料理の名脇役「大葉」が持つ栄養とは?実はすごいその栄養とおすすめの食べ方を管理栄養士がご紹介
場面を問わず、独特のさわやかな香りと鮮やかな緑色で料理を引き立てる名脇役の大葉。大葉というと、飾りのように刺身に添えられている、または刻んで散らしてあるイメージを持つ方が多いと思いますが、漬物やジュースなど、一般的に「シソ」と呼ばれるものに関しても、実はこの大葉と同じ仲間です。
大葉には、香りや彩りで食欲を刺激する効果だけではなく、身体に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。今回はこの名脇役である大葉に含まれる栄養素の魅力についてご紹介します。
目次
大葉に含まれる栄養素の効能とは
大葉は緑黄色野菜に分類されます。そのため、豊富なビタミン類はもちろん、ミネラルも含んでいることが特徴です。
また、そのさわやかな香りには料理を引き立てるだけではなく、身体にも良い効果があるといわれています。特に、いつまでも若々しく錆びない身体でいたい方や丈夫な骨づくりをしたい方、高血圧を予防したい方にはおすすめの嬉しい栄養素が含まれています。
次に、大葉に含まれている代表的な栄養素と身体に嬉しい栄養効果について、いくつかご紹介したいと思います。
β-カロテン
β-カロテンは、身体の中でビタミンAに変換されて、さまざまな働きをもたらす栄養素です。
ビタミンAは目の正常な働きを主に担っていますが、強い抗酸化作用を持つ特徴もあります。抗酸化作用とは、呼吸や代謝を行うことで日々生じる活性酸素を減らし、全身の細胞を酸化(老化)から守ってくれる作用です。いつまでも若々しい身体を保っていくために積極的に摂り入れたい栄養素と言えます。
大葉が分類される緑黄色野菜とは、その野菜の色の濃さを指すのではなく、厚生労働省の基準では「原則として可食部100g当たりカロテン含量が600μg以上の野菜」のことを指します。つまり、大葉には豊富にβ-カロテンが含まれているということです。
1日に必要なビタミンAの量は約500μgRAE ですが、10枚の1束(10g)の大葉には約88μgRAE のβ-カロテンが含まれています。
ビタミンK
ビタミンKは、主として出血した際にその周辺の血液を固める成分を補助する働きを持つ脂溶性のビタミンです。そのため、ビタミンKが不足すると出血が止まりにくくなってしまいます。
また、ビタミンKは丈夫な骨づくりには欠かせない働きも持っています。骨に含まれているオステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促します。実際に骨粗しょう症の治療としてビタミンKが医療現場で活用されることもあります。
骨粗しょう症予防としてカルシウムを積極的に取り入れている方は、ビタミンKも合わせて摂取していくとより良いでしょう。大葉には1日に必要なビタミンKの量(150μg)に対して、10枚の1束(10g)で約69μg含まれています。
ペリルアルデヒド
大葉のさわやかな香り成分にはいくつか種類がありますが、主として多く含まれているのがペリルアルデヒドです。古くから炎症を抑える漢方として重宝されてきましたが、ペリルアルデヒドには強い防腐・殺作用に加えて、抗炎症作用があります。
たとえばアレルギー性の炎症は、身体の防衛を司るマクロファージから過剰に生じる炎症性サイトカインによって起こるものです。ペリルアルデヒドは、これの発現を腸内で抑制することが実験で明らかになりました。
現在、ペリルアルデヒドの持つ抗炎症性サイトカインの働きについて、腸内だけでなく身体のさまざまな箇所での効果が報告されています。
出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考文献:有村 源一郎,上村 卓矢,八代 拓也「植物アロマ成分を用いた有機栽培システムの開発とヒト健康増進効果への応用植物アロマの潜在能力に注目!」化学と生物,Vol.57,No.7,p.428-432(2019)
大葉に含まれる栄養成分を効率的に摂取するには
ここまでは、身体に嬉しい栄養素や成分を含んでいる大葉の魅力についてお話してきました。あまり意識をして食べることのない大葉ですが、ちょっとした食べ方や調理の工夫のポイントを押さえるだけで、より効率的にその栄養素を摂取することができます。
次は、簡単にできる大葉の栄養効果を最大限に活かす調理のポイントをご紹介します。
香りを楽しむ
大葉の特徴といえば、そのさわやかな香りです。この香りには前述した通り、料理を引き立ててくれるだけではなく防腐・殺菌作用など嬉しい効果もあります。これを活かすためには、細かく刻むことと、なるべく食べる直前に調理することが大切です。
細かく刻むことでそのままの状態よりも強く香るようになりますが、大葉の香り成分は揮発性のため、しばらくすると無くなってしまうというデメリットもあります。
生のまま食べるのであれば、直前に刻んで食べるようにすることで、その栄養効果を最大限に摂り入れることができます。
油ものとの相性抜群
大葉に多く含まれているβ-カロテンは、油に溶けるビタミンです。脂質を含む食品と一緒に食べることで、腸からより、効率よく吸収させることができます。たとえば魚・肉・卵などの動物性たんぱく質を多く含む食材は脂質も含んでいるため、これらを使った主菜に大葉を活用すると相性抜群です。
また、サラダや和え物などの野菜を使用する副菜に大葉を使う際は、ごま油やオイルを含むドレッシングを使うことで、β-カロテンを効率よく吸収することができます。
大葉を食べすぎるとどうなる?
これまで大葉に含まれる栄養素について、その栄養効果をご説明してきました。健康的な毎日にぜひ取り入れていただきたい大葉ですが、通常一品に使う大葉の量は多くないと思います。健康に良い栄養素を含む大葉ですが、大葉だけを一度にたくさん食べたからといって、さらに健康増進を期待できるわけではありません。
今までに大量摂取による健康被害はないものの、食べ過ぎると栄養バランスが偏ってしまうので注意が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。
大葉を使ったおすすめ料理
ここまでは、大葉に多く含まれる栄養素や健康に良い成分についてと、さらにそれらを効率よく摂り入れるためのポイントをご紹介してきました。
これらのポイントと、大葉と相性の良い食材を組み合わせた、簡単なおすすめレシピをお伝えします。美味しくて大葉の栄養を丸ごと食べることができるレシピを、ぜひお試しください。
大葉とじゃこの豚しゃぶ
夏の疲れが出てくる時期に食べたいのが、冷たい豚肉メニューの豚しゃぶ。ボリュームのあるサラダとして野菜もたくさん食べられる一品です。ここに、豚肉と相性の良い大葉を最後に刻んで散らしましょう。
さらに、じゃこを散らすとカルシウムを増やすことができます。大葉に含まれるビタミンKはカルシウム沈着作用があり、じゃこのカルシウムとの相乗効果で骨粗しょう症の予防効果を高めてくれます。
味付けにはごまドレッシングを使うことをおすすめします。ごまに含まれている脂質は、大葉のβ-カロテンの吸収を向上させるため相性抜群です。豚肉調理のポイントですが、豚肉に多く含まれているビタミンB1は水に溶けてしまうため、お湯で茹でるのではなく電子レンジで加熱すると良いでしょう。
大葉でさっぱりツナにんじん
細く切ったにんじんとツナを中華だしとごま油で味付し電子レンジで加熱します。最後に千切りにした大葉をたっぷり和えるのがポイントです。大葉とにんじんを主役にして、さっぱりと食べられるレシピです。
にんじんには、アミノ酸(たんぱく質)の代謝に必要なビタミンB6やエネルギーを生みみ出す際に必要なビタミンB1も含まれています。
電子レンジで調理することで簡単に美味しくできるだけでなく、ビタミンB6やビタミンB1などの水溶性ビタミンの損失を抑えることができます。
▼にんじんの栄養やその他のおすすめレシピを知りたい方はコチラ
まとめ
さまざまな場面で料理を引き立てる「名脇役」として活躍する大葉ですが、そこに含まれる栄養素は私たちの身体を守り、健康を維持するために必要なものが多いということを知っていただけたでしょうか。
刺身の彩りとして料理に添えるだけではなく、いつものおかずに混ぜこんだり、肉や魚と挟んで焼いたり、和食、洋食、中華料理にもお使いいただけます。ぜひ毎日の献立にたくさん大葉を登場させてさわやかな香りを楽しんでください。
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