帰宅願望とは?認知症の高齢者が家に帰りたがる原因や対策を解説

認知症の方がデイサービスやショートステイを利用している時に、「家に帰る」と言って帰宅願望が現れることがあります。

ここでは、説明してもなかなか理解をしてもらえない帰宅願望に対して、どのように対応すれば良いのかを解説します。

帰宅願望とは

帰宅願望のある男性
帰宅願望とは、認知症のBPSD(心理・行動症状)のひとつで、家に帰りたいと強く繰り返し訴えたり、施設から抜け出そうとする行為をすることです。

帰宅願望は、自宅以外の場所にいる時に出現するものです。しかし、自宅にいてもそこが自分に家であると認識できないため、「家に帰りたい」と言い出し家族を困らせることもあります。

徘徊(ひとり歩き)に繋がることも

帰宅願望が出現しだすと、今は家に帰ることができない、ここが家であるなどの正論を伝えても本人は納得することが難しく同じ訴えを繰り返します。

何としてでもその場を抜け出そうとして鍵を外して窓から出たり、自宅を探して徘徊(ひとり歩き)してしまうなどの行為に繋がることもあります。

認知症の方が家に帰りたがる原因

認知症の方が家に帰りたいと帰宅願望を呈するには、本人なりのきちんとした理由があり、決して介護をしている人を困らせたいわけではありません。

その場所が落ち着かない

認知症になると、場所や人の顔を認識することが難しくなることがあり、知らない場所で知らない人に囲まれていて、自分がその場所にいる理由や何をすれば良いのかわからないと感じることがあります。そのため、そこにいることが落ち着かず、家に帰りたいと思うのはある意味自然なことかもしれません。

認知症が進行して、自分の欲求を抑えることができなくなると、その場にいる事が耐えられなくなり、帰宅願望として表れます。

他に欲求があることの代替

お腹がすいた、眠いなどの欲求がある場合、それを的確に表出することが出来ず、代わりに帰宅願望として現れることがあります。

時間帯やしぐさなどで別の欲求があるかを推測し、対応することで激しい帰宅願望に移行せずに対応可能なこともあります。

夕暮れ症候群

認知症の人は、夕方になると落ち着きがなくそわそわし出すことがあります。デイサービス等では、夕方になるとスタッフは利用者の帰宅の準備がされ、施設や自宅でも夕食の準備などで忙しくバタバタした雰囲気となりがちです。すると、認知症の人はその雰囲気を察知し、居心地が悪く感じ帰宅願望が出ると考えられています。

また、家事をしていた頃の感覚が蘇り、自分も家に帰って夕食の準備をしないといけないと思い帰宅願望につながる場合もあります。

帰宅願望がある時の対応

帰宅願望のある女性を介護する介護士

帰宅願望のある人は、繰り返し家に帰りたいと訴えてくることがありますが、「またか」と思わず、帰宅願望が出現した時は丁寧に対応をしていきましょう。

理由を聞く

帰宅願望が出現した時には、帰りたい理由が必ずあるはずです。どういう理由で家に帰りたいのかをしっかりと耳を傾けるようにしましょう。自分たちからすれば、必要がないと思われるような理由であったとしても、本人にとっては大事なことです。けっして、自分の価値観を押し付けるのではなく、相手に寄り添う姿勢で理由を聞くようにしましょう。

良く話を聞いた上で話題をそらす

帰宅願望が出現した時には、その家に帰りたいと感じている思いを否定することなく受け止めることが大切です。「ここが家です」や「もう少ししたら送っていきます」などの発言をいきなりせずに、帰りたい気持ちを否定せずにしっかりと聞くように心がけましょう。その上で、相手が興味がある話題に話をそらすと、帰宅願望が和らぐ場合があります。

一緒に外出する

帰宅願望が強くなると、ドアから出て行こうとされることがあります。安全のためカギをかけて出られないように閉じ込めるのではなく、一緒に出かけて話をしながらしばらく歩いているうちに、気持ちが落ち着くことがあります。興奮している時には何を言っても聞き入れてもらうことは難しいですが、気持ちが落ち着いた段階で「一緒にお茶を飲んでから、帰りませんか」などの声をかけると納得してもらえる場合があります。

帰宅願望で老人ホームから抜け出してしまうと、退去になる?

老人ホームでは、帰宅願望がある場合も想定して対応をしてくれます。特に、入居したばかりのころは環境の変化により帰宅願望が出現することは仕方がありません。しかし、度々老人ホームから抜け出したり、器物を破損するなどの行為があり、目が離せない状態が続くと退去となるケースもあります。

施設によって、帰宅願望での対応に違いがあるため、入居の際に確認をしておくようしましょう。

▼介護施設からの退去勧告される理由を知りたい方はこちらの記事をチェック

老人ホームから退去勧告受ける可能性のある5つの理由とその対処法とは?

帰宅願望の予防や対策はあるの?

帰宅願望は、認知症の人が不安を感じたり、精神的に落ち着かなかったり、その場の居心地が悪かったりすることがきっかけになり出現しがちです。そのため、居心地の良い環境であると感じてもらえることが帰宅願望の予防になります。

本人の気持ちに寄り添えるように普段からよく話を聞き、その場にいる必要性が感じられるように役割を持ってもらう等の工夫をしましょう。本人にとって居心地の良い場所づくりをすることが帰宅願望への対策となります。

まとめ

「家に帰る」と訴える帰宅願望は、その場所の居心地の悪さが原因となっていることがあります。認知症が進行すると場所や人の顔が分からなくなるため、いくらここが自分の家だと説明をしても理解できず、介護者をイライラさせることもあるでしょう。

帰宅願望のある人の介護では、気持ちに寄り添い、安心していられるような環境にすることが重要であり、普段から慣れた専門職の対応により落ち着く場合もよく見られます。

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この記事を書いた人:寺岡 純子

保有資格:終活カウンセラー上級、主任介護支援専門員、看護師、GCS認定コーチ
合同会社カサージュ代表。急性期の看護師として従事後、介護保険制度の開始と共に介護業界へ転身。超高齢社会の社会構造の変化を目の当たりにし、人生100年時代を自分らしく生きる必要性を実感する。 現在、20年間の介護業界での経験も生かしながら、終活をお手伝いする終活カウンセラーとして活動中。自分らしい人生を応援する『Happy Life College』を主宰。

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