地域包括支援センターとは?機能と役割について詳しく解説

介護の必要性を身近に感じた時、地域包括支援センターという言葉を一度は耳にされた方もいらっしゃると思います。

しかし、実際のところ何をしているのか?

どのような役割を果たし、自分達を助けてくれるのか?

よくわからないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、地域包括支援センターが地域住民にどのようなサービスを提供しているのかを具体的に解説していきます。

地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターの人々

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地域包括支援センターが行っている役割を一言で表せば「高齢者の介護全般に関する地域の相談窓口」です。こちらに勤める職員は、市町村の委託を受けて働いており、介護保険制度のなかでもそのように位置づけられています。

地域包括支援センターは原則、市区町村に1つ以上の設置が決められており、地域に密着した相談・支援業務をおこなっています。

地域包括支援センターがはたしている主な役割は、以下の4つに分けることができます。

地域包括支援センターの人の話を聞く

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1.介護予防支援

介護予防支援とは、要支援1と2の人を対象にして、本格的な介護を必要としないように支援してくれるサービスです。

例えばケアプランとして、週1回のデイサービスに通い、他の高齢者と触れあうなかで心身の健康を維持したり、今できている日常生活の動作を今後も継続して行なえるような機能訓練などを提案してくれています。

2.総合相談支援

高齢者の抱える総合的な悩みの相談に応じてくれます。

介護のことはもちろん、どのようなことでも地域の総合的な窓口として話を聞いてくれます。

そして、直接答えをその場で聞ける場合もあれば、さらに専門的な機関である地域包括支援センターや対象となる介護保険施設などを紹介してくれます。

地域包括支援センターへの相談事例
  • 「そろそろ介護の必要性があるように思うが、どのようにして介護保険を使えばいいか分からない」
  • 「近所に一人暮らしのおばあさんがいるが、自分のことがちゃんとできないない様子で見ていられない」
  • 「老人ホームへの入所を検討しているが、どのような施設があるか知りたい」
  • 「母親が認知症になり困っている。この先どのようにしたらいいのだろうか…」

3.権利擁護

「権利擁護」という言葉は少し仰々しく聞こえますが、要するに高齢者になって心身機能の低下が出現したとしても、人間としての権利をいつまでも守ってくれるということです。

高齢者が権利を失われるケースとはどのような場合があるでしょうか?

代表的なことは『虐待』ですね。

虐待は一緒に生活する家族だけでなく、介護保険サービスを受けている事業所のスタッフからも受ける場合があります。

虐待と言えば、身体を叩かれる、つねられる、引っ張られるなどの身体的な虐待がありますが、他にも「ネグレクト(介護放棄)」「精神的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」などもありますので、これらに関しても地域包括支援センターで相談に乗ってくれて、解決に向けて動いてくれます。

虐待についての詳細はこちらからどうぞ。

高齢者虐待を防止・対応しよう!虐待の種類を事例を交えて紹介【見極めチェックシート付き】

4.包括的・継続的ケアマネジメント

包括的・継続的ケアマネジメントと言われてもなかなかイメージできない言葉だと思います。

これは地域のケアマネジメント(介護を支える)を地域全体で行うために、『介護予防ケアマネジメント』『総合相談や支援』『権利擁護事業』『ケアマネジメント支援』などを包括的に行うことです。

包括的・継続的ケアマネジメントは厚生労働省が政策のひとつとして打ち出している「地域包括ケアシステム」との関係も深いのです。

地域包括ケアシステムとは、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現するためのものです。

地域包括支援センターは、ケアマネジャー、医師(主治医)、地域の関係機関等と連携を図ってくれます。

更に、在宅と施設の連携など、地域において、多職種相互の協働等により連携するとともに、個々の高齢者の状況や変化に応じた対応もしてくれます。

地域包括ケアシステムとは?今後の課題と実際の事例を紹介!

地域包括支援センターの設置主体・設置基準

地域包括支援センターの機能を中立・公正・効率的に遂行するため、地域包括支援センターの設置主体は「市区町村」または「地域支援事業(包括的支援事業)の実施を市町村から委託を受けた者」でなければならないと決められています。

この委託を受けることができる者は以下のとおりです。

  • 老人介護支援センター(在宅介護支援センター)の設置者
  • 地方自治法に基づく一部事務組合又は広域連合を組織する市町村
  • 医療法人
  • 社会福祉法人
  • 包括的支援事業を実施することを目的として設置された公益法人又はNPO法人
  • その他市町村が適当と認めるもの

地域包括支援センターの職員の職種と人員基準

職種と人員基準

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地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーを必ず配置しなければならないと介護保険法で定められています。

また、介護予防支援をおこなう場合には上記に加えて看護師と3年以上経験がある社会福祉主事を必要数配置する必要があります。

以下、それぞれの専門家に対してどのような相談ができるか解説していきます。

保健師

保健師の役割は保健衛生上の観点から相談に乗ってくれることです。

例えば、認知症の対応で悩んだ時、在宅介護で褥瘡で出来て困った時、介護予防のための体操のついてなど、高齢者の直接身体に関わることを得意としています。

社会福祉士

高齢者の人権を守るような相談に乗ってくれます。

先ほども述べた、権利擁護に関することを得意としています。

ケアマネ

要介護1や2の方のケアプランの立案をして提案をしてくれます。

介護保険制度全般の知識もあり、地域の介護保険施設についても詳しいです。

老人ホームを探している時、介護保険の申請が分からない場合も対応してくれます。

看護師

高齢者の病院への付き添いや受診調整、介護施設や地域包括ケア病棟への入所手続き・調整、高齢者の自宅への訪問など、医療や介護サービスに関すること全般に対応してもらうことができます。

実はこんなこともやっている地域包括支援センターの機能

地域包括支援センターの機能

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地域包括支援センターの職員は、事務所で相談を待ったり、ケアプランに関わる作業をしているだけではありません。

実はなかなか知られていませんが、以下のような取り組みもされています。

オレオレ詐欺・還付金詐欺などの特殊詐欺の事前防止の取り組み

地域包括支援センターは警察との連携も行なっています。

地元地域で、特殊詐欺に引っかかりそうになった場合や実際に被害に合った人がいれば、その情報を伝達してくれます。(もちろん個人情報への配慮はあります)

そして、同じような被害を受けないように呼びかけをしてくれて、事前に被害を防止するような取り組みをしています。

認知症や独居高齢者を支える体制

在宅介護の認知症高齢者は何かと、家族は大変です。

例えば、一人で自宅から出てそのままどこか遠くに行ったまま戻らなくなるケースは珍しくありません。

そのような可能性のある高齢者に対しては、事前に登録してしておくことで、もし見つからなかった時に、すぐに対応してくれるようにしています。

もちろん、警察への通報も必要です。

健康教室などの開催

介護保険の認定の申請を行なったものの、『非該当(自立)』とされた方に対して、健康教室を開催したり、自分でも出来る機能訓練の方法を教えてくれたりします。

頻度や種類は地域包括支援センターによって違いはありますが、介護保険の対象でない高齢者に対しても何らかの支援を提供してくれます。

地域包括支援センターを利用するメリット

地域包括支援センターのメリット

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さて、ここまで地域包括支援センターの役割についてご理解して頂けたと思います。

しかし、あえて地域包括支援センターを積極的に使う理由はなんなのでしょうか?

そこにはもちろん理由はあります。

ここでは、地域包括支援センターを利用するメリットについて解説致します。

全て無料で対応してくれる

これまでご説明した地域包括支援センターの役割・やってくれることは、全て無料で対応してくれるのです。

高齢者に本人だけでなく、その家族の相談窓口にもなっていますので、介護に行き詰ったときや認知症を患った親への対応の相談なども、それぞれの専門家の目線で丁寧に対応してくれます。

健康教室や特殊詐欺への対応も無料となっています。

各専門機関に繋げてくれる

「相談したいことがあるけど、これって窓口は地域包括支援センターじゃないかもしれない」と考えるケースもあるでしょう。

心配しなくても大丈夫です。

仮に、専門外の相談を持ちかけられたとしても、それぞれの専門機関と連携して繋げてくれます。

遠方からの家族からの連絡でも家族が動いてくれる

例えばこんなケースはないですか?

「お正月に帰省した際に、母親の物忘れが進んだ気がする・・・一人でちゃんと生活できているだろうか・・・」

親との距離が離れており、心配や不安なときにすぐに対応できない場合にも連絡しても大丈夫なのです。

事情を聞いてくれて、場合によっては地域包括支援センターの職員が自宅まで訪問してくれて、様子を見てくれたりもするのです。

介護保険施設はもちろん、高齢者施設の情報をたくさん持っている

地域の介護の関する情報を集めており、それをどんどんオープンにしています。

そのため、新規オープンの介護施設の情報や、特養等の待機人数の把握なども把握しているので、欲しい情報があれば問い合わせるといいでしょう。

まとめ

地域包括支援センターの役割や利用するメリットがお分かり頂けたと思います。

最寄の地域包括支援センターを探す場合は、市区町村の介護保険担当窓口に尋ねるか、ネット検索で「〇〇町(地区名) 地域包括支援センター」で探せばヒットするでしょう。

また、民生委員さんや区長さんなどに尋ねても分かる場合もあります。

折角の社会資源ですでの、積極的に利用することをおすすめします。

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監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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