ごまの栄養とは?種類や食べ方による違いも管理栄養士が解説!
ごまは植物の種であることからもわかる通り、発芽に必要な栄養素がぎゅっと詰まった食品です。古くからある「まごわやさしい」という健康的な食生活に役立つ食材の語呂合わせをご存知でしょうか。「まめ・ごま・わかめ(海藻類)・やさい・さかな・しいたけ(きのこ類)・いも」を表しますが、その中にも「ごま」が含まれています。
今回は日本人になじみ深いごまにスポットライトを当てて解説します。
目次
ごまのもつ栄養素と効果とは
ごまは血中コレステロール値が気になる方や、体を若々しく保ちたい方にお勧めできる食品です。
ごまは100g中599kcal(いりごまの場合)と高カロリー。なんとごまは重量のうち約54%が脂質です。脂質が多いと太りやすいというイメージが強いと思いますが、すべての脂質が身体に溜まってすぐに脂肪になるわけではありません。ごまに含まれている脂質は不飽和脂肪酸が4分の3以上です。不飽和脂肪酸は血中コレステロールを正常値に近づける働きがあり、健康のために摂取が推奨されている油脂です。
コレステロール値を正常値に近づける不飽和脂肪酸
ごまの脂質には不飽和脂肪酸が多く含まれています。いりごま100gに脂質は50g以上含まれており、そのうち飽和脂肪酸は7.9g、不飽和脂肪酸は43.2gという内訳です。
飽和脂肪酸がすべて健康に悪影響なわけではありませんが、不飽和脂肪酸は体内で特に有用な働きをすることで注目を浴びています。不飽和脂肪酸のうち、ごまに多く含まれるのがオレイン酸とリノール酸です。この二つは血中の善玉コレステロールはそのままに、悪玉コレステロール濃度を下げると言われています。
ただし、不飽和脂肪酸は熱や空気で酸化しやすいので要注意。酸化すると過酸化脂質となり、動脈硬化の原因となる物質に変化します。粒のままだとごまに含まれているビタミンなどで酸化防止ができるのですが、すりごまやごま油は酸化しないように気を付けて保存しましょう。
たんぱく質をエネルギーに換えるビタミンB6
ごま100g中にビタミンB6 は0.64㎎含まれています。
ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーとして代謝する際に必要な栄養素です。成人で1日当たり1.2㎎前後摂取することが推奨されています。
たんぱく質を多く摂取するほど必要量が増えるので、たんぱく質多めの食生活をしている人は多めに摂取することがおすすめです。
体の酸化を防ぐ!ゴマリグナン
ゴマリグナンという栄養素はあまり耳にしたことが無い方も多いはず。これはごま特有のポリフェノールの一種で、強い抗酸化力を期待できる栄養素です。ただ、ごまの中にわずか1%しか含まれておらず、希少な栄養素だといえます。
ゴマリグナンは1日の摂取量等は決まっていないので、食生活に上手にごまを取り入れることで、健康を保つことを心がけましょう。
骨を健康に保つカルシウム
意外に思われるかもしれませんが、ごまにはカルシウムが多く含まれています。しかも、100g中1200㎎とトップクラスの含有量です。牛乳で100m中に110㎎程の含有量です。
カルシウムは骨や歯を健康に保つ働きのほか、筋肉の収縮にも必要なミネラルです。カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素のうちの一つなので、様々な食品から少しずつでも摂取したいものです。
白ごま・黒ごま・金ごまで栄養素は異なるの?
ごまは殻の皮の色によって大きく分けて3種類に分けられます。栄養成分はほとんど同じですが、それぞれの特徴をご紹介します。
白ごま
粒の大きさが多く、油脂の含有量が少しだけ多めです。ごま油の原料になるのは白ごまがほとんどです。香りが控えめなので、料理に少し混ぜたい場合などは白ごまがおすすめです。
黒ごま
濃厚な風味が特徴なので、ごまをメインとした料理には黒ゴマを使ってみてください。殻が厚めなので、その分カルシウムなどのミネラルや食物繊維が多いです。
金ごま
白ごまよりも油分が多いのですが粒が小さく生産量も少ないので、値段も少々張ります。ただ、値段が張るだけでなく上品な香りとコクが楽しめるので、ごま好きには金ごまがおすすめ!
食べ方によって栄養素の吸収率は異なるの?
実はごまはそのまま調理しても栄養素がほとんど吸収できない食材です。なぜかというと、ごまは種として硬い殻をもち、その殻で内側の栄養素を守っているから。 歯でよく噛むことで殻を壊すこともできますが、すべてのごまをかみ砕くことは難しいですよね。
ごまを食べるときには、すりつぶして「すりごま」にしてから食べるのがおすすめです。
また、生のままごまをすりつぶして食べても良いですが、炒ってからすりつぶすと香りがよくなります。栄養価的には生のままで活躍する栄養素と、加熱することで活躍する栄養素が変わるので、生と加熱後のごまは双方とも健康に役立つといえます。生のごまには先に述べたように多くの栄養素が含まれています。ただ、ゴマリグナンの一種であるセサモリンは、加熱すると「セサモール」というさらに強い抗酸化物質に変化します。
ごま油にも加熱済みのものと非加熱のものがあり、どちらも長所があります。ただ、ごまも、ごま油も保管時には光や空気にあまり触れないように気を付けましょう。すりごまにすると、殻で守られていた栄養素が空気に触れて酸化してしまうので、すりごまは早めに食べ切ることをおすすめします。
ごまの食べ過ぎはよくない?
ごまは半分以上が脂質ということで、食べすぎるとエネルギー過多になってしまいます。エネルギーとして消費できなかった脂質は体内に蓄積されることもあるので、食べすぎは禁物です。ごまには不飽和脂肪酸が多いと述べましたが、飽和脂肪酸も含まれています。飽和脂肪酸は摂取しすぎると脂質異常症などの生活習慣病になる恐れがある栄養素なので、他の食品との兼ね合いも考えてごまの食べすぎには注意が必要です。
1日に大さじ1~2杯(約15g前後)を食べることを習慣にすることで、健康成分も無理なく摂取できます。
ごまを使ったおすすめレシピ
ごまを使った簡単なレシピをご紹介します。食べ合わせを意識することで、ごまの栄養素を最大限に活かしましょう!
すりごまヨーグルト
ヨーグルト(100g)にすりごま(大さじ1)と蜂蜜をお好みでかけて召し上がれ。
乳製品とごまの組み合わせで、カルシウムをしっかり摂取!ヨーグルトに含まれる生きた善玉乳酸菌は腸内ですりごまの食物繊維をエサにして増える働きを持ちます。
ごま香るキムチ冷ややっこ
絹豆腐(150g)の上にキムチ(約30g)とすりごま(小さじ2)を乗せるだけ。ごま油を足しても◎。
キムチは日にちが経つと酸味を増して乳酸発酵するものを選びましょう。植物性乳酸菌は腸に生きたまま届く可能性が高いので、ヨーグルトとの組み合わせよりも腸内環境を整える働きを期待できます。
まとめ
古くから健康成分が期待されているごまには、小さな一粒にたくさんの栄養素が詰まっていることがお分かりになったかと思います。すりごまをきんぴらごぼうやチャーハンなどに少量混ぜるだけで気軽に摂取できるので、肩ひじ張らずにふりかけ感覚でごまを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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