介護に疲れたと感じたら…「介護疲れ」の症状チェック!介護うつを防ぐ方法も紹介

「毎日毎日、介護をしなくてはいけない。介護に疲れてしまいました。申し訳ないけど、もう限界です…。」

介護をされている方のなかには、終わりの見えない介護生活のなかでストレスを抱え続け、「消えたい」「逃げたい」と限界を感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

実際、93%のケアマネジャーが「介護者が心身ともに疲労困憊して追い詰められていると感じたことがある」と回答しています。

介護者の“介護疲れ”に関する調査結果グラフ

出展:介護者の“介護疲れ”に関する調査結果

このように毎日の介護で「介護疲れ」が溜まっている方はとても多く、誰しも決して他人事ではありません。

ここでは、介護疲れの症状や原因、疲れを解消するための方法などをまとめていきます。

今の自分がどのような状態なのかを把握して、介護ストレスを減らすことができる方法を見つけましょう。

「介護疲れ」によって引き起こされる問題

日本は超高齢社会が到来しており、それに伴い介護者も増加しています。

厚生労働省によると介護が必要な方と同居している家族介護者のうち、「ストレスを感じている」と答えた割合は約8割、介護で「ストレスを感じていない」と答えた方はわずか2割となっており、在宅介護をしている方のほとんどが介護にストレスを感じていることがわかります。

また介護者は女性が多く、特に介護負担が大きいといえます。

では介護ストレスや介護負担などによる「介護疲れ」はどのような危険があるのでしょうか。

実は今や介護疲れは今や社会問題の原因となっているのです。

介護者のストレスに関するグラフ

参考:要介護者を介護する人の意識と実態に関する調査

介護うつ

介護うつとは介護への過度な心配や責任感、悩み、ストレスなどを一人で抱え込んだ結果、介護疲れを溜め込んでしまったことが理由となり、うつ状態になってしまうことをいいます。

近年、特に自宅で介護をおこなう介護者の中で介護うつになってしまう方が増加しています。

なかでも、誰にも頼らず、自宅で献身的に介護をおこなっているような真面目で責任感が強い方ほど、介護うつになりやすい傾向があると言われています。

介護うつになると必要以上に自分を追い込んでしまい、自殺、心中、介護殺人などの事件にまで発展してしまうこともあり、介護をする方も介護を受ける方も共倒れしてしまう危険性があります。

このように介護うつになることで自分や被介護者を危険な目にあわせてしまう可能性がとても高くなるのです。

介護疲れによる入院(過労)

介護者の多くは女性であり、直接的な介護以外にも食事を作ったり掃除をしたりなどの家事を行っていることも少なくありません。

なかには介護と家事の両立だけでなく、パートなどの仕事をかけもちで行っている方もいらっしゃるでしょう。

その上、夜中であっても排泄の介助をしたりなどゆっくりと寝る時間も取れない状態になっているような状況や、ひとりで介護を担っていることもよく見られています。

このような状況が継続すると、ついには介護者が過労で倒れてしまうという事態になりかねません。また、介護者が高齢であったり持病を持っていたりする場合では、心身の疲労から体調が悪化し、入院を余儀なくされるというような危険性もありえます。

そうなると家族のなかで他に介護ができる人がいなくなるという事態も考えられます。

高齢者虐待

高齢者虐待のイメージ画像

©Satjawat/stock.adobe.com

高齢者虐待とは介護をする人が、要介護者である高齢者に対して虐待することをいいます。虐待であると自覚してない場合でも高齢者虐待にあてはまるケースも多くあります。

例えば「虐待=暴力」というイメージがありますが、暴言などの精神的虐待、介護をするための親の年金を使い込むなど経済的なものなども虐待になります。

家族や親族、同居人による高齢者虐待の相談、通報件数は平成29年度で3万件を超え、その中で虐待であると判断された数は1万7千件にも登っています。ただでさえ家庭内のことはなかなか発見が難しいことも考えると、実際にはもっと多くの虐待が行われていると考えられます。

4人に1人が介護疲れや介護ストレスによって高齢者虐待をおこなってしまうという結果もでています。それだけ介護疲れは多くの方の悩みとなっているということが分かります。

普段は温厚で真面目な方であっても、自分でも意図せずに衝動的に虐待をしてしまうのです。

参考:平成 29 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果|厚生労働省

不適切ケア防止で虐待を防ぐ!不適切ケアチェック表で確認しよう

介護離職

介護離職とはその名の通り、介護や看護が理由でこれまで働いていた仕事を離職することをいいます。

介護離職者の人数は2007年から2017年の10年間で約2倍に増加しており、以降、毎年10万人の方が介護離職をしているといわれています。

特に2013年以降は正規社員の介護離職率が増加傾向にあり、社会で活躍できるはずの人が介護を理由でやめざるを得なくなっているという状況です。

この介護離職による1年当たりの経済全体の損失額は約6,500億円とも言われています。日本はこれほど多くの機会の損失をしているのです。

労働力の不足が懸念されている日本においては、とても大きな社会問題であることがわかりますね。

介護離職で後悔しないために | 両立を支える国の制度と5つの対策

家庭内や兄弟関係の不和

「自分だけで介護をしてこんなに頑張っているのに、兄弟はあれこれ口出しするだけで手はかさないし、お金も出さない。不公平だ。」「ひとりで辛い思いをしながら義母の介護をしているのに、夫は全く介護の大変さをわかってくれないし、私に丸投げで介護を手伝わない」など、周囲から介護を手伝ってもらえないこと、介護の大変さをわかってもらえないことで介護疲れに陥っている方も多くいらっしゃるでしょう。

普段であればぐっと我慢してこらえられても、介護疲れも限界に達するとつい感情的になってしまい、介護離婚や兄弟との喧嘩や不仲にもつながりかねません。

介護に疲れた…その原因とは?

介護者が介護に対して負担を感じる項目は大きくわけて「精神的負担」「身体的負担」「経済的負担」の3つに加え、「認知症介護の負担」の4つが挙げられます。

介護疲れしないよう対策するためには、まず自分の介護生活を振り返り、自分が何に疲れを感じているのかを確認することが大切です。

自分が抱えている負担を一度整理するためにも、介護疲れには、どのような原因があるかみていきましょう。

降りかかるストレス

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精神的負担

介護生活においては拘束時間が長いため、自分の生活の自由が束縛されてしまうことが精神的に負担を感じる大きな要因となっています。

自分の生活よりも介護が優先の生活が続けば、疲れがたまることは容易にイメージできますよね。

また、介護する方も受ける方も人間であるため、相手の性格や行動に対して不満を抱えることもあります。

特に自分の血縁でない義父母の場合は、自分の血縁の家族を介護する以上に疲れやストレスが溜まってしまいます。

精神的負担の原因例

  • 介護でストレスがたまるが発散の仕方がわからない
  • 自分が好きなことをする時間を確保することができない
  • 介護について相談できる人がいない
  • いつまで介護が続くのかゴールが見えない
  • 介護に対して漠然とした不安がある
  • 家を留守にできない
  • 24時間要介護者を気にかけなくてはならない
  • 暴言を吐かれる
  • 思ったように行動をしてくれない
  • 性格の不一致

身体的負担

介護・介助をおこなう際には想像以上に体力を使います。

さらに、要介護者の配偶者やその子供である40~60代の方が介護をおこなう場合、自身に腰痛や痛風など何かしらの持病を抱えていたり、年齢的に疲労が溜まりやすくなっていることがあります。

その場合の身体的負担はさらに大きくなります。

原因例

  • 食事、入浴、排泄などの介助
  • 移動介助
  • 自分の病気の治療や体調管理ができない
  • 十分な睡眠を取ることができない
  • 適切な介護の仕方がわからず余計な疲労がたまる
  • 介護用品を購入するため買い物際、荷物の量が多くなる

経済的負担

介護に時間がとられてこれまで通り働けなくなってしまうと「介護離職」や勤務形態、職務内容の変更をせざるを得なくなり、収入が低くなる場合があります。

その場合、介護に対する費用がこれまでの生活に追加されたのに、収入は下がっているという状態になりえます。

こうなると介護サービスを利用したくても介護に当てられるお金が少ないために

悪循環に陥り、介護が終わったあとの生活にまで影響します。

原因例

  • 介護するために仕事に出られない
  • 介護をおこなう上でさまざまな費用がかかる
  • 介護給付金のなかで収まらない
  • 場合によっては住宅改修が必要
  • 遠距離介護の場合は交通費がかかる

認知症介護の負担

認知症の高齢者を介護していくことは、心身ともに疲れがたまるものです。例えば、「夜中のトイレで何回も起こされ、睡眠不足」「暴れだすので、おむつ交換が大変」など肉体的な疲労から、「親のために介護しているのに、怒鳴ったり介護を嫌がられたりする」「認知症の症状が進み、ひとりで生活できなくなっていく親を見ているのがつらい」「心の余裕がなくなり、親にイライラする自分が情けない」など、精神的にも大きな負担がかかります。

このように介護が負担となっている原因にはさまざまなものがあります。

また、一つの項目が「精神的負担」「身体的負担」「経済的負担」のすべてにあてはまっていて、それが原因となって「介護疲れ」を感じていることもあります。

自分が何に対して負担を感じているのかを客観的に把握することも日々介護をおこなううえで重要になってきます。

介護疲れの症状をチェックシートで確認!

介護ストレスや負担を感じる生活が続くと、介護疲れが影響し、だんだん心身の状態に変化がみられます。

ここでは介護疲れが溜まっている方に見られる症状をまとめていきます。

当てはまる症状が多い方は要注意です。

ただ、当てはまる数が少なければ疲れていないということではありません。あなたは何個あてはまりますか?

「感情や思考の変化」「身体や行動の変化」のチェック項目の多くが当てはまるという方は、もしかするとすでに介護うつになっている可能性もあります。自分を守るためにも病院を受診するという選択肢も考えてみましょう。

介護疲れを確認する女性

©japolia/stock.adobe.com

感情や思考の変化

不安や憂鬱などのマイナスな感情を感じることが増え、小さなことでも焦る・攻撃的な反応をするようになっていませんか?

食の好き嫌いなど、自分の好みが変化した
憂鬱で何をやっても楽しくない
何かとイライラする
集中力や判断力が低下した
パニック状態になることがある
攻撃的になった
焦りや不安を感じやすくなった

身体や行動の変化

介護で溜まった介護疲れは感情だけでなく、さらに自分の身体や行動にまで影響を与えます。自分ではちゃんとしようと思っているのに、なかなか思うように身体が動いてくれない、なんてことはありませんか?

話す時の声が小さくなった
他人と交流するのが億劫になった
仕事がはかどらない
睡眠障害がある
原因はわからないが体調が悪い(頭痛、腹痛、動機、めまいなど)
血圧があがりやすくなった

「介護疲れ」を予防・軽減する対策・対処法とは

ここまでで私って介護に疲れていたんだなあと気がついた方やチェックするまでも無く介護疲れを感じていらっしゃる方は、どのように介護疲れを予防・軽減していけばいいか気になりますよね。

すでに介護疲れの状態になってしまっている方は、ケアマネジャーや地域包括支援センターにまずは相談してみましょう。どのようなことが辛いのか、親の介護をどのようにしていきたいのかを伝えて、負担が減らせる方法を提案してもらいましょう。また、介護をしている家族の会などで介護の悩みを相談したり、愚痴を話すこともストレスを発散につながります。

「介護疲れを予防したい」という方は、介護をする上で利用できる制度やサービスにはどのようなものがあるのかを調べ、頼れるものは利用しつくしましょう。介護保険サービス以外にも、地域支援事業やボランティア団体の活動、民間の家事代行サービスや見守りサービス、国の介護休業制度など介護をする上で頼りになる制度やサービスは数多くあります。介護を続けていくには、一人で抱え込まないよう上手にサービスを利用したり、周囲を頼ったりすることが大切です。相談できる人や、愚痴を話せる人を見つけておくこともおすすめです。

介護疲れを癒して解消したい!おすすめの方法

介護疲れに悩む女性

©Kittiphan/stock.adobe.com

介護疲れが蓄積すると自分だけでなく、介護を受けている方にも良い影響はありません。

介護をしていると自分のための時間を持つのは難しいかもしれませんが、手軽に介護疲れを癒す方法もあります。

おすすめの方法をいくつかご紹介しますので、自分にぴったりの癒しの方法を実践してみましょう。

ぬるめのお湯にゆっくり浸かる

在宅で介護を行っていると長時間自宅を離れることは難しいこともあります。そのような時にでもお風呂にはゆっくり入れるような時間の確保をしていきましょう。

38℃~40℃くらいのぬるめのお湯に10~20分程度つかることでストレスで活発化していた交感神経の働きを抑えることができ、逆に副交感神経の働きが活発になることでリラックス効果を得ることができます。

また、全身の血行が促進されて披露した筋肉の緊張を緩和することにも繋がります。

誰かと話す

介護にストレスはつきものです。その気持ちを押さえ込まずに表に出せるようにしましょう。

同じような境遇の人や第三者に話を聞いてもらうだけでもすっきりとします。ケアマネジャーなどの介護のプロであればその気持ちに寄り添ってくれるでしょう。

また、自分の気持ちを日記などに書いておくというのもよいでしょう。介護をしていると他人との交流の機会も減り孤独になりがちです。

イライラしていたり疲れている気持ちをため込まず、何らかの形で外に吐き出せる機会を持つことが大切です。

ストレッチをする

ストレスが蓄積すると体に余計な力が入り、肩こりや首などが凝り固まってしまいます。これらを改善するには脱力ストレッチと呼ばれるような筋肉の緊張と脱力を繰り返す方法を行うことでリラックス効果を得ることができます。また、外の空気を吸いながらワーキングするなど軽い運動もおすすめです。

このように体を動かすことで、介護から少し離れて気分もリフレッシュすることができますので、疲れた心と体を癒していってあげましょう。

家族など身の周りで介護疲れの人がいたら、どう対応すればいい?

「母親が義母の介護をしているが、介護疲れで辛そうなので心配…」など、介護で疲れている方に接すると、何とか励ましてあげたいという気持ちを持たれる方もいらっしゃるでしょう。

「介護疲れの人を励ましたい」という気持ちを相手へ上手く伝えるには、介護のアドバイスをするのではなく、「あなたを心配している」「気にかけている」「いつも見ている」という気持ちが伝わるような言葉をかけるとよいでしょう。

介護のアドバイスをするのは、介護疲れに陥っている理由は人それぞれで難しいうえ、「口は出すが手はかさない人」だと疎まれてしまう可能性もあります。そのため、相手を心配している気持ちや、いつでも頼ってほしいという気持ちを伝える方がよいでしょう。

腰痛や肩こりなど体の疲労をいたわるグッズや、アロマなど気分をリフレッシュできるものをプレゼントしてみてもいいですね。

まとめ

介護疲れからの解放

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日々の介護で疲れが溜まっている方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら、一人で負担を抱え込み、家族が共倒れしてしまっては元も子もありません。

疲れがたまっている場合はしっかりと一度リフレッシュして、自分自身を大切にすることが最優先です。

相談窓口や介護サービスなど使えそうなものはすべて使って、介護疲れを減らしていきましょう。自分で介護をすることがつらい時には介護施設を探してみることも大切です。

「親の介護費用が足りるか心配」「介護をしない兄弟がいる」「介護のために仕事を辞めようか考えている」など、介護に関する悩みをお持ちではありませんか?

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監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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