【管理栄養士が解説】しいたけの栄養とおすすめの食べ方とは?

しいたけ

ヘルシー食材としてお馴染みのきのこですが、その中でも日本では定番のしいたけは煮もの、天ぷらなどさまざまな料理で楽しむことができますね。しいたけは日本を代表する食用きのこで、英語でもそのまま「shiitake」と表記されます。

現在、しいたけは「原木栽培」と「菌床栽培」の2種類の栽培法で作られており、それらは肉質や香り、栄養価に少しずつ違いがあります。しいたけは健康維持だけでなく美容、ダイエットにもぴったりの食材です。

この記事の前半ではしいたけの栄養について、後半ではしいたけの栄養を効率的に摂ることができる調理のポイントについてご紹介します。

しいたけに含まれる栄養素・成分の効能とは

しいたけを代表とするきのこ類は低エネルギー(カロリー)だからこそ「栄養がない」という勘違いをされている方も少なからずいらっしゃるようです。

確かに生しいたけ100gあたりのエネルギー量は19kcalと少なめですが、ビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素や栄養成分を豊富に含んでいます。低エネルギー(カロリー)で太りにくいけれど、ビタミン・ミネラルなどはたっぷりなしいたけは身体に嬉しい食材ですね。

では、しいたけの持つ栄養素・栄養成分にはどのようなものがあるのでしょうか。

しいたけ特有の栄養成分「エリタデニン」

エリタデニンはしいたけ特有の成分です。活性酸素の働きの抑制や、血中コレステロールの上昇を抑制して血流をスムーズにし、血圧を下げてくれる効果があると言われています。高血圧症や高コレステロール血症が心配な方には嬉しい成分ですね。

エリタデニンは、しいたけのかさの裏に7割が存在しています。水に溶けやすいので生しいたけを調理する際は、水洗いせずにペーパータオルで汚れを拭きとりましょう。干ししいたけを戻した出汁は残さずに使うのがおすすめです。

ビタミンDのもとになる「エルゴステロール」がしいたけには豊富

食品で摂取できるビタミンDには主にビタミンD2とビタミンD3があります。腸管や肝臓でカルシウムやリンの吸収を促してくれるので【骨粗しょう症予防】に欠かせない栄養素です。

しいたけに含まれるエルゴステロールはプロビタミンD2と呼ばれ、紫外線に当たることでビタミンD2になります。

ビタミンD3は紫外線に当たることで皮膚でも生成されるため、日照に恵まれている日本でビタミンDが不足することは少ないと考えられていますが、日光に当たる機会が少ない方は意識的にビタミンDが豊富に含まれるしいたけを中心としたきのこ類を摂ると良いですね。

しいたけに含まれる食物繊維の一種「βグルカン」

食物繊維は【腸内環境改善】や【便秘予防】だけでなく、食後の血糖値の急激な上昇を抑制する効果があります。また、血液中のコレステロールを身体の外へ出してくれる働きもあり、糖尿病や脂質異常症などの【生活習慣病の予防・改善】に効果があります。

健康や美容に欠かせない栄養素ですが、主食や野菜の摂取量が減っている現代の日本人には残念ながら不足している栄養素です。

干ししいたけ一食分(約5g)に含まれる食物繊維は2.1gです。調査では1日あたり3~5gの食物繊維が不足しているというデータもあるので、毎日の食事に積極的に干ししいたけをはじめとしたきのこ類を取り入れていきたいですね。

また、食物繊維は水溶性と不溶性の2種類があり、しいたけなどのきのこ類に多く含まれるβグルカンは不溶性食物繊維に分類されます。不溶性食物繊維であるβグルカンは【免疫強化作用】【抗酸化作用】【抗腫瘍作用】も期待できると言われています。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:日本特用林産振興会/きのこ-健康とのかかわりを科学する「シイタケのはたらき
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考:厚生労働省/平成29年国民健康・栄養調査報告
参考:ホクト株式会社/きのこらぼ「風邪・インフルエンザ予防に

しいたけに含まれる栄養成分を効率的に摂取するには

しいたけには血圧やコレステロール値の改善が期待できるエリタデニンや骨粗しょう症予防をサポートしてくれるビタミンD、腸内環境を整えて健康や美容に貢献してくれる食物繊維が含まれていることはおわかりいただけましたか。

現代の日本人にとって課題であるメタボリックシンドロームや生活習慣病の改善に嬉しい栄養素や成分をたくさん含んでいるしいたけは理想的な食品の一つと言えます。

では、しいたけはどのような工夫をすることで、より効率的に栄養を摂取することができるのでしょうか?

干ししいたけにすると栄養価は数倍に

干ししいたけ

干ししいたけはその種類によって「どんこ」「こうしん」「こうこ」とも呼ばれますね。これらは収穫した時期やしいたけの状態によって呼び分けられています。

ここでは生しいたけと干ししいたけの栄養価を比べてみましょう。

【生しいたけ(菌床栽培)100gあたり】
エネルギー…19kcal
水分…91.0g
食物繊維…4.2g
カリウム…280mg
ビタミンB1…0.1mg
ビタミンD…0.4μg

【干ししいたけ100gあたり】
エネルギー…182kcal
水分…9.7g
食物繊維…41.0g
カリウム…2100mg
ビタミンB1…0.5mg
ビタミンD…12.7μg

このようにしいたけは干すことで水分が減った分、栄養がぎゅっと濃縮されていることがわかります。きのこには過剰なナトリウム(塩分)を身体の外へ出してくれる「カリウム」が豊富なのも嬉しいポイントです。

また、三大うま味成分の一つ「グルタミン酸」は生しいたけは100gあたり70mg含まれるのに対し、干ししいたけには100gあたり1060mgも含まれています。さらに干ししいたけにすることで特有のうま味成分である「グアニル酸」も生成されるため、うま味の相乗効果も生まれます。

しいたけは日光浴でビタミンDの量がUP

水分が抜けることによる栄養素の濃縮とは別に、しいたけを日光に当てることでプロビタミンDである「エルゴステロール」がビタミンD2に変化するという利点があります。結果、しいたけのビタミンD含有量が増幅するのです。

ビタミンDの不足は発がんリスクを上昇させるという報告もあります。干ししいたけも、生しいたけも調理前に30分〜1時間日光に当てることでさらにビタミンDが増えるので、時間に余裕があるときはぜひ調理前に日光浴をさせてあげましょう。その際はかさを下に、ヒダを上にして干すのがポイントです。

しいたけは水洗いをせずに冷凍保存、油を使う料理がおすすめ

しいたけには他のきのこ類と同様に「ビタミンB群」など水溶性の栄養素やうま味成分が含まれているので、水洗いはせずにペーパータオルで汚れを優しく拭きとるようにしましょう。また冷凍保存することで食材自体を長持ちさせることができるだけでなく、しいたけの細胞が破壊され、栄養素やうま味が出やすくなります。

ビタミンDは脂溶性の成分なので、本来は脂質を含む動物性食品から摂取したほうが身体に吸収されやすいのですが、炒め物や揚げ物、焼き物にして油とともに摂取することでしいたけのビタミンDも吸収率がアップします。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考文献:東京慈恵会医科大学附属病院栄養部「その調理、9割の栄養捨ててます!」世界文化社(2017)
参考文献:桐渕壽子「紫外線照射による各種キノコ中のビタミン D2含量に関する研究」日本家政学会誌,Vol. 41,No. 5,p.401-406(1990)

しいたけを使ったおすすめ料理3選

高血圧症、脂質異常症(高コレステロール血症)、高血糖、骨粗しょう症などさまざまな健康課題の予防・改善が期待できるビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素を含むしいたけ。

さらに干ししいたけではうま味成分も増えるので、日々の食事の中に上手に取り入れていきたいものですね。では、その栄養を無駄なく上手に摂るためには、どんなレシピが適しているのでしょうか。

シンプル焼きしいたけ

焼きしいたけ

日々の食事で無理なく取り入れるために、まずはシンプルな焼きしいたけをレパートリーに加えてみませんか。「肉類のおかずの頻度が多いかも……」と感じる方は、いつもの肉料理の付け合せとして合わせることをおすすめします。

オーブントースターでかさを上にして焼いた後、すだちやポン酢をかけるだけなので手間をかけずに召し上がることができますよ。

しいたけに含まれるビタミンDは脂溶性成分なので、油脂の多い料理と一緒にとることで身体に吸収されやすくなります。

また、肉類はコレステロールを多く含むため、食物繊維や血中コレステロール上昇を抑制してくれる効果のあるエリタデニンを一緒に摂取できる、バランスが良い組み合わせですね。

小松菜と干ししいたけのソテー

骨の形成に欠かせない栄養素「カルシウム」が豊富な小松菜と「ビタミンD」を含むしいたけは、年齢を重ねるにつれて心配になる【骨粗しょう症の予防】にぴったりの組み合わせです。

カルシウムは吸収率の低い栄養素ですが、その吸収をビタミンDが手助けしてくれます。一緒に摂ることで効率的にカルシウムを摂取できます。生しいたけと比べて含有量が多いので、ビタミンDを摂取したい場合は干ししいたけがおすすめです。

生しいたけを使用したいときは、ぜひ調理前に30分〜1時間天日干ししてみてください。脂溶性のビタミンDは油を使用して調理することで吸収されやすくなるので、炒め料理との相性も良いです。

▼あわせてよみたい!小松菜の栄養についてはこちら

【管理栄養士が解説】小松菜がもつ栄養素とおすすめの食べ方とは?

切り干し大根と干ししいたけの炒め煮

切り干し大根と干ししいたけの炒め煮

切り干し大根は一食分10gに食物繊維が2.1g、カルシウムが50mg、カリウムが350mgも含まれている優秀食材です。乾物なので、干ししいたけと同じく栄養とうま味がぎゅっと詰まっています。

また、さつま揚げを加えることでカルシウムがさらに摂取できる上に、脂質も含んでいるのでしいたけのビタミンDの吸収を助けてくれます。

乾物の干ししいたけと切り干し大根は「急に一品追加で……」というときに心強い食材なので、自宅に常備しておくことをおすすめします。

調理した後も冷蔵庫へ入れておくと日持ちし、栄養も豊富に摂取できる切り干し大根の炒め煮を作り置きおかずの定番にするのはいかがでしょうか。

出典:文部科学省/日本食品標準成分表2015年版(七訂)

まとめ

今回は、しいたけの栄養素や栄養成分とその効果についてご紹介しました。今までしいたけをなんとなく身体に良さそうと思っていた方も、その栄養についてより深く知ることで、より毎日の食事に取り入れていこうと感じられたのではないでしょうか。

もし普段積極的にきのこ類を食べていなかったことに気づかれた方は、これを機にぜひ1日1回きのこ類を取り入れた食事を摂ってみませんか。しいたけは身体に嬉しい栄養が豊富で乾物として常備もできるので使い勝手もよく、おすすめの食材です。

▼あわせてよみたい!栄養価の高い野菜ランキングはこちら!

【管理栄養士が選ぶ】栄養価の高い野菜ランキング!

この記事を書いた人:高城紗織

この記事を書いた人:高城紗織この記事を書いた人:高城紗織

保有資格:管理栄養士・フードスペシャリスト
大学を卒業後、管理栄養士養成課程の大学助手として勤務。その後、地方公務員として18ヶ所の保育園給食運営に従事し、献立作成や食育・食物アレルギー対応などに携わる。
現在はフリーランスとして活動し、栄養カウンセリングや食・栄養コラムの執筆、レシピ提供を行っている。
ダイエット栄養指導、糖尿病重症化予防のための栄養指導、在宅高齢者向け訪問型健康・栄養相談、ビジネスマン向けパフォーマンスアップ食事指導などこれまでの栄養指導実績は延べ10000件以上。
Twitter:https://twitter.com/saotksr330 
Instagram:https://www.instagram.com/saori_nutritionniste/  

関連する記事

記事のカテゴリ