど介護以外のサポートもできるため、介護離婚を避けるためにも「大げさだ」と切り捨てず、歩み寄りの気持ちをもってみましょう。

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監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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