老人ホームの体験入居をするべき理由とポイント!日数や費用の目安もチェック

今まで在宅で介護をされていた方が一度は考えること、それは「老人ホームに入居できたら家族の負担がいくらか減るのに」ということだと思います。
もちろん在宅で家族のことを看守ることができるのであれば、被介護者である親や配偶者の環境の変化も少なく負担にはならないのですが、介護をされているご家族にも自分の生活があり、ずっと介護をし続けることは大変です。

そのため老人ホームへの入居を検討することは決して後ろめたいことではなく、多くの方にとっての選択肢の内の1つだと言えます。

なぜなら全国の施設利用者の人数をみてみるとその理由がわかります。
現在全国の要介護認定者は633万人に及び、その内介護保険施設(特養、老健、療法病床)と有料老人ホームに入居している方は128.5万人。

つまり要介護認定者の5人に1人が老人ホームを利用しているということになります。

引用:内閣府 介護保険事業状況

このように老人ホームに入居することは特別なことではないことがわかります。
しかし入居するとなると準備やお金もかかります。そして、いざ入ってみたはよいものの、施設の雰囲気と合わなくてまた他の施設を選ぶ必要が出てきたといったことが起きる場合もあります。

そこで、今回は入居後のミスマッチを減らすことができる※「体験入居」についてご紹介していきます。

老人ホームでは体験入居として宿泊できる施設があり、実際に体験入居をしてみて施設の雰囲気を把握してから入居することによりミスマッチを防げます。

そこでこの記事では、体験入居にかかる費用や期間、体験入居時に注意して確認すべきポイント、老人ホームに入居する前に体験入居をしておくべき理由などをご説明させていただきます。

この記事における「体験入居」とは有料老人ホームなどが提供する一定期間の宿泊体験を指します。

体験入居できる施設や利用日数について

老人ホームの体験入居は以下の施設で可能です。

しかし、上記の施設形態であったとしても、全ての施設で体験入居ができるとは限りません。
体験入居を希望する施設がある際には、インターネットで「(施設名) 体験入居」と検索し、体験入居が可能かどうか調べておく方が良いでしょう。

また期間に関しては、以下の画像のように1泊2日のプランもあれば、30日というプランもあります。

出典:センチュリーライフ

上記以外の施設で体験入居をしたい場合

公共施設が運営する介護保険施設(特別養護老人ホームや介護老人保健施設)は体験入居を行っていません。
そこで一度入居前に施設内の雰囲気を確認しておきたい場合は、介護保険施設の併設型のショートステイを利用するとよいでしょう。
施設の雰囲気を知ることで、入居者の終の棲家となりうる施設を選ぶことができます。

ショートステイとは?気になる費用や利用できる期間まで徹底解説

施設ごとの発生する費用の目安

上記のように体験入居を行っている施設は様々なので発生する費用に関してはそれぞれ異なってきますが、大体以下のように設定されています。

介護施設名 ※体験入居にかかる費用
有料老人ホーム 7,000~13,000円/1日
サービス付き高齢者向け住宅 10,000~円/1日

体験入居で発生する費用は介護保険に適応されません。
よって金額は施設ごとに設定するため上記は参考程度に考えてください。

 

体験入居の一日の流れ

参考までに老人ホームでの体験入居の一日の流れをまとめさせていただきます。
こちらは有料老人ホームでの一日の流れとなっていますので、他の施設(特養や老健など)とは多少異なることがあります。

午前

  • 7:00
    起床・洗面・着替え
  • 7:30
    朝食
    食前・食後の服薬
  • 10:00
    フリータイム(朝の体操、リハビリ、レクリエーションなど

午後

  • 12:00
    昼食
    食前・食後の服薬
  • 13:00
    フリータイム(筋力トレーニング、リハビリ、レクリエーション)
  • 15:00
    おやつタイム
  • 16:00
    フリータイム(筋力トレーニング、リハビリ、レクリエーション)
  • 18:00
    夕食
    食前・食後の服薬
    口腔ケア
  • 19:00
    入浴
  • 21:00
    就寝の準備、テレビ
    就寝

 

家族の方も体験入居中に老人ホームを訪れるようにする

家族の方が被介護者から体験入居した際の感想を聞くだけでは施設の雰囲気はわかりません。
介護サービスを受けているだけだと施設の運営方針が分からないからです。
被介護者や家族の理想と施設の運営方針が離れていると、入居した後の人間関係のトラブルに繋がり、居づらくなる可能性があります。

実際にご家族の方も施設を訪れ、施設で暮らしている様子を見たり管理者(施設長)の話を聞くことで、施設の方針と合っているのかどうかを吟味することができます。

そこで次に、体験入居の際に注意して確認した方がよいポイントをご紹介させていただきます。

住宅型老人ホームでの会話

©UTS/stock.adobe.com

老人ホームの体験入居時に必要な持ち物

では実際に体験入居をすることになった場合、どのような持ち物をもっていくとよいのでしょうか。 以下チェックリストを記載しておきますので、参考にしてください。

衣類

  普段着(上)
  普段着(下)
  下着
  防寒着
  靴下
  パジャマ
  上履き

日用品

  歯ブラシ
  歯磨き用コップ
  歯磨き粉
  ティッシュ
  オムツ
  タオル

その他

  杖・補助具
  入れ歯
  補聴器
  眼鏡
  化粧品
  薬剤

体験入居の期間がどのくらいかによって持っていく持ち物の量を調整しつつ、必要なものをもっていくようにしましょう。

施設によってはあらかじめ体験入居時に必要なほとんどのものが用意されている施設もありますので、施設に確認しておくのがよいでしょう。  

 

入居中に注意して確認すべき7つのチェック項目

体験入居の際は、今後選んだ老人ホームで生活していくことを想定する必要があります。
ご家族の方が賃貸マンションを選ぶ時のような視点と似ています
被介護者だけが確認するのではなく、ご家族も一緒に確認するとよいでしょう。

チェックリスト

@Nishihama/stock.adobe.com

1.老人ホームの設備

被介護者が日常生活をおくりやすいかどうかを見ていく必要があります。
例えば以下のような点に注目しましょう。

  • コンセントは便利なところにあるか?(手の届きやすいところにあるか?)
  • 窓は結露しやすくないか?(結露によってカビが発生し感染症にかかることもあります。)
  • 防音性は?
  • 耐震性は?
  • 災害時の対策は十分か?
  • ドアは内側から開けやすくなっているか?
  • 防犯対策(オートロックや防犯カメラの有無)は?

参考:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症|一般社団法人日本呼吸器学会

 

また、意外と重要なのが共有ルームの温度です。

高齢の方は温度に敏感になってくるのですが、一人ひとり快適温度が違います。
そこで、希望を言えば共有温度の変更がどれぐらいできるのか、を聞いておきましょう。

 

2.スタッフの対応

しっかりスタッフの教育が施されている老人ホームであるかどうかも確認しましょう。
方法としては受け付けや電話対応の様子を確認するということがあげられます。
実際に入居者の介護をする職員だけではなく、受け付けの方や急な電話対応をされる方まで丁寧ですと、老人ホーム全体として教育が行き届いているという印象を持てます。

 

3.老人ホームの雰囲気

利用者同士の仲がいいのかどうかも確認できます。
利用者同士の派閥があるのか?性格的に合わなそうな方はいるのか?ということも参考までに確認しておくと良いでしょう。(人間関係は短期間ではなかなかわかりづらいですが…)

また、介護職員のチーム連携も確認しておきましょう。職員の仲の良さは利用者の仲の良さにつながることがあります。
そのために、離職率を調べておくという方法もあります。

 

4.提供される食事

利用者によって食べ物の好みは違います。そこで、味付けはどれくらいまで自由に要望が通るのか、量の変更はできるのか?を確認する必要があります。
それに加えて、介護食(ミキサー食、刻み食、ソフト食)への変更もできるのか、ということを聞いておきましょう。

料理を運ぶ介護士
@japolia/stock.adobe.com

5.老人ホーム内での自由度

体験入居者の趣味となれるような娯楽があるのかどうかも確認項目の一つです。
例えば以下のような娯楽を取り入れている老人ホームもあります。

  • 将棋
  • 囲碁
  • 麻雀
  • カラオケルーム
  • スポーツジム
  • プール

また、これらが使える時間や利用は無料なのか有料なのか?なども抑えておきましょう。

 

6.周辺の環境

こちらは自立対応の有料老人ホームに入居しようとされている方は確認必須です。
例えば、老人ホームの周りに、駅、バス停、スーパーなど外での生活をするのに便利な施設が近くにあるかどうかを確かめておきましょう。
駅やバス停などはご家族の方が訪問しやすいかどうかにも関係します。

 

7.契約書の内容

契約書に違和感を感じる項目がないか確認しておきましょう。

どれだけ体験入居のときに老人ホームの雰囲気やスタッフの対応が良かったとしても、入居後のトラブルにつながる可能性があります。

老人ホームとの契約に必要な書類とは?確認するべきポイントを詳しく解説!

8.その他に確認しておきたいこと

老人ホーム内にどれくらいの私物を持っていけるかを聞いてみてください。
仏壇などの大きい物も持ち運び可なのか?ということを把握しておきましょう。

また、老人ホーム内で開かれるイベント内容や種類も抑えておくとよいです。

その他老人ホームを選ぶ際の細かな基準がたくさんあります。 優先度を決めて、自分に合った良い老人ホームを選びましょう。

体験入居する時間がないという方は見学でも良いので、老人ホームの雰囲気を掴んで置くようにしましょう。

良い老人ホームの見分け方 | ケアマネが紹介する5つのコツ

老人ホーム見学のポイントとチェック項目を確認!注目すべきところはどこ?

あらかじめ体験しておくべき理由

有料老人ホームなどの施設の体験入居は介護保険の適用外となっているので、実際に入居した際に発生する費用について比較した場合(例えば入居1週間にかかる費用を比較した場合)、実際に入居するよりも費用が高くなってしまう可能性があります。

それでも前もって体験入居をしておくべき理由とは何なのでしょうか。
ここでは体験入居をしておくべき理由をメリットと共にお伝えします。

注意しておきたいポイント

@japolia/stock.adobe.com

1.実際に老人ホームに入居する際に有利になる場合がある

多くの有料老人ホームは営利団体の民間企業が運営しています。
民間企業が運営している場合、入居基準を施設側が自由に設定できるため程度の軽くない認知症の方であったり感染症に罹患する可能性が高い利用者の入居を拒否しているところもあります。

また、あらかじめ入居希望の施設でショートステイや体験入居を行うことで、施設の方とも面識ができてお互いが理解しあえるので入居拒否される可能性を減らせることができます。

入居制限が厳しい老人ホームに入居したい場合、体験入居をしていることは大きなメリットとなります。
そういった意味でも希望の施設運営者と話し合いお互いに面識を持っておくことは重要だといえます。

 

2.環境変化からの被介護者にかかる負担を減らすことができる

高齢者にとって心のストレスになってくる要因の一つに、環境が変わることがあげられます。
今まで暮らしてきた家は、食べるだけの場所、寝るだけの場所ではなく、自分らしい生活をおくるための場所の1つでもあります。
入居する老人ホームに関しても「費用が安かった」「入居待ちが無かった」などの理由のみで選んでしまい、被介護者が環境に適応できないといったこともあります。

参考:高齢者の環境適応と地域環境

体験入居やご家族の方の日中の付き添いによって、入居希望の老人ホームを「自分の心地よい場所」と思っていただくことはとても大切です。

 

万全の準備をして入居を決めたが、それでも合わなかった場合

体験入居を済ませ、パンフレットを取り寄せ、老人ホームの管理者の話を実際に聞いてみて入居する準備を万全に整えました。
しかしいざ老人ホームに入居したところ、被介護者が「家に帰りたい、この老人ホームは嫌だ」と退去を望まれる場合があります。

そのようなときはクーリングオフ制度を利用することで、施設側に払った入居一時金や月額費用(家賃)を最大全額返金してもらうことができます。
施設に費用を支払った日から90日以内に退去した場合が対象になり、返金される費用に関しては以下のようになっています。

(例)入居一時金:500万円

初期償却金:20%(100万円)

月額費用:15万円

利用期間:20日(1カ月は30日)

 

上記の場合

返金分:500万円+(15万円×20日/30日)=510万円

上記の式からもわかるようにクーリングオフ期間(3カ月)に退去された場合は、それまで分の食費、入居費が日割りで引かれることになります。

しかし、上でも記しました通り、高齢者にとって住む環境の変化はかなりのストレスになります。また、金銭的な話をすると、場所を戻すための引っ越し代も発生します。
クーリングオフ制度を使う際は「なぜこの人は、老人ホームを嫌がっているのだろう」ということを明確にし、老人ホームを変えれば解決する問題かどうかを明らかにする必要があります。

悩みをかかえている

@tadamichi/stock.adobe.com

まとめ

これから数年にわたって利用していく老人ホームなので費用の比較、立地の比較以外にも体験入居を行い、入居した後の生活を想像できるようにしておくことが重要です。
体験入居の前に施設のパンフレット(資料)を請求しておくなど、老人ホームに関しての情報は多く取り入れるようにしましょう。

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監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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