そばは高血圧を抑制する?そばが含む栄養素と合わせて食べたいおすすめの具を管理栄養士が紹介
「健康診断で前より血圧が高くなっていた」「食事に気をつけているのになかなか血圧が下がらない」「薬を使わずに日々の食生活で血圧を改善したい」そんな悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?
血圧改善にはさまざまな方法がありますが、血圧ケアに有効な食材を食生活に取り入れることも改善策のひとつです。
今回ご紹介する「そば」は、そんな血圧の悩みを持った方におすすめの食材のひとつ。そばが含む栄養素とそれらが身体にもたらす健康効果、より効果的に栄養摂取するための食べ合わせなどについてお話していきます。
目次
そばが高血圧に効果がある仕組みとは
そばの健康効果については研究が進められており、血圧に対しての働きは未だ不明確な部分も多いのが現状です。しかし、これまでの研究から血圧ケアに有効といわれる栄養素が分かってきています。
その有効な栄養素とは、「ルチン」です。もしかすると、一度は名前を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。ルチンは、そばの実の外側に含まれるポリフェノール成分で、ヘスペリジンやケルセチンとともにビタミンP(ビタミン様物質)とも呼ばれています。
ルチンが血圧ケアに働く理由は、私達の身体の末端にある、毛細血管を強化する作用にあります。血管の弾力性を高めたり、血液の流れをスムーズにしたりする働きによって、血管に無理な圧力がかからなくなるため、血圧上昇の抑制に働くのです。
また、ルチンをはじめとするポリフェノールは抗酸化物質でもあります。酸化とは、よく身体の「サビ」に例えられることが多いですが、この酸化が過剰になると体内の細胞が傷つき、さまざまな疾病の引き金となる動脈硬化が起きやすくなるのです。
ポリフェノール成分はその酸化を抑えることで動脈硬化予防に働くため、血管の健康維持にも役立つといわれています。
このように、そばには血圧に対して良い働きをする成分が含まれているため、日々の食生活にうまく取り入れることで体調管理に役立てていきたいですね。
参考:新啓一郎,秋山里美,図解でわかる高血圧,主婦の友社,2011
そばが含む血圧以外にも健康に効果のある栄養素とは
そばが持っている健康効果は血圧改善だけに留まりません。私達の身体を健やかに保つために必要な栄養素や機能性成分が、そばにはたくさん含まれているのです。ここでは3つの栄養素について触れ、具体的にどのような健康効果があるのかご紹介します。
ビタミンB群
そばの持つ栄養素で有名なものに、ビタミンB群があります。同じ麺類である「うどん」と比べて、そばではどれだけのビタミンB群を摂取することができるのでしょうか。そば粉と小麦粉を比較した時に、ビタミンB1、ビタミンB2の含有量は以下の通りとなります。
食品成分 | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
---|---|---|
そば粉(全層粉) | 0.46 | 0.11 |
小麦粉(中力粉 / 1等) | 0.1 | 0.03 |
(単位:mg)
小麦粉に比べて、そば粉には約4倍のビタミンB1、B2が含まれているとわかりますね。この理由は、そばが小麦粉と違って実の外側まで一緒に製粉することから、比較的ビタミンが多くなるためです。
では、ビタミンB群はどんな時に必要なのでしょうか?私達は日常生活で活動をするためのエネルギーを、炭水化物・脂質・たんぱく質という三大栄養素から得ていますが、ビタミンB群はそれらを燃やすために必要な栄養素です。
普段の食生活で、間食にお菓子をよく摂取するという方もいるかもしれませんが、糖質の適正摂取量をオーバーすると、ビタミンB1が不足することがあります。
すると、体内で燃やしきれなかった糖質が脂肪となって蓄積する可能性があります。糖質を余すことなくエネルギーに変えるためにも、食事にそばを取り入れ、ビタミンB1を積極的に補えると良いですね。
たんぱく質
そばは、たんぱく質も多く含んでいることで知られています。アミノ酸バランスが良いため、人間の生育に不可欠な必須アミノ酸の90%以上を摂取することができるといわれているのです。
たんぱく質は、高血圧を防ぐ食事方法のDASH食にも摂取を増やすべき栄養素として入っており、コレステロールや飽和脂肪酸の少ない、良質なたんぱく質を摂取することは高血圧予防の観点でも重要だといえます。
そばは低脂質かつたんぱく質を摂取することができる食材であることから、積極的に活用していきたいですね。
食物繊維
その他に、そばは食物繊維も多く含んでいます。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類が存在しますが、そばに含まれる食物繊維の約8割が不溶性となっています。
不溶性食物繊維の特徴は、便のカサを増やして腸を刺激することです。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサにもなるため、菌を増やしておなかの調子を整えることも期待できます。
一方、水溶性食物繊維はコレステロールと結びついて体外に排泄する作用があるといわれ、コレステロール値の低下が期待されます。血圧ケアにはコレステロール値も関係してきますので、そばと水溶性食物繊維を含んだ食材を適量組み合わせて摂取すると良いでしょう。
そばと一緒に食べたい3つのおすすめの具
そばには良い栄養がたくさん含まれていますが、残念ながらそれだけで1食の栄養を摂取できるわけではありません。食べる時には一緒に入れる具材や付け合わせを工夫することで、栄養バランスの良い食事にできると良いですね。
主食であるそばに、主菜となるたんぱく質源、副菜となる野菜類を追加するだけでも、バランスUPすることができますので、以下を参考にして取り入れてみてください。
鴨南蛮
そばを食べる時のおすすめの具、まず1つ目は「鴨南蛮」です。具材は鴨肉とネギを使用しますが、鴨肉にはたんぱく質、ネギにはアリシンという栄養素が含まれています。
たんぱく質は先述の通り高血圧予防に必要な栄養素ですので、そばのルチンとともに、しっかりと摂取したいところですね。たんぱく質源には脂質の多いものもあり、飽和脂肪酸は避けたいところですが、鴨肉は牛肉や豚肉と比べて不飽和脂肪酸の割合が高いため、比較的ヘルシーなお肉でもあります。
また、ネギに含まれるアリシンは、そばに含まれるビタミンB1の吸収を高める作用があり、相性の良い栄養素といえます。
外食の際には鴨南蛮を選んでいただければと思いますが、家庭で調理する際まで鴨肉はなかなか入手しにくいですよね。そんな時には、スーパーでも入手しやすい鶏もも肉が代用品となり、お家でバランス良くそばを食べることができます。
しかし皮の部分には脂質が多いため、なるべく減らすのが良いでしょう。さらに野菜を追加することで、さらにビタミンやミネラルを補うこともできます。
とろろ月見
2つ目のおすすめ具材は「とろろ月見」。山芋、大和芋などをすりおろしたとろろに、卵の黄身を載せた一品です。
とろろは、水溶性食物繊維が豊富で、コレステロールを吸着して体外に排泄する作用があるため、動脈硬化予防に一役買ってくれます。また、卵を一緒に摂取することで、たんぱく質を補うことができるため、栄養バランスUPにも繋がります。
あまり手間をかける時間がない時は、卵を温泉卵にして載せれば簡単に月見そばが出来上がります。温泉卵は、沸いたお湯に入れたり、水と一緒に電子レンジにかけたりすることで簡単に作ることができますので、試してみてくださいね。
きのこ×大根おろし
3つ目の具材は「きのこ×大根おろし」です。
しめじ、まいたけ、しいたけなどのいろいろなきのこから出る美味しい出汁は、そばとの相性も抜群です。きのこは食物繊維を多く含んでいるため、血管の健康維持と整腸作用に役立ちます。
大根おろしを加えることで、つゆの風味を味わうことができますし、みぞれ風にしてそばに絡めて食べても美味しいですね。
そばに含まれるルチンには、ビタミンCの吸収を良くする作用がありますが、大根おろしにはビタミンCが含まれているため、一緒に摂取することで効率的に摂取することができます。
体内でのコラーゲン生成やエイジングケアに必要なビタミンCを摂りたい時には、そばと一緒に食べてみてはいかがでしょうか。
薬味の嬉しい働き
そばを食べる時には、薬味を欠かさずつけるという人も多いのではないでしょうか。普段なんとなく食べている薬味にも、実は良い栄養が含まれているのです。
例えば、わさびにはビタミンB2の吸収を助ける働き、しょうがには血行促進、冷えの改善、血中脂質改善の働きなどがあります。おすすめの具材だけでなく、薬味に含まれる栄養素も一緒に摂取したいところですね。
そばの栄養を逃さず摂取する食事方法は?
そばがビタミンB群を豊富に含んでいることは先述しましたが、このビタミンB群は水に溶けやすい特徴があることから、そばを茹でる際に茹で汁に多く流れ出てしまうというデメリットがあります。栄養を逃さず摂取したい場合はそば湯まで飲むと良いでしょう。
また、そばの種類や、そばの実の部位によっても栄養素の含有量は異なってきます。
健康を意識して機能性成分を多く摂りたいのであれば、更科そばのように白いものより、田舎蕎麦のような黒みを帯びたそばを選ぶようにしましょう。これは、そばの実の外側まで製粉してあるほど色が濃く、栄養価が高いといわれているためです。
また、近年注目を集めている韃靼そばは普通そばとは実の種類が異なり、ルチンの含有量が普通そばの100倍ともいわれています。中国には古くからあったものですが、苦味が強いことから日本ではあまりメジャーではありませんでした。しかし、その苦味成分こそが身体に良い機能性成分でもあるのです。
まとめ
今回は、そばに含まれる栄養素とその健康効果、より多く栄養摂取できる食べ方についてお話してきました。血圧のケアには今回ご紹介した栄養素以外にも、野菜、果物、魚、大豆製品、海藻、低脂肪の乳製品などを取り入れた、バランスの良い食生活が必要です。
いつでも手軽に取り入れることのできるそばを、今後の健康維持にぜひ役立ててみてくださいね。
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