【管理栄養士が解説】サバ缶が血圧に効果的?食べる際の注意点やおすすめの食べ方を解説
「最近血圧が高めになってきた…」
「健康診断で測ったときの色々な数値が気になる…」
「しょっぱいものが好きだから塩分の摂り過ぎで血圧が…」
など、血圧についての悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
血圧の数値改善に効果の高い食べ物があるなら気になりますよね?
実は、皆さんおなじみのある食べ物が、血圧とも関係があるといわれているのです。
そのおすすめ食材が“サバ”です。
サバのような魚は日常の中で調理しづらかったり保存期間が短かったりと、中々食べづらいと感じる方もいますよね。
そんな時に活用しやすいのが缶詰である【サバ缶】。
缶詰は長期間の保存もでき調理済みなので、簡単で手間がかからず色々なレシピに活用することができます。しかも血圧ケアにも効果があるといわれているのです。
そこで今回は、管理栄養士の筆者がおすすめする“サバ缶”について、血圧との関係や活用できる簡単レシピなどをご紹介します。
目次
サバ缶の3つの健康効果
サバ缶は、どのように血圧に対して働くのでしょうか。また、血圧以外にも健康効果があるのでしょうか。
サバ缶を食べることで得ることのできる3つの健康効果についてお伝えします。
血流の調整
サバ缶の1つ目の効果としては、血流を改善する作用があります。
ポイントは、サバに含まれている「DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)」です。この2つの脂は、オメガ3脂肪酸という種類に分類されます。
このDHA・EPAのオメガ3脂肪酸は、厚生労働省でも目安量が設定されているほど、私達の身体に必須な脂肪酸です。
弾力性が失われることで血管が硬くなったり、コレステロールが血管内に沈着したりすることが原因で、血液の流れが悪くなり血圧が上がってしまうなどの不具合が身体に生じます。
このような症状を抑える働きを持つのがDHA・EPAです。DHA・EPAの作用が血管を柔らかくしたり、血管の炎症を抑えて血管の老化予防をしたりします。
また、摂取したEPAが赤血球の細胞膜に取り込まれると細胞膜が柔らかくなり、その結果赤血球自体も柔らかくなります。すると血流が改善し、血圧を正常に保ってくれるのです。
コレステロールが多いと、細胞膜に取り込まれた時に赤血球自体を硬くしてしまうのですが、赤血球が柔らかいと、毛細血管を柔軟に通ることができるのです。
脳の活性化
最近なんとなくもの忘れが多くなっていると感じることはありますか?
サバ缶の2つ目の効果は脳の活性化についてです。
サバ缶には脳を活性化する働きがあるといわれているDHAが豊富に含まれています。
日本食品標準成分表(2015年版)※1によると、サバ缶100gあたりのDHA含有量は1300mgほど。これは、厚生労働省の設定する1日の目安量2.0g(50~69歳女性)の半分以上を摂取できる量です。
このDHAは脳の構成成分で、脳内でも記憶に関わる海馬という場所に多く集まっているといわれています。
神経の伝達にも関わりがあり、情報伝達の能力を向上させる働きがあるため、DHAの摂取により脳の構成成分を整えると、記憶力の向上や高齢者の認知能力低下の予防ができることも報告されています。
骨密度低下の予防
サバ缶の3つ目の効果は、骨をつくるということです。
女性は閉経に伴い、骨量を維持する女性ホルモンの分泌低下が起こるため、急激に骨密度が減るといわれています。
そのため、女性は閉経後に骨粗鬆症になりやすく、食事からのカルシウム摂取不足や運動不足が重なることで骨が弱くなり、少し転んだりするだけで骨折をしてしまうことがあるのです。そのため女性の方には骨密度に注意して欲しいのですが、閉経後でも骨をつくる栄養素を日々摂って骨密度低下の予防をすることはできます。
骨をつくるために必要な栄養素が「カルシウム」と「ビタミンD」です。
カルシウムは骨の構成成分であり、骨代謝に関与しています。食事から摂取されたカルシウムは体内で吸収されることで骨に運ばれ、骨を形成します。
ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を促進したり、骨の形成を助けたりする働きがあります。サバ缶には、このカルシウムとビタミンDが両方含まれているため、骨をつくるのに理想的な食品です。
このように、血管、脳、骨と3つの健康効果がサバ缶にはあります。
血圧だけでなく身体の中で重要な脳や骨にも効果があるのは嬉しいことですね。そしてこんなに優秀な食材が缶詰で手軽に食べることができるのです。
食べすぎには注意?サバ缶を食べる際の注意点
身体によいとされているサバ缶ですが、やはり食べ過ぎには注意しなくてはなりません。どんな食べ物でも同じですが、過剰に摂取することは身体に良いことではないのです。
では、実際にサバ缶を食べる際にはどんな点が注意するべきところなのでしょうか?
塩分が高い
缶詰の食品は、長期保存をする目的で基本的に塩分が多く含まれています。特に血圧が気になる方は塩分を抑えていただきたいため、選ぶ種類には注意が必要です。
メーカーや商品によって塩分量は異なりますが、しょうゆや味噌などで味付けされているものは比較的塩分が高くなってしまいます。
健康効果のあるサバ缶ですが、塩分の多い食事で悪化させてしまっては良くないので、気になる方はサバの水煮缶を選ぶようにしましょう。
糖質量が多い
サバ缶には糖質も多く含まれており、注意が必要です。中でも特にサバ味噌煮缶には、味付けのために砂糖が使われているものが多いため、糖質量が高くなってしまいます。
日本食品標準成分表(2015年版)※1によると、サバ缶100gあたりの炭水化物量は水煮缶で0.2gであるのに対し、味噌煮缶では6.6gになっています。
カロリーも糖質量に比例して、水煮缶で190kcal、味噌煮缶で217kcalと味噌煮缶の方が多くなりますので、食べ過ぎによってカロリー過多になり、結果太ってしまうということがないように、摂取量には注意しましょう。
おすすめのサバ缶レシピ3選
ここまで、サバ缶の健康効果や食べる際の注意点についてお伝えしてきました。
しかし、実際にサバ缶を取り入れたいと思っても、そのまま食べるだけでは飽きてしまったり、どのように活用して良いか分からなかったりして、結局食べなくなるという問題が出てくることがあります。
日々の献立にサバ缶を取り入れるとなると1番の課題となるところですよね。
今回はそんな課題を解決できる、サバ缶を使用した簡単レシピを3つご紹介します。
サバ缶チャーハン
※写真はイメージです。
- 材料
・ サバ味噌煮缶…1缶
・ 炊いたご飯…150g
・ 卵…1個
・ 鶏ガラ…小さじ1/2
・ ごま油…小さじ1
・ 黒こしょう…適量
- 作り方
①フライパンを熱しごま油をひいたら溶いた卵を入れて軽く炒める。
②半熟くらいでご飯を入れ混ぜる。
③サバ味噌缶をサバ全量と汁の1/3をいれ、サバがほぐれるようにへらで切りながら全体的に混ぜる。
④鶏ガラとこしょうで味を調えて完成。
ポイント:サバ味噌缶を使うことで味付けもほとんどいりません。炒めるだけの簡単お手軽高たんぱく質チャーハンです。
サバ味噌大根
- 材料
・ サバ味噌煮缶…1缶
・ 大根…300g
・ 水…120cc
・ しょうが…適量
・ こねぎ…適量
- 作り方
①大根をイチョウ切りにして厚さ1cmほどに切る。
②フライパンに大根とサバ味噌缶を汁ごとすべて入れて水120ccを加えて煮る。
③落としぶたをして弱火で煮込む。
④煮込み終えたら最後にこねぎを散らして完成。
ポイント:味付けが難しい煮付けの汁もサバ味噌煮缶の汁を入れることで簡単に美味しく作れます。しょうがを入れることで血行を促進し、身体もポカポカにしましょう。
サバサンド
- 材料
・ 食パン(8枚切り)…2枚
・ サバ水煮缶(身のみ使用)…2切れ
・ 玉ねぎ…適量
・ レタス…適量
・ マヨネーズ…小1
- 作り方
①2枚の食パンにマヨネーズをぬる。
②片方にレタスをのせる。
③サバの身とスライスした玉ねぎをのせ、マヨネーズで味付けをする。
④もう1枚を上に載せて軽く挟み、半分にカットする。
ポイント:サバを入れることで洋食のサンドイッチでも魚を摂取することができます。
まとめ
サバ缶には身体の健康にとても良い効果があることがお分かりいただけたかと思います。気になる血圧も魚をさらに食べることで正常に保つ働きが期待できるかもしれません。
今回ご紹介した簡単レシピを参考にサバ缶を活用していただいて、ぜひ日常で気軽に魚を摂るようにしてくださいね。
参考文献:1日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書,厚生労働省(2019-12-3参照)
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