混合介護とは?事例を交えてわかりやすく解説!

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「それは介護保険の対象ではないのできません…」

もしかしたら、このような言葉をケアマネジャーやサービス事業所から言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

例えば訪問介護を利用した場合、老老介護となっている家族の分の食事も一緒に作ってくれると助かりますが、対象となっているお1人分の食事しか作ることはできません。介護保険では提供できるサービスが決められており対象外のサービスを提供することは原則としてできないのです。

介護保険制度は介護を必要とする人に対して、必要な分だけサービスを提供するものですが、日本の在宅介護環境を考えたら介護保険サービスにとらわれず対応してくる方が親切で合理的な場合もあります。

そのような需要に対して介護保険サービスと介護保険サービス外を組み合わせて支援することを『混合介護』と言い、国としても合理的で家族も含めた支援ができるように対応していく方針を示しました。

混合介護とは

混合介護とは、ひとつの介護保険サービス事業所から介護保険の対象となるサービスと、介護保険サービスの対象外のサービスも受けて、両者ともに料金を支払うことをいいます。

そのため、介護保険サービスをA事業所が行い、介護保険サービス外のサービスを指定を受けていないB事業所が行なうケースは混合介護とは呼びません。

以前はこのような一つの事業者が介護保険サービスと対象外のサービスを同時に提供する混合介護は認められていませんでしたが、前述したとおり介護保険の対象なのかどうかで分離して支援するのは合理的ではありません。

高齢者介護の支援は、一つ一つを分離して考えるのでなく、トータルサポートしていく方が対象となる本人や家族のためになるのです。

このような理由から混合介護について、2018年度から、東京都豊島区が国家戦略特区という仕組みを活用し、混合介護のモデル事業が開始されました。

今の時点では、モデル事業であるため全国で認められて開始されているわけではありませんが、今後の介護の新しいあり方として注目を集めています。

混合介護を活用できる訪問介護の事例

厚生労働省の通達によれば、混合介護の適用となるのは『通所サービス』と『訪問サービス』のふたつとされています。

特に、訪問介護で混合介護を受けることによってこれまで以上に生活が便利になるでしょう。

訪問介護で混合介護として利用できる事例をご紹介します。

来客への対応

地域包括ケアシステムを推進している日本では、地域住民との結びつきも重視しています。

ケアプランの社会資源の活用としても、友人や知人が家庭に来たりして交流することもあるでしょう。

そんな時、自宅に訪れたお客さんに対して、お茶を出したり食事を作って配膳するようなことも混合介護として取り入れることができます。

さらに、子供などが宿泊する場合の準備もできるようになります。

草引き

老老介護や一人暮らしの場合には生活空間以外の掃除はほとんど出来ないのが現状でしょう。

特に田舎の大きな家や庭の掃除は大変で、放置しておくこともできませんし、近所の目も気になります。

そこで混合介護の介護保険サービス外として草引きや生活空間以外の部屋を掃除してもらうことができます。

現状では、利用者本人が生活する一部屋は掃除されていますが、他の部屋や庭は手入れが行き届いてなく、頭を抱えている方も多いのです。

家族が帰省したり、急な来訪者があるとき備えて有効的な対応になるでしょう。

余暇活動支援

高齢者であっても日々の生活のなかで楽しみを持ち、それに取り組んでイキイキとした生活を送りたいものです。

しかし、現状の訪問介護では生活に関係のないドライブや日常生活に必要な以外の買い物は介護保険サービスに含まれません。

介護保険サービス以外の支援を受けることで、明るく自分らしい生活を送ることができるようになります。

普通の訪問介護支援にこのような介護保険サービス外の支援を混合させた支援を受けることができるのです。

混合介護の課題

混合介護はまだ試験的に運用されているだけで、実際に運用していくにはまだまだ課題があると考えられています。

例えば、介護保険サービス外の料金設定は各事業所が自由に設定でき、保険者(行政)は極端な金額が設定されていないかも見守っていく必要性があるため、保険者である行政の仕事が増えていくでしょう。

他にも利用者と事業所と間のトラブルも増加することが予想されます。介護保険サービスなら、保険者(行政)と関わり、解決へと導くことになりますが、あくまで民間が自由にサービス内容や料金を設定していくことになるため、聞いていたサービスと違うといった苦情や料金に関するトラブルが発生することが予想されます。

混合介護のメリットとは

混合介護が上手く機能すれば利用者にとって、プラスに作用すると考えます。

介護保険サービス外は『介護』という部分にピンポイント支援するものではありませんが、その分、視野の広い支援を受けることができるので、家庭、家族全体の生活を豊かにするメリットがあります。

合理的な支援を受けることができる

介護保険サービスは指定を受けた介護保険サービス事業所へ、それ以外のことは別の業者へ依頼…

このように、サービスに関わる業者(事業所)を区別することは、自宅に出入りする人も違いますし、連絡先ももちろん違います。

利用者の日々の生活を包括してサポートすることで、余計な手間を省けたり、それに関わるストレスを激減させるのがメリットです。

さらに、介護保険サービス外のサービス中の会話で知り得た情報などを、介護保険サービスに利用することもできるでしょう。

家族の負担軽減ができる

介護保険制度は個人に対して行われるものであり、世帯や家族に対して行われるものではありません。

そのため、いくら同居家族が困っていても訪問介護等で訪れた介護員が対象となる本人以外の支援をすることはできないのです。

しかし、実際には利用者に関連する家族も合わせて支援する方が福祉的には優しい取り組みになるでしょう。

特別な介護の必要性はないけれど、家族が高齢者や障がいを持っている場合など、掃除、洗濯、調理などを家族分まとめて行なうことで、本人以外の家族の負担軽減になるのもメリットです。

独居の場合は離れて暮らす家族が安心できる

独居高齢者や老老介護をしている自宅にたくさんの業者や人が出入りするのは家族も不安です。特に、一般業者が掃除や剪定をすると詐欺被害に合わないかなどの心配もあるでしょう。

しかし、指定を受けている介護保険サービス事業所が、介護保険外のサービスとして掃除や剪定をしてくれると、全くの他人ではないため安心して任せられます。

混合介護のデメリットとは

混合介護にはメリットがある一方でやはりデメリットもあります。

どうしても避けては利用できないケースもあると思いますが、事前にそれを理解し対応していきましょう。

本当に必要でないサービスを受ける可能性がある

サービスを提供する側はどうしても営業意識が強くなります。

そのため、本来は必要性の低い介護保険サービス外のものを利用してもらうように勧める可能性があります。

利用する側は、介護保険サービスを利用している義理的な意識があり、「そんなに言うのなら介護保険サービス外のものも取り入れて行こうか…」と考えるようになります。

事業所側はケアマネジャーなどからの情報より、経済的余裕があるかどうかも把握している場合があるので要注意です。

ちなみに、ケアマネジャーからの情報は様々なものが事業所に提供されますが、契約の際にサービス事業所との情報の共有の同意書にサインを求められます。

知られたくない情報が知られ可能性がある

介護保険サービス内でも知られたく情報はあると思います。

しかし、それは円滑に支援を受けるために仕方がないと思い、個人情報を提供するでしょう。

介護保険サービス外だと自然な形で情報が知られる可能性も考えられます。

例えば、先述した混合介護の事例の『お客さんへの対応』で考えると、どんな人と仲が良いのか、どんな関係と関係が深いことが分かってしまいます。

田舎だと、そのお客さんが実際にサービスを提供する訪問介護員と知り合いだったというケースもあるでしょう。

適切な料金か分かりにくい

介護保険外サービスは自由に料金設定ができます。

多くの事業所は適正価格でサービスを提供すると思いますが、そうでない事業所がないとも限りません。

特に高齢者は世間の様々な情報を取得出来ない傾向にありますので、示された価格が適正な価格か判断でにくいです。

そのため提示されるそのままの料金でサービスを受けるようになることもあるでしょう。

不手際があった際に言いにくい

身体的な支援を介護保険サービスで受けている場合など、介護保険サービス外で不手際があったときにそれを伝えることに抵抗を感じ、改善を求められないようになることも予想されます。

人間はどうしても義理的な感情が生まれますので、「いつもお世話になっているのて言えない…」と考えることがあります。

特に高齢者は若い人に比べるとそのような考えになる傾向にあるようてす。

まとめ

混合介護は上手く活用すれば利用する側にとって、とても便利な存在になるでしょう。

しかし、全国的には実施されておらず、これから課題が浮き彫りになると思います。

サービスも提供する事業所も利益を出すために一生懸命です。

利益のみを重視した事業所でなく、福祉的な考えが強いところを選び、決して不利益にならないようにしましょう。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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