民間の介護保険ってどんな保険?費用やメリットについて詳しく解説

超高齢社会の人生100年時代を迎え、2025年には人口の20%が75歳以上の後期高齢者になります。介護保険給付費の急増が目前に迫っていることから、公的介護保険制度では介護保険支払額の増加や、給付金の減少が検討されています。

「介護が必要になったとき、公的介護保険だけで安心?」と、不安になる方も多いかと思います。

その際に不安を払しょくする保障として注目されているのが、公的介護保険だけでカバーできない介護費用の補填や将来の介護リスクに役立つ任意加入の民間の介護保険です。

そこで今回は、民間の介護保険と公的介護保険の違いについて触れながら民間介護保険の必要性やメリットについてご説明させていただきますので、これから介護について考える際のご参考にしてください。

そもそも民間の介護保険とは

民間の介護保険とは、生命保険と同様に保険料を支払い要介護状態になった場合に一括、または分割で現金が支払われ、保険会社が提供する介護のリスクに備える保障のことをいいます。

民間の介護保険の歴史は平成12年からスタートした公的介護保険よりも古く、昭和60年頃から提供されています。しかし、民間の介護保険を提供できる保険会社が限定され制約が厳しく、当時は介護のリスクに備えるという意識が浅かったため、民間の介護保険は浸透していませんでした。

超高齢社会が一層加速するなか、年々要支援・要介護になる高齢者が増えていることから公的介護保険での介護保障に加え、自助努力として民間の介護保険のニーズが高まっています。

給付条件は各保険会社によって要支援から要介護までと異なり、保険料は性別や加入するときの年齢、払い込み期間、保険金額などにより決められます。

民間の介護保険料の相場は月5,000円~10,000円程度とされ、生命保険や医療保険の特約として介護保障を付けた場合はや掛け捨てで契約した場合は安くなります。

反対に、手厚い保障や給付条件が緩い場合の保険料は高めに設定されています。

介護の必要性が高まったとき、公的介護保険と合わせて民間の介護保険を利用することで介護費用の負担を軽減することができるでしょう。

民間の介護保険と公的介護保険の違いとは

民間の介護保険と公的介護保険の大きな違いは給付方法にあり、民間の介護保険は一時金や年金などの形で現金給付されるため、使途は介護保険サービスの利用だけに限りません。

一方で公的介護保険は、介護度や状況に応じた介護サービスという現物給付となります。

そのため、要介護認定を受けて介護生活がスタートした後、自己負担額1割(収入に応じて2~3割)で介護保険サービスを利用することができます。ただし、民間の介護保険と異なり現金での支給ではないため、給付の使途は介護保険サービスの利用に限定されます。

また、公的介護保険は加入後から終身に渡って保険料を支払う必要がありますが、民間の介護保険では、保険会社により異なりますが定められた基準をクリアすればそれ以降の保険料支払いが免除されるといった違いもあります。

定められた基準についてですが、保険会社によって介護保障の保険金を受け取れる条件が定められ、公的保険連動型・独自基準型の2種類の支給条件があります。

「公的保険連動型」では公的介護保険に連動し、要支援・要介護のいずれかに該当した場合に支給され、「独自基準型」ではそれぞれの保険会社が独自で定めた基準に該当する場合に保険金が支給されます。

例えば、ある保険会社では公的介護保険において要介護2以上が認定されれば、それ以降の保険金の支払いが免除され一時金と生涯の年金が支給されるといったケースがあります。

民間の介護保険の必要性とは?

公的介護保険では要支援1から要介護度5までの介護度が定められ、要介護度によって利用できるサービスの種類や保険適用となる上限額が異なります。

そのため、介護保険サービスは利用する方の心身の状況に応じて適切なケアが受けられる仕組みになっています。

介護度が高くなれば利用できるサービスの幅が広がり、介護保険の使用限度額は増えますがその分自己負担額も上がり、介護度が低い場合は利用したいサービスが受けられない可能性があります。

民間の介護保険で介護保障を受けることができれば、公的介護保険で利用した介護サービス費の自己負担分や自費で介護サービスを受ける際の補填となり、介護費用の足しにできるということです。

公的年金や老後の貯金が少ない方や周りに介護や費用面をサポートしてくれる人がいない方、公的介護保険で利用できるサービス以上の介護サービスを利用したい人は、 現状の公的介護保険での給付に加え、民間の介護保障があれば将来の介護リスクに備えることができ安心です。

民間の介護保険にかかる費用とは

公的介護保険では保険料の金額は、市区町村や年齢、所得段階で異なり、全国平均で5,500円前後とされています。民間の介護保険で支払わなければいけない保険料は、保険会社や補償内容、加入する年齢により異なりますが、月5,000円~10,000円程度です。

年齢を重ね介護の必要性が高いタイミングや保障内容が手厚いほどかかる介護保険料が高くなり、50代以降での加入の場合は数万円かかるケースもあります。

公的介護保険では介護サービスという現物支給で支払われますが、民間の介護保険では保障がおりれば現金で支給され、支払方法には一時金支払いと年金制支払があります。

一時金支払いでは、保障金額がまとめて支払われますので老人ホームでの入居一時金として利用でき、年金制支払では一定額の保障金額が毎月支払われ、毎月の介護費用の補填が可能です。

毎月の保険料を安くしたい方は、途中解約や保障期間中に要介護状態にならなかった場合の費用返還はありませんが、定期保険タイプがおすすめで、 生涯に渡って介護保障を受けたい方は、終身保険タイプがおすすめです。

終身保険タイプでは介護状態にならず亡くなったときは死亡保障として、途中解約したときには解約返戻金としてお金を受け取ることができるので支払った保険料が無駄になりません。

定期保険型に比べ保険料は安くありませんが、生涯の安心を得ることができます。

民間の介護保険に加入するメリットとは

公的介護保険があるのに、さらに民間の介護保険に加入しなければいけないの?と、気になりますね。公的介護保険で補えない保障を民間の介護保険がカバーしてくれるため、安心の老後を送りたい方にはおすすめです。

民間の介護保険に加入するメリット3つについてみてみましょう。

1.介護費用の負担が軽減される

介護が必要になったときの介護費用は、介護サービス費用だけではありません。医療費や排泄用品代、介護用品代、介護環境を整えるための費用、介護をする方の交通費なども介護費用に含まれ、介護費用の負担は大きいものです。

金銭的な負担を軽減する民間の介護保険は、現金給付というメリットを活かして介護サービスを利用した際の自己負担額の費用や生活費の補填として金銭的に安心ある介護生活を送ることができます。家族に経済的な負担をかけてしまう心配もなくなることがメリットといえるでしょう。

また、介護保険適応外のサービスを利用した場合のメリットについて例を挙げてみましょう。

例えば要支援や要介護1の介護認定が出た場合、手すりやスロープなどの福祉用具はレンタルすることができますが車椅子や介護ベッド、体位変換機などの福祉用具は介護保険の適応外となりレンタルすることができません。

原則として要支援、要介護1の方は特例が認められる方以外は、福祉用具レンタルの利用が限定されますが、民間の介護保険を利用すれば自費で福祉用具の購入やレンタル費用を賄うことができます。

2.生命保険料控除を受けることができる

民間の介護保険に加入し年末調整や確定申告で申告すると、生命保険料控除制度を受けることができます。1年間に支払った保険料について一定金額の所得控除を受けることができるため、課税対象となる所得税と住民税が減税され、所得税の控除額は最大12万円、住民税の控除額は最大7万円となります。

生命保険料控除制度を受けるには、保険会社から送付される控除証明書が必要となりますので、送られてきたら大切に保管しておきましょう。

3.保障範囲の設定が広い

公的介護保険の受給要件では、要介護認定を受けた65歳以上の人・医療保険に加入し老化が原因となる16の特定疾病にある40歳以上65歳未満の人が対象となります。

しかし、民間の介護保険では保険会社により決められた条件はあるものの、公的介護保険よりも比較的基準が緩いことが特徴で、保険会社独自の基準を設けているケースでは“所定の要介護状態となった場合” を保障の対象としています。

40歳以上65歳未満で事故や怪我による障害で要介護状態となった方は公的な介護保険の対象外となりますが、民間の介護保険では保険会社により保障を受けられるメリットがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

民間の介護保険に加入し老後の介護リスクに備える必要性について、ご説明させていただきました。

これからは、超高齢社会が益々加速し、公的介護保険は多くの掛け金(保険料)で、少ない補償(介護サービス)になることが予測されます。

民間の介護保険は保険料の負担はあるものの、“将来の安心”や“長生きのリスク”をカバーする保険として有効です。

長寿社会となった今、年齢を重ねるごとに誰もが介護が必要な状態になるリスクが高まります。突然の介護生活がスタートし費用が足りず必要なサービスが受けられないということがないように、若い内から備えておくことが大切です。

民間の介護保険への加入を検討する場合は、保険会社によって保障内容が異なるためそれぞれ比較し、自分の老後に合った保険に加入を検討してください。

金銭的な負担がないよう、介護資金の準備はしっかりと行い安心のシニアライフを贈りましょう。

監修者:陽田 裕也

監修者:陽田 裕也監修者:陽田 裕也

資格:社会福祉士 生活相談員 介護福祉士 介護支援専門員
2001年介護福祉士の養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得、翌年には社会福祉主事任用資格も取得した。 2002年から特別養護老人ホームで介護職員として勤務しており、その後、同一施設内で生活相談員や施設ケアマネジャーなどを経験しながら社会福祉士の国家試験に合格した。 現在は副施設長を兼任し生活相談員として相談援助に携わっている。 今後は権利擁護への知見を広げるため、成年後見人養成研修にも参加予定である。

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