介護施設から受け入れ拒否される5つの理由と対処法!実際の事例も交えてご紹介

「普段から言うことを聞いてくれないので、施設でも問題を起こさないか心配…」
「ウチの人は病気を抱えてるけど、施設に入居できるのかしら?」

そんな不安から介護施設(老人ホーム)にお世話になることをためらってしまう方を多く見かけます。

しかし、在宅介護によって「自分の時間が奪われている」などストレスを感じている介護者の方はとても多く、介護者が無理をすることで共倒れになってしまうことも考えられます。こうなっては元も子もありません。ですが、実際に介護施設から受け入れを拒否されるケースがあるのもまた事実です。

ではどのような場合に受け入れ拒否をされてしまう可能性があるのでしょうか?

この記事ではそんな「介護施設から受け入れ拒否される理由」や「受け入れ拒否されないためにどうするべきか」について、よくある5つの受け入れ拒否の理由から考えていきたいと思います。

それではまず、介護施設が受け入れ拒否をする理由から見ていきましょう。

介護施設が受け入れを拒否する場合の5つの理由とは

介護保険法では正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないと定められています。

そのため、介護施設が入居申し込み者に対して受け入れを拒否する時には正当と認められる理由があるはずです。たとえば、法律で定められた施設の入居の条件を満たしていない場合や運営規定に定めている範囲を超えたケアが必要となる場合などの理由により、その施設では対応が困難であると認められた結果入居を断る可能性があります。

では、具体的にはどのようなケースで受け入れが拒否される可能性があるのか、それに対する対処はどうすればよいのかを見ていきましょう。

受け入れ拒否の理由①施設の入居基準を満たしていない場合

平成27年4月より特別養護老人ホームでは、一部の例外を除いて要介護3以上の認定を受けていないと入居ができなくなりました。そのため、介護度が要介護2以下の人に対しては、単に介護者の介護疲れという理由だけでの入居は認められず、入居条件を満たしていないという理由で受け入れを拒否されることがあります。中には、申し込み自体は受け付けてもらえたがいつまでたっても入居の順番が回ってこないというケースも見うけられます。

施設には特養以外にも老健や有料老人ホーム、グループホーム、介護度が軽度の方でも入居できるケアハウスなどさまざまな種類があります。どの施設にも入居をするための基準がもうけられているため、入居基準を満たしている施設を探すようにすることが一番大事なことといえるのでしょう。

また、申し込み時には要介護2以下であっても、その後介護度が上がった場合には必ず施設に連絡をするようにします。その際にはあとどのくらい待つ必要がありそうかなどを聞いて、自分の状況が大変になっていることを伝えるようにすると考慮してもらえることもあります。また、できれば個人的にではなくケアマネジャーに伝えてもらうほうが良いでしょう。

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受け入れ拒否の理由②常に医療行為が必要な場合

© Monet/stock.adobe.com

特別養護老人ホームやグループホームでは看護師は必ずしも24時間体制で配置する必要がありません。そのため、夜間は看護師の配置がないという施設も見られます。そのような施設では、常時医療行為を必要とする利用者は受け入れが困難となり、拒否されることがあります。

したがって常に医療行為が必要である場合には、常時看護師が配置されている老健や、有料老人ホームの中でも医療設備が整っている施設を探すようにしましょう。ただし、中には特養であっても看護師を24時間配置している施設もあります。施設を探すときには日常的に必要なケアが受けられる体制になっているかを確認しておきましょう。

また、吸引や点滴などの医療的な処置だけでなく、最期は病院に搬送するのではなく施設で看取りをしてほしいと希望される方が増えてきています。しかし、施設での看取りは対応している施設と、対応していない施設があるため事前に確認をしておき、施設側と認識のずれがないかをチェックしておく必要があります。

受け入れ拒否の理由③感染症・病を患っている場合

介護施設に入居している方は高齢であり、さまざまな基礎疾患を持っていることも多いため、感染症に対する抵抗力が低いといえます。そのため、高齢者は感染症にかかると重篤になりやすく命にかかわる状態になることにもなりかねません。このような理由から、他の入居者に感染を広げる可能性のある感染症にかかっている場合には入居の受け入れが拒否されることがあります。

したがって、感染症がある時にはまずその治療を優先し、医師から他の人に感染させる心配がないという証明をもらったうえで入居の申し込みをするようにすると良いでしょう。

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受け入れ拒否の理由④周りの方に暴力をふるったり自分を傷つける行為がある場合

認知症や統合失調症などの精神疾患を患っていることだけをもって入居拒否の理由にはなりません。しかし、周囲の人に暴力をふるう行為があり他の入居者とトラブルになることがあらかじめ想定されるような場合には、他の入居者の安全性を確保するために入居は難しいと断られるケースがあります。

また、自分を傷つけるような行為や帰宅願望が強く、施設から出ていこうとして破壊行為などが激しい場合などにも入居を拒否されてしまうことがあります。ただし、これらは実際に入居してからではないと分からないので、体験入居をしてみて様子を見てから受け入れの可否が判断されることもあります。そのため他の入居者とのトラブルや強い帰宅願望などが心配されるときには、施設入居の前にショートステイなどで問題がないかを確認しておくのが良いでしょう。

そのほか、グループホームであれば認知症ケアの専門スタッフが常駐しており、小規模でアットホームな雰囲気であるため施設では暴れてしまうような人でも落ち着いて過ごすことができるということもあります。

実際にいろいろな施設を見学したり体験入居をするなどして落ち着いて過ごせる施設がないかを探してみるようにしましょう。

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受け入れ拒否の理由⑤身元保証人が誰なのかをはっきりと決めていない場合

許可なく外出をしてしまった高齢者

介護施設に入居する時には身元保証人が必要となります。身元保証人は入居者の家族の代表として、施設と連絡調整をする役割を担います。身元保証人の役割は入院が必要になった時の手続きを行ってもらったり、状態に変化があった場合などの治療やケアの方針を決めることです。また、死亡などにより施設を退去するときの手続きや入居者や荷物の引き取りをしてもらいます。そのほか、万一支払いが滞った時には、ほかの方法で支払いがされるようにしたり、その連帯責任を追うことにもなります。

このように、介護施設にとっては身元保証人は入居に関しての重要な役割を果たしてもらうことになり、誰が身元保証人なのかをはっきりさせておく必要があるのです。

もし、身寄りがないなどで身元保証人がたてられないときには後見人を付けることで入居の受け入れが可能になることも多いので、事前に施設に確認をしておくようにしましょう。

入居者の状態にあった施設を見つける3つの方法

介護施設が入居の拒否をするには相応の理由があるため、拒否されないようにするためには、入居を希望される方の状態にあった施設を見つけることが重要です。しかし、介護施設はその数も多くどの施設がよいのかわからないと感じることもあるのではないでしょうか。そこでここでは、入居者にあった施設を見つけるポイントをご紹介します。

介護施設の特徴を理解する

介護施設には特養や老健、グループホーム、有料老人ホームなどさまざまな種類があり、それぞれの施設で入居の条件や特徴が違います。そのため、要介護者の状況にあった施設でないと入居の基準を満たしていないなどのミスマッチが起こり、入居拒否の要因になってしまします。

たとえば、脳梗塞などの後遺症で麻痺があるためリハビリに重点を置きたいという方には老健がそのニーズに合うと考えられます。また、胃ろうや常時の点滴で24時間の医療的なケアが必要な場合には介護医療院であれば対応が可能であるなど、その施設の特徴を理解できていると自分に合った施設を探しやすくなります。まずは、受けられる介護の内容や料金なども含めて介護施設の特徴を理解しておくことからはじめるようにしましょう。

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ケアマネジャーや自治体の窓口に相談を

入居する介護施設を探すには、受けられる介護の内容だけでなく立地条件費用なども十分に検討する必要があります。そのため、介護を行いながら自分で施設を探すには限界があるでしょう。したがって、自分一人で頑張るのではなくケアマネジャーや自治体の窓口に相談をすることがおすすめです。そうすることで、介護施設の基本的な情報だけでなく、施設の雰囲気や入居者の希望に合っているか、入居の受け入れを拒否される可能性はあるかなど専門的な視点からのアドバイスを受けることが可能となります。その上で紹介されたいくつかの施設を見学すると、時間的にも非常に効率的なものとなるでしょう。

精神病院など医療の活用も視野に

認知症による症状で攻撃性が強かったり、精神疾患があり介護施設での生活が難しいと考えられるような場合には精神科など医療を活用することも視野に入れましょう。長期間にわたって入院をすることは難しいかもしれませんが、薬物療法などで症状を緩和することで介護施設への入居が可能になることもあります。介護施設で受け入れ拒否をされるかも知れないと感じている場合には、主治医に相談をしてみるようにしましょう。

実際に受け入れ拒否をされたケースをご紹介

介護施設で入居の受け入れを拒否されるケースはそれほど多くはありませんが、もし受け入れ拒否があった場合には今後どうしていくのかを考えなくてはなりません。ここでは、実際にあった受け入れ拒否のケースとその後どうなったのかをご紹介します。

いま現在受け入れ先の施設がなく困っているという方は、こちらの例を参考にしてみてください。

家族と疎遠になっており入居申し込み時に身寄りがなかったAさん

長年アパートでひとり暮らしをしていた80歳のAさん。大家さんから様子を見に来てほしいという通報があり訪問すると、認知症があるようで会話はちぐはぐで足にやけどを追っている状況でした。また、部屋の中は荒れ放題でどのような生活をおくっていたのかの想像ができない状態でした。やけどは病院で手当を受けましたが、入院するような状況ではないため入院は出来ません。かといってこのままひとり暮らしを続けるのは難しい状況です。

Aさんは数十年前に田舎から出てきて、身元保証人がいないため、何とか1週間だけショートステイでの受け入れをしてくれる施設を見つけましたが、入居はできないとはっきり断られてしまいました。

しかし、この1週間のショートステイが功を奏し、栄養状態も改善し認知症の症状に改善が見られたAさんから親戚についての情報が得られ、コンタクトを取ることができたのです。そのなかで、実はAさんにはかなりの貯蓄があることが判明し、本人や親戚の方と話し合った結果、田舎に帰り有料老人ホームに入居することになりました。

大声を出して職員を攻撃してしまうためどの介護施設からも受け入れ拒否されたBさん

Bさんは要介護4の夫と、Bさんの兄と3人で暮らしていましたが、徐々にBさんの認知症の症状が悪化し始めます。夫やヘルパーに大声をあげて攻撃したり時には暴力的な行為も見られこのままの生活を継続するのは難しいと考えられました。

夫や兄のこともあり遠方の施設では色々と大変だということで近くの特養にケアマネジャーから入居の打診をしましたが、攻撃的であることを理由に受け入れを拒否されます。おそらくどこの介護施設でも同じ反応であると考えられたため、主治医に相談し精神科の外来受診を行います。主治医からは入院が必要である状況が説明され、本人もしぶしぶ同意をしたため入院・加療をすることができました。

まとめ

入居される方の状況にふさわしい施設を選べば、介護施設で受け入れの拒否をされることはそれほど多くはありません。そのため、介護施設に受け入れを拒否されたらどうしようと不安に思いながらひとりで施設を探すよりも、ケアマネジャーなどの専門家に相談して、その方にあった施設を探してもらうようにするのが介護者の負担の軽減という意味でも良いでしょう。

介護のストレスが蓄積してきたと感じたら在宅介護は限界に近づいているのかも知れません。介護施設はたくさんの種類がありますので、その中からぴったりの施設を探してみてください。

老人ホームから退去勧告受ける可能性のある5つの理由とその対処法とは?

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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