とうがんがもつ栄養について管理栄養士が解説!実は夏野菜って知ってました?
とうがんは冬の瓜と書きますが、実は夏の野菜です。冷暗所に保存しておけば冬までもつとされることから「冬瓜」と呼ばれるようになったと言われています。水分を多く含みクセが少なく、煮物や汁物などさまざまな料理に活用しやすい野菜です。
この冬瓜には、健康に必要な栄養素が豊富に含まれています。今回はこの冬瓜の栄養効果についてご紹介したいと思います。
目次
とうがんに含まれる栄養素の効能とは
とうがんには、たっぷりと水分が含まれていることから夏の暑い時期には身体を冷やす効果があり、これからの暑い時期を迎えるにあたり熱中症予防として積極的に取り入れたい野菜の一つです。
さらにとうがんには、わたしたちにとって嬉しい栄養効果が含まれています。特に、高血圧を予防したい方、免疫力を高めたい方、いつまでも若々しく過ごしたい方には効果を期待できる栄養素を含んでいます。
次は、とうがんに含まれるこれらの効果を期待できる栄養素と、その効果についてご紹介したいと思います。
カリウム
カリウムは、主に野菜や果物に多く含まれるミネラルで、ナトリウムと相互に作用し、細胞の浸透圧を調整する働きがあります。
食事での塩分(ナトリウム)摂取量が多すぎると、高血圧の原因となってしまいます。多すぎる塩分は控えるように注意しなくてはいけませんが、とうがんに含まれるカリウムは塩分(ナトリウム)を尿として排出させる効果がありますので、積極的に取り入れたい食材です。
とうがんは、100g中に200mgのカリウムが含まれており、成人女性が1日に必要なカリウムの目安量(2000mg)の約10%となります。
ビタミンC
ビタミンCは、身体のあらゆる場所で活躍の場がある非常に重要なビタミンの一つです。身体の中で日々発生する活性酸素は、身体を形作っているすべての細胞を酸化させ、老化やがん化の原因の一つとも言われています。
ビタミンCは強い抗酸化作用をもっており、この活性酸素から守ってくれます。また、細胞にはコラーゲンというたんぱく質が含まれています。そのコラーゲンを産生する際に重要なビタミンの一つがビタミンCであり、ビタミンCが不足してしまうと健康な細胞を作ることが難しくなります。
そのためビタミンCによって、健康な細胞を保つことは若々しい肌を保つためだけではなく、強い細胞でウイルスや細菌の侵入を防いだり、強い骨や組織を保ったりすることが期待できます。
とうがん100gには私たちが1日に必要なビタミンC量の目安量(85mg)の約半量(39mg)が含まれています。
出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
とうがんに含まれる栄養成分を効率的に摂取する調理法とは
このように、豊富な栄養素を含んでいるとうがんですが、食べ方やちょっとした工夫でもっと効果的にこの栄養素を摂取する方法があります。次に、美味しく、効率よくとうがんの栄養効果を最大限に摂取できる簡単なポイントをご紹介したいと思います。
捨ててしまうのはNG!皮と種子を活用しましょう
煮物やスープとして利用されることの多いとうがんですが、みなさんは実だけを食べて、皮や種子をすべて捨ててしまってはいませんか。実はとうがんの皮や種子にも先ほどご紹介した、カリウムやビタミンCに加えて食物繊維も豊富に含まれており、薄く切ったり香ばしく煎ったりすることで美味しく食べることができます。
薄く切った皮と種をにんじんなどと甘辛く味付けすると、美味しく栄養豊富なきんぴらになります。煎った種子は香ばしく、ポリポリとした食感のアクセントにもなります。
長時間の煮込みはNG!大きめカットで電子レンジを活用しましょう
とうがんの特徴的な栄養素の一つであるカリウムは水に溶ける性質があります。野菜の切り口の面積の大きさや、水に浸かっている時間に比例してカリウムは流れ出でしまう傾向にあります。また、煮込み調理を加えると、流れ出る量は増えてしまいます。
そのため、とうがんを煮込んだり、スープにしたりする際は切る大きさを、やや大きめにして電子レンジであらかじめ加熱するようにしてみましょう。煮込む時間を少なくすることができます。
冷蔵庫NG!まるごと保存は暗いところでひっそりと
とうがんはたっぷりの水分を含んだ野菜です。暑い夏に旬を迎える夏野菜の一つですが、みなさんは購入後冷蔵庫に入れてしまってはいませんか。
とうがんはとても保存能力の高い野菜です。冷蔵庫に入れなくても、冷暗所においておけばなんと数か月ももってしまうと言われています。夏に採れたとうがんが冬までもつことが冬瓜と名前がつけられた由来と言われるほど、古くから保存能力が高いことでとうがんは重宝されてきました。
スーパーなどでカットして販売されるとうがんや、余ったとうがんを保存する際は、空気に触れると腐敗しやすいワタを取って冷蔵庫で保存しましょう。
とうがんを使ったおすすめ料理2選
これまでにとうがんに含まれる栄養素と、それらの栄養効果についてご紹介してきました。今日の献立からとうがんを使ってみたくなった方も多いと思います。
調理や保存のポイントもご紹介しましたのでこれまでのポイントをふまえて、とうがんを美味しく食べられる、簡単な調理のポイントをレシピと一緒にご紹介したいと思います。
とうがん料理の代表「とうがんのあんかけ煮物」
とうがんを使った料理の代表といえば、煮物です。とうがん自体にクセが少ないので、あっさりと和風の味付けで煮込むことで食欲の低下しやすい暑い夏でも食べることができます。また、この煮物にはひき肉を入れることが多いですが、自宅にある豚肉の薄切りやバラ肉の切り落としなどと、冷凍の枝豆を加えてみましょう。
豚肉と枝豆にはビタミンB1が多く含まれています。肉をミンチしたひき肉ではなく、あえて豚肉の薄切りやバラ肉の切り落としを使うことで、流れ出てしまう水溶性のビタミンB1の量を減らすことができます。
さらに、枝豆にもとうがんと同じくビタミンCが含まれています。豚肉と枝豆でビタミンB1とビタミンCを補うことで、これからの暑い時期におすすめの、元気のでる一品になります。
余すことなく使う「とうがんの種と皮のきんぴら風炒め」
とうがんの皮や種は、捨ててしまう方が多いと思いますが、とうがんの中でも栄養素を豊富に含んでいる部分です。また調理の工夫で、これらを余すことなく、美味しく食べることが可能です。
皮は薄く千切りに、種は乾燥させることで香りと食感を楽しみながら美味しく食べることができます。これらをいつものきんぴらごぼうを作る際に、一緒に入れるとさらに栄養価の高い一品になります。
また、水に溶け出る栄養素を守るために、皮は千切りする前にさっと洗うのみにして、切ったあとはなるべく調理時間を短くするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。とうがんの冬という漢字から冬に食べるイメージを持たれていた方も多くいらっしゃったかもしれませんが、今日のお話を聞いてさっそく食べてみたくなったのではないかと思います。
ぜひ、今日スーパーで購入される際は、鮮やかな緑色でどっしりと重く水分をしっかりと含んだみずみずしいとうがんを探してみてくださいね。
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