もやしに栄養がないってほんと?管理栄養士がもやしの栄養について他の野菜と比較しながら解説!

もやし

節約野菜として活躍してくれるもやし。水耕栽培のため決まった旬はなく、一年を通して食べられるので、家計にも嬉しい食材ですよね。

また、もやしは90%以上が水分でカロリーが低いことも魅力の一つです。カロリーが低いため栄養がないと思われがちですが、意外にもさまざまな栄養素が含まれています。

今回はもやしに含まれる栄養素を他の野菜と比較しながら解説していきます。

もやしに含まれる栄養素の効能とは

もやしはさまざまな栄養素を含んだヘルシーな食品です。種に蓄えられたでんぷんや脂肪、たんぱく質など潜在的な栄養素が加水分解されてもやしになる過程で、エネルギーを放ちながら細胞や組織を作って成長するという特徴があります。

さらに発芽させる段階でそれまで含まれていなかった新しい栄養素が合成されていきます。発芽というメカニズムの中で私たちには図りきれない、複雑で神秘的な反応が起こっているのです。

もやしには食物繊維・ビタミンC・葉酸などが多く含まれています。ここではそれぞれの栄養素が持つ効果を紹介します。

腸内環境を整えてくれる「食物繊維」

もやしには水溶性と不溶性の食物繊維がともに含まれています。食物繊維には腸内環境を整える便秘予防が期待されています。また、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、血液中のコレステロールを身体の外へ排出する働きがあります。

多くの日本人が不足していると言われており、積極的に摂りたい栄養素の一つです。もやしには100gあたり2.3gの食物繊維が含まれています。食物繊維は特にひげに多く含まれているので、捨てずに一緒に摂るといいでしょう。

食物繊維は腸内の善玉菌のえさになるので納豆や味噌などの発酵食品と一緒に食べると、腸内環境を整える相乗効果が期待できます。

コラーゲン合成に必要な「ビタミンC」

柑橘類や緑黄色野菜に多く含まれるイメージのあるビタミンCですが、色の薄い淡色野菜であるもやしにもビタミンCが含まれます。ビタミンCは水に溶けるビタミンで、コラーゲンの合成や鉄の吸収を促進する働きがあります。

もやしには100gあたり約9㎎のビタミンCが含まれています。これはグリーンアスパラガス(ビタミンC含有量10㎎)、サラダ菜(ビタミンC含有量13㎎)に近い数字です。

生きるためのエネルギーに欠かせない栄養素「ビタミンB群」

もやしにはビタミンB群であるビタミンB1と葉酸が含まれています。葉酸は、細胞増殖に必要なDNAの合成に関与している重要な栄養素です。

また、ビタミンB1は糖質代謝に欠かせないビタミンです。糖質の摂取が多い日本人には不足しやすい栄養素で、意識的に摂ることがすすめられています。ビタミンB1が不足すると糖質をエネルギーに変えることができず、疲労物質が溜まりやすくなるので注意しましょう。

たんぱく質の素となるアミノ酸「アスパラギン酸」

たんぱく質は三大栄養素の一つで糖質、脂質と並んで、人が成長していくためには絶対欠かせない大切な栄養素です。

もやしにはその原料である豆のたんぱく質から生成されたアミノ酸が含まれています。豆が発芽する時にたんぱく質を分解する酵素が働いてアミノ酸となり、それがもやしに移ります。

もやしには、たんぱく質の素となるアミノ酸の一つであるアスパラギン酸が豊富に含まれています。代謝を高め、疲労を和らげる働きがあると言われています。

アスパラガスに含まれる成分として知られていますが、実はアスパラガスが100g中にアスパラギン酸430㎎含んでいるのに対して、大豆もやし(100g)は890㎎、ブラックマッペ(100g)は440㎎、緑豆もやし(100g)には460㎎と3品種とも多く含んでいるのがわかります。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)

栄養が少ないって本当?他の野菜との栄養比較

先ほど紹介した栄養素をもとに緑黄色野菜ともやしを比較してみましょう。ここでは一番生産量の多い緑豆もやしの栄養を基準にみていきます。

カロリー 葉酸 ビタミンB1 ビタミンC 食物繊維 アスパラギン酸
もやし  14kcal 41μg 0.04㎎ 8㎎ 1.3g 440㎎
にんじん 37kcal 28μg 0.05㎎ 4㎎ 2.7g 74㎎
ピーマン 22kcal 26μg 0.03㎎ 76㎎ 2.3g 120㎎

(100gあたり)

もやしには栄養がないと思っていた方は、比べてみていかがでしょうか。どの野菜もビタミンやミネラルを含んでいます。もやしの栄養素は緑黄色野菜と比較すると確かに少ないですが、その代わりカロリーが少ないのが特徴です。

また決まった旬もなく、手に入れやすいうえ、もやしには「アスパラギン酸」が多く含まれています。新陳代謝を促して疲労回復の効果が期待できるので日々の食事にも欠かせない野菜です。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)

もやしの3つの種類

もやし

もやしは人工栽培されているため、どの季節でも安定して食べることができる野菜です。もやしの栽培方法は光を遮断した室内で、豆を水に漬けて発芽させるというもので、水に漬けてから1週間で販売できる水準まで育つ優れた野菜です。

日本では3種類のもやしが食べられているのでご紹介します。

大豆もやし

大豆もやしは名前の通り大豆から作られるもやしのこと。先端に大きな豆が付いていて、他の種類と比べてカリウムや食物繊維が豊富です。他のもやしより濃厚な味わいと食感が楽しめます。

韓国料理のナムルやチゲに使われることが多く、見たことがある方も多いでしょう。

ブラックマッペ

ブラックマッペという黒い豆から作られるもやしです。日本では古くから親しまれてきたもやしで、インドの薄めのナンを作る材料にもなっています。

黒豆の特有の甘みとやや細めの茎が特徴です。西日本が主流ですが、東日本でも販売されています。

3種の内、一番ビタミンCを多く含むのがブラックマッペです。

緑豆もやし

緑豆という中国産の豆から作られるもやしです。春雨の原材料にもなっています。白く太い茎が特徴で、みずみずしくクセのない味なのでどんな料理にも合います。

日本のもやしの中で、最も生産量が多い品種。東日本で出回っているのが緑豆もやしと地域差があります。

もやしに含まれる栄養成分を効率的に摂取するには

意外にも栄養を含んでいるもやしですが、調理方法によって栄養素が逃げてしまうため、栄養を逃さないように調理することが大切です。

これらを知らずに調理してしまうと、同じ料理を作ってももやしから得られる栄養素や効果に大きく差が出てしまうこともあります。もやしの栄養効果を十分に得るためのポイントを紹介していきます。

水洗いはさっと短めに行う

もやしに含まれるビタミンCやビタミンB1、カリウムなどは水溶性なので、水に溶けやすい性質があります。長い時間水にさらせばさらすほど溶け出してしまうので、水につけっぱなしにはしない方が良いでしょう。

水洗いする時は流水でさっと洗い、ザルなどにあげて、長時間水の中に入れないよう注意しましょう。料理する直前に準備するともやしも傷まず使うことができます。

ゆでるよりも炒めるのがおすすめ

炒めるときは、フライパンに油を引いたあと、フライパンをよく加熱することがポイントです。油を絡ませながら、1分以内に炒めあげるのが理想です。

加熱しすぎるとシャキシャキとした歯ごたえがなくなるので、炒めるときは短時間でさっとすませると良いでしょう。

ゆでる場合は、沸騰したお湯の中にもやしを入れるのではなく、水から茹でる方がシャキシャキ感は残ります。茹でた後はザルなどにあげるなどしてそのまま冷ますのがコツです。

もやしのひげはそのままに!実はひげにも栄養がたくさん

もやしは光に当たらずに暗室で育ち、たんぱく質や食物繊維などの主な栄養素は芽の部分に集まります。大豆もやしの場合は、豆の部分のたんぱく質量が多く、ビタミンやミネラル類は根っこの部分が多くなります。

もやしのひげの部分には食物繊維が多く含まれているので、普段捨ててしまっていた方はひげも一緒に調理してみてください。

参考文献:持永春奈,河村フジ子「炒めもやしの品質に及ぼす炒め方の影響」日本調理科学会誌,Vol.34,No.4,p.390-395(2001)

もやしを使ったおすすめ料理2選

もやしのもつ栄養成分を効率的に摂取できる方法について説明してきました。ここからはもやしのおすすめの料理を2つ紹介していきます。

疲れ気味の時に食べたい「大豆もやしのナムル」

もやし

大豆もやしは他のもやしに比べてカリウムや食物繊維、アスパラギン酸を多く含み栄養価が高いです。大豆もやしはアスパラギン酸含有量が890㎎と多く含まれています。

アスパラギン酸には代謝を高め、疲労を和らげる働きがあります。大豆もやしを使ったナムルは栄養価が高くさっぱりした味付けで疲れ気味の時などに食べると良いでしょう。

さっとゆでてシャキシャキ感を残すことで歯触りも良く、もやしの栄養をしっかり摂ることができます。

食物繊維が豊富「もやしの味噌汁」

もやし

食物繊維は、腸内の善玉菌のえさになるので味噌などの発酵食品と相性が抜群です。もやしは水溶性の成分を多く含んでいる野菜なので、味噌汁にして食べることでもやしの栄養を無駄なく摂取することができます。

もやしを使って味噌汁やスープを調理する際は、最後にもやしを入れて火を通しすぎないことが大切です。シャキシャキとした食感を残しましょう。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)

まとめ

もやしの種類や主な栄養素、働き、効果的に栄養素を摂るポイント、レシピなどをご紹介しました。もやしは値段が安く手に入りやすいだけではなく、他の野菜に負けないくらいビタミン・ミネラルも含まれていることがわかりました。

火の通りが早いので、時短料理にも使いやすい野菜です。手早く調理すれば、もやしの食感が活きるだけでなく、栄養の損失も防げます。ポイントを踏まえて、上手にもやしを活用してください。

▼あわせてよみたい!栄養価の高い野菜ランキングはこちら!

【管理栄養士が選ぶ】栄養が豊富な野菜ランキング!

この記事を書いた人:日下緑

この記事を書いた人:日下緑この記事を書いた人:日下緑

保有資格:管理栄養士 調理師
2010年管理栄養士過程を卒業後、給食委託会社で給食管理・大量調理を経験し2012年に調理師免許を取得。その後病院にて管理栄養士として勤務、日々生活習慣病の患者様と接している中で予防医療・食生活支援等の食育の必要性を実感。人生100年時代、健康で自分らしい生き方を歩むために「食の大切さ」を伝えていきたいと思いコラム執筆などに携わり、食と健康のサポートをしている。

関連する記事

記事のカテゴリ