【管理栄養士が選ぶ】疲労回復におすすめの食べ物ベスト5
「寝ても疲れが残ってしまう」「少し動くとすぐに身体がだるくなってしまって動けない…」「大掃除をした後にどっと疲れが出て取れない…」
このように、疲労を感じているのになかなか回復できないという時はありませんか?
身体の健康は内側から作られるものも影響しているので、疲労と日々口にしている食べ物には密接な関係があります。
今回は、疲労を感じた時におすすめの食べ物を管理栄養士がお伝えしていきます!
目次
疲労は大きく2種類に分かれる
そもそも、疲労とは一体どんな状態のことを指すのでしょうか?
日本疲労学会では下記のように定義されています。
疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である
つまり疾病による身体活動能力の減退状態を除くと、疲労は大きく「肉体的疲労」・「精神的疲労」の2種類に分かれ、持続ができなくなる状態であるということです。
この2つには、どのような違いがあるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
肉体的疲労
まず1つ目は肉体的疲労です。
肉体的疲労とは、家事・運動・立ち仕事など同じ動作を繰り返し行ったり、長時間同じ姿勢をしたりすると一部の筋肉が疲れて持続力がなくなる状態です。
普段あまり身体を動かさない状態で急に身体を動かすと筋肉が疲れてしまい、肉体的疲労が起こります。
家事や運動などで筋肉が疲れる原因は、筋肉の緊張や血行の悪さ、エネルギー不足など、原因もさまざまで諸説いわれています。
精神的疲労
2つ目は精神的疲労です。
精神的疲労とは、人間関係や社会環境、悩みなどの心理的ストレスが原因で心が疲れてしまっている状態をいいます。
この精神的な心の疲労は、悪化するとうつ病やノイローゼになっていることもあるので現代社会にとって見逃せない疲労です。
精神的疲労は精神面に現れると考えがちではありますが、精神面の変化なくいきなり身体に何かしらの症状が現れることがあります。
そのため、身体の疲労が原因と考えてしまい、本当の原因である心の疲労、つまり精神的疲労を見逃してしまう可能性があります。
疲労回復に効果がある栄養素とは
実際に疲労回復に効果がある栄養素とはどんなものがあるでしょうか?
肉体的疲労と精神的疲労、それぞれについてお伝えしていきます。
肉体的疲労の回復効果がある3つの栄養素
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える働きをする栄養素です。
肉体的疲労の要因としてエネルギー産生の不足があります。このエネルギーを産み出すために必要な栄養素の一つが糖質です。ビタミンB1はこの糖質からエネルギーを産み出す過程で必要になる栄養素です。
ビタミンB1が多く含まれる食材として、豚肉、玄米、うなぎ、たらこ、のり、そば、ぬか漬けなどがあります。
クエン酸
クエン酸は、私達の身体でエネルギー生成をするために重要な働きをする栄養素です。
また、活性酸素などによる酸化ストレスで細胞がダメージを受けて疲労がうまれるときもあるのですが、クエン酸は高い抗酸化作用もあるのでその活性酸素の生成を少なくし、老廃物を排出する働きもあります。
クエン酸が多く含まれる食材として、柑橘系の果物、梅干し、お酢などがあります。調味料や香辛料として色々な食材と合わせて摂取するようにしましょう。
鉄
鉄はミネラルの一種で、酸素を細胞に届ける働きのある栄養素です。
不足すると酸素が細胞に届けられず、エネルギーを産み出せなくなり疲労感やだるさ、頭痛などさまざまな症状が現れます。
鉄分が多く含まれる食材として、赤身肉、レバー、赤身魚、卵、あさり、高野豆腐、ほうれん草などがあります。
肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄分(ヘム鉄)は吸収率が高く、ほうれん草などの植物性食品に含まれる鉄分(非ヘム鉄)は吸収率が低いという特徴があるので、動物性・植物性の食材をバランスよく選んで摂取することを心がけましょう。
精神的疲労の回復効果がある3つの栄養素
たんぱく質
たんぱく質はストレスを減少させる神経伝達物質のセロトニンを作り出すための材料となる栄養素です。
セロトニンは、快眠に必要な睡眠ホルモンのメラトニンを生成します。たんぱく質はセロトニンからの精神的な疲労回復だけでなく、睡眠からも肉体的な疲労回復を促進してくれるでしょう。
また、たんぱく質は疲労回復に必要な材料というだけでなく、筋肉や骨、臓器や皮膚など身体を構成している重要な栄養素でもありますので、不足しないように摂取する必要があります。
たんぱく質が多く含まれる食材として、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などがあるので、毎食意識して積極的に摂り、精神的疲労の回復だけでなく質の良い睡眠もしっかりと摂れるようにしていきましょう。
ビタミンC
ビタミンCは美容のビタミンとしても広く知られていますが、実は抗ストレスにも必須な栄養素です。
ストレスが溜まっているとビタミンCがいつも以上に損失されてしまいます。
少しでも疲労を感じたときはいつも以上にビタミンCを摂取するようにしましょう。
ビタミンCが多く含まれる食材として、キウイ、いちご、みかんなどの柑橘類、ピーマン、かぶ、ブロッコリーなどがあります。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化ビタミンの1つであり、免疫力を高めたり、性ホルモンに似た働きをしたりする栄養素です。
女性の更年期ではイライラやのぼせ、ストレスなどが代表的な諸症状としてあります。ビタミンEを補うことで、この症状を緩和してくれる可能性もあるのです。
ビタミンEが多く摂れる食材として、ナッツ類、大豆、緑黄色野菜などがあります。
ナッツなどをおやつに取り入れて積極的にビタミンEを摂りましょう。
疲労回復におすすめの食べ物ランキングベスト5
それでは、疲労回復に効果のある栄養素もお伝えしたところで、管理栄養士が選ぶおすすめの食材ランキングベスト5をお伝えしていきたいと思います!
第1位 豚肉(ビタミンB1)
豚肉には糖質のエネルギー代謝を助けるビタミンB1が豊富に含まれています。
ニンニクやニラ、ネギなどに含む“アリシン”という成分と一緒に摂ることで吸収率もアップします。
おすすめの簡単メニューは、豚肉とネギをにんにくなどの調味料で炒めるだけの「豚肉とネギの炒め物(ニンニク味付け)」です。
ぜひ試してみてくださいね。
第2位 レバー(鉄)
レバーには鉄が豊富に含まれています。例として、豚レバー100g中には鉄分が13mg含まれており、これは成人女性の一日の推奨量を満たす量※1なので鉄分の王様とも呼ばれています。
おすすめのメニューは、疲労回復の定番「レバニラ」です。
レバーは鉄分だけでなくたんぱく質も豊富なため、とても栄養のある食べ物です。疲労を感じたときは食べてみてくださいね。
第3位 ブロッコリー(ビタミンC)
ブロッコリーにはビタミンCが豊富に含まれています。
実は、レモン1個分(120g) のビタミンCが20mgである一方、ブロッコリー100gのビタミンC量は約120mg含まれています。
ビタミンCの代表とも言われるレモン1個分よりも、ブロッコリー100gのビタミンC量の方が多いのです。
また、ブロッコリーはたんぱく質も多く含むとても栄養価の高い食べ物で、疲労回復にも有効かつ優秀な食材と言えます。ブロッコリー100gは中くらいのもの5房程度になりますので、上手く料理に取り入れて活用していきたいですね。
おすすめのメニューは「ブロッコリーと卵のタルタルサラダ」です。
茹でたブロッコリーにたんぱく質である卵を刻みいれ、タルタルソースで混ぜて完成。美味しくビタミンCもたんぱく質も摂れる美容に良いメニューです。
蒸し調理を活用することで、さらに栄養を外に逃さずに摂取することができますよ。
第4位 梅干し(クエン酸)
梅干しを食べると酸っぱさを感じると思いますが、この酸っぱさの成分はクエン酸です。このクエン酸が梅干しにはたっぷりと含まれているため、疲労回復にも効果的です。
おすすめのメニューは「アジの梅風味南蛮」。
アジを揚げたものに梅干しを潰して入れて、お酢などの入ったタレで味付けをするだけ。
アジでたんぱく質を摂取することができるだけでなく、梅干しやお酢からクエン酸が摂れるため疲労回復も抜群です。
疲れていてさっぱりとしたものが食べたい時には、ぜひお試しください。
第5位 アボカド(ビタミンE)
アボカドには抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは先述のホルモンとの関わりだけでなく、動脈硬化の予防やエイジングケアの効果があるとも言われています。そのほかにも、アボカドにはLDL-コレステロールの上昇を緩やかにするオレイン酸などの良質な脂が豊富に含まれています。
おすすめのメニューは、「アボカドマグロ丼」です。
ごはんの上に一口大に切ったアボカドとマグロの切り身をのせ、わさび醬油をかけたものになります。
アボカドの濃厚さとマグロのさっぱりとした味を一緒にすることでマイルドな味わいになり、ビタミンEやたんぱく質が同時に摂れる簡単疲労回復丼の完成です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
疲労には肉体的疲労・精神的疲労の2種類があり、それぞれに効果的な栄養素や食べ物をお伝えしてきました。
日常的に悩まされる疲労ですが、そのまま放置してしまうといつの間にか蓄積してしまい身体に症状が出てしまうこともあります。疲労を感じたらその都度回復させるのが健康を維持するために必要なことです。
まずは今回お伝えした効果的な食べ物を摂取して、疲労を蓄積せずに少しずつ身体の内側から整えて、疲労回復に繋げていきましょう!
【参考文献】
※1日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書,厚生労働省(2019-12-2参照)