要介護1ってどんな状態?受けられるサービスについて徹底解説

両親や義両親など身近に高齢者がおられる場合、いずれ介護が必要となる時期がやって来るでしょう。そろそろ在宅で介護保険のサービスを受けたいと考えていたり、施設入所に向けての準備をしておきたいと考えておられることもあるのではないでしょうか。

在宅で介護保険のサービスを利用したり介護保険の施設に入所を希望する時には、要介護認定を受けている必要があります。この要介護認定では、要支援1・2、要介護1~5の7段階の介護度があり、それぞれの介護度に応じて利用できる介護サービスの種類や利用できる回数、介護保険を利用できる金額などの制限があります。

この記事では、要介護認定の中でも認定される方の割合の多い「要介護1」の認定に着目して、要介護1と認定された方の身体状況や生活状況の想定と、利用可能な介護サービスの種類や量、要介護1で入居可能な施設について分かりやすく解説していきます。

事前に知識を習得し準備を行っておくことで、適切な時期に必要な介護を受けることは介護負担を軽減するためには非常に重要なことですので、ぜひ最後までお読みください。

要介護1の状態と認定の基準

要介護1と認定された場合の状態像は、要支援状態から手段的日常動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要な状態とされています。これは、現在の状態が悪化することで要介護状態になることを予防するという観点から、何らかの介護を要する状態になった段階であるということをあらわしています。

要介護認定は、介護サービスをどのくらい受ける必要性があるかを判断するためのもので、客観的に公平な判断を行うために、コンピューターによる一次判定と介護保険の学識経験者が集まって実施される介護認定審査会における二次判定の2段階で行われています。

そのため、疾患の重症度が必ずしも要介護認定の結果に反映されるわけではないので注意が必要です。特に認知症の方においては、自宅内や社会的にほぼ自立しているように見られていても、何らかのきっかけで心身の状態が急激に悪化して排泄や食事を1人でできなくなるおそれがあると考えられるような場合には、要支援ではなく要介護1と認定されます。

要介護1で利用できる介護保険制度の限度額とは

板橋区の要介護度別限度額

出典:板橋区 介護サービスの利用者負担と支給限度額

要介護1の方が利用できる介護保険の限度額は2020年8月時点では16,765単位となり地域単価が1単位=10円の地域では167,650円が限度額となります。また、利用者は限度額内で実際に利用した単位数に地域単価を掛け合わせたもののうち自己負担割合に応じた1~3割をサービス事業者に支払います。また、事業所によっては基本の単位数以外に人員基体制やサービス提供に応じた加算や処遇改善加算などが算定される場合もあります。

要介護1でどのくらいのサービスを利用できるのかの目安として、通常規模のデイサービスのみを7時間通所した場合で週に5~6回(各事業所の加算等により異なります)、訪問介護による60分の生活援助のみを受けた場合で毎日2回のサービス提供を受けることが可能です。また、特養のショートステイのみを利用する場合は25日間の利用が可能です。

ただし、介護保険サービスを利用するにはご利用者の心身の状態に応じてケアマネジャーの作成したケアプランに基づき、複数のサービスを組み合わせて利用するのが一般的です。

要介護1で利用することができる在宅介護サービスとは

介護保険のサービスには「予防給付」と「介護給付」に分類され、要介護認定の結果で介護度が「要介護1~5」となると、「介護給付」に基づいた介護サービスを利用することができます。

在宅で過ごすご利用者への介護サービスは、居宅サービスと呼ばれ、訪問系、通所系、短期入所系サービスに分けられ、要介護1では以下のようなサービスを受けることが可能です。

それぞれどんなサービスを利用することができるのか詳しく見ていきましょう。

デイサービス・デイケア

デイサービスは通所介護と呼ばれ、在宅で暮らしている方が、定期的に通所施設での食事や入浴、レクリエーションなどの日常生活の介護を受けるものです。

デイサービスに通所する際は、施設の職員の送迎があります。

通所施設によっては機能訓練に力を入れていて、個別の機能訓練が受けられるような事業所もあります。

また、良く似たサービスにデイケア(通所リハビリ)というものがあります。デイケアは定期的にリハビリ施設に通所して、医師の指導のもとリハビリを受けるものです。

訪問介護・訪問看護

訪問介護とは、在宅で生活する利用者が自立した生活が継続できるように、訪問介護員が自宅を訪問して、日常生活を送る上で必要な入浴介助や食事介助、通院介助などの「身体介護」や掃除や調理などの「生活援助」のサービスを受けるものです。

ただし、1日に複数回のサービスを受けるときには、サービスの間を2時間以上空ける、「生活援助」は同居家族がいない場合に限られるなどの制約があります。

訪問看護は在宅での療養している利用者の自宅に、主治医の指示を受けた看護師が訪問して、療養上の世話や医療的ケアなどが提供されます。

ショートステイ

介護者が冠婚葬祭や出張などの事情があり自宅での介護が困難な場合や介護者の体調不良の改善や介護疲れのリフレッシュなどを目的として、介護施設に短期間入所して介護を受けるサービスをショートステイと呼びます

短期入所の施設は、食事や入浴などの生活支援、レクリエーション、介護職員による機能訓練などのケアを受けることができる施設と看護師や理学療法士、作業療法士などによるリハビリや医療的ケアを受けられる施設に分けられ、それぞれ、短期入所生活介護と短期入所療養介護といいます。

代表的な介護施設である特別養護老人ホームへの入所は原則として要介護3以上でないとできませんが、ショートステイは要介護1でも利用することができるサービスです。そのため、将来は施設入所を考えているという場合には施設に慣れておくために、積極的にショートステイのサービスを利用することもあります。

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介護タクシー

介護タクシーは車椅子やストレッチャーのまま乗ることができるタクシーのことをいいます。ただし、介護タクシーは介護保険サービスの名称ではなく、介護タクシーの利用の際の介護保険の対象になる部分は、「通院等の乗降介助」と呼ばれる訪問介護のサービスとなります。

訪問介護のサービスに分類されるため、気分転換のためのお出かけなどのプライベートな活動では介護保険の対象にはなりません。つまり、「通院等の乗降介助」のサービスを受けるときの目的は、通院や預貯金の引き出しなど本人が行かなければならないものに限られることになり注意が必要です。

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福祉用具のレンタル

要介護1の認定を受けていれば、手すりや歩行器などの福祉用具のレンタルを受けることが可能で、身体の状態に応じて適切な福祉用具を活用することで、在宅での自立した生活を継続することが可能になります。

ただし、福祉用具の種類によっては要介護2以上でなければレンタルすることができないものもあります。要介護1の認定では原則としてレンタルができない福祉用具は車いす、介護ベッド、床ずれ防止用具、体位交換器などがあげられます。ただしこれらの福祉用具であっても、身体状況が一定の条件にあてはまる場合には、例外的に介護保険の適用が認められることもあります。

要介護1で入居できる老人ホームとは

老人ホームなどの施設への入所を検討している場合、要介護1では入居できる施設とできない施設があるため注意が必要です。

基本的に、特別養護老人ホームへの入所は要介護3以上となっており、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院などの公的な施設への入所は要介護1でも可能ですが、介護老人保健施設は在宅復帰を目指しリハビリをする施設であり、介護療養型医療施設や介護医療院は医療ケアが必要であるという医師による診断が必要になります。したがって、要介護1の認定で特別な事情がない場合には有料老人ホームなどの民間の施設が選択肢として挙げられます。

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有料老人ホーム

有料老人ホームは民間の事業者が運営する民間施設となり、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームがあります。

有料老人ホームは、公的な施設に比べると、入居時に一時金が必要であったり、月額の利用料が高額であるのが特徴です。しかし、基準よりも手厚い人員体制としていたり、居室が広い、豪華なしつらえで高級感があるなどのメリットもあります。

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グループホーム

グループホームは、認知症の方がひとつのユニットで共同生活を行うことを目的とした施設になります。自分の得意なことやできることを行うことは、認知症の進行を緩やかにする効果期待ができます。

1ユニットの人数は9名以下とされているため、他の利用者や職員と馴染みの関係性を気付きやすく、自宅にいる時と同様に家庭的な雰囲気の中で生活を送ることが可能になります。また、介護スタッフも認知症のケアについて習熟しており、適切なケアを受けられるというメリットがあげられます。

このグループホームには要支援2以上の要介護認定を受けており、医師に認知症と診断されていれば入居することが可能です。

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サ高住

サ高住はサービス付き高齢者住宅のことで、民間の事業者が運営する高齢者に向けた賃貸住宅と考えると理解しやすいでしょう。サ高住におけるサービスとは安否確認サービスと生活相談サービスを指し、通常、介護サービスはついていませんので、個々に介護サービス事業者と契約する必要があります。

介護施設はどちらかというと介護度の重い人が多い印象であり、さまざまな身体状況の方が入居されています。しかし、サ高住へは自立に近い人も入所することが可能な施設で、施設サービスに比べると外出などが可能であり、自由度の高い生活を送ることが可能です。

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要介護1のケアプランの例と費用シュミレーション

要介護1ではどのくらいのサービスの利用ができるのか、ケアプランの例をご紹介します。

Aさんは独居で軽度の認知症あり。左の麻痺があり入浴は一部介助が必要。排泄はリハビリパンツを着用。ゆっくりトイレに行き、時々失敗もあるがなんとか自立している。家事は自分ではできないが、準備してある食事を自力で摂取することは可能。

Aさんの日常生活の安全を確認しながら必要な介護が受けられるように、下記のようなデイサービスと訪問介護のサービスを導入をするケアプランを作成します。

  • デイサービスは通常規模のデイサービスに週3回、7時間通所し入浴、個別機能訓練を受ける。
  • デイサービスのない日の昼と夕方に訪問介護により、調理、買い物、掃除などの家事をしてもらう60分のサービスを受ける。

この場合1か月間の介護報酬は、

デイサービス645(基本)+50(入浴加算)+46(個別機能訓練加算Ⅰ)=741単位となり、週3回、1か月に13回の通所で9,633単位となります。

訪問介護は60分未満のサービスで223単位であり、昼と夕方に週3回のサービスを受けると1か月で27回ですので、223×27=6021単位です。

デイサービスと訪問介護の介護保険の対象となる介護報酬は合計すると15,654単位となり、地域単価が1単位10円の地域で、自己負担割合が1割の場合では利用者負担金額は15,654円となります。

ただし、デイサービスでは、昼食代やおやつ代は介護保険外の費用となります。金額は事業所によってさまざまですが、1回あたり500~800円程度のところが多いようです。したがって、1日あたり500円である場合には13回の利用で6,500円となり、1か月間の事業所へのサービス利用料の支払いは合計で22,154円となります。

また、このほかサービス提供体制強化加算や処遇改善加算などの加算の算定がされる場合があります。

要介護1と要介護2の違いとは

要介護1と要介護2では身体状況や受けられる介護に次のような違いがみられます。

介護度は客観的に、公平に判断されるため自分たちで選ぶことはできませんが、その違いを知っておくと介護保険のサービスを利用するときの参考になるでしょう。

身体の状態の違い

要介護1では日常生活において何らかの手助けや介助が必要な状態ですが、特に移動や歩行などのに介助を要する状態です。一方で要介護2になると、移動や歩行に介助が必要なことに加えて、排泄や食事の際にも見守りや何らかの介助を必要とする状態です。

このように、日常生活のほとんどの行為に見守りや介助が必要な状態が要介護2と判断される基準といえます。

利用できるサービスの量の違い

介護保険のサービスの利用ができる支給限度基準額は要介護1が16,765単位であるのに対して、要介護2では19,705単位となり2,940単位増加します。

ただし、デイサービスなど介護報酬が要介護度によって決められているサービスについては、介護度が上がることによって介護報酬も増えることになり、サービス回数の増加がそれほど見込めないものもあるため注意が必要です。

また、福祉用具のレンタルに関しては要介護1では、原則レンタルすることができなかった車いすや介護ベッドのレンタルが受けられるようになります。

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要介護1でも一人暮らしを続けることはできる?

一人暮らしの高齢者が増えている現代では、要介護状態になっても一人暮らしが続けられるかは気になるところです。特別養護老人ホームは民間の有料老人ホームに比べると費用が少なくて済みますが、要介護3以上でないと入居できません。

認知症の程度や症状によっても違いますが、要介護1の認定であれば介護サービスの組み合わせで、要介護1の認定を受けていても在宅で一人暮らしを継続している方はたくさんおられます。

どのような生活がしたいのかやどのような部分で困っているのかを具体的にケアマネジャーに伝えてケアプランを作成してもらうと良いでしょう。

まとめ

要介護認定で要介護1と判断された状態は、日常生活において見守りや何らかの介助が必要な状態です。しかし、介護保険のサービスを上手に組み合わせることで、在宅での生活を継続することは十分可能です。

できる限り自立した生活ができるようにするためにはどのような支援を受けるのが良いのかをイメージしたり、いずれ介護施設に入ることを想定している場合には介護を受けることや、施設での生活に慣れるようにしていくなどの準備をはじめておくと良いかもしれません。

この記事を書いた人:寺岡 純子

この記事を書いた人:寺岡 純子この記事を書いた人:寺岡 純子

保有資格:終活カウンセラー上級、主任介護支援専門員、看護師、GCS認定コーチ
合同会社カサージュ代表。急性期の看護師として従事後、介護保険制度の開始と共に介護業界へ転身。超高齢社会の社会構造の変化を目の当たりにし、人生100年時代を自分らしく生きる必要性を実感する。 現在、20年間の介護業界での経験も生かしながら、終活をお手伝いする終活カウンセラーとして活動中。自分らしい人生を応援する『Happy Life College』を主宰。

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