老人ホームは立地から選ぶ|施設選びのポイントを解説

老人ホームをいざ探し始めようと考えた時にまず悩むのが

「どこのエリアの老人ホームを探そうか」

「周りがどんな環境の老人ホームに入居すれば一番暮らしやすいんだろう」

などの立地に関することだと思います。

老人ホームの立地は家族がたくさん面会に来てくれるように家族の自宅から近い場所にする場合や、今までの環境と変わらないように入居者本人の自宅近くに入居する場合、自然の多さを重視して地方の施設に入居する場合など人それぞれ希望する条件が異なります。

この記事では入居する老人ホームの立地を考えるうえで考慮しておきたいポイントと、それぞれの立地にどんなメリット・デメリットがあるのかを考えていきます。

それでは見ていきましょう。

老人ホームの立地を考える上で重要な6つのポイント

チェックリスト

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施設の立地は入居者本人にとっても、入居者の家族にとっても重要なポイントです。

考慮せずに選んでしまうと家族が友人がなかなか遊びに来れなかったり、買い物などに行くのが大変だったり、自然が少なく息苦しい思いをしたりと日々ストレスに感じてしまうこともあります。

そのため入居者の状況と照らし合わせながら、最適な立地を考えていくのがおすすめです。

まずは老人ホームを探すうえで確認しておくべきポイントを見ていきましょう。

アクセスがいい地域なのかどうか

老人ホームへ家族や友人が訪ねていく際に電車で行く場合にはアクセスのいい駅か、最寄駅から施設までの距離は遠すぎないかということや、交通の便について考えたほうがいいでしょう。あまりにアクセスが悪い場所だとなかなか訪問に行くのが難しかったり、入居者自身が出かけづらくなってしまいます。

外出の目的になる施設や公園があるか

入居してからも定期的なお散歩や外出をする場合には、そのエリアにどんな施設があるのかも大事なポイントです。近くに公園やショッピングできるところがあれば外出の目的にもなりますし、過ごしやすい環境となる可能性があります。

高齢者は大型のショッピングセンターよりも、ドラッグストアがあれば便利だと感じる人が多いようです。尿取りパット、ちり紙、タオル、歯磨き粉、入れ歯洗浄剤など、高齢者の生活に必要なものが揃っており、しかも探すことができるのがドラッグストアなのです。

ただし、人ごみを避けて静かな環境で暮らしたいという人にはあまり向かず、都心で車どおりが多くて外出するには危ない地域もあるので注意が必要です。

いままで住んでいた地域の環境と似ているか

今まで住んできた環境と似ているかどうかというのも施設の立地を選ぶ重要なポイントです。

例えば、海の近くに住んでいたなら、海がとても身近に感じていたでしょう。

山の近くに住んでいたら、山菜取りをしたことがあったかもしれません。

地方でずっと住んできた方が突然環境が異なる都心に住むことになったり、都心に住んでいた方が突然地方に住むことになると日々の生活の中でストレスがかかってしまうばかりでなく、認知症が進行したり、発症する恐れが高いです。

もちろん入居者本人の意向がもっとも重要ですが、なるべく変化の少ないような環境を選ぶと良いでしょう。

立地によって入居費用が変わる点に注意が必要

入居に際してどのくらいお金がかかるのか、ということも老人ホームを選ぶうえで重要なポイントだと思いますが、どんな設備やサービスがあるのかという要素に加えて、立地によっても値段が変動します。

都心はどうしても地価や人件費が高いため入居にかかる費用が高額になり、地方に行くほど費用を抑えることができます。そのため、どのくらいの予算を想定しているのかということも考慮して立地を選ぶことも可能です。

医療機関は近くにあるか

老人ホームが協力病院として、医療機関との連携を取っているところもありますが、必ずしもそこを利用しないといけないという訳でもありませんし、専門的な診察が必要なら別の医療機関での対応を考えないといけない場合があります。

高齢者に多い感染症は、尿路感染症や肺炎(誤嚥性肺炎)、皮膚疾患では床ずれや疥癬などがあります。さらに、圧迫骨折や大腿骨頚部骨折なども非常に多い骨折です。

このような場合、協力病院では対応しきれないこともあり、専門の医療機関を受診する必要性が出てきます。

老人ホームの周辺に、皮膚科、整形外科、泌尿器科などがあれば、より安心した生活を送ることができるでしょう。

また、骨折などでは総合病院でないと手術ができない場合があります。

老人ホーム周辺に総合病院があれば、家族や施設に迷惑をかけることも少なくなり、なお良いでしょう。

自然災害から安心な場所にあるか

地震や豪雨などでのニュースがTVで放送されるたびに、災害弱者が問題になっています。

若い人なら迅速な対応ができても、高齢者になればすばやい動きができず、災害の被害をまともに受けてしまう可能性もあります。

地震・・・地盤がゆるい地域は要注意です

津波・・・海が近いと不安になるでしょう

洪水・・・土地が低いとあっというまに浸水し、雨が降るたびに不安な気持ちになります

土砂崩れ・・・山間部にあれば要注意です

馴染みの無い場所ですべてのことを把握するのは非常に困難です。自分たちだけで判断せず、消防署になどに問い合わせたら災害のリスクは教えてくれます。

老人ホームを選ぶうえで候補になる5つの立地のメリットをご紹介

5つのメリット

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それでは今までのポイントを踏まえて、それぞれの立地にある老人ホームにどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。

自宅近くの立地の老人ホームの場合

入居者本人の自宅に近くの施設に入居する場合は、今まで暮らしてきた環境を大きく変えずに過ごすことができます。

また、地域の友人や親族などとも頻繁に会うことができ、土地にも詳しいので気軽に外出できます。住む場所は変わっても人間関係や趣味などを継続できることは大きなメリットといえるでしょう。

ただし、家族が遠くに住んでいる場合にはなかなか会うことができず、何かあった際にも駆けつけるのに時間がかかるというデメリットがあります。

家族の家から近い立地の老人ホームの場合

家族が住んでいる地域の老人ホームを選べば、家族と頻繁に会うことができ、何かあった際にもすぐに会いに行けるというメリットがあります。

ただし土地勘をもっていないと外出する際に不安があり、生活環境が変化したことによるストレスが溜まってしまう恐れがあります。またもともと住んでいた地域から距離があると友人と会うことが難しくなってしまうので注意が必要です。

都心の立地の老人ホームの場合

都心の老人ホームに入居すれば、アクセスがいいので家族や友人も訪問しやすく、入居者自身も外出がしやすいでしょう。外出の目的地も娯楽施設や商業施設などたくさんあるのでアクティブな方には大きなメリットだと考えられます。

ただし、自然環境が少なく人混みも多いので地方にずっと住んでいた人が入居するとストレスがかかってしまう恐れがあります。また地方の老人ホームと比較するとどうしても入居にかかるお金が高額になってしまうというデメリットがあります。

都心から近い郊外の立地の老人ホームの場合

郊外の老人ホームでは都市部と比較すると入居費用が抑えることができ、老人ホームの周りにも自然が豊かな場合が多く静かで落ち着いた環境で暮らすことができます。

アクセス面では都会に劣りますが、探せば交通の便もいいエリアもありますので、都会の利便性と地方の自然豊かな環境のいいとこ取りができる可能性があります。

自然豊かな地方の立地の場合

目の前に海や山があるような老人ホームは、四季の変化を感じながらのんびりと過ごすことができます。

いわゆる五感を大切にし生活をすることができます。

匂い・・・森林の匂いや海の匂いを感じられます

味覚・・・・・地元の食材を使った料理を食べられます

視覚・・・深い緑の山、眩しい海、青い空、星がきれな夜空などを楽しめます

感触・・・野菜や花など自然の植物を手に取り楽します

聴覚・・・鳥の鳴き声、川のせせらぎ、海の波の音を感じられます

費用も抑えることができますが、アクセスが悪い地域が多いのでどうしても家族や友人と会うことができる頻度は減ってしまいます。

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立地面でこまったらどうやって選べばいいか?

最終的にひとつの老人ホームに絞りきれない場合は、マズローの欲求段階を参考にして考えればいいでしょう。

マズローの欲求段階とは、欲求を二つの水準と五つの階層に整理して示した考え。欲求階層説に示される五つの欲求は、ピラミッド状になっており、最も基底部には生理的欲求、次いで安全・安定の欲求、所属・愛情の欲求、承認・尊重の欲求、自己実現の欲求と積み重なるとしています。
自己実現の欲求を成長欲求と呼ぶのに対して、下位の4段階は欠乏欲求と呼ばれます。自己実現の欲求以外は、認められたい、大切にされたいなど、何かが欠けることで欲求不満状態を引き起こすからです。

引用:介護における「マズローの欲求5段階説」、より実用的な解釈について

立地条件面から選ぶとすると『生理的欲求』から順にクリアしていく必要があります。

夜は寝たい、トイレに行って排泄した、お腹がすいたら何か食べたいということです。これを満たしてくれる代表的なものは、近くに買い物に行き、それらを満たせるものを買うことができるようにすることです。よって、買い物が出来やすい環境は大切です。

次に『安全欲求』です。

安全欲求とは自分自身が安全に生活できるかどうかという観点から考えます。本文中で解説したような、自然災害から自分が守られるかというようなものがこれに該当します。ここに住んでいたら、自分は安全に生活することができるという考えで選んでいきます。

安全欲求がクリアできれば、『社会的欲求』です。自分はどこかの組織やグループに属したいという考えです。例えば、家族や友達とのお付き合いも含まれますので、このような観点から考えますので、交通の便は大切だということになります。

そして、『承認欲求』へと続きます。承認欲求は老人ホームに入居して目指していくものですので、入居する老人ホームが決まれば実現に向けて取り組むようになります。

まとめ

老人ホームを選ぶ立地は、それぞれの地域ごとに違ったメリットやデメリットがあるのがわかっていただけたかと思います。

老人ホームを選ぶためには、入居者や家族がどんな生活を望んでいるのかによっても大きく変わるので、記事を参考にどの立地の老人ホームを探すか考えてみましょう。

ただし、立地条件が良い老人ホームだから入居したいと思っても、その老人ホームの入居条件を満たしていないと入居できないので、自分がその老人ホームの入居条件を満たしているかも確認しておきましょう。

有料老人ホームの入居条件まとめ | 要介護でも入れる種類や費用目安

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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