【管理栄養士が解説】「飲む点滴」と言われる甘酒が持つ血圧の上昇を抑える効果とは

栄養価の高さから「飲む点滴」とも言われ、健康や美容効果が期待される【甘酒】。

お正月やひな祭りなどのイベントのときや、夏の暑い時期など、昔から日本人にとって馴染みのある飲み物ですよね。

また最近では、コンビニやスーパーでも見かけることが多く、甘酒の種類も増えています。

そんな「飲む点滴」甘酒が、実は血圧のコントロールに効果的であることをご存じでしょうか。

甘酒の持つ血圧に対しての働きや、効果的な飲み方・タイミング・適切な量についてご紹介していきます。

甘酒が血圧の上昇を抑える?!

甘酒は、「飲む点滴」といわれるほどですから、豊富な栄養が詰まっているイメージがありますよね。

甘酒の栄養成分は、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンB群、食物繊維、腸内細菌のエサにもなるオリゴ糖などが豊富です。甘酒と点滴の主成分が同じオリゴ糖であり、また疲労回復にも効果的です。

ほかにも麹菌が生成する酵素は30種類以上とも言われ、その酵素が甘酒にも含まれています。これらの酵素やビタミンB群が豊富に含まれているため、たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー源を効率的に分解して消化・吸収をサポートする働きもあります。

高めの血圧を下げる

甘酒にはペプチド(アミノ酸が2個以上くっついた状態)と呼ばれる成分が含まれています。このペプチドは甘酒の原材料であるお米に含まれるたんぱく質が麹菌によって分解されるときに生み出されます。

ペプチドは、血管を収縮するホルモンの産生を防ぐ作用があり、血管のしなやかさが改善する働きがあると期待されています。また、血圧を上昇させるACE(アンジオテンシン変換酵素)という酵素の働きを阻害し、血圧の上昇を抑える効果があることが判明しています。

甘酒は腸内環境を整える

さらに甘酒にはプロラミンという成分が含まれています。プロラミンは消化・吸収されにくいレジスタントプロテインと呼ばれる難消化性たんぱく質の一種です。この難消化性たんぱく質は食物繊維と同様に腸内環境を整えて便秘改善やコレステロール排出促進などの作用があると考えられ、注目されている物質です。腸内環境を整えることは、血圧を緩やかにするためにも重要です。

甘酒の種類

甘酒は大きく分けて「米麹甘酒」と「酒麹甘酒」の2つのタイプがあるのをご存知ですか?これらは製法も異なるため、味にも違いがあります。

米麹の甘酒は、日本酒と同様に、麹の発酵作用を利用してお米から作るものになり、日本酒と違い、甘酒はお米のでんぷんを麹菌によって糖分に変えています。甘酒が苦手でもこのお米と麹だけで作った甘酒を飲んでみると印象が変わるかも知れません。

「米麹甘酒」が飲む点滴といわれる甘酒です。

酒粕甘酒は、酒粕をお水で溶いて、砂糖で甘みを加えたものです。こちらは酒粕にアルコール分が含まれているので、お酒が苦手な方は注意が必要です。また、砂糖を加えて作っているためカロリーも高くなりがちです。

酒粕から作られている甘酒も高血圧抑制効果が期待されていますが、砂糖をかなりの量を加えて飲みやすいように作られているものもあるため米麹の甘酒をおすすめします。

血圧の上昇を抑える効果的な甘酒の摂り方

血圧ケアに甘酒が良いことがわかりましたが、では、甘酒はいつどれだけの量を飲んだら良いのでしょうか。

血圧の上昇を抑える効果的な量とタイミング、活用の仕方など甘酒の正しい飲み方についてお伝えしていきます。

甘酒の適正量は?

甘酒コップ1杯(200ml程度)のカロリーは、約160kcal相当です。このカロリーは、おにぎり1個分と同等のカロリーです。美味しくてついつい飲んでしまうという方もいらっしゃると思いますが、食事量を少なくしても、甘酒を何杯も飲むのは太る原因になります。

健康的な飲み物ですが、甘酒には糖分も多く含むため、1日にたくさん飲んでいいというわけではありません。そのため、1回あたり50~120ml程度が適量とされています。また、糖分の摂り過ぎを防ぐためにも、1日に飲む量はコップ1杯(200ml程度)までを目安にするといいでしょう。

飲むタイミングはいつがいいの?

血圧を上げる働きを持つホルモンは日中に活発に働くことから、血圧抑制を期待するには朝に飲むことがおすすめです。朝に甘酒を飲むことで甘酒に含まれるブドウ糖が脳をしっかり目覚めさせ、同時に基礎代謝を上げることができます。

朝飲むことをおすすめしますが、お昼や睡眠前に飲んだ場合、甘酒の効果が落ちるというわけではありません。

お昼に飲むとブドウ糖と甘酒に含まれる糖の代謝を向上させるビタミンB群の相乗効果により、脳の働きが活発になり、集中力アップに繋がります。また、夜など寝る前に飲むと、疲れた身体を回復させる働きやストレスの緩和、身体を温めることによる安眠効果があります。

甘酒の正しい飲み方

甘酒は空腹時に飲むと、甘酒に含まれる糖質の消化吸収で血糖値が上がりやすくなるので朝食後に飲むと血糖値の急上昇を抑えることができます。また、室内や外の寒暖差の激しい時期は血圧が急上昇しやすい時期ですが、甘酒のペプチドの働きで抑えられる可能性が高いといわれています。

飲むときの温度は?

甘酒を飲むときの温度は60℃くらいがベストです。甘酒に含まれる酵素が一番作用する温度だからです。手作りした甘酒などは酵素が豊富に含まれているので酵素が活発に活動する60℃に温めて飲むことで効果はさらにアップします。

甘酒の活用の仕方

甘酒に抵抗のある方は、牛乳や豆乳で割ってみると飲みやすいかもしれません。

また、ヨーグルトと合わせてみる、普段の砂糖の代わりで甘酒を使うのもおすすめです。

最近は、甘酒を使ったスイーツも多く見かけるようになりました。自然の甘みで、身体にもやさしいスイーツです。

ほかにもおろし生姜と混ぜて生姜甘酒にすると血流を良くしたり、過剰な塩分の排出も助けたりしてくれるので血圧が気になる方にもおすすめの飲み方です。

甘酒を飲むときに注意が必要なポイント

甘酒の健康効果と正しい飲み方について分かりましたが、では実際に市販の甘酒を買う際や甘酒を摂取する際にはどんなところに気をつけた方が良いのでしょうか。

その注意点について解説していきます。

甘酒の摂取は適正量でゆっくりと

甘酒が血圧の上昇を抑える可能性があるからといって、適正量を越える量を摂取してしまうと逆効果になります。甘酒を飲む場合は、適量を飲むことをおすすめします。

甘酒には糖質が多く含まれているので、血糖値が高めの方は要注意です。特に糖尿病の方はかかりつけの医師や管理栄養士と相談して、摂取量を決めましょう。

血糖値が気になる方が甘酒を飲む場合は、特にゆっくり飲むように心がけてください。甘酒を一気に飲み干してしまうと血糖値が急激に上昇する可能性があるためです。

米麹で作った甘酒の甘さはブドウ糖由来です。自然由来の甘みではありますが、ブドウ糖を直接身体に入れてしまうと血糖値の上昇が非常に早くなるので注意が必要です。

市販の甘酒は食品添加物に注意

「原材料が国産米を使用してるか」「甘さを増すために砂糖やブドウ糖、人工甘味料などが加えられていないか」「保存料や化学調味料が入っていないか」をチェックするといいでしょう。添加物の多い甘酒はかえって血行不良や冷えを招く恐れがあります。

もし市販の甘酒を買うときは原材料が米だけか米と米麹だけの甘酒を選ぶことで、素材本来の風味を楽しむことができるので確認してみてください。

甘酒は市販品よりも手作りで

手作りで作られた甘酒は生甘酒といい、できたての生甘酒は米麹の成分が最も多く生きていて、身体のエネルギー源として吸収されます。甘酒で大切なのは菌の力。市販品だとどうしても長持ちさせるために殺菌や消毒されており、菌の力が発揮できません。甘酒の力を最大限に生かしたい場合は手作りが一番です。

まとめ

甘酒と血圧の関係などについてみてきましたが、いかがでしたか?さっそく甘酒を飲みたいと思った方も多いのではないでしょうか。甘酒は血圧に良いからと、3杯も4杯も摂取してしまうと、その分、糖質を摂ってしまいます。適度に飲んで甘酒の持つ効果を試してみましょう。甘酒は砂糖の代わりに使うことができるので、普段のお料理に代用するなど工夫してみてください。

寒くなる時期に温度差で体調を崩さないように外出前に甘酒をゆっくり飲んで身体をしっかり温めるなど、甘酒を上手に利用して血圧を上げないように普段から気を付けていきましょう。正しく飲むことで甘酒は冬の強い味方になってくれます。

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この記事を書いた人:日下緑

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保有資格:管理栄養士 調理師
2010年管理栄養士過程を卒業後、給食委託会社で給食管理・大量調理を経験し2012年に調理師免許を取得。その後病院にて管理栄養士として勤務、日々生活習慣病の患者様と接している中で予防医療・食生活支援等の食育の必要性を実感。人生100年時代、健康で自分らしい生き方を歩むために「食の大切さ」を伝えていきたいと思いコラム執筆などに携わり、食と健康のサポートをしている。

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