有料老人ホームの費用 | 相場や支払い方法は?返還金の計算方法も解説

©Nattapol_Sritongcom/stock.adobe.com
有料老人ホームへの入居を考えている方は入居にどれくらいの費用がかかるのか気になるところですよね。
実は有料老人ホームといってもホームの形態には3種類あり、それぞれかかる費用の内訳や目安も異なります。
具体的には「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3つに分けられています。
この3つの有料老人ホーム違いが分からないという方はこちらの記事を読む前に下記の参考記事を読まれることをおすすめします。
そしてこの記事では「有料老人ホームの費用について知りたいけど、なんかややこしい。分かりにくい」「費用が高いイメージがあるけど実際どうなの?」という方のために、
それぞれの有料老人ホームにかかる費用について目安や特徴をできるだけわかりやすくまとめたうえで、入居金の返還制度や利用できる可能性のある減免制度についても解説していきます。
目次
有料老人ホームの入居にかかる費用の内訳と相場
有料老人ホームでかかる費用の内訳は、大きく「入居一時金(前払い金)」と「月額費用」に分かれ、月額費用は生活にかかる費用と介護にかかる費用に分かれます。
それぞれにかかる費用の細かい内訳と相場を見ていきましょう。
入居一時金
入居一時金とは、多くの有料老人ホームで導入されている、家賃を前払いしておく費用です。そのため、途中で退居することになった場合には返還金制度を利用して、支払った一部の料金が返ってくることもあります。
支払う額は月額費用に参照して決まるので、月額費用が高ければ高いほど入居一時金も高額になっていくのが一般的です。
入居一時金を0円にして、その代わりに月々の費用を多くするといった契約方式をとっている施設もあるので、必ず発生する費用ではありません。
そのため相場は大きく開きがありますが、0円の施設から高額な施設では1億円以上のところもあります。
一般的に前払い金を支払う際には2000~3000万円程度が相場になると認識しておきましょう。
月額費用
月額費用は生活にかかる、居住費、食費、光熱費、日用品の費用が含まれており、必要であれば介護を受けた際に介護にかかる費用も発生します。
介護付き有料老人ホームではもともとの月額費用に介護についての費用も入っていますが、住宅型有料老人ホームでは介護のサービスを提供していないため、月額費用に介護に関する料金は含まれていません。
月額費用の相場も大きく開きがあり、安価なところでは10万円から、高価な施設になると150万円ほどになります。
有料老人ホームと一概にいってもホーム自体の数が多く、また利用者の層やサービス内容もさまざまであるため、費用の幅も広くなっています。
一般的な有料老人ホームの相場は15~35万円くらいだと考えておきましょう。
入居一時金の3つの支払い方式とは

@88studio/stock.adobe.com
有料老人ホームによってはいくつかの支払いプランが用意されていることがあり、プランによってその料金は変わってきます。
支払い方法の種類は主に以下の3つです。
全額前払い方式 | 終身までに支払われるであろう費用に相当する額を1ヶ月ぶんの家賃やサービス費用などから換算し、入居前に支払う方法。 |
月払い方式 | 前払い金は支払わず、一般的な賃貸契約と同じように月払いする方法 |
選択方式(一部前払い、一部月払い) | 終身までに支払われるであろう費用に相当する額のうちその一部を前払金として支払い、残った額を月払いとして分割して支払う方法 |
例えば、Aというホームに入居する場合でも
月払い方式
- 入居時費用:0円
- 月額費用:35万円
一部前払い、一部月払い方式
- 入居時費用:1870万円
- 月額費用:15万円
このように、同じホームに入る場合でも費用の支払い方式によって全く違ってきます。入居者や入居者家族の経済状況から1番支払いやすい方法を選びましょう。
入居一時金返還金制度の計算方法
高齢者が安心して有料老人ホームに入居することができるよう、老人福祉法第29条第8項のなかで入居一時金の返還金ルールが決められています。
この返還金ルールによって、高額な前払い金を支払ったにも関わらず短期間しか入居しなかった場合などに前払い金の一部を返してもらうことができます。
返還金を計算する方法は入居期間によって2パターンありますので注意してください。
パターン1 入居3ヶ月以内に退居となった場合
返還金=前払い金−[1ヶ月分の家賃÷30]×[入居した日から退居日までの日数]
パターン2 入居3ヶ月以降~想定居住期間が経過する前に退居となった場合
返還金=[退居日から想定居住期間が経過する日までの日数]×[1ヶ月分の家賃÷30]
ただし、この入居一時金の返還については償却費用(入居した時点で返ってこない費用)、償却期限(入居後○ヶ月以降は返還金を支払わない)などがホームによって異なります。
トラブルに発生しやすい部分でもありますので、契約内容をよくよく確認しておきましょう。
有料老人ホームが行っている保全措置とは
有料老人ホームに入居する際、高額な前払金を一括で支払うことがあります。
しかし有料老人ホームは民間企業の運営が多く経営状況が悪くなると倒産する可能性もあります。
そこで想定入所期間よりも前に契約を解除する場合に備え、有料老人ホームは前払金の返還責務を負う必要がある場合に備え、必要な保全措置を設けることが義務付けられています。
「保全措置」を設けている有料老人ホームでは前払金のうち未償却分を最大500万円返還してもらうことができます。
有料老人ホームの保全措置義務内容(いずれかの措置が必要)
- 銀行等との連帯保証委託契約
- 指定格付機関による特定格付が付与された親会社との連帯保証委託契約
- 保険事業者との保証保険契約
- 信託会社等(信託会社及び信託業務を行う金融機関)との信託契約
- 高齢者の福祉の増進に寄与することを目的として設立された一般社団法人や都道府県知事が認めるもの
有料老人ホームの種類ごとの月額費用の違いとは

@godfather/stock.adobe.com
有料老人ホームにおいて月々支払う必要がある費用は主に以下の5点です。
- 家賃
- 管理運営費:人件費など施設を運営するために使われる費用
- 水道・光熱費:水道代や電気代やガス代の料金
- 食費:食材や調理にかかる費用
- その他生活費:電話代や理美容代、娯楽・レクリエーション費、医療費などの費用
介護が必要な場合はこれに加えて介護サービス費用がかかります。それでは以下で3つの有料老人ホームの月額費用についてそれぞれの費用の特徴と内訳をみていきましょう。
介護付き有料老人ホームの月額費用
介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、ホーム内で受けられる入浴、食事、排泄といった介護サービスに対して介護保険が適用されます。
そのため、ホームによって入居時の要介護の度合いが条件づけられているところがあるものの、入居者が要支援・要介護認定を受けた際には介護保険適用の介護サービスを受けることができます。
特定施設入居者生活介護の費用
要介護度 | 利用者負担額 |
要支援1 | 180円 |
要支援2 | 309円 |
要介護1 | 534円 |
要介護2 | 599円 |
要介護3 | 668円 |
要介護4 | 732円 |
要介護5 | 800円 |
住宅型有料老人ホームの月額費用
住宅型で提供されるサービスは家事代行や見守りなどの生活支援サービスとなっており、介護サービスの提供はありません。
そのため、介護が必要となった際には外部の介護保険サービスなどを利用することになるため、居住費や食費などとは別に介護サービス費用を支払う必要があります。
健康型有料老人ホームの月額費用
健康型有料老人ホームも住宅型有料老人ホームと同じく介護サービスの提供はありませんので、介護が必要になった場合は外部のサービスを利用または退居する必要があります。
健康型有料老人ホームの場合、ホーム内に天然温泉やレストランなどがついていたり日帰りバス旅行といったような娯楽サービスが充実していることが多く、優雅なシニアライフを楽しみたいと考えられている方を対象としています。
そのため、それぞれのホームで用意されているサービスに応じて費用は高めです。
有料老人ホームの費用を減額する方法とは
© Looker_Studio/stock.adobe.com
有料老人ホームの費用を安く抑えるための制度などはあるのでしょうか?
有料老人ホームを利用する場合でも、介護にかかった費用について自治体に申請することで、一定額を公費で負担して貰える制度があります。
ただし、減免の対象となるのは「介護保険サービスの利用費」になりますので注意が必要です。家賃や食費などの減免制度はありません。
ちなみに、残念ですが有料老人ホームは介護保険施設を利用する際によく聞く特定入所者介護サービス費(負担限度額認定証)の対象外ですので注意が必要です。
高額介護サービス費用
月の介護費用のうち、介護保険サービスの利用にかかった費用の合計が設定されている一定の上限額を超えた場合に利用できる制度です。
超えた分の費用を公費で負担することができます。
高額医療・高額介護合算療養費制度
こちらの制度は、家族(同じ世帯に属する者)のなかで医療保険と介護保険にかかった費用の合計額が設定されている一定の上限額を500円以上超えた場合に利用できる制度です。
超えた分の費用は「高額介護合算療養費」として支給を受けることができます。
70歳以上の方の場合
70歳未満の方の場合
3つの控除
有料老人ホームに入居しながらでもある条件を満たしている場合には控除の対象になる可能性があります。
確定申告で支払った費用が返ってくる可能性もありますので、控除の対象なのかどうかを確認してみましょう。
- 医療費控除
家族(同じ世帯に属する者)で合わせて10万円以上の医療費を支払った場合、超えたぶんの費用が控除されます。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 - 扶養控除
配偶者以外の親族のなかに高齢者がいる場合、その方と同居していない場合には48万円の所得控除を受けることが出来ます。
参考:国税庁「扶養控除」 - 障がい者控除について
生計を一にする者のなかに所得税法上の障がい者に当てはまる方がいる場合、所得に対して一定の控除を受けることができます。
参考:国税庁「障害者控除」
みんなの気になる疑問を解決 Q&A

@tadamichi/stock.adobe.com
ここでは有料老人ホームの費用についてよく聞く疑問について答えていきます。
生活保護者でも有料老人ホームへ入居することはできるの?
生活保護を受けている場合でも、以下のような有料老人ホームであれば入居することができます。
- 家賃相当分が生活保護の住宅扶助の基準内
- 日常生活にかかるお金(食費、管理費、その他雑費)の合計が生活扶助の基準内
生活保護を受けている方で有料老人ホームに入りたいという方は、条件を満たしている有料老人ホームに入居したいという旨を都道府県や市区町村の福祉事務所の担当職員に相談してみましょう。
夫婦で入居した場合の費用はどうなるの?
別々の部屋に入居した場合は単純に月々の費用が2倍になりますが、2人部屋(夫婦部屋)に入居した場合は1人あたりの費用は安くなります。
有料老人ホーム以外で夫婦で暮らすことができる老人ホームについて知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
年金の範囲内で有料老人ホームに入居することはできるの?

@Monster Ztudio/stock.adobe.com
年金の受給額は男性で月15~20万円程度、女性で10万前後が多くなっています。
有料老人ホームの月額費用の相場が15万~35万円となっているため男性の場合ギリギリ年金の範囲内である可能性はありますが、基本的には「年金+貯蓄」で支払っていくというイメージです。
年金はあくまで老後の生活を助けるためのお金でありますので、老後に向けて自分でお金を溜めておくことが重要です。
まとめ
有料老人ホームと一概にいっても3つの種類があり、費用体制も少しずつ違います。
大きな違いはもとから費用のなかに介護サービス費が含まれているか、必要に応じて自分で介護保険サービスを利用し費用を払っていくかというところですね。
また、有料老人ホームお値段も幅広いピンきりです。
家庭の経済状況や貯蓄額に応じて自分にあったホームを選ぶようにしましょう!
当サイトでは、介護に関する情報以外にも、終活や健康、定年・子育て後の再就職について、役に立つ情報を毎週発信中!
「新着記事をいち早くチェックしたい!」「終活や老後の楽しみ方について、情報収集したい」という方にむけ、LINEアカウントでは新着記事の情報や充実したセカンドライフに役立つ記事を定期的に配信していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
友だち追加はこちらから。
