食べすぎ注意?管理栄養士がさつまいもの栄養とおすすめの食べ方をご紹介

さつまいも

さつまいもは秋の味覚の代表ですが、保存性も良く1年を通して手に入りやすいため私たちにとっては身近な食材の一つですね。家庭菜園で育てたり、イベントで芋掘りを楽しんだりしたことのある方も多いのではないでしょうか。

さつまいもは腸内環境を整えたい方、血圧や血糖値が気になる方にもおすすめの食材です。では、さつまいもに含まれるどんな栄養素が健康に良いのでしょうか。

今回はさつまいもに含まれる栄養素とおすすめの食べ方・レシピをご紹介します。

さつまいもに含まれる栄養素の効能とは

さつまいもの主成分は炭水化物です。炭水化物はたんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素であり、生命維持や活動に欠かせないエネルギー源です。炭水化物はエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにはならない「食物繊維」の2つに分けられます。

そしてさつまいもには炭水化物以外にも、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているのが特徴です。

ここでは、さつまいもが持っている健康や美容に嬉しい栄養素の効能についてご紹介します。

さつまいもには私たちが不足しがちな栄養素「食物繊維」が豊富

食物繊維は便のかさを増やす、腸内の善玉菌を増やすなど、腸内環境を整えてくれるため【便秘予防】に効果があることで有名ですね。

また、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり血液中のコレステロールを身体の外へ排出したりする働きがあり、糖尿病や脂質異常症などの【生活習慣病の予防・改善効果】が期待できます。

食物繊維は日本人の食事摂取基準だと1日あたりの目標量は男性21g以上、女性18g以上となっています。実際は成人で1日平均15gしか摂取できていない状況で、残念ながら現代の日本人に不足している栄養素と言えます。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、理想の割合は「水溶性1:不溶性2」です。蒸した皮付きのさつまいもは100g当たり「水溶性1.0g:不溶性2.8g」と理想に近い良いバランスになっています。

さつまいもの「ビタミンC」は加熱しても壊れにくい

ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲン合成に必要不可欠な栄養素なので健康はもちろん、美容のためにも必須の栄養素です。また、抗酸化作用によって体内の活性酸素を消去してくれる働きがあるため、心血管疾患の予防効果も期待できます。

1日あたりの推奨量は100mgとされています。さつまいもは100g中にビタミンCを29mg含んでおり、さつまいも1/2本で1日に必要な1/3のビタミンCが補給できます。

通常、ビタミンCは熱に弱いため加熱調理により分解されてしまいます。しかし、いも類に含まれるビタミンCはでんぷんによって守られているため、調理後にもほとんど分解されずに残るという嬉しいポイントがあります。

さつまいもに豊富な栄養素「カリウム」は血圧の改善やむくみ予防におすすめ

カリウムは余分なナトリウム(食塩)を体外へ排出するのを助けてくれます。高血圧や心疾患、脳血管疾患のリスクを減らすために、食べ物で積極的に摂ることを推奨されている栄養素です。

カリウムが多いとよく言われるバナナには100gあたり360mgのカリウムが含まれています。対して蒸した皮付きさつまいも100gあたりのカリウム含有量は390mgなので、さつまいものほうがより多く摂取できます。

日本人は味噌、醤油、漬物などの和食文化の影響で食塩の摂取量が多く、シニア世代の3人に2人が高血圧症とも言われています。減塩と合わせて、ナトリウムを体外に排出してくれるカリウムを意識して摂ることが健康長寿の秘訣となりそうです。

ただし、主治医からカリウム摂取を制限されている場合は必ず指示に従ってください。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考:厚生労働省/平成29年国民健康・栄養調査報告
参考:厚生労働省/e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康

さつまいもを食べると太る?気になるエネルギー量(カロリー)はどのくらい?

さつまいもなどのいも類は糖質が多いことや特有の甘さを感じるため「太りやすそう」という印象を受ける方も多いようです。

さつまいものエネルギー量は100gで134kcalです。中サイズ1本(約250g)のエネルギー量は335kcal、これは大盛りのご飯1膳分のエネルギー量と同じくらいですね。

さつまいもに限らず、どんなに栄養価の高い優秀な食材でも食べ過ぎてしまうと太るのは当然です。甘くて美味しいため、ついつい止まらなくなってしまいそうですが食べ過ぎないように注意は必要です。

さつまいもの主成分である「糖質」はエネルギー源です。体重が気になる方は夜遅くに食べることは避けて、朝食や昼食のおかず、日中のおやつとして1日1/2〜1本程度で楽しむのが良いでしょう。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)

さつまいもに含まれる栄養成分を効率的に摂取するには

エネルギー源となる「糖質」以外にも「食物繊維」「ビタミン」「ミネラル」など身体に大切な栄養素を豊富に含んでいるさつまいもは、調理の工夫によって効率的に栄養を摂取することができます。

せっかくのヘルシー食材ですから、無駄なく美味しく食べられるポイントを押さえておきましょう。

さつまいもは「皮ごと食べる」のがおすすめ!

さつまいも100gあたりの食物繊維は、皮を食べなかった場合2.2g、皮を食べた場合は2.8gと差があります。現代の日本人の食事は食物繊維が不足しがちなので、身体のためにはさつまいもの皮もなるべく積極的に摂りたいところです。

また、さつまいもの皮には骨の材料になる「カルシウム」、抗酸化作用をもつポリフェノールの一種である色素成分「アントシアニン」、皮と実の間には食物繊維と一緒に作用して、お腹の調子を整えてくれるさつまいも特有の成分「ヤラピン」が多く含まれています。

さつまいもは皮をきれいに洗って、皮ごと食べることで無駄なく栄養素を摂取でき、健康に良い効果を得やすくなります。

さつまいもは「蒸し料理」や「煮汁ごと食べられる料理」がおすすめ

ビタミンCやカリウムなどの水溶性の成分は水に溶け出してしまう性質があります。でんぷんに守られているといっても茹でこぼすような調理法はこれらの栄養素を逃してしまう可能性があるため、無駄なくとるためには蒸し料理や煮汁ごと食べる料理が適しています。

また、味噌汁などの汁物の具としてもおすすめです。以前は「味噌汁は塩分が多いので血圧を上げてしまう」と言われていました。

しかし近年では、塩分を身体の外へ排出してくれるカリウムを多く含む野菜やいも類を入れて具沢山にすることで、むしろ血圧を下げる効果も期待できることがわかっています。

ただし前述のとおりカリウムは水溶性で、煮ることで汁に栄養素が流れ出てしまうので、味噌汁は残さず飲んでこそ効果が発揮されると考えましょう。

さつまいもは「冷まして食べる」と嬉しい効果が!

さつまいもの主成分は炭水化物、その大半が「でんぷん」です。最近、ダイエットのために糖質を控えるという風潮が高まっていて、お米やいも類も控えているという声も耳にします。

しかし一度加熱した後に冷ますことで、でんぷんは「レジスタントスターチ(=消化されにくいでんぷん)」になります。なんとレジスタントスターチは、糖質であるにもかかわらず、食物繊維と同じような働きをしてくれます。

食物繊維と同じように小腸内でほとんど消化されず、大腸内で腸内細菌の餌になることで腸内環境が整い、便秘解消効果が期待できるのです。また血糖値の急激な上昇も抑えてくれます。

さつまいもはもともと食物繊維が多い上に、冷ますことでレジスタントスターチも増えるので、私たちが食物繊維に期待する効果が非常に得られやすい健康に嬉しい食材なのです。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考文献:亀井文,高橋遥「さつまいもの加熱調理直後、冷蔵保存及び再加熱によるレジスタントスターチ量の変化」一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集,69(0),146, 2017

さつまいもを使ったおすすめ料理3選

ここまで、さつまいもに含まれる「食物繊維」や「ビタミンC」「カリウム」などの栄養素が生活習慣病を予防することや、美容にも嬉しい食材だということをご紹介してきました。

ここからはさつまいもの栄養素を効率よく摂取できるおすすめの料理を紹介していきます。

塩麹さつまいもごはん

さつまいもごはん

さつまいもの皮には食物繊維、カルシウムなど身体が喜ぶ栄養素がたくさんありましたね。

さつまいもご飯は皮ごと食べやすいメニューの一つです。皮付きのまま使用することで煮くずれもしにくく、色合いもきれいになります。

腸内環境を整えたい方には発酵調味料である塩麹を使ったさつまいもご飯がおすすめです。炊飯の際に使用する水は少しだけ少なめにすると、さつまいもがホクホクとした食感になりますよ。

さつまいもの冷製ポタージュスープ

さつまいものポタージュ

血糖値の上昇を緩やかにし、大腸で食物繊維と同じ様な働きをするレジスタントスターチは、さつまいもを一度加熱した後に冷ますことで作られるとご紹介しました。

なかなか野菜が摂れないときや腸内環境を整えたいとき、便秘を解消したいときにはさつまいもを冷製のポタージュスープにしてみませんか。

牛乳をたっぷり使用することで骨や歯の材料になるカルシウムや筋肉の材料になるたんぱく質も一緒に補給することができます。また、さつまいもの皮は除かずに丸ごとスープにすれば、ポリフェノールも無駄なく摂れるのでアンチエイジング効果も期待できます。

さつまいも入り具沢山味噌汁

さつまいものみそ汁

和食の代表格ともいえる味噌汁。発酵食品である味噌はおなかの中で善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれるので毎日の献立に取り入れたいですね。食物繊維の豊富なさつまいもを味噌汁に入れることで腸内環境を改善する効果をさらに得ることができます。

具沢山にすることで野菜もたっぷり摂取することができますし、豆腐や豚肉、魚介類などを加えるとたんぱく質も補給することができて満足感も高まります。水溶性のビタミンやカリウムは汁に溶け出しているので、食べるときは汁ごといただきましょう。

まとめ

今回はエネルギー源となる糖質以外にも腸内環境の改善や生活習慣病予防が期待できる食物繊維、抗酸化作用のあるビタミンC、血圧低下やむくみ解消が期待できるカリウムなど、身体に嬉しいメリットが満載のさつまいもについてお伝えしました。

季節を問わず安価で手に入りやすい食材なので、健康や美容のために毎日の食事で上手に取り入れていきたいですね。

この記事を書いた人:高城沙織

この記事を書いた人:高城沙織この記事を書いた人:高城沙織

保有資格:管理栄養士・フードスペシャリスト
大学を卒業後、管理栄養士養成課程の大学助手として勤務。その後、地方公務員として18ヶ所の保育園給食運営に従事し、献立作成や食育・食物アレルギー対応などに携わる。
現在はフリーランスとして活動し、栄養カウンセリングや食・栄養コラムの執筆、レシピ提供を行っている。
ダイエット栄養指導、糖尿病重症化予防のための栄養指導、在宅高齢者向け訪問型健康・栄養相談、ビジネスマン向けパフォーマンスアップ食事指導などこれまでの栄養指導実績は延べ10000件以上。
Twitter:https://twitter.com/saotksr330 
Instagram:https://www.instagram.com/saori_nutritionniste/  

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