【最新】介護保険制度とは|仕組みや申請方法、2021年の改正も解説
日本の高齢化が進む中で、2000年に施行された介護保険制度。
「毎月保険料を納めてはいるけれど、どんな時にどんなサービスを使えるのかしら」「支給が必要な時は、どこにどうやって申請すればいいの?」など、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
ここでは、介護保険制度に関わる情報を包括的にまとめていますので、気になるところから読み進めてみてくださいね。
目次
介護保険制度とその仕組み
介護保険制度は、65歳以上の方が介護サービスを利用する際にかかる費用を、国と地方自治体が一部負担してくれる制度です。
介護が必要になったタイミングで各市区町村へ申請を行い、要件を満たすと指定されたサービスを1~3割の自己負担で利用することができます。
何歳から被保険者になるの?
介護保険制度では、40歳になると医療保険料と一緒に介護保険料も納めることが定められています。介護が必要となった際に費用の給付を受けられるのは、65歳からです。
▼介護保険と年齢の関係を詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
制度を利用する際の流れ
老人ホームへの入居や介護用品のレンタルなど、介護サービスが必要になった際に介護保険制度を利用します。
利用を決めたら、まずは市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」の申請をします。申請後、調査員が被保険者の家へ訪問し、心身の状態を調査します。この調査をもとに、どの程度の介護が必要かを専門家が判定します。
判定の結果が通知された後、ケアマネージャーと相談しながら、どのような介護サービスをどれくらい利用するかの計画(ケアプラン)を作成します。この計画(ケアプラン)に沿って、実際のサービスを利用します。
▼介護保険の申請方法を詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
▼要介護認定について詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
▼ケアプランについて詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
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要介護度とは
要介護度とは、どのくらいの介護が必要かの程度を表しており、要支援1~2と要介護1~5の7段階に分かれています。
要介護度は要介護認定を受ける際にどの段階に属するかが決められ、この段階によって支給金の上限額と受けられる介護サービスが変わります。
▼要介護区分について詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
▼要介護認定に有効期間はあるの?確認したい方はこの記事をチェック!
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要支援
要支援とは、日常生活を自分で送ることはできるが、家事や入浴などで簡単な支援が必要な状態です。以下の記事で要支援の基準や受けられるサービスなどについて、詳しく解説しています。
▼要支援1
▼要支援2
要介護
要介護は、日常生活を送る上での基本的な動作を自分ひとりで行うことが難しく、何らかの介護が必要な状態です。以下の記事で要介護の基準や受けられるサービスなどについて、詳しく解説しています。
▼要介護1
▼要介護2
▼要介護3
▼要介護4
▼要介護5
支給額と自己負担金額
支給額の上限は要介護度によって変わります。また、自己負担金額は利用したサービスの1割が基本ですが、所得によって2~3割になることもあります。
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介護保険制度で受けられるサービス
介護保険制度で受けられるサービスは、大きく分けて以下の6つがあります。
- 施設サービス
- 訪問サービス
- 通所サービス
- 短期入所サービス
- 複合型サービス
- 日常生活を支えるサービス
▼介護保険で利用できるサービスを詳しく知りたい方はこの記事をチェック!
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介護保険ができた背景とこれまでの流れ
高齢化に伴い介護のニーズが増加している一方で、核家族化や介護をする家族の高齢化など、それまで介護の主な担い手であった家族だけでは高齢者を支えることが難しくなっていました。
また、従来の高齢者に対する医療・福祉制度では、介護サービスの利用にあたり所得調査が必要なため心理的抵抗がある、利用するサービスの選択ができない、介護の担い手がいない高齢者の社会的入院など、対応に限界が生まれていました。
こうした背景から高齢者の介護を家族や地域の医療・福祉だけに任せるのではなく、社会全体で支えていく仕組みを打ち出した介護保険法が1997年に成立し、2000年から施行されることとなりました。
3年ごとに内容を見直し、法改正を行っている
介護保険制度では、時代の変化に応じて適切なサービスを提供できるよう、3年ごとに制度の見直しと改正を行っています。初回の改正は2005年に行われ、これまでに5回の改正がありました。2020年の改正は6回目にあたり、2021年4月から施行されます。
これまでに行われた改正の内容は、大まかに以下の通りです。
施行当初(2000年)
「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」を基本方針とした介護保険法が施行される。
改正1回目(2005年改正、2006年施行)
軽度者の増加に伴い、「要支援」を「要支援1」と「要支援2」に分け、なるべく要介護にならないよう介護予防の観点から予防給付を創設。施設利用者への居住費用と食費の給付見直しをするとともに、所得の低い利用者に対して補足給付を設ける。
改正2回目(2008年改正、2009年施行)
法令を遵守してサービスを提供できるよう、事業者の業務管理体制を整備。
改正3回目(2011年改正、2012年施行)
高齢者を多角的に支える地域包括ケアの推進のため、医療と介護の連携を強化。
改正4回目(2014年改正、2015年施行)
在宅医療・介護連携の推進により介護保険財源で各市町村が行う地域支援事業を充実させるとともに、それまで全国一律だった予防給付を市町村に移行することで、地域支援事業の多様化にも取り組む。合わせて、低所得者への保険料の軽減割合を拡大。
改正5回目(2017年改正、2018年施行)
自立支援・重度化防止の仕組みを制度化。介護と医療が一体となった介護医療院の創設や、高所得者の利用者負担額の見直しが行われた。
2021年の介護保険法改正は自立支援が要
介護保険法では、長らく地域包括ケアシステムを推進してきました。地域包括ケアシステムとは、高齢者が自分の住み慣れた地で最期まで自分らしい生活ができるよう、地域全体で介護や医療、福祉などを包括的に行っていく仕組みです。
地域包括ケアシステムを実現するため、これまでに地域の色々なサービスを使えるようにしたり、介護と医療を連携したりと地域全体で高齢者を支える仕組みをづくりをしてきました。
しかし実際は、最終的に施設や病院で息を引き取ることがほとんど。地域包括ケアシステムの目標である「高齢者が自分の住み慣れた地で最期まで自分らしい生活ができるようにする」ためには、病院や老人ホームなどの施設に入るという選択肢ばかりではなく、自宅や住み慣れた地域で生活を送れることが大切です。
そのため、今回の改正では、高齢者の「自宅や住み慣れた地域で暮らし続けたい」という願いを具体的に支援する視点が改めて盛り込まれており、高齢者の自立支援と重度化防止をより推進しています。
これまでは、介護事業者が一方的に介護が必要な方の「面倒をみる」という考え方でしたが、これからは高齢者が自立して生きていけるようにするための「お手伝いをする」という考え方に転換されつつあります。
要介護者の自立支援や重度化防止を推進するために、今回の改正では例として以下のようなことが取り決められました。
- 個浴の推進(入浴介助加算の追加)
高齢者が自宅で自立した入浴ができるようになることを目標にし、医師やリハビリテーション専門職らを含む多職種で支援するもの。 - 健康でい続けられるようにする(個別機能訓練加算の緩和)
飲み込む、立ち上がるなど高齢者の身体の機能維持や改善のため、規制を緩和してより多くの事業所で機能訓練ができるようにするもの。
これらの取り組みを通して、高齢者の尊厳を最大限に守り、最期まで自分らしい生活ができるように目指しています。
その他の改正内容
自立支援と重度化防止の他にも、いくつかの論点で介護保険法の改正が行われました。
高齢者が増え続ける中でも、限られた財源で介護保険制度を長く使い続けられるようにするため、科学的介護や見守りセンサーの活用で介護スタッフの負担を減らしつつ、サービスの質を保つ取り組みも進んでいます。
さらに、2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響をうけ、災害や感染症など有事の際の対応を各事業者で具体的に定めることを義務化しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、介護保険の成り立ちや仕組み、改正について紹介しました。
介護保険は高齢者に必要な介護を社会全体で支えるための保険制度です。比較的症状の軽い要支援1からでも費用が支給されますので、困ったときは積極的に活用していきたいですね。
いざという時に慌てないためにも、普段から情報をチェックしておくと安心ですよ。
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