老人ホームの入居までの流れ|入居までの期間など、介護の専門家が解説!

「老人ホーム」と言われてどのような施設を連想するでしょうか?

「老人ホーム」と言っても、皆さんがパッと思いつくような有料老人ホームなどの民間企業が運営している老人ホームもあれば、公共団体や社会福祉法人が運営している特別養護老人ホームなどもあります。

今回はこのような老人ホームについて、それぞれの入居方法をご説明させていただきます。
まずは以下の図で大まかな入居までの流れをご確認ください。

 

老人ホームに入居するまでの流れを簡単にご紹介

実際に施設に入居するまでの流れを図解にしてみましたのでご覧ください。

老人ホームへの入居までの流れ
※特養などの介護保険施設の場合は平均で半年入居待ち

それでは、上の図についてそれぞれの手順ごとに、留意点について解説させていただきます。

 

入居までの手順1:施設を選ぶ

以下では実際に入所をすることを考えたときに、どのような視点で施設を選べばいいか、専門家の意見も織り交ぜながらお伝えします。

①ケアマネジャーから情報を入手して選ぶ

意外に知られていないのが、担当のケアマネジャーから施設の情報を聞き出すことです。ケアマネジャーは介護保険制度について理解が深いのはもちろんのことですが、担当の地域における介護施設の情報をよく知っています。

ケアマネジャー同士は横の繋がりがあったり、すでに自分が担当していた利用者が施設に入所している場合もあるので、実際に施設が提供している介護サービスの質をよく知っていることが多いのです。

ケアマネジャーの情報量は地域で一番であると言っても過言ではありません。

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PCで検索するシニア

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②何に不安があるかなど課題を明確にして選ぶ

例えば、介護が主な目的であっても糖尿病が悪化する恐れがある場合、「介護施設に入居したとしても、何かあった際には医療的な支援を受けられる環境がいい」と思うでしょう。

そのような場合は、施設と同じ系列のグループ内で病院を運営しているところ(老健など)を選ぶ方がいいです。

また、100歳ほどの方が、「とにかく今を大切に楽しく行きたい」と望むなら、人生の最期まで支援をしてくれる特別養護老人ホームが最適です。

このように、何を一番に重視しているかを明確にするといいでしょう。

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③実際に利用している家族に聞いてみる

この方法は東京や大阪などの都市部というより、どちらかと言えば近所付き合いが密な地域に住んでいる人に最適です。

実際に親や兄弟を施設にお願いしている家族に、その施設の実態を尋ねるのです。

職員の雰囲気や、連絡体制、介護の質などより具体的な情報を得ることができます。

④本人の心身状況に適しているかで選ぶ

例えば、自分のことは自分でできる比較的元気な高齢者には有料老人ホーム、認知症に不安がある方にはグループホーム、要介護5などの重度な方には特別養護老人ホームなど、本人の心身状況によって合った施設を選ぶように心がけます。

療養病床での介護

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入居までの手順2:資料請求や見学、体験

インターネットや電話で資料請求した場合には、どれだけ対応が早いかが最初のポイントです。

忘れた頃に届ける施設は人手が足りていないのかな?対応が雑なのかな?など思ってしまいますよね。

また、電話した際には、対応が明るく親切であるかなども観察しましょう。

質の高い施設は、電話などの対応もしっかり教育されていることが多いです。
例えば、電話で問い合わせた際に、必ずしも施設入所担当の職員が対応するとは限りません。

そこで、最初に電話に出た職員と担当者職員の連携はスムーズなのかもチェックするといいでしょう。

スムーズに行なわれていなければ、施設の入居者の情報に関しても連絡、共有がしっかりできない可能性があるという1つの判断材料になります。

見学や体験では、職員が他の入居者に対してどのように対応しているか観察しましょう。

体験などに来た本人に対して親切にするのは、当たり前のことです。

すでに入所して生活をされている入居者に対して、笑顔もなく不親切な対応ならば、ゆくゆくはそのようになる可能性が高いです。

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入居までの手順3:入居申し込み

有料老人ホームなどの民間の老人ホームでは、申し込み用紙に記入すれば簡単に入居手続きが完了しますが、老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護保険施設では少し手間がかかります。

介護保険施設の場合、利用をしようとする人がそもそも介護保険制度の対象であるのか、判断する必要があります。

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よって、介護保険被保険者証は必ず必要です。

また、各施設が用意する申し込み用紙に記入しますが、身体状況や既往歴などについても詳細に書く必要があります。

家族だけでは分からないことがあれば、担当のケアマネジャーや、主治医に尋ねて書くようにしましょう。
詳しいことが分からず、空欄にしていると『施設に入所する必要性が低い』と判断され、なかなか順番がまわって来ずに入居待ちになることもあります。

以下の持ち物を準備しておくようにしましょう。

  • 介護保険被保険者証
  • 施設が準備する申し込み用紙
  • 必要に応じて看護サマリー等(訪問看護など利用していれば看護師が記入してくれます)

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入居までの手順4:契約内容の確認・入金

契約書や重要事項説明書については、各団体から発行されている雛形がありますので、多くの施設ではそれをもとに作成した上で、説明をおこない契約するという流れになります。

では、契約・入金に関して、ここでは2点ほど注意すべきことをお伝えします。

①何をどこまでしてくれるのか

契約の際、どのような施設でも共通して確認しておくべきことがあります。

それは、施設がしてくれることと、自分たち家族がしないといけないことを明確にすることです。

例えば、通院が必要になった場合、施設から車を出してくれる施設もあれば、自分たちで手配しないといけない施設もあります。

また、日用品の購入にしても職員が代行してくれる施設もあれば、全て本人や家族が購入しないといけない場合があります。
衣類の洗濯についても必ず確認しておきましょう。

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干してある洗濯物

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②費用は数年先まで想定しておく

有料老人ホームやグループホームなどの民間の老人ホームでは、入居と同時に入居一時金として入金しなければならない施設があります。その支払った入居一時金とはどのような意味合いがあるのか確認し、退所の際に戻ることがあるのかを確認をします。

また、発生する費用が入居した当初と、数カ月経過後で変わってくる場合があります。

例えば要介護1の状態で入居したとしても、心身の状況が悪化して要介護3になれば介護サービス費も増額しますので自己負担額も上がります。
将来のことはわかりづらいですが、要介護度が上がると、どれぐらい月額費用がアップするのかを確認した上で、支払い可能な料金設定をしている施設を選ぶことはとても重要です。

 

入居までの手順5:入居

当然のことではありますが、入居があるということは、退去もあるということをまず抑えておく必要があります。

入居の際は、
「あれも持って行こうか」
「これもあれば便利」
と思いながら、いろいろな物を持ち込んでしまう場合があります。

持ち込む際は、順番を決めて分割で家具などが部屋に運ばれるのですが、退去の際は一斉に持ち出さないといけません。家具や家電があまりにも多いと、退去の際にとても苦労します。

沢山の家具

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~本当に必要なものを厳選して持ち込むために~

  1. 施設で準備してくれるものは最大限利用する
    布団、備え付けの家具、テレビなど、レンタル料金がかかっても、施設で準備されているものを利用することをおすすめします。
  2. 家族の写真は積極的に持ち込もう
    施設に入居するとどうしても寂しくなります。少しでも気持ちを紛らわすために、額に入った家族写真は積極的に持ち込むといいでしょう。
  3. 特別な想い入れがなければ大型の家具は不要
    以前から使っている馴染みの家具を施設に持ち込む人はいます。しかし、それが大型で重量のあるものならば、移動だけも一苦労です。家具はプラスチックの製の軽量のものがおすすめです。

民間の老人ホームと介護保険施設の違い

より詳しく、入居までの流れを理解していくためには介護施設の形態ごとの違いについて理解しておくことも大事です。

民間の老人ホームに入居希望する際の留意点

民間の介護施設の場合、経済的に余裕があれば、快適さを追求した様々な施設の中から入居する場所を選ぶことができます。
その理由は、全額自己負担であることが大きいからでしょう。
例えば、都心部では富裕層をターゲットにした、施設付属のジムやプールなど利用できる高級老人ホームなどが人気です。

また、民間の老人ホームである有料老人ホームに関しては、道路を車で走らせると大きな看板で『入居者募集』と書いてあったり、インターネットで検索しても手の凝ったホームページが多く、見やすいものばかりといった印象です。新規オープンした際には、新聞の折込チラシも広範囲に配布しているので、利用者は施設を様々な手段で認知することができます。

それぞれの利用者が有料老人ホームに求めるサービスが違ったり、いろいろな介護施設を見つけることができるので利用者は比較的ばらけます。
ゆえに、大人気の施設でない限り、申し込みから2週間程度で入居することができます。

民間の老人ホームは以下のとおりです。

 

PCで検索するシニア
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介護保険施設に入居希望する際の留意点

一方、介護保険施設は我が国の社会保障のひとつであり、運営方針には国が深く関わっています。
税金で運営していることもあり、利用する際に支払う金額の上限や受けられる介護サービスなどもある程度決まってくるのです。

また、介護保険施設である特養などに関しては、ホームページ等が控えめな傾向にありますので、施設の入居情報を得にくい傾向があります。お住まいの地域の地域包括支援センターや、介護支援事業所(ケアマネジャーが在籍)に尋ねると良いでしょう。

利用者が介護保険施設に求めることは、ほどんど一緒であり(特養であれば、手厚い介護サービス)、介護保険施設の情報はあまり多く収集することができません。
ゆえに、人が多い地域では、申し込みから平均半年も入居待ちすることになります。

また、自立の場合はケアハウスに入居することもできます。

介護保険施設とは?施設の種類やサービスまで徹底解説!

ショートステイ利用の流れについて

施設に入居されている方は、ショートステイを利用しながら、そのまま入居を希望するといったケースが多いです。

ショートステイは主に特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保健施設で、短期間の宿泊がおこなわれますが、全額利用者負担で有料老人ホームでもおこなわれています。(有料デイ)

ショートステイを利用したのちに、入居を希望しやすくなる理由として以下のことがあげられます。

  1. すでに入居している利用者と仲良くなり、入居者が「この施設なら入ってもいいかも」と思えるようになる
  2. 施設の生活リズムに慣れるので、入居した後もスムーズに施設に慣れることができる
  3. 職員とも馴染みの関係になっているので、信頼関係が構築される

ショートステイは在宅サービスのひとつなので、担当のケアマネジャーさんに相談することによって、実際に利用することができます。

ショートステイを利用するまでの手順は以下の記事でご説明させていただいたので参考までにお読みください。

ショートステイとは?気になる費用や利用できる期間まで徹底解説

まとめ

インターネットで検索すると、たくさんの施設を見つけることができ、簡単に探すことができるようになっています。

その反面、インターネットだけの情報を鵜呑みにして入居することを決めても、年月が経過すると職員が不親切だとか言葉がきついなど、施設の隠れた部分が出てくる場合もあるのです。

本当の意味で良い施設を探すのは難しいですが、失敗しない施設を選べるように今回お伝えした見学や体験でのポイントを整理し、入居までスムーズに行なえるようにしましょう。

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監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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