老人ホームの入居条件まとめ|要介護度・年齢・認知症などの基準を比較

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老人ホームと一口に言っても、自立した方が住むような比較的自宅に近い環境の老人ホームから、要介護度が高く介護がなければ生活ができない方が入居する介護施設まで様々です。そのため、各施設では入居するための条件や提供されるサービスが異なります。

この記事では老人ホームの入居条件について、入居の際に重視される項目と各施設がどのような入居条件になっているのかを見ていきます。

各施設がどんな特徴を持っているのかを理解し、現状に合った老人ホームを見つけていきましょう。

老人ホームに入居する際に重要な5つの項目

老人ホームに入居する際には現在の身体の状況から家庭の状況、資産や収入など様々な要素が考慮され、入居の可否が決まります。
その中でも特に重視される5つのポイントについて見ていきましょう。

1.要支援・要介護認定の有無

要介護認定の有無や要介護度によって入居できる老人ホームが異なります。

要介護認定とは、65歳以降の方で介護が必要になった場合、どような介護がどの程度必要かを判断する認定です。要介護認定を受けると、介護保険サービスを受けることができます。

そのため、施設自体が介護保険サービスを提供している特別養護老人ホーム介護付き有料老人ホームのような施設では要介護認定を受けていることが入居条件に入っています。

一方で、サービス付き高齢者向け住宅のような自立の方や身の回りのことができる方を対象にした施設では要介護度が高いと入居できないことがあります。

したがって、老人ホームへの入居を考えた際にはまず要介護認定を受け、自立なのか要支援なのか要介護なのかを明らかにしなくてはなりません。

下の記事で「要介護認定」の流れについて詳しく説明していますので、まだ受けたことがないという方は併せてご覧ください。

▼要介護認定について基本をおさえたい方はコチラ

要介護認定とは?認定基準や認定の流れをわかりやすく解説【2019年度版】

2.年齢

介護保険サービスを提供している老人ホームでは、要介護認定を受けることができる65歳以上の高齢者に入居を限定しています。ただし、例外として「特定疾病」と認定されている方については、40歳から介護保険サービスを利用できるため、65歳以上の方に入居を限定している場合でも入居が可能です。

一方で介護保険サービスを提供していない住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、一般的に60歳以上に入居を限定していますが、施設によっては入居することが可能なので問い合わせてみるといいでしょう。

3.必要な医療ケアの種類

医療的な処置がどのくらい必要なのか、感染症の有無、施設でどのくらいのケアを必要とするのかによっても入居することができるかどうかが変わってきます。

介護よりも医療をメインにする場合は介護医療院、介護だけでは不安で医療の力も期待したい場合には介護老人保健施設のような日中に医師が常駐している施設に入居するのが一般的です。

ただし、程度によっては特別養護老人ホームや有料老人ホームなどに入居できるケースも多々あります。

入居を検討する際には、ケアマネジャーや施設のソーシャルワーカーと、どの程度の医療ケアが必要なのかを相談していきましょう。

4.支払い能力

全ての老人ホームが実施するわけではありませんが、施設によっては利用料を支払える収入や資産があるかを確認する場合もあります。

明確な基準があるわけではないことに加え、保証人に支払い能力があれば入居が可能になる場合もあるため一概には言えませんが、支払い能力について考えておくとよいでしょう。

しかし、収入や資産が無いからといって老人ホームに入居できなくなるというわけではありません。特別養護老人ホーム(特養)など、収入が低い方から優先して入居できる施設もあるため、地域包括支援センターなどで相談してみるとよいでしょう。

5.保証人の有無

今まで見てきた項目のほかに、病気などの際に治療方針に同意したり手続きをしたりするためや、支払いが難しくなった場合のために保証人や身元引受人を老人ホームの入居条件としているところが多くあります。

家族にお願いをできる場合には問題ないのですが、親族がいない場合や高齢などの理由で頼めない場合には入居を断られる場合があります。

成年後見人制度や保証会社のサービスを受けることで入居が可能になる施設もありますので、申し込みや見学の際に確認しておくことをおすすめします。

入居条件以外で注意したいポイント4つ

ここまで老人ホームの入居条件について解説いたしました。しかし、入居条件が合うかといって自分の望むような施設であるとは限りません。

ここでは、老人ホームを選ぶ際に見落としがちなポイントを4つご紹介します。ぜひ、施設選びに役立ててみてください。

1.認知症の有無

認知症の有無や、認知症の程度によって入居が可能かどうかが変わります。

たとえば、老人ホームの中には、グループホームのように認知症を発症していないと入居ができない施設から、認知症が重度で他者に危害を加えるような場合には入居を断るような施設など様々あります。

職員の対応で認知症の症状を抑えたり、薬でコントロールできれば入居を断られるケースは少ないですが、突然大声を出してしまう場合や、自傷行為、暴力行為など他の入居者に迷惑をかけてしまう症状が見られる場合には入居を断られるケースが多い傾向にあります。

また他者に大きく迷惑をかけてしまうような場合には、介護施設ではなく精神病院に入院するケースもありますので、まずはどのような症状なのかを把握しておきましょう。

▼認知症以外で老人ホームから入居を断られる理由について知りたい方はコチラ

介護施設から受け入れ拒否される5つの理由と対処法!実際の事例も交えてご紹介

2.看取りをしてもらえるか

老人ホームに入居する際、自身の最期についても考えると、看取りをおこなってもらえるかは重要な項目になるのではないでしょうか。施設によっては看取りに対応していない場合もあります。

また、看取りを行っている施設であっても、どのような看取りになるのか、自分の希望する看取りをしてもらえるのかは施設によっても異なるため、長く住み続ける意思がある場合は確認しておくと安心です。

3.退去条件

老人ホームに入居すると、「最期まで住み続けることができる」と安心してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、場合によっては退去しなくてはならなくなることもあります。

例えば、入居した段階では軽い認知症だったものが、重度の認知症になってしまい他の入居者や職員へ危害を加えてしまうようになった場合、退去となることがあります。

退去となる可能性があることや、どのような場合に退去になってしまうのかを事前に把握しておくと、いざという時に慌てなくてもすむでしょう。

4.老人ホームの立地

いくら老人ホームの入居条件をクリアしているからというだけで老人ホームを選んでしまうと、「アクセスが悪く家族が会いに行きづらい」「川が氾濫するなど、自然災害が起きたときに巻き込まれる可能性がある」というような立地条件が悪い老人ホームを選んでしまうことになりかねません。

家族の都合や本人の希望などを聞き、入居者にとって暮らしやすい老人ホームを選びましょう。

以下の記事では老人ホームを立地で選ぶ時のポイントを紹介しています。

▼料老人ホームの立地で気を付けるポイントについて知りたい方はコチラ

老人ホームは立地から選ぶ|施設選びのポイントを解説

それぞれの老人ホームの特徴や入居条件をご紹介

ここからは各施設ごとの入居条件と特徴について確認していきましょう。

まずは老人ホームの各施設形態ごとの簡単な入居条件と特徴について見ていきましょう。

▼施設形態をクリックすると、説明に移動できます▼

施設形態 年齢 要介護度 認知症
介護付き有料老人ホーム 65歳以上 ※1 原則要介護1~
住宅型有料老人ホーム 60歳以上 ※1 自立~要介護度5 〇※2
サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上 ※1 自立~身の回りのことが自分でできる方 〇※2
グループホーム 65歳以上 要支援2~
特別養護老人ホーム 65歳以上 原則要介護3~
介護老人保健施設 65歳以上 要介護1~
介護医療院
(介護療養型医療施設)
65歳以上 要介護1~
ケアハウス
(軽費老人ホーム)
65歳以上 ※3 自立~

※1…老人ホームによって異なることがあります。
※2…入居不可の場合もあります。
※3…自立型のケアハウスの場合は要介護の認定をされていると入居できない場合があります

このほかにも保証人・身元引受人の有無、収入、生活保護を受給しているかどうかによっても入居できるかどうか変わる場合があります。入居を検討する際には、併せて確認するようにしましょう。

次からはそれぞれの施設の入居条件と特徴についてみていきましょう。

介護付き有料老人ホームの特徴と入居条件

介護付き有料老人ホームの老人と介護士

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介護付き有料老人ホームは有料老人ホームの中でも都道府県から「特定施設入居者生活介護」という指定を受け、施設自体が介護保険サービスを提供できるため、手厚い介護を受けることができるという特徴があります。

介護付き有料老人ホームの入居条件は、介護型と呼ばれる介護に特化した施設では要介護1以上の方しか入居することができませんが、その他の施設に関してはそれぞれの施設ごとに入居条件が設定されています。

入居一時金が数千万円になることもあるなど、費用が高くつくことがデメリットではありますが、民間が主体となって様々な設備やサービスを展開している施設が数多くあるためご自身にあった施設を選ぶことができるという魅力があります。

日中には看護師が常駐しているため、健康管理などのサービスを提供しています。

▼介護付き有料老人ホームについて詳しく知りたい方はコチラ

介護付き有料老人ホームとは?サービス内容や入居条件を徹底解説【介護福祉士監修】

住宅型有料老人ホームの特徴と入居条件

住宅型老人ホームでの会話

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住宅型有料老人ホームとは、自立~生活支援や身の回りのことが自分でできる方を入居の対象としており、緊急時対応などのサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。

介護保険サービスを受ける際には外部のサービスを利用しなければいけないという点で、介護付き有料老人ホームと異なります。

介護付き有料老人ホームと同様に入居費用が高くつきますが、自立や身の回りのことが自分でできるといった方が中心に入居し、レクリエーションが充実しているという特徴があります。

入居条件は一般的に60歳以上で身の回りのことは自分でできる方としている施設が多いですが、施設によって異なるため気になる施設があれば確認するのがおすすめです。

下の記事で住宅型有料老人ホームについて詳しく解説しているので、気になった方は是非ご覧ください。

▼住宅型有料老人ホームについて詳しく知りたい方はコチラ

住宅型有料老人ホームとは?気になる費用やメリットをご紹介!

サービス付き高齢者向け住宅の特徴と入居条件

自立している老夫婦

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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、自立や身の回りのことが自分でできる60歳以上の方を対象とした、単身・夫婦世帯の高齢者が安心して住めるように配慮してつくられたバリアフリーの住宅のことです。

入居費用は一般の賃貸住宅と変わらず敷金と月額の家賃を支払う形で、介護保険サービスを利用する場合には、年収に応じて1割~3割の介護保険サービスの自己負担分を支払う必要があります。有料老人ホームと比較して入居時のコストをおさえることができるという魅力があります。

入居の対象となるのは自立や身の回りのことが自分でできる60歳以上の方で、要介護度が高かったり認知症の症状が進行していると入居することが難しい施設です。

▼サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について詳しく知りたい方はコチラ

サ高住とは?気になる費用や実態を徹底解説!【2019年最新版】

グループホームの特徴と入居条件

グループホームでの集まり

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グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の方が自分らしく暮らすために1つの施設当たり18人という少人数で生活し、身の回りのことについてできる限り自分たちの力で協力し合いながら共同生活をおくる施設です。施設の介護スタッフが認知症ケアの専門家なため、認知症の方が自分らしく暮らすことができます。

入居条件は65歳以上で要支援2以上の認知症の方となっており、入居できるのは住所がある地域のグループホームに限定されます。そのため、人気の地域では入居のための待機が必要となる場合があり、注意が必要です。

▼グループホームについて詳しく知りたい方はコチラ

グループホームとは?気になる費用や入居条件を徹底解説!【介護福祉士監修】

特別養護老人ホームの特徴と入居条件

特別養護老人ホーム

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特別養護老人ホーム要介護度3以上の中~重度の要介護の高齢者を対象に生活支援と介護保険サービスを提供している施設です。

安価な費用と手厚い介護、日中は看護師が常駐しているため簡単な医療支援も受けられるため人気が高く、入居待ちをしなければいけないことが多くあります。

基本的には65歳以上で要介護3以上の方が入居の対象で、その中から家族の事情などで緊急度が高いと判断された方から入居することができます。例外として要介護度が3未満の方でも緊急度が高いと判断された場合には入居が可能です。

▼特別養護老人ホームについて詳しく知りたい方はコチラ

特養とは?気になる費用や入居条件について詳しく解説!【2020年度最新版】

介護老人保健施設の特徴と入居条件

介護老人保健施設でのリハビリ

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介護老人保健施設は老健とも呼ばれ、要介護認定を受けた方のうち病状が安定しており入院治療の必要のない方が、在宅復帰できるよう支援する介護保険施設です。医師が常駐しているため、医療的な支援が必要な方も入居することができ、介護と同時にリハビリテーションもおこなっています。

老健が提供する介護は介護保険サービスに該当するため、入居条件は65歳以上で要介護1以上の認定を受けている必要があります。ただ、基本的には在宅復帰を目指す施設のため短期滞在が想定されており、長期間にわたる利用は難しいため注意が必要です。実態としては重度な方が入居するケースがほとんどで、在宅復帰が難しく特別養護老人ホームのような介護施設に流れるケースが多いです。

▼介護老人保健施設について詳しく知りたい方はコチラ

老健とは?費用やサービス、入居条件まで徹底解説

 

介護医療院(介護療養型医療施設)の特徴と入居条件

療養病床での介護

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介護医療院とは2018年から介護サービスが提供され始めた施設で、医師が常駐しているため慢性期の医療行為や看取り、ターミナルケアを、重篤な身体疾患などにより長期の療養生活を要する要介護者に提供している施設です。

介護医療院に入居できるのは65歳以上で要介護度1以上の高齢者と定められていますが、その中でも重篤な身体疾患などにより長期の療養生活を要する方が優先的に、施設の入居判定会議を経て入居することができます。

▼介護医療院について詳しく知りたい方はコチラ

介護医療院とは?費用やメリットをわかりやすく解説!【2020年最新版】

ケアハウスの特徴と入居条件

ケアハウスで話し合う高齢者達

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ケアハウスは家庭環境や経済状況、体の機能の低下などの理由により、1人で暮らすことが難しい高齢者が入居する施設です。ケアハウスは一般型と介護型にわかれており、一般型は自立~軽度の要介護度の方が入居していますが、介護保険サービスが必要になった際には外部のサービスを利用するか、退去する必要があります。それに対して介護型のケアハウスでは都道府県から「特定施設入居者生活介護」という指定を受けているため、施設から介護保険サービスが提供されるという違いがあります。

そのため一般型は60歳以上の自立~要介護認定を受けている方まで入居することが可能ですが、介護型は原則として65歳以上で要介護1以上の方に入居が限定されています。

下の記事でケアハウスについて詳しく解説しているので、気になった方は是非ご覧ください。

▼ケアハウスについて詳しく知りたい方はコチラ

ケアハウスとは?費用や入居などをわかりやすく解説!

まとめ

各施設ごとに要介護度や認知症の症状、年齢別に異なる入居条件があることがご確認いただけたと思います。

入居を検討する際には、どのような身体状況なのかを把握して、そのうえで入居が可能な施設形態を探し出してから具体的な施設を探すことでスムーズに条件に合う施設を見つけることができます。

▼老人ホームの種類を知りたい方はコチラ

老人ホームの種類をまとめて解説!全7種類の費用や特徴を徹底比較!

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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