認知症の介護拒否|介護を嫌がる理由を知り、上手に対応するには?

介護拒否とは、認知症が進行してきたときに家族やヘルパーが介護をしようとした時に、抵抗したり言うことを聞いてもらえないなどの拒否をすることです。

認知症の方の介護をしていると、介護拒否をされることは良くありますが、そのような状況では、「相手のことを思って一生懸命やっているのになぜ?」と悲しい気持ちになったり、苛立ったりするかもしれません。施設での介護では、拒否をされたら別の人が交代すれば納得してくれるようなこともありますが、在宅介護では交代して説得をしてくれる人がいるとは限りません。

ですが、どういった理由で介護拒否をしているのかや、どのような対応をすれば介護拒否をされないかなどの対応策を知っていると、上手く対応できることがあります。その結果、相手にとっても自分にとっても良い結果につながることがあるので、単に介護拒否と捉えずに、拒否する理由を探り上手に対応していきましょう。

介護を拒否する理由とは

介護を拒否するにはいろいろな理由が考えられます。必要なケアを受入れてもらうには、どのような理由から介護拒否になっているのかを考えてみましょう。

羞恥心がある

入浴や排泄の介助は羞恥心が伴い、誰でも嫌なものです。そのため、それらの介助を受ける場合は、必要性を理解し仕方がないと羞恥心を我慢しながら介助を受けています。しかし、認知症の進行によりその我慢の部分が薄れてしまうと、強い拒否につながることがあります。

自尊心がある

年を取っても、何でも自分でしたい、誰かの世話になることは好まないと感じている人や、自分の弱い姿を見せたくないと思っている人は多くいます。そのような場合、手を貸そうとしたり、指示をされることを嫌がり、介護拒否につながることがあります。

これまでの生活習慣と違っている

高齢者の人は、例えば、靴や靴下は左右どちらから履く、お風呂ではどこから洗う、食事とお風呂はどちらが先かなど、生活の行動一つ一つに長年の習慣があります。他人から見ると些細なことであっても、認知症があると長年の習慣と違うことは受入れし難いため、これまでの習慣と違う状況になった場合に介護拒否という形で現れることがあります。

認知機能の低下で伝わらない

認知機能の低下があると、言葉で説明したことが伝わらなくなることがあります。介助者がきちんと説明をしたと思っていても、相手からすると、いきなり何かをされてびっくりして介護拒否をされているような行動に出ることがあります。

介護拒否への対応・対策

介護拒否が現れる場面は人によって違いがありますが、拒否が見られる場合にはその理由が必ずあります。どのような理由から介護を拒否しているのかを探り、本人が気持ちよく介護を受けられるようにするためには、どうすれば良いのかを考えていきましょう。

本人の意思に逆らって無理強いしようとすると暴れたり、更に強い拒否をされるなど、さらに良くない状況になってしまいますので、決してそのような事はしないようにしなければなりません。

説明の仕方の工夫

「おむつが濡れているので替えましょう」「今日は便は出ましたか」など、プライバシーや羞恥心に関わるような質問をする時は、周囲に人がいない所で聞く、小声で聴くなどの配慮します。また、下着を汚したことを隠す認知症高齢者は多く、「確認の時間が来たので、下着を見せてもらっていいですか」など、相手がが失敗したと感じさせない説明の工夫をしてみましょう

本人が自分でできたと感じられるような介助の仕方や、自尊心を傷つかないようなケアの工夫をしてみると、拒否することなく受け入れてくれることもあります。

細かい日常生活の習慣を知る

その人がどんな生活をしていたのかを出来る限り知るようにします。たとえば、入浴であれば、どのタイミングで湯船につかっていたか、何分ぐらい入浴していたか、身体を洗う順番や何で体を洗っていたのかなどを聞き出し、それと同じようにケアをすることで拒否が無くなることがあります。

コミュニケーション方法の工夫

言葉の認識が低下してくると、言語的なコミュニケーションが難しくなってきます。絵や写真などを使って、理解しやすい工夫をします。また、このような場合、介護者の表情や感情は良く伝わります。イライラして厳しい口調や怖い顔をしていると、怖いことをされると感じて余計に拒否されることになりますので気をつけましょう。

様々な介護拒否の種類

介護拒否はいろいろな理由があって起こるため、拒否をする理由を聞くことができるのであれば、その理由を解消するようにします。

食事を食べない

食事食べない理由はいろいろあります。発熱や体調が悪く食欲不振に陥っていることもあれば、味付けが口に合わない、食事と認識できていない、入れ歯が合わず食べづらい、口内炎やのどの痛みで食事が苦痛などのこともあります。

食事を食べられない時期が長くなると、体重減少や体調不良に陥り、生命の危険にもつながりかねません。何が原因なのかを知り、その理由に応じた対処をしていきましょう。

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おむつ交換で暴れる

おむつ交換の時に激しい抵抗をされることがあります。理由として多いのは、今からおむつ交換をするということが理解できておらず、急にズボンを降ろされておむつをはがされたので怖くなった、他人におむつ交換をされるのが恥ずかしいなどの理由があげられます。

プライバシーや羞恥心に配慮して、いきなりおむつをはがすことがないように気をつけましょう。

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歯磨き(口腔ケア)を嫌がる

歯磨きや口腔ケアを嫌がる場合は、口の中の傷や口内炎などで痛みがないかをチェックします。嫌がっているのに無理やり歯磨きを行うことで、誤嚥や窒息などのリスクもあるため、どうしても実施できないときには、他の方法で代用できないかを検討するようにしましょう。

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入浴しない

入浴しないケースはよく見られ、介護者を悩ませます。入浴を嫌がる理由としては、他人に介助されることや身体を見られることへの羞恥心、入浴の必要性が理解できない、着脱を面倒に感じているなどがあります。自ら進んで入浴してもらうためには、その理由によってアプローチの方法が違ってくるため、話をよく聞き原因を探るようにしましょう。

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着替えない

ずっと同じ服を着ていて着替えない、季節感のあっていない服を着ているなど着衣に関する介護拒否が見られることがあります。適切な衣類を選び、衣服を着用するためには複雑な脳の使い方をしなければならないため、認知症が進行してくると難しくなります。

声をかけても着替えをしない場合は、着替え方が分からない、そのことを指摘され自尊心を傷つけられた経験から介護拒否に至った、過去に更衣時に痛みなどの嫌な経験をした、着替えを手伝われるのが恥ずかしいなどの思いが拒否につながっていることがあります。

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デイサービスやショートステイを嫌がる

デイサービスやショートステイなど自宅以外で行われる介護サービスでは、送迎に来てもらえるものがあります。送迎に来られるまでは普通に過ごしていたのに、いざ出かける時になると嫌がって出かけてくれないということがあります。

デイサービスやショートステイに行っている間に自分の用事を済まそうと考えている時には、出かけてもらえないと困ることもありますが、その気持ちが相手に伝わり拒否につながることもあります。

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施設入居を拒否する

在宅で生活を継続することが難しくなってきた等の理由で、施設入居をすすめたいが拒否されることもあります。これは、本人には在宅生活が継続できないことの理由が理解できず、困っていることはないという認識のためです。

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まとめ

認知症の人の介護をしていると、介護拒否は避けられない問題かもしれません。そのような時には、なぜ、拒否をしているのかの理由を考え対応をするのがベストですが、在宅介護では介護をする人を交代出来ない場合もあり、介護者のストレスを増大させることになります。

長い介護を乗り切るには、他の人の成功事例を試してみたり、認知症の介護に詳しい人に相談するなど、ひとりで抱え込まないように気をつけましょう。

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この記事を書いた人:寺岡 純子

この記事を書いた人:寺岡 純子この記事を書いた人:寺岡 純子

保有資格:終活カウンセラー上級、主任介護支援専門員、看護師、GCS認定コーチ
合同会社カサージュ代表。急性期の看護師として従事後、介護保険制度の開始と共に介護業界へ転身。超高齢社会の社会構造の変化を目の当たりにし、人生100年時代を自分らしく生きる必要性を実感する。 現在、20年間の介護業界での経験も生かしながら、終活をお手伝いする終活カウンセラーとして活動中。自分らしい人生を応援する『Happy Life College』を主宰。

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